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2012年8月15日水曜日
増資インサイダーの認定に当事者から反論相次ぐ
ロイター(2012/8/15付)の記事「焦点:増資インサイダー、関与認定に反論できず戸惑う声も」より。
2012年3月以降、証券界を揺さぶった一連の増資インサイダー問題ですが、認定に不服を申し立てられない今の仕組みに課題があると指摘しています。
「現行規制では、情報を伝達した側は処罰されない立てつけになっている。」「そのため、あくまで任意による調査協力という立場にあり、当局の認定に不服を申し立てる機会が与えられない」。「一方、情報を受け取って不正取引をした側は、それが運用業務の一環だった場合、処罰されるのはファンドマネジャー個人ではなく所属会社。ファンドマネジャーは対象ではないため、個人として当局と事実関係を争えない」のが問題としています。
監視委は、「未公開の増資情報について、顧客に銘柄名を直接的に伝えるのでなく、ほのめかすだけなら問題ないとの認識が業界にはあったが、監視委は複数の事案でインサイダー情報の不適切なやり取りと認定」しているようで、「適切性があいまいなまま証券界が問題ないと受け止めていた「常識」を相次いで否定」したとのこと。
記事に掲載されている識者コメント:
・柴田一彦代表取締役(ヘッジファンド助言会社シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ)
「機関投資家はやり放題の状況が散見された。今回金融当局が人員を増強して機関投資家のインサイダー取引の取り締まりを始めたのは歓迎できる」
・大杉謙一教授(中央大学)
「課徴金制度が当局にとって便利すぎ、また、その認定によって事実上の不利益を受ける関係者に十分な弁明の機会が与えられていないため、人権侵害が引き起こされている可能性がある」
・松尾直彦氏(西村あさひ法律事務所、元金融庁・金融商品取引法令準備室長)
「訴訟で争わない限り外部からは検証できない」が、「(監視委の課徴金)処分が安易に打たれている可能性も否定できない。金融機関は、当局に比べ弱い立場にある。権力を持つ機関は慎重に行動する必要がある」
①
あすかアセットマネジメントのファンドマネジャーに日本板硝子の増資情報を流したと認定されたJPモルガン証券の元セールストレーダー(6月末にJPモルガンを解雇)
・社内の資本市場本部の担当者から複数の株式の需給を確認する「フローチェック」を頼まれていた。板硝子もその中の1銘柄だった。
・8月5日の朝、チャットメッセージであすかの元ファンドマネジャーが、その日の増資決議の可能性についてと尋ねると、JPモルガンの元セールストレーダーは、その日はないのではないかと返答
・その上で「大和とJP(モルガン)だと思う」と答えた。
⇒元セールストレーダーは主幹事のこととは明言しなかったものの、監視委はこれを事実上の重要情報の伝達と判断
JPモルガン証券の元セールストレーダーの主張
JPモルガンが主幹事の一角だったことについては「私はそうだとは確証を得ていなかった」
チャットやメールを使った情報交換は「結果的に注意不足だった」
あすかアセットマネジメントの対応
監視委の勧告を受けた金融庁からより厳しい処分が出れば、顧客が離れて経営に打撃が及びかねないと懸念し認定を受け入れ、13万円の課徴金を納付
②
大和証券のドイツ人元社員は日本板硝子の増資情報をジャパン・アドバイザリー代表のエドワード・ブローガン氏に流したと認定
・2010年8月18日の朝会で、翌週は休暇を取らないよう指示された。さらに20日の朝会で、増資企業が主幹事証券に出向いて計画の説明を予行演習する「ドライラン」が24日引け後にあると知らされた→何らかの銘柄で増資計画があると察知
・20日は取引が始まると板硝子株が出来高を伴い4%以上下落→電話でブローガン氏に「来週火曜日にグローバルオファリングがあるようだ」と伝達
大和証券のドイツ人元社員の主張
増資を計画している企業名までは分からなかった
「2週間前に買い推奨した銘柄が、大きな商いを伴って急落していた。(電話をするのは)営業担当者として当然の行動」
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