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2012年8月31日金曜日

「デフレの正体」の著者による日本経済への処方箋

Bloombergの2012/8/30付の記事「リフレ論者の主張は「宗教」、金融政策頼みに未来はない-藻谷浩介氏」では、ベストセラー「デフレの正体」の著者として知られる日本総研の主席研究員の藻谷浩介氏へのインタビューが掲載されています。

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藻谷氏は、「物価は貨幣的な現象であり、中央銀行が通貨の量を増やせばデフレを克服できる」とするリフレ論者に対して、「彼らが信奉している新古典派経済学のモデルは自己完結した美しい体系だが、日本ではモデルの前提が崩れているので機能しない」との主張をしています。

その理由として、「金融緩和が機能するための3つの前提が日本では崩れている」と指摘。
3つの前提とは、
①利益を犠牲にして値上げを回避するという日本企業に一般的な行動。
「普通の企業はマージンを優先して非採算部門から撤退し、コストを価格転嫁できる部門にシフトするが、日本企業はマージンを殺してコストダウンを続ける」という企業行動があり、「企業がコストを価格転嫁しないので、消費者物価は全く上がっていない」。
②人口。
「日本は今後50年間、生産年齢人口が減り続けるので、就業者数が減り続けることは避けられない」と指摘。さらに、「就業者数が減ると、1人当たりの賃金を連動して上げない限り消費総額は細るし、1人当たりの生産を増やさない限り生産総額が落ちるが、世界で最もロボット技術が発達している日本では、資本装備率(1人当たり資本設備)がどんどん上がっていて、生産年齢人口減少にもかかわらず生産が維持されている」ということです。
③日本人の貯蓄志向の強さ。
「リフレ論者のモデルでは、貯蓄は消費する前のリザーブ(予備)であり、必ず消費に回ることを前提としているが、日本では死ぬまで貯蓄して、消費しない人が多い。相続人の平均年齢は67歳で、相続した人もまた消費しない」と指摘。

日本経済への提言は、
・「消費性向の高い現役世代と女性の所得を増やすこと」(そのためには、「最低賃金の引き上げと女性の雇用促進」が必要)
・「人口減少に歯止めをかける長期的な対策として「子供を産むインセンティブを高めること」」
とのこと。

また、「高く売れるモノを裕福な高齢者に売ったり、海外市場で売って生き延びる会社」もあり、「ろくに人件費が払えない企業が退場し、若者と女性に高い人件費を払える企業が生き残っていけば、人口減少であっても経済は拡大する」ということです。

藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?
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