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2012年9月30日日曜日

バフェット氏の成功要因の1つは、ローベータの株式の長期保有にあり

内藤忍の公式ブログ2012/9/30付「【The Economist】バフェットの驚異のリターンには、2つの理由があった」では、The Economist(2012.9.29.-10.5.号)「The secrets of Buffett’s success」の記事で紹介されているウォーレン・バフェットの投資手法の秘密について解説がされています。

ポイントは2点。

1点目は、「バフェットの選択している銘柄は、「ロー・ベータ(Low beta)」と言われる、市場の平均よりも、リスクの低い株式が対象」になっているということです。「長期の投資においては、リスクの低い株式の方が、リスクの高い株式に比べ、リスク調整後のリターンは高いという結果」が出ているという研究結果が裏付けともなっています。

バフェットは投資信託(ミューチュアルファンド)のように、短期での運用成果にとらわれないためです。
(*業績がハイボラティリティーなハイテク株に投資せず、コカ・コーラやP&Gといった安定的な高収益企業を長期的に投資していることが要因していそうです。)

2点目は、バフェットがオーナーとなっているバークシャー・ハザウェイを通じて保険会社を保有しており、投資資金の調達先となっている点です。資金調達を保険、再保険という手法で行い、「険料を先に受け取ることで、低コストの資金調達が可能になり、アメリカ政府の短期資金の調達コストより、平均3%以上も低いという実績」となっているとのことです。「この資金でレバレッジをかけてさらにリターンを向上させることができた」と説明されています。

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理念への共感を呼び少しずつ根付く直販の独立系投信 運用規模や実績が課題


日経の投資の知恵袋 2012/9/29付の記事「直販投信コツコツと 運用期限設けず長期保有向き 独自の理念、実績も確認」では、直販投信の現状と課題を探っています。
直販投信は、運用会社が証券会社などの販売会社を通さずに、運用会社が投資家に直接販売する投資信託です。独自の運用理念や長期保有向けの商品性などが特徴となっています。

直販投信の代表格は、さわかみ投信が1999年に設定した「さわかみファンド」。「個人投資家が長期に資産形成するのに最適な投信がなかったため、自ら立ち上げた」(沢上篤人会長)とのこと。

その後、2000年代に相次ぎ直販投信が登場しています。

「短期志向で販売会社を重視する姿勢が目立つ既存の投信に対する問題意識が原点にある」(セゾン投信の中野晴啓社長)と言い、既存の投信の問題意識により立ち上げられた投信も多くあります。
直販投信は長期保有しやすい商品設計になっており、主な直販投信は毎月、定額を積み立て購入できるようになっています。
一般の投信は運用期間を5年や10年など限定するものも増えていますが、直販投信は基本的に期限を設けないで永続する設計になっています。
手数料の点では、投信評価会社のモーニングスターによると、「公募追加型投信の平均の販売手数料は購入額の2.75%」。直販投信は購入時の手数料である販売手数料を取らないように設計しています。
また、多くの独立系投信では、投資家向けセミナーなどを積極的に開催しており、運用会社の「顔」が見えやすいという特徴もあります。
運用戦略もそれぞれに特色があります。

(2012/9/29日経を基に作成)
運用会社 / ファンド名 / 設定時期 / 投資対象 / 信託報酬 / 残高(2012/8末)
さわかみ投信 / さわかみファンド / 1999/8 / 日本株 / 1.05% / 1987億円

ありがとう投信 / ありがとうファンド / 2004/9 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.60%(資産構成により変動) / 76億円

セゾン投信 / セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド / 2007/3 / 国内外の株式・債券で運用する複数の投信 / 0.74%(資産構成により変動) / 458億円
セゾン投信 / セゾン資産形成の達人ファンド / 2007/3 / 国内外の株式・債券で運用する複数の投信 / 1.30%(資産構成により変動) / 59億円

クローバー・アセットマネジメント / 浪速おふくろファンド / 2008/4 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.65%(資産構成により変動) / 6億円
クローバー・アセットマネジメント / かいたくファンド / 2008/4 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.60%(資産構成により変動) / 4億円
クローバー・アセットマネジメント / らくちんファンド / 2008/4 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.60%(資産構成により変動) / 4億円

レオス・キャピタルワークス / ひふみ投信 / 2008/10 / 日本株 / 1.029% / 24億円

ユニオン投信 / ユニオンファンド / 2008/10 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.90%(資産構成により変動) / 13億円

コモンズ投信 / コモンズ30ファンド / 2009/1 / 日本株 / 1.2075% / 17億円

鎌倉投信 / 結い2101 / 2010/3 / 主に日本株 / 1.05% / 19億円

(関連記事)
2012/4/3 マネーの知恵(仮) 「日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。」藤野英人:レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)/著(備忘メモ)


課題は、純資産額(残高)の規模がまだ小さいことです。投資信託協会によると、2012年8月末の直販投信の残高の総計は公募投信全体の0.6%ということです。
運用会社の収入は運用残高に比例するので、さわかみ投信を除くと赤字経営の運用会社が多く、運用が続けられるかどうかも課題です。(*運用会社が倒産しても、不正がなければ、運用者が預けている資金は別管理されているので守られます)

販売チャネルを広げるため、コモンズ投信はソニー銀行で販売を始めたり、レオスは直販投信と同じ運用内容の別のファンドを設定しSBI証券で販売するなどの取り組みが始まっているとのこと。

また、運用理念に魅力を感じて直販投信を買う個人投資家も多いとされていますが、注意点もあります。
モーニングスターの朝倉智也社長は「ファンドマネジャーが代わったときは運用理念や方針に変化がないか、注意が必要だ」と指摘しています。
ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏も「理念に共感できるかだけではなく、投資プロセスや運用のスタイル、体制、成績なども含め総合的にみることが大切だ」と指摘しています。

ブログ「日本ファミリーオフィス協会」の2012/9/29付の記事「直販投信は広まるかー目立つパイオニア「さわかみ投信」の不振」では、「さわかみファンド」の過去3年のパフォーマンスはマイナス24.27%で、日経平均以下。ひふみ投信が過去3年でプラス9%と健闘、コモンズはマイナス9%。「投信は成績よりも残高で報酬が決まるので、圧倒的にさわかみ投信が利益が出ている」結果となっています。小規模で多くの投信運用会社が赤字の状況について、「やはり「事業」としてするのだから、利益が出ないと続かない。顧客にも迷惑をかけることになる」とし、「理念は素晴らしいのだが、まずは結果を出さないと直販投信そのものが信用をなくし、広まることもないのではないか。あくまでも投資なのだから、澤上さんがよく言っていたように「儲けてなんぼ」だ」と指摘をしています。
記事URL: http://ameblo.jp/jfoa/entry-11367234989.html

【関連記事】
・2012/9/28 資産形成世代に向けた投資信託 少額・低コスト・長期が特長

・2012/9/10 国際分散投資を行うのに有力な3本の投資信託

・2012/9/7 良好な運用実績、比較的抑えたコスト、一定の純資産の規模、安定した資金の流入等の条件を満たす投資信託

・2012/8/11 日経「長寿投信、光る哲学 変化に柔軟 生き残る」

2012年9月29日土曜日

日本のファンド市場規模(金融庁のファンドモニタリング調査) ~ヘッジファンドの運用資産額は2兆8千億円


金融庁より、平成24年9月28日付で、「ファンドモニタリング調査の集計結果について」が公表されています。
金融庁「ファンドモニタリング調査の集計結果について」
http://www.fsa.go.jp/news/24/syouken/20120928-5.html

これは、金融庁が、ファンド(投資信託、投資法人及び集団投資スキーム(※)をいう。以下同じ)に関する販売(新規の募集、私募、募集の取扱い及び私募の取扱いをいう。以下同じ)・運用の実態を把握するため、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針に基づき、ファンドの販売業者及び運用業者に対し実施したものです。
※本調査において、集団投資スキームとは、金融商品取引法第2条第2項第5号、6号に基づく権利を有する者から金銭を集め、何らかの事業・投資を行い、その収益を出資者に分配する仕組みをいう。

日本には、平成 24 年3月末時点で、14,322本のファンドが運用されており、合計運用財産額は188兆6464億円となっています。国内投資信託が運用本数8,870本・運用財産額140兆円、集団投資スキームが4,692本・運用財産額17兆円、外国投資信託・外国投資法人が712本・運用財産額21兆円、国内投資法人が48本・9兆円という構成です。

・投資信託(運用本数8,870本・運用財産額140兆円)
投資信託は、投資対象が複数地域にまたがる「グローバル」が約半数を占める。外国のみを投資対象とするファンドでは、北米が約9兆 3,470 億円と最も多く、オセアニア、中南米、アジア、欧州がこれに続いています。



・集団投資スキーム(運用本数4,692本・運用財産額17兆円)
(これは、金融機関の窓口等で広くからお金を集める公募の投資信託とは異なり、機関投資家や富裕層から集めて運用するもので、詳細情報は開示されません。)
運用財産額 10 億円未満のファンドが3,045本で約 65%を占める一方、100 億円以上のファンドも約 400 本あります。1000億円以上のファンドも14本あります。
不動産ファンドが、運用財産額全体の約 70%を占めている。またバイアウト、ベンチャー、メザニンといった主に企業に対して投資するファンドが、4,000億円~8,000億円規模で存在しているということです。
*用語の説明は「もっと読む」以下をご覧下さい。



・日本のヘッジファンド規模
ヘッジファンドは、私募により運用されることが一般的であるため、集団投資スキームに含まれます。
下記が日本で運用されているヘッジファンドの本数及び規模ということになります。

運用業者がヘッジファンド的な運用を行っていると申告しているファンドの販売・運用状況
(1)販売状況
○ 平成 23 年4月から同 24 年3月まで販売されているヘッジファンドの本数及び販売額合計
ファンド数    244 本
販売額合計    4,954 億円
(2)運用状況
    ○ 平成 24 年3月末時点のヘッジファンドの運用本数及び運用財産額合計
ファンド数    405 本
運用財産額合計 2兆 8,078 億円


休眠預金を活用 年間500億円を成長マネーへ フィージビリティ・スタディ


金融庁より、2012/9/28付で「休眠預金に係る調査(フィージビリティ・スタディ)結果について」が公表されています。

現在、10年間放置していた預金は、郵送による通知を受けた後、銀行の利益として計上されています。ただし、窓口にて払戻を請求すれば、払い戻しに応じてもらえます。
これを、銀行の利益ではなく、国のために使おうというのが、休眠預金の議論になります。

成長マネーの供給拡大を図ることが成長ファイナンス推進会議において議論されており、具体的方策の一つとして長期にわたって入出金等の異動がない、いわゆる「休眠預金」の有効活用が検討成長マネーの供給拡大を図ることが成長ファイナンス推進会議において議論されており、具体的方策の一つとして長期にわたって入出金等の異動がない、いわゆる「休眠預金」の有効活用が検討されています。
銀行等における休眠預金の発生から払戻の差し引きが年間500億円程度あるため、これを成長分野への資金供給に活用しようというものです。

遊休資金(休眠預金)の活用のポイントは下記の3点になります。
・10年間資金の出し入れがなく、所有者の所在が不明である休眠預金を遊休資金として有効活用する
・日本では口座管理手数料をとらない銀行が多く、欧米と比較して預金口座数が非常に多いため、銀行側のコスト負担も大きい
・休眠預金に目的を与え、経済・社会の成長に広く役立てるための資金供給源として有効活用する

休眠預金の実現には、預金者の理解と同意、金融機関等の理解と協力、実効的かつ持続可能な仕組みの設計、必要な法整備が必要ですが、本調査報告書は実効的かつ持続可能な仕組みの設計を検討課題としています。

・実効的かつ持続可能な仕組みの設計
⇒億単位に及ぶ休眠口座管理コスト負担、休眠口座の移管先となる管理組織の運営コスト、払戻しや照会手続き等に係る事務負担の見極め、情報システムの整備、運用コストの見極め(金融機関システムと同等のデータ保全が必要)、安全性・確実性が担保される仕組みの整理

資料では、事務フローやシステム設計を考慮し、コストとベネフィットの検討がされています。

成長マネーとしての活用可能額は、年度ごとに発生する余剰金額を毎年度累積した累積余剰金
額から、翌年度に払戻しが想定される額を手元流動性確保のための留保額として差し引いて推定
した。
10年目時点で、悲観シナリオで4500億円程度、楽観シナリオで8500億円程度が活用可能と試算されています。


休眠預金の活用に係る仕組み・制度案の検討に係る調査
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive07/kyumin.html
・調査報告書(概要版)(PDF:393KB))
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120928/hokoku_gaiyo.pdf
・調査報告書(PDF:1,708KB)
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120928/hokoku_hontai.pdf
・調査報告書 別添資料(PDF:2,359KB)
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120928/hokoku_beten.pdf


2012年9月25日火曜日

投資信託の保有コスト 信託報酬(運用管理費用)だけではなく、売買手数料等のファンド運営経費にも留意


日経の2012/9/23「投信の継続コストは運用管理費用だけではない?はじめての投資信託 実践編(4)」では、カン・チュンド氏により投資信託に掛かるトータルコストについて説明がされています。

投信保有に掛かる継続コストは、信託報酬(運用管理費用)だけではなく、ファンド運営に掛かる経費もあります。

記事では、「運用報告書」をもとに、JPモルガン・アセット・マネジメントが運用する、「JFアジア株・アクティブ・オープン」を例に説明がされています。
運用報告書の5ページに「1万口当りの費用明細」では、1万口当りの費用が、信託報酬111円、売買委託手数料17円、有価証券取引税12円、保管費用等8円の計148円となっています。
作成された2012年5月15日時点の基準価格13.621円の1万口分で、信託報酬は111円÷13621円=約0.8%と計算出来るということです。(年2回決算のため年間の信託報酬は1.6055%の約半分)

トータルコストは、売買委託手数料や有価証券取引税等も含め、148円÷13621円=約1.08%が半期で発生しており、年度ベースでは 1.08%×2=約2.16% の手数料率であるということです。
すなわち、年間約2.16%の「トータルコスト」が発生したものと推測でき、「このトータルコストを上回る名目リターンをあげない限り、ファンド保有者のリターンはプラスにはならない」ということになります。

*「JFアジア株・アクティブ・オープン」の運用報告書はJPモルガン・アセット・マネジメントのホームページ上で公開されています。
「JFアジア株・アクティブ・オープン」運用レポート

また、カン氏は、「1万口当りの費用明細」という表示のしかたは少々分かりづらいので、「パーセンテージでファンドの「トータルコスト」を開示するべき」であり、「投資信託の「お申込みメモ」、「運用レポート」、「運用報告書」などで、この年間トータルコストがパーセンテージで比較できるようになると消費者の利便性が増すと提言 しています。

橋下氏の維新の会の経済政策 構造改革で日本経済復活なるか


2012年8月31日に、橋下徹・大阪市長率いる日本維新の会大阪維新の会は、次期衆院選の公約「維新八策」の最終版をまとめ、発表しています。
「維新八策」の全文は大阪維新の会のHP上の2012/8/31付のニュースに掲載されています。
大阪維新の会のHP: http://oneosaka.jp/news/
「120831 大阪維新の会 維新八策.pdf」へのリンク: http://oneosaka.jp/news/120831%20%E7%B6%AD%E6%96%B0%E5%85%AB%E7%AD%96.pdf

維新八策では、「日本再生のためのグレートリセット」(これまでの社会システムをリセット、そして再構築給付型公約から改革型公約へ)と題されています。
理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、
・ 自立する個人
・ 自立する地域
・ 自立する国家
を実現することとされています。
多様な価値観を認めれば認めるほど
・ 決定でき、責任を負う民主主義
・ 決定でき、責任を負う統治機構
を確立しなければなりませんとしています。

「維新八策/最終版」における八策の骨子は下記の8つになります。
第1策:統治機構の作り直し~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ
第2策:財政・行政・政治改革~スリムで機動的な政府へ
第3策:公務員制度改革~官民を超えて活躍できる政策専門家へ
第4策:教育改革~世界水準の教育復活へ
第5策:社会保障制度~真の弱者支援に徹し、持続可能な制度へ
第6策:経済政策・雇用政策・税制~未来への希望の再構築
第7策:外交・防衛~主権・平和・国益を守る万全の備えを
第8策:憲法改正~決定できる統治機構の本格的再構築

[関連記事]「大阪維新の会 維新八策」の最終版の全文:
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_25.html

日経 2012/9/23付「橋下維新、過激な政策に支持と疑念 「八策」検証 大阪の改革を国政へ 外交・防衛は粗さ」では、「大阪再生の政策を日本再生の政策に広げるもの」と解説されています。
「維新の大阪再生策は、浅田均政調会長(大阪府議会議長)と上山信一慶応大教授(府市特別顧問)が中心となってまとめてきた。維新八策は両氏のほか、作家の堺屋太一氏、慶応大教授の竹中平蔵氏、元財務官僚の高橋洋一氏、学習院大教授の鈴木亘氏らブレーンや政治塾の講師を務めた専門家らの考えや政策案を混ぜ合わせ、最終的に橋下、浅田氏がまとめたとされる」とされており、同様のメンバーが維新八策に関わっていると思われます。

NEWSポストセブンでは、森永卓郎氏が経済面を解説しています。
「競争力を重視する自由経済」、「産業の淘汰を真正面から受け止める産業構造の転換」、「イノベーション促進のための徹底した規制改革」「TPP参加、FTA拡大」といった政策は、一言でいえば、市場競争主義ということです。

ブログ「モジログ」(2012/9/8)では、「競争」が、「自立」とともに、維新八策の中心的な理念をあらわすキーワードで、「実経済政策」「産業構造の転換」「知識経済」「規制改革」「付加価値創出」「先進国経済モデル」など、いわゆる「構造改革」寄りの見方や、自由貿易路線・TPP参加という規制改革を重視していると見ています。
リンク: http://mojix.org/2012/09/08/ishin-hassaku-keizai

税制や財政政策については、週間ダイヤモンドにて森信茂樹氏([中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員)による解説がされています。
特色のある政策は、4点であるとのことです。
1 資産課税の強化
2 負の所得税(努力に応じた所得)とベーシックインカム(最低生活保障)
3 フラット・タックス
4 消費税の地方税化

1,2に関連した記事「「資産税の強化」と「給付付き税額控除」日本維新の会の税制を吟味する」(2012/9/24) リンク:http://diamond.jp/articles/-/25165
3に関連した記事「維新の会「船中八策」のフラット・タックス橋下市長がこれから具体的に語るべきこと」(2012/4/11) リンク:http://diamond.jp/articles/-/17059
4に関連した記事「消費増税議論(その10)道州制税の財源として消費税はふさわしいか」(2012/4/25) リンク:http://diamond.jp/articles/-/17734

「大阪維新の会 維新八策」の最終版の全文


「大阪維新の会 維新八策」の最終版の全文です。
「120831 大阪維新の会 維新八策.pdf」: http://oneosaka.jp/news/120831%20%E7%B6%AD%E6%96%B0%E5%85%AB%E7%AD%96.pdf

維新八策(案)
日本再生のためのグレートリセット
これまでの社会システムをリセット、そして再構築給付型公約から改革型公約へ
~今の日本、皆さんにリンゴを与えることはできません。リンゴのなる木の土を耕し直します~

維新が目指す国家像
大阪維新の会の理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、
・ 自立する個人
・ 自立する地域
・ 自立する国家
を実現することです。
そのためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。
多様な価値観を認めれば認めるほど
・ 決定でき、責任を負う民主主義
・ 決定でき、責任を負う統治機構
を確立しなければなりません。

中央集権と複雑な規制で身動きが取れなくなった旧来の日本型国家運営モデルは、もはや機能せず、弊害の方が目立つようになっています。今の日本を覆う閉塞感を克服し、国民の希望を取り戻すには、国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫によって社会全体を活性化し、グローバルな競争力を持つ経済を再構築する必要があります。そのた
めには国民の総努力が必要です。

大阪維新の会の理念を実現するために、維新八策を提案する。

2012年9月23日日曜日

相続される人が、被相続人(故人)の銀行口座の取引記録の開示は請求できる


信託大好きおばちゃんのブログの2012/9/23付の記事「相続人は単独で、預金の取引経過の開示を請求できるか」では、相続される人が、被相続人(故人)の銀行口座について残高証明書を取ったところ、思ったより金額が少ないので、おかしいと思った場合等に単独で、銀行に対して取引経過の開示を請求できるかという点について書かれています。

一相続人が単独で銀行に対して取引経過の開示請求は可能とのことです。
銀行は、おカネを預かるだけでなく(金銭消費寄託)、「給料の引き落とし等もろもろのサービス」もあり、それは「委任・準委任契約」になる。
相続人は、「相続により、口座全体の委任契約上の地位を引き継ぐけど、これは一つの不可分債権のようなものと考えるらしい」ということです。
「委任契約に基づいて銀行に対して銀行の報告義務の一つである取引経過開示請求という保存行為を単独でできる。というような感じ」と説明されています。

一方、お金の払い戻しに関しては、「相続が発生すると被相続人の口座は凍結され、遺産分割協議書や遺言書他必要な書類をもっていかないと払い戻しをしてくれないのが実務」となっています。(預金は相続開始とともに相続分に応じて当然に分割されるため、一人の請求に応じて、相続人間のトラブルに銀行が巻き込まれたくないため)

【関連記事】
9/11 遺言による相続の手続き 金融機関での故人の口座の引き継ぎまで含めて事前に調べる必要

9/9 遺産分割でもめないために 老後の支援について切り出す 「相続」「介護」「資産管理」が必要

2012年9月22日土曜日

多くのグローバル・リートファンドでは元本からの取り崩しにより分配金が支払われている

モーニングスター朝倉智也社長の2012/9/21付のブログ「なぜ、かくも健全性の低いグローバル・リートファンドにお金が集まるのか?」では、多くのグローバル・リートファンドで支払い分配金の多くを配当等の収益以外の原資(実質元本からの取り崩し)に頼っていて、さらに、「健全性が極めて低いファンドの実態を本当に投資家や販売員が理解しているかは疑わしい」と論評がされています。

「インカムゲインレシオ」(=配当等の収益(経費控除後)÷分配金)の数字が低いと、支払い分配金の多くを配当等の収益以外の原資に頼っていることになり、健全性が低いファンドと言えます。
その点、「グローバル・リートファンドの多くのインカムゲインレシオも20%前後と健全性が低い」「売買益を含めても、分配金の額に対する比率は30%程度であり、残り70%が実質元本からの取り崩し」と指摘。
会計上の収益調整金という、「ファンドの追加設定により既存受益者への収益分配可能額の希薄化を防ぐために設けられた勘定であり、ファンドの追加設定があれば、その分だけ会計上に積み上がる数字」があることが実質元本からの取り崩しにより分配金が支払われている一因のようです。

20%以上の高い分配金利回りにより人気を見せる「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」の「トータルリターンは、過去5年、10年ともに同種のグローバル・リートファンドに比べ劣後しており、運用成績の改善も見られない」、直近3ヶ月間の「インカムゲインレシオ」を計算してみると、当ファンドは18.9%と指摘しています。

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生命保険は最終利回りを確認してから契約すべき


日本経済研究センター の'深尾光洋の金融経済を読み解く'2012/9/21付「金融商品に関する覚え書き―生命保険(その2)」では、生命保険の留意点が解説されています。
リンク: http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index404.html

定期付き終身保険などの標準的な生命保険を契約すると、初年度1年間の払い込みの保険料の一部が営業職員報酬になります。「営業職員からセールスを受けて契約する場合には、相当の報酬が営業職員に対して、自分の保険料から保険会社経由で支払われること覚悟する必要」があり、「この高額の販売費用が存在するため、短期間で貯蓄性の保険を解約すると、解約返戻金は払込保険料を大幅に下回ることになる」と指摘しています。

内部収益率の計算をして保険契約を購入する人はほとんどおらず、長期間にわたる払込金額と満期保険金や解約返戻金の関係を理解して買う人は少ないでしょう。「貯蓄性の高い生命保険については、典型的なキャッシュフローについての内部収益率を開示すべきだと考えているが、未だに行われておらず、大部分の契約者は最も重要な利回りさえ理解せずに購入しているといえる」と指摘しています。

保険会社の選び方としては、「なるべく単純な商品(定期保険、養老保険、終身年金)で一切の特約を取り外した設計書を入手して、必ず表計算ソフトで複利最終利回りを確認してから契約すべきである。こうした情報は、本来、保険会社が契約者に事前に提供すべきであるが、残念ながら実行されていない」ということ。
深尾氏によると、「一番単純な掛け捨ての定期保険のばあいでも、保険会社間で二倍以上の料率差が存在する」とのことです。特に非喫煙者割引と健康体割引では、非常に大きな料率格差があるということです。

また、各保険の解説がされています。*詳細は元記事を参照下さい。
・定期(死亡)保険・・今後10年間に死亡したら1000万円の保険金が遺族に支払われる保険が10年間の「定期保険」⇒いわゆる掛け捨て保険であるため、貯蓄性は低い
・終身(死亡)保険・・何歳になっても死亡した時点で1000万円の保険金がもらえる保険が「終身保険」⇒契約を継続している限り遺族は必ず1000万円もらえるため、貯蓄性はかなり高い
・定期付き終身保険・・貯蓄性のある終身保険に掛け捨ての定期保険を上乗せする⇒保険料のかなりの部分が掛け捨ての定期保険の費用に充当されるため、貯蓄性はあまり高くない
・生存保険・・例えば65歳以上になって生存していれば、毎年100万円の保険金がもらえる保険が終身年金⇒貯蓄性の高い保険商品であり、長生きした場合の生活費を確保するという、長寿のリスクをカバーする保険
・養老保険・・定期保険と生存保険を組み合わせた商品、例えば、10年間で保険金1000万円の定期保険と、10年後の時点に生存していれば1000万円の保険金がもらえる生存保険の組み合わせ⇒10年以内に死亡しても10年後に生きていても1000万円が支払われるので、10年満期の積立型定期預金に近い商品

税務調査で調査官にメールを見せるよう要求された場合の対応方法

ブログ「出る杭はもっと出ろ!」の2012/9/21付の記事「「税務調査の最新手法」とは?」では、2012年9月号の「税務弘報」(中央経済社)に「税務調査の最新手法と企業対応」という論文が紹介されており、その内容のインターネットの利用と電子メールの確認について説明がされています。

下記、論点の要約です。
○インターネットの利用
・個人の副業で行うネット販売も容易に把握されることになる
・社員旅行のはずの日に、長がプライベートでサーフィンを楽しんでいたことをブログに掲載していたため、福利厚生費が否認されることもある

○電子メールの確認
・税務調査官に税務調査で電子メールの内容を確認される法的意義については再確認する必要がある(調査官が質問権を行使する対象である”帳簿書類その他の物件”の「物件」に該当するのか?)
⇒判例・学説上明確なガイドラインはなく、ケースバイケース。
⇒「調査必要性を立証する責任は調査官側にあると考えられる。」
・「何月何日の取引について、それを裏付ける証憑書類があるか」ということで、該当日の電子メールの確認を求められたような場合には拒否するのが難しい
・調査対象年度の全電子メールの提出の要求は、「申し出を拒否しても検査拒否には該当しないものと考えれる」

VCから投資を受けたベンチャーの多くは失敗するが、失敗の中に成功あり


WSJの2012/9/21付の記事「ベンチャーキャピタル業界の実態―出資受けた企業の4分3が行き詰まり」では、米ハーバード大学経営大学院の上級講師、シカール・ゴーシュ氏が最近行った調査結果を伝えています。

調査結果では、
・2004~10年にVCからおおむね少なくとも100万ドルの出資を受けた2000社以上のデータとVCのポートフォリオを精査するとともに、新興企業にも話を聞いた結果より、「米国のベンチャー支援企業の約4分の3が投資家の資本を返済できていない」「将来性の高い米新興企業のうち推計30~40%が失敗していることになる」とのこと。
・「予想どおりの投資収益を上げていない(特定の収益成長率を達成できていない、特定の期間にキャッシュフローを黒字化できていないなど)という意味であれば、ゴーシュ氏の調査によると、95%以上の新興企業が失敗」
ということ。
これは、他の調査等とは差があり、「失敗に関する詳しい分析が不足していることにある」に理由があるということ。「彼らは成功は強調するが、失敗については一切話さない」という背景もあるようです。

他の調査結果としては下記が紹介されています。
・「業界では一般的に、新興企業10社のうち完全に失敗するのは3~4社にすぎないと言われている」、「10社中3~4社は投資元本を返済しており、1~2社は相当なリターンをもたらしている」という。「ナショナル・ベンチャー・キャピタル・アソシエーション(NVCA)の推計によると、ベンチャー支援企業のうち失敗しているのは25~35%」
・「非営利団体ユーイング・マリオン・カウフマン財団が別々に行った調査によると、全新興企業のうち3年存続する企業は約60%で、10年以上存続する企業は35%」
・「ダウ・ジョーンズ・ベンチャーソースによると、06~11年にVCによる出資を受けて起業した米企業全6613社のうち、現在非上場で独立経営の企業が84%、他社に買収されたか、上場している企業が11%、廃業した企業が4%、現在新規株式公開(IPO)の申請手続きの企業が1%弱」

ベンチャーキャピタリストのコーワン氏は、「人は失敗についてはバツが悪く話したがらないものだ。だが、実は失敗をたくさんしていないということは、よくないことなのだ。それはリスクの高いベンチャーに投資していないということになるからだ」「起業家にとって失敗も選択肢の1つだとわたしは考えている。そう考えなければ、やっていけない」と語っています。

2012年9月20日木曜日

中央銀行の政策は新時代に突入 米国と欧州に見劣りする日銀の政策(武者リサーチより)


武者リサーチによる2012/9/20付のレポート「「ブラックスワン」対中央銀行、見劣りする日銀」では、ベン・バーナンキFRB議長とマリオ・ドラギECB総裁は「「ブラックスワン=貨幣偏愛」を殺すために立ち上がった」として「リスクテイクの潮流」へ(中央銀行が無尽蔵の貨幣発行をすれば「ブラックスワン・シナリオ」は回避できる)、一方、白川日銀総裁は「及び腰、敵も鮮明でなく日本の独り負け形勢(円高デフレ)からの転換はぼやけたまま」と指摘しています。

米国と欧州は、「「ブラックスワン・シナリオ」(=恐怖の増幅によるシステム崩壊の可能性)を排除し、市場心理を根本転換させる」ことに対処していると概ね評価をしているようです。
中央銀行の政策は新時代に突入したと解説し、下記の3点が指摘されています。
1.セーフティーネット、金融危機に際しては最後の貸し手(lender of last resort)ではなく、最後の買い手(buyer of last resort)として振る舞う。
2.流動性供給手段としては従来の銀行貸し出しを経由したそれではなく、市場価格の引き上げ=リスクプレミアムの引き下げを通した購買力の創造として遂行する。
3.金融政策波及メカニズムの変化、資産価格上昇による資産効果、心理効果を重視する、というものである。それはバランスシートの拡大を通して行うため、ゼロ金利の下でも無尽蔵の弾丸を準備できる。

一方で、日銀の緩和策は「臆病」で、「円高デフレの害悪に対する認識、日本のデフレは統計上、過少評価されているとの認識(渡辺務東大教授「物価統計の精度向上を急げ」9月13日経新聞経済教室)、過度のリスク回避により日本の金融市場が完全に機能不全に陥っている(空前絶後のリスクプレミアム)という認識が、著しく希薄と言わざるを得ない」と評価し、「円高デフレの脱却は緩慢で、資産価格上昇も米国やドイツに劣後することとなりそう」との見通しが示されています。

改正国税通則法 税務署による「事前通知」の原則義務化や追徴課税の説明義務


日経の2012/9/20付の記事「税務調査、増す説明責任 追徴課税の理由も 改正国税通則法、来年1月完全施行」では、2013年1月に完全施行される改正国税通則法による税務調査の手続きについて解説されています。

ポイントの一つは税務調査前に調査の日時などを納税者に連絡する「事前通知」の原則義務化。
「突然調査に来られて困った」「十分な説明なく追徴課税を受けた」といった納税者の不満を受け、「国税当局に一層の説明責任が課されるようになる」ということです。ただ、「証拠隠滅などが疑われる場合は、今後も事前通知無しで調査できる」とされています。

参考:税理士法人トーマツ2012年5月「税務調査手続きに関する国税通則法の改正と実務への影響」より
改正通則法74条の9で、事前通知は書面である必要はないが、以下の項目を通知する必要がある。
 一 実地調査開始日時
 二 調査実施場所
 三 調査の目的
 四 調査の対象となる税目
 五 調査の対象となる期間
 六 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
 七 その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項

また、「調査で申告漏れなどが発覚し追徴課税(更正処分)する際、原則として全ての納税者に課税理由を説明するよう義務付けたことも大きな改正点」となっています。
「法改正で国税側からの情報開示が広がり、課税に不服がある場合も反論しやすくなる」(税務に詳しい弁護士)
「これまでは渋々指摘に応じることもあったが、今後は納得するまで説明を求めたい」(中小企業経営者)

参考:税理士法人トーマツ2012年5月「税務調査手続きに関する国税通則法の改正と実務への影響」より
調査の結果更正決定等をすべきと認める場合には、調査結果の内容を説明するものとし、その際、修正申告を勧奨することができるとされた。(改正通則法74条の11②、③)
⇒「当面納税者のとるべき対応としては、否認事項について調査官に納得できるまで説明を求めることである。質問の際は、税法の規定に即した説明を求めるとよい。具体的には、指摘事項について、「把握している事実とその証拠」、「税法のどの条文で課税されるのか」「その条文では課税の要件となる事実としては何が必要としていると解釈できるのか」、「調査官の認定している事実はその条文の課税要件に合致しているのか」という質問をするとよい」とアドバイスがされています。

国税庁は、「8~9月に全国約5万6千人の全職員が参加する研修を実施。10月から施行後と同様の業務を前倒しで始める方針」ということで、改正法の下での業務への対応を進めているようです。
事務負担の増加により「調査件数を減らさざるを得ない」という職員の声や、「細かい事前通知は調査前に手の内を明かすようなもの。これまで通りに申告漏れや所得隠しを突き止められるのか」(国税OBの税理士)とのコメントが示されています。

(参考)
トーマツ2012.05.01 税務調査手続きに関する国税通則法の改正と実務への影響『会計情報』2012年5月号
http://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/book/ek/882489e036eb6310VgnVCM1000001a56f00aRCRD.htm#
1.はじめに
2.事前通知
3.事前通知を要しない場合
4.調査終了時の手続き
(1)書面による終了通知、(2)調査内容の説明と修正申告の勧奨
5.同一年度の再調査
6.物件の留置
7. 増額更正期間及び更正の請求期間の延長

財務省 国税通則法等の改正(PDF)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2012/explanation/pdf/p215_242.pdf
一 更生の請求関係の改正
二 税務調査手続の見直し
三 処分の理由附記

リストラの嵐の外資系金融機関 厳しい雇用環境が続く見通し

外資系投資銀行業界の厳しい雇用環境が鮮明になってきています。

大きなグローバル金融の動向に伴う背景は、マネーの知恵(仮)(2012/9/19)「外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々(藤沢数希/著)読後の感想」で紹介している書籍が面白いです。

ロイターの2012/9/20付の記事「投資銀行業界、2017年までに7万5000人の人員削減が実施される可能性=調査」では、「投資銀行業界における50万人分のポストのうち、今後5年で最大15%相当が削減される可能性がある」(ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツ調査/2012/9/19)と伝えています。
ユーロ圏危機・規制の強化が、収入、利益率、リスク選好の姿勢に影響を及ぼす見通しのようです。
「投資銀は長期的な成長見通しでアジアや南米、東欧に重点を移していくべきだが、これら市場が短期的に低迷するリスクも織り込んでおく必要がある」とコンサルタントのマルクス・ベーメ氏によるコメントがされています。
記事リンク:http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK820249020120920

Bloombergの2012/8/2付の記事「ゴールドマンなど外資系証券9社、日本で人員削減を急加速」では、日本で業務を営む外資系証券9社が、2012年3月までの1年間に全体で前年の2倍強の人員を削減していたことを伝えています。「欧州債務危機の長期化でグローバルにコスト削減が迫られる中、日本から、人件費などの安い香港やシンガポールなどのアジアの他の地域に人員を移す動きなどがある」ということです。
各社が金融庁に提出した資料に基づきブルームバーグ・ニュースが集計したところでは、「外国証券の日本の従業員総数は、12年3月末で6796人と1年間で537人(7.3%)減った。11年3月末は7333人で239人(3.2%)の減少だった」ということで、「削減のペースが急拡大している」ということです。
前年度の主要行の削減規模は、
ゴールドマン・サックス証券が14%減の847人(外国証券9社の中で最大で、1年前の人員数は987人)
クレディSは8.6%減の540人
ドイツ証は7.9%減の834人
BNPパリバが7.4%減の462人
とのこと。
ただ、「今後大きな削減がある可能性は低く、反動から人材採用の動きも出てくる」との見方のコメントもされています。
記事リンク:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M83XFD0D9L3601.html

日経キャリアNET「金融人材のゆくえ 2012年後半-2013年前半見通し」では、エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ 代表の小溝勝信氏より、2012年9月から2013年6月までの金融人材の求人動向が伝えられています。
M&Aビジネス、不動産は需要あり、ヘッジファンド、プライベートバンク、資産運用はほどほど、他は求人がほとんどない状況のようです。
個人投資家向けのビジネスでは、投信関連、個人富裕層関連、外資系金融機関での、個人向け投資商品の販売会社の卸ビジネスで需要があるようです。
企業向けファイナンスは、最近の景気の低迷と優良企業の余剰資金状態を反映して企業の資金需要は小さく、人材需要はほとんどないということです。
記事リンク:http://career.nikkei.co.jp/contents/finance/

読売オンラインの発言小町のトピック「40歳アメリカ人外資金融リストラ再就職の可能性」では、リストラされた41歳の状況について厳しい見解が飛び交っています。
リンク:http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/0319/492789.htm?g=02


また、「外資系金融マンのリストラ日記」では、外資系金融で仕事をしていたがリストラでクビになった著者による、外資系企業の実態、リストラの場面、リストラ後の就職活動(執筆時時点で無職)、給料は高いが雇用の継続性等を考えると日系企業と比べて良いのかといった視点での分析などがライトなタッチで描かれています。


外資系金融マンのリストラ日記
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【書籍】外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々

マネーの知恵(仮)2012/9/19付の記事「外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々(藤沢数希/著)読後の感想」では、ブログ金融日記で有名な藤沢数希氏の最新著書の書評を掲載しています。

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
藤沢 数希
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楽天証券の山崎元さんによる書評も読書のすすめ「外資系金融の終わり」(藤沢数希)「投資家のための金融ビジネスの教科書として」にて掲載されています。
リンク: https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/yamazaki/yamazaki_20120921.html?l-id=tweetbtn?l-id=tweetbtn

「投資家が金融ビジネスの仕組みを無理なく過不足無く理解ための格好のテキストブック」と評価しています。
「金融ビジネスにはどのような人が関わっていて、それぞれがどのような役割とインセンティブ(誘因)をもって、どのように行動しているのか、ということが分かれば、マーケットに関する情報を解釈する上で見通しが良くなるし、証券会社や銀行と付き合う上で何に注意したらいいのかがよく分かる」とコメントされています。





目次は下記になっています。


外資系金融の終わり ─目次

まえがき ─終わりのはじまり

第1章 大きすぎてつぶせない

ギリシャの「飛ばし」とゴールドマン・サックス
平均年収7000万円のふつうの人が働く大企業
巨額の税金で救済された外資系金融機関
世界最大のヘッジファンドとなったFRB
ウォール・ストリートを占拠せよ!

第2章 金が天から降ってきた

空前の20年バブルと蓄積されたリスク
サブプライムはアメリカンドリームだった
20代で上場企業の社長並みの年収になった
20代の若者を高額報酬で引き抜き合うわけ
年収3000億円
金融業界のハレンチな接待
バブルが崩壊しても儲けたやつら
破綻したリーマン・ブラザーズの社員が一番儲けた
桁が上がったマネーゲーム

第3章 金融ほどすてきなビジネスはない

世界で2番目にすぐれたビジネスモデル
銀行は長短金利差でサヤを抜く
日本の銀行の簡単なお仕事
世界の投資銀行の楽しいお仕事
世界経済を人質に取る巨大金融機関
世界の金融コングロマリット

第4章 サル山の名前は外資系投資銀行

投資銀行=証券会社?
セルサイドとバイサイド
投資銀行の組織図
株式調査部という不思議な部署
キャバクラの経営をはじめたセールス部隊
投資銀行部門残酷物語
ミドルやバックは二級市民
異常にケチが多いトレーダーという人種
ウォーレン・バフェットもジェイコム君もケチである
貧乏なセールスやバンカーほど気前がいい
死体処理という本当の人事部の仕事
社内はサル山の権力闘争

第5章 ヨーロッパとアメリカの失われる10年+

共通通貨ユーロとAKB48マジック
パリバ・ショック、リーマン・ショック、ギリシャ・ショック
ユーロ圏諸国の愛憎劇
ユーロ危機は終わらない
アメリカ経済の大きな足かせ
アメリカ人には仕事がない
日本の失われた10年と欧米の日本化
本当に人々を豊かにする経済成長だったのか?
システミック・リスクを増大させた金融工学

第6章 金融コングロマリットの終焉

外資系投資銀行の日本化
ボルカー・ルールとバーゼルⅢ
社会主義化した国際金融の世界
株主の金をぶっ飛ばした外資系金融のプロたち
アメリカでは75万人のクビが飛んだ
新卒が試用期間中にクビを切られるわけ
金融機関にも生じたコングロマリット・ディスカウント
納税者に迷惑をかけなかったヘッジファンドたち
増資インサイダー問題と投資銀行の情報隔壁
巨大金融コングロマリットを解体せよ!

あとがき ─大企業から個人の時代へ

2012年9月19日水曜日

米国内のタックスヘイブンの'デラウェア州' アメリカの大企業の半数が登記

現代ビジネスの2012/9/19付の記事「28万以上の企業が1つのビルに・・・ 世界一の“タックスヘイブン”は米国にあった ニューヨーク・タイムズ(USA)より USA」では、米企業の多くがデラウェア州を本社所在地にしている理由を説明しています。
記事リンク:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33392

米国の多くの企業は、本社が'デラウェア州'と記載されています。
米デラウェア州北部ウィルミントンのノース・オレンジ・ストリート1209番地のビルは、同州で最も人気の高い登記代理人のもので、世界中の計28万5000もの企業の“本社”であるということです。アップル、コカ・コーラ、フォード、GE、グーグルという名だたる企業の本社になっています。

X BRANDの記事内でノース・オレンジ・ストリート1209番地のビルの概観写真が掲載されています。

(http://xbrand.yahoo.co.jp/category/business_money/9304/2.htmlより)

理由は、同州が税制優遇をしているため。
・商標や著作権、リース、版権などの収益に掛かる税金はゼロ
・会社を簡単に立ち上げられる(1時間足らずで起業できるほど事務手続きを短縮化)
などの特典があるとのこと。

デラウェア州で登記した企業はこの10年で推定95億ドルもの節税に成功し、一方、デラウェア州は、2011年には、籍を置くだけの企業からの税金や手数料で8億6000万ドルを得たということのようです。

ベンチャー企業も多くがデラウェア州で登記しているようです。
読売オンラインの「渡辺千賀の起業報告fromシリコンバレー」での2012/2/1付の記事「イケてるベンチャーはデラウェア州に登記する?」では、「デラウェアの会社法がよく整備されていて、プロセスも明快であるというのが大きいです。いろいろな書類もオンラインで提出できます。アメリカでは、州の独立性が高くそれぞれ違う法律を施行できるため、こんなことが可能。また、デラウェア州の法人税は、州内で事業を行っている企業にしかかからないので、「デラウェアで登記してしまったばかりに、余計な法人税がかかって困る!」というようなこともありません。(もちろん、国税はかかりますし、別の州で事業を行っている場合はその州の法人税もかかります)」と説明がされています。
「結果として、米国の上場企業の50%、フォーチュン500に入る大企業の60%がデラウェア州で登記」しているということです。
記事リンク:http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/watanabe/20120131-OYT8T00928.htm

ただ、「米国内のタックスヘイブン」として批判も起きているようです。

タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!
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2012年9月18日火曜日

資産形成世代に向けた投資信託 少額・低コスト・長期が特長


日経の2012/9/18夕刊一面の記事「投信に現役世代呼び込め 低コストで長期運用」によると、資産運用会社が30~50歳代の現役世代に照準を定めた投資信託の販売に力を入れているとのことです。

特徴は、老後に向けた資産づくりを意識する現役世代に手が届きやすい商品で、「少額から投資でき、低コストで長期間運用する」という点。
約1500兆円に上る日本の個人金融資産のうち、60歳代以上の保有割合は65%、現役世代である50歳代以下の比率は35%となっています。

販売手数料ゼロ、信託報酬を1%強に抑えた国際投信投資顧問の投信「トレンド・アロケーション・オープン」が紹介されています。
国際投信投資顧での商品紹介ページ:http://www.kokusai-am.co.jp/fncj037/Init.do?fundCd=148098

日興アセットマネジメントは国内外の債券などで運用し、価格変動のリスクを抑えて利回りを重視する商品群を「スローファンド」としてシリーズ化していると紹介されています。
日興アセットマネジメントでの商品紹介ページ:http://www.nikkoam.com/products/fund/slow-fund

記事中で「世代別の個人金融資産」と「公募投信の資金流出入額と純資産残高」は下記表が示されています。

(日経 2012/9/18より)

関連記事:
2012/9/10 国際分散投資を行うのに有力な3本の投資信託

2012/9/7 良好な運用実績、比較的抑えたコスト、一定の純資産の規模、安定した資金の流入等の条件を満たす投資信託

マネーの知恵(仮)関連記事:

2012/7/12 長期の資産形成と自分年金の作り方を考える(1)

2012/3/19 (備忘メモ)国際投信の「トレンド・アロケーション・オープン」

2011/12/5 インデックス投資のメリット・デメリット ~「退屈」なインデックス投資


2012年9月16日日曜日

バンガード 米大手のETF運用会社 理念は「長期・分散・低コスト」「顧客第一」

インデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏のブログでは、2012/9/4-5でのバンガード本社への視察ツアーについての記事が掲載されています。
ブログ記事:
2012/9/14 バンガード社は群馬県にある典型的な日本企業、というイメージの会社でした
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-1713.html
2012/9/16 成功報酬がないのに、本当に満足度は高いのか?(バンガード社探訪記)
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-1714.html
2012/9/16 ファンド資産が増える ⇒ 手数料が下がるの摩訶不思議・・(バンガード社探訪記)
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-1717.html

バンガードは米国のETFの運用会社の大手です。
Wikipediaの説明では、「1976年にバンガード・グループ創業者ジョン・C・ボーグルにより個人投資家向けに世界初のインデックスファンドが発売された。「長期・分散・低コスト」での投資を提唱している。バンガード・グループ元社外取締役に『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者の現プリンストン大学経済学部長バートン・G・マルキール、現社外取締役としては『敗者のゲーム』の著者のチャールズ・エリスがいる。」ということ。

バンガード本社の場所はペンシルベニア州Malvern。
運用資産額は約2兆ドル(およそ160兆円)で、約39%は、アクティブ・ファンドの運用、残り61%が、インデックス・ファンド(ETF含む)。
バンガードの商品をダイレクトに購入している人たち)はおよそ43%、「機関投資家等」が約67%の資産残高比率。確定拠出年金(401Kプラン)を通じての購入は、「実際に投資信託を買っているのは個人ですが、バンガード社にとっての顧客は「企業」」になり、また、アドバイザーを通じての購入も含めて「機関投資家等」とされています。
43%の「純粋な個人投資家」の資産の残高ベースでおよそ45%を占めているのは、預かり資産100万ドル以上の富裕層で、富裕層の約半分は75歳以上ということです。

以下、内容のサマリーです。
・低コストとバンガード社の理念「クライアント・ファースト」(顧客第一主義)
Low cost is a critical success factor.(低コストこそが、成功の根幹である)

・温和でゆったりしている社員が多い。
「私たちはウォール街の ガツガツ系の運用会社とは違うのです。」(バンガードの幹部)
「会社の理念が日常ベースで共有されている雰囲気」で、「ひとつのコミュニティ(共同体)」が会社内で形成されていると感じられたとのことで、「古きよき日本の会社」のようであったということです。

・個人顧客の4つのカテゴライズ
「Personal Investor」・・預かり資産が5万ドル以下。口座管理手数料として年20ドルが必要
「その他」では預かり資産によって、「Voyager Services」、「Voyager Select Services」、「Flagship Services」

と分けられる。口座管理手数料はなし。
「Voyager Select Services」以上のプランでは、CFPの資格を持ったファイナンシャルプランナーのアドバイスや書面交付がある「ファイナンシャルプラン」作成サービスが無料で受けられる(、「Core」「Voyager Services」では有料)。個々のアドバイザーに「成功報酬のインセンティブ」はない。

「Voyager Select Services」と「Flagship Services」の顧客には「ラップ口座」のサービスもある。
アドバイザーが具体的にポートフォリオを組み、当てはめるファンド、ETFについても助言。「投資助言サービス」

かつ、「資産管理サービス」のようなもの。

・全てが自前
アドバイスのCFP、コールセンターは社員が担い、印刷工場、データセンターは全て自前。R&D(研究開発センター)も本社に併設。
カン氏は、「サービスの質を維持・向上させたい、また、顧客情報を、責任を持って管理したいという気持ち」を感じたと述べられています。

・アクティブ・ファンドも低コスト
米国のアクティブ・ファンドの平均年間経費率は 1.15% だが、バンガードのアクティブ・ファンドの平均は 0.28%。

・ファンドの規模によってコストを安くしていく
「資産が大きくなって収入が増えてコストを上回ってくれば、それぞれの投信の決算期ごとに、その分、エクスペンス・レシオを引き下げて投資家に還元」する仕組み。
『かかったコスト(実費)だけしかもらわない実費経営がバンガードの基本』(バンガード・インベストメンツ・ジャパンの加藤隆代表)。
日本の保険会社のように、「バンガードのファンドを保有する人(ファンド保有者)が、バンガードという会社そのものを「所有」」する。そのため、「ファンド保有者のほうだけを向いて経営が出来る、つまり、実質的に「実費経営」が可能になる」とのこと。
ex 「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)の年間経費率は 0.06%
    「バンガード・MSCI・エマージング・マーケッツETF」(VWO)の年間経費率は 0.20%

・インデックス運用の運用力
「浮動株調整後の時価総額加重平均を採用した指数こそ、インデックスファンド(含むETF)の運用にふさわしい指標である」(株式チームのSandipさん)
流動性の高さ、広範な分散の重要性。「浮動株調整後の時価総額加重平均を採用した指数でも、低コストでプロダクトが組成できなければ、それは商品になり得ない」。
「i シェアーズがETFの百貨店だとすると、バンガードはやはり「セレクトショップ」のイメージ」とのこと。

関連リンク:
バンガードインベストメンツジャパン

2012/3/21 日本経済新聞電子版に掲載されたコラムいつかは経済自由人!「日本と大差、米巨大投信「顧客本位」の秘密」(バンガードインベストメンツジャパンのページに全文掲載)

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2012年9月14日金曜日

余計な保険に入らないのが家計に1番 「気持ちの問題」と「お金の問題」を分ける

日経のマネー欄の連載「保険会社が言わないホントの保険の話」での2012/9/14付の記事「保険ビンボーを避ける3つの方法 保険コンサルタント 後田亨」では、年収と比べて保険料を過大に払っている家計へのアドバイスが示されています。

余計な保険に入らないための心掛けは下記3つ。
1.「戻ってくるお金」にこだわらない
2.「気持ちの問題」と「お金の問題」を分ける
3.「売り手」に相談しない(営業員は保険料に対する掛け率で報酬が決まる場合が多く、利益相反)

「保険以外での対応が難しいこと」に保険の利用目的を絞ることが大切だということです。
本当に不要な保険以外は解約する方が家計の助けになります。保険の解約返戻金(払いもどってくるお金)は、積立部分に充当された保険料ですか元はと言えば自分払ったお金です。
後田氏は、「将来、戻ってくるお金があると思うと、つい『掛け捨て』でない保険を選んでしまう」「中途解約では満期と比べて払い戻し率が低いので、やめられない」というのが心の罠と言います。
また、「『医療保険』を解約した直後に長期入院するようなことになったらどうする」という反論に対しては、1年更新の都道府県民共済を利用することが勧められています。

後藤氏は、「「有料相談」の普及が望ましいと考えています。消費者の相談相手が販売手数料に依存している構図は、不自然だと感じる」と指摘しています。

筆者注:日本人は国際的にも保険が大好きな国民であるとのデータもあります。また、多くの場合、保険営業員に勧められるがままに入ることが多く、、必要以上に保険に入っているという専門家の指摘もあります。保障内容と本当に必要かどうかの見極めが重要と言えそうです。

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量的緩和第3弾・QE3 米FOMC声明と市場の見方


ロイターでは2012/9/14付の記事「米FOMC声明全文」では、量的緩和第3弾・QE3の実施を発表したFOMCの声明を、「米FOMCが量的緩和第3弾を決定:識者はこうみる」では、QE3に対する市場関係者の見方について伝えています。

FOMCはの目標は雇用最大化と物価安定の促進です。
FOMCは、景気回復が強まった後もかなりの間(considerable time after the economic recovery strengthens)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が引き続き適切になると予想しているということです。

日経(2012/9/14)の記事「米FOMC、QE3決定 住宅ローン担保証券購入」では、住宅ローン担保証券(MBS)を追加購入する量的緩和第3弾(QE3)の導入を決め、購入規模は月400億ドルで期限や総枠を設けない。事実上のゼロ金利政策の期間延長も決定。「FOMC決定を受け米株式相場は急騰したが、雇用改善にどこまで効果があるかは不透明な情勢」と伝えています。
日経「FRB議長、QE3導入「万能でないが経済の支えに」 」では、バーナンキ議長の、QEでは「万能薬ではないが、米経済をある程度支えることが出来る」、「欧州情勢を含む国際的な要因など多くの逆風が吹いている」「経済が弱ければもっと(量的緩和を)やる」といった発言を伝えています。

市場の見方としては、米株高、商品高、ドル安が概ねの見方で、日本株への効果は限定的と見る方も多いようです。

日本経済を良くする為の仕事術 竹中平蔵氏

竹中平蔵氏(慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所 所長)の「日本経済を良くする為の仕事術」の講演内容が、日経BPのBizCOLLEGE PREMIUM特別セミナー「イノベーターと学ぶ“新しい仕事術”」に紹介されています。

・「鳥の目を持つこと」の重要性
一歩引いたマクロな視点で全体を俯瞰するということ。日本人全体でミクロな視点が多く、システムや制度の問題があったのではないかと考えるマクロな視点での議論が少ない。「日本人は現場が好きです。でもそこはあくまでも現場であって、時には引いたところから全体を見て、また現場に帰っていくという姿勢が大事です」ということです。

・世界の変化はグローバリゼーションとそれを助長する技術の変化
グローバリゼーションの本質は、「市場に人が増えた」こと。チャンスが広がるがライバルも増える。
デジタル化による通信技術の発展で、距離の概念が希薄に。仕事が安い人件費水準の国に流れていく。中間層の仕事は移転していく。残るのは、高度に専門性の高い仕事、アーティスティックな仕事、パソコンでは出来ないハイタッチな仕事になる。

・“イノベーターの仕事術”は「逆算方式のセルフプロデュース」と「結合力」
逆算方式のセルフプロデュース・・「今の履歴書と10年後の履歴書」を書く。具体的に10年後の自分の姿を描き、今の履歴書と比較し、何をすればいいのかを明確にする。
結合力・・自分が持たない能力を持つ相手との結びつきを大事にする。

・最後に
「今の時代には、多様な生き方がある。何かをやろうとすると縛られることも多いが、はねのけて大いにやってほしい」
「私もさんざん叩かれて学んだことは、出る杭は打たれる、出すぎる杭は打たれないということ」

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2012年9月13日木曜日

ドイツの取るべき道は「慈悲深い覇権国」になるかユーロを去るか:ジョージ・ソロス氏 


日経の2012/9/11付の記事「[FT]ソロス氏、独に決断迫る 「変心か離脱か」 」では、著名投資家のジョージ・ソロス氏のインタビューによるソロス氏の欧州債務危機

ソロス氏は、ドイツ政府の取るべき道は、
・成長促進や共同財政機関の創設、共同債の保証によって景気後退から脱出させる(他の欧州諸国と運命をともにして沈むか泳ぐかというリスクを取る)
・欧州の未来を救うために自ら通貨同盟を去る
のいずれかと主張しています。
ソロス氏の望む解決策はドイツのユーロ離脱ではなく、「ドイツがデフレ的な立場を捨て、パートナー諸国に対して「慈悲深い覇権国」として振る舞うこと」だと明言し、また、「債務国と債権国の現在の欧州の対立が恒久化するのを防ぐには、本格的な「欧州財政機関(EFA)」、すなわちECBが購入したすべての国債の支払い能力リスクを引き受ける欧州通貨基金が必要」だとソロス氏は指摘しているとのことです。

GPIFの運用の基本ポートフォリオと業務実績


厚生労働省独立行政法人評価委員会より2012/8/21付で「年金積立金管理運用独立行政法人の平成23年度の業務実績の評価結果」が公表されています。

年金積立金管理運用独立行政法人は、厚生労働省所管の独立行政法人で、国民年金の運用を行っており、GPIF(Government Pension Investment Fund)という略称が一般的です。
平成22事業年度の実績で116兆円もの資金を運用しています。
本レポートは、GPIFの平成23年度の業務運営についての実績を評価したものです。年金運用がどのようになっているのかを概観できます。

GPIFの運用の基本ポートフォリオは、「年金積立金管理運用独立行政法人  平成24年度計画」によると、
国内債券 67%(乖離許容幅 ±8%)
国内株式 11%(乖離許容幅 ±6%)
外国債券  8%(乖離許容幅 ±5%)
外国株式  9%(乖離許容幅 ±5%)
短期資産  5%(乖離許容幅 -)
と定められています。
ただし、「市場動向を踏まえた適切なリスク管理等を行い、急激な市場の変動があった場合には、必要に応じて見直しの検討を行う」としています。

実際の運用では、パッシブ運用とアクティブ運用を組み合わせています。
ベンチマークは、
国内債券:NOMURA-BPI「除くABS」
国内株式:TOPIX(配当込み)
外国債券:シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース。以下同じ。)及びシティグループ世界BIG債券インデックス(除く日本円、ヘッジなし・円ベース。以下同じ。)の複合インデックス
外国株式:MSCI KOKUSAI(円ベース、配当込み)
短期資産:TDB現先1ヶ月
が採用されています。

年金積立金管理運用独立行政法人のホームページ:http://www.gpif.go.jp/index.html
年金積立金管理運用独立行政法人  平成24年度計画:http://www.gpif.go.jp/public/activity/pdf/plan_h24.pdf

2012年9月12日水曜日

中長期の経常収支の見方について(内閣府より)

内閣府の「中長期の経常収支の見方について(平成24年9月11日)」では、経常収支の今後の中長期的、構造的な行方をどうみるか、経常収支の政策的意義付けは何かについて、慶應義塾大学経済学部教授の吉野直行委員が内閣府の協力を得て、取りまとめを行っています。
報告書一覧:http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/houkoku/houkoku.html
本文PDF:http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/houkoku/pdf/keijoshushi_1.pdf
図表PDF:http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/houkoku/pdf/keijoshushi_2.pdf

概要は下記の通りとなっています。(冒頭の概要分より一部追加)
1.問題意識と考え方の枠組み
・ 貿易収支赤字化の意味、経常収支の今後の中長期的、構造的な行方、経常収支の政策的意義づけ等を検討、考え方を整理
・ 経常収支の中期的な検討のために、家計・法人企業・一般政府の各部門のの貯蓄投資差額を合計した「貯蓄投資バランス」の観点から検討。
・ 民間機関・国際機関の経常収支の見方は様々(赤字化から黒字維持まで)
*日本の経常収支の見通しについて、「国際機関については、OECD は赤字化する(2020 年対 GDP 比▲0.3%程度3)と見る一方、IMF は縮小するものの黒字は維持される(2017 年対 GDP 比 1.9%程度4)」と見方が分かれていると指摘。

2.経常収支の動向とその背景
・ 2011 年貿易収支は赤字化したが、所得収支は大幅黒字であり、経常収支も黒字を維持
・ 貯蓄投資差額は、企業は大幅な貯蓄超過、家計は小幅な貯蓄超過、政府部門は大幅な投資超過(財政赤字)

3.中長期的な経常収支の見方に係る論点
3.1 構造要因に関する論点
・ 構造要因1 家計の高齢化:高齢化により貯蓄率は低下傾向にあるが、投資率低下(家計の純投資も減少)によりその影響は一部相殺され、合わせると高齢化の進展が貯蓄投資差額に及ぼす影響は不確定。ただ、高齢化は投資よりも貯蓄に大きく影響するとの実証結果がある
・ 構造要因2 高い企業貯蓄水準と潜在成長率低下による投資意欲の減退:潜在成長率の低下によって低迷していた投資が経済活性化により増加し、貯蓄超過が縮小する可能性(政策努力もあってデフレが脱却でき、期待成長率の上昇により企業活動が徐々に積極化し経済が活性化した段階という前提)
・ 構造要因3 財政健全化への取組:財政健全化を着実に進めることで投資超過幅が縮小。ただし現在、財政や社会保障の将来不安によって家計部門の貯蓄が行われているとしたら、財政健全化により将来不安が軽減され、民間貯蓄が減少する可能性がある点に留意が必要
・ 構造要因4 企業の海外移転:海外移転の影響は貯蓄・投資両面にあり経常収支への影響は不確定(海外移転は国内投資の減少を通じ、貯蓄投資差額を拡大させる。他方、国内投資の減少は、資本ストックの伸びを低下させるために潜在 GDP を低下させ、その結果、貯蓄を減少させるようにも作用するため)
・ 構造要因5 世界の経常収支の推移:日本の貯蓄投資バランスは世界の実質金利により決定。中国や米国の不均衡、産油国の動向に留意

3.2 2011 年のショックの性格付け
・ 生産性へのショックが一時的なものの場合、経常収支の悪化は大きいが影響は一時的。恒久的なショックの場合は、家計の最適化行動を通じて経常収支の悪化は小幅。2011 年のショックは両方の側面(鉱物性燃料を恒久的とすればそれぞれ半々)。

3.3 所得収支
・ 所得収支の黒字幅は、直接投資比率の上昇により拡大の可能性

3.4 小括
・ 高齢化によって中長期的に経常収支の黒字は縮小傾向にあると思われるが、縮小テンポは貯蓄や投資に影響を与える景気動向や制度改革、更には財政健全化等の要因に依存。
・2011 年の貿易収支赤字化には一時的な要因もあり、これが定着するとは必ずしも言い切れない。

4.経常収支の持つ意味
・ 短期的には緩衝剤の側面:震災時には収支悪化(エネルギーや不足する物資の輸入増加)により国内経済の下押しを緩和し経済厚生の低下が抑制
・ 経済厚生と経常収支の黒字・赤字に直接の関係はないが、経済厚生の低下はそれ自体問題として取り組むべき
・ 市場が注目する指標である経常収支はチェックすべき指標の一つであるが、それで捉えられないリスクも存在
・ 経常収支の動向にかかわらず財政健全化は着実に進めるべき

なお、足元の動向は、2012/9/10付で第一生命経済研究所・経済調査部による「国際収支(2012年7月)~経常黒字は当面低水準での推移が予想される~」で解説がされています。
定例経済指標レポート:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et12_146.pdf

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武藤敏郎・大和総研理事長 日本経済の見通しや金融政策について(ロイターより)

ロイターの2012/9/12付の記事「インタビュー:日銀の外債購入問題多い=武藤・大和総研理事長」では、財務事務次官・日銀副総裁を務めた武藤敏郎・大和総研理事長へのインタビューを通して、武藤氏の日本経済の見通しや金融政策について伝えています。
記事URL:http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE88A05F20120912

世界経済は「4%台の成長から3%台の成長に当面減速」していくとみているとのこと。

日本経済は「2%達成が可能とみていた12年度成長率を1.8%に、13年度成長率を1.2%に若干下方修正」したとのことで、経済の減速感を示唆していています。
物価の動向について、「2012年度の消費者物価指数(コアCPI)でゼロ近傍、13年度もゼロに近いプラス」との見通しで、14年度に1%の目標を達成できるとの日銀の見通しについては、楽観的にすぎるのではと疑問を呈しています。また、「日銀は10月末の『展望リポート』で経済・物価見通しを下方修正する可能性がある」としています。

日本経済の直面するリスクは4点で、
1 欧州情勢のさらなる悪化
2 地政学リスクによる原油価格急騰
3 足元では安定しているものの、円高
4 電力供給問題
としています。

日銀の政策対応について、「短期の国債を売り長期を買うツイストオペや、時間軸政策の強化などいろいろ考えうる」し、「量的緩和に限界があるなら、信用緩和の手段としてリスク性資産の買い入れも選択肢」と提言。
ただ、「金融政策に限界があるとは思っていないが、それだけで日本経済を力強く変化させられるとも思っていない」と、「規制緩和などの構造改革」も重要ということです。

金融緩和の是非について、「非伝統的金融政策は、効果も明らかでないかもしれないが、副作用も明らかではない」との前置きの上、「直近インフレが急激に起こるリスクは小さいため、政策当局者としては効果と副作用を比較し、効果の方に期待して行動する必要」があるとしています。
「信用創造のメカニズムが働かなければ日銀がマネーストックを勝手に増やすことはできない」と、量的緩和のみでうまくいくということはないという見方が示されています。

為替について、「日銀による外債購入は問題が多い」と指摘。
為替に働きかけるのであれば為替介入が本来の手段だが、介入は急激な為替変動を緩和する以外の目的で、為替の水準が適切でないから介入することは出来ないと説明をしています。「金融政策の目的は物価の安定とそれによる経済の持続的発展であり、その結果として為替水準が決まる」ということです。


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2012年9月11日火曜日

遺言による相続の手続き 金融機関での故人の口座の引き継ぎまで含めて事前に調べる必要

日経の「司法書士が見た 相続トラブル百科」の川原田慶太司法書士による2012/9/11付の記事「遺言書があるのに故人の思い通りにならない悲劇 実践編第18回」では、遺言書の内容を実行する際に、実際に遺言書の内容通りに手続を勧められるかに注意すべきということを説明しています。

遺言書は作っておくと安心ですが、遺言書の内容通りにきちんと実現されるかどうかが大切であるとしています。遺言に書かれてある内容の実現という「出口」がきちんと確保されているのかどうかを事前にしっかりと確認しておく必要があると指摘されています。

遺言書は、「遺産分けの話し合いが紛糾して、手続きに必要となる相続人たちの実印と印鑑証明書を全員分集めるのが難しくなってしまうような場合に備えて、全員の協力がなくても済むようにを準備しておく」もので、遺言執行者(遺言書の内容を実行する人)を決めておき、「遺言執行者の実印と印鑑証明書があれば、それだけで遺言書の内容が実現できるようにしておく」ことが出来ます。

「遺言執行者」は、遺言をする人が、あらかじめ遺言書の中で決めるもので、特に制限があるわけではなく、遺言書を書いた人が信頼する人、財産の多くを相続する子供、信託銀行のような金融機関がなることもありますし、司法書士のような法律専門職が選ばれることもあります。
遺言執行者を定めておくことで、相続が起こった後には、「遺産を管理する権限が、相続人ではなく、原則として遺言執行者の手に移る」こととなり、銀行の窓口で預金の解約手続や、法務局で不動産の名義書き換えの手続を、相続人ではなく遺言執行者が行うことが出来ます。これを、他の相続人の協力がなくても遺言執行者は「単独で」各種の手続きを進めることができます。

現実には、「金融機関などで、こうした遺言の効能が発揮されないような実務の取り扱いがなされているケース」があるようです。
通例として、預金の解約には相続人全員の実印での押印と印鑑証明書が原則必要ということです。
金融機関によっては、「預金の払い戻しに相続人全員の印鑑を要求せずに、窓口に来た相続人の実印と印鑑証明書さえあれば、その法定相続分に対応する金額分だけ払い戻しに応じる」ところもあるようです。
これは、「窓口に持参された遺言書が、本当に本人が書いたものなのかどうか疑わしい」、「遺言書を書いた本人が、当時は認知症であったことが明らかであって、無理やり書かされた形跡がある」、「この遺言書のほかにも、さらに日付が新しい別の遺言書が存在するようだ」といった事があると金融機関が困るためということです。

筆者注:遺言を作成する際には、実際の財産の引き継ぎの実行にまで留意が必要で、実際の相続の手続までケアしておくべきと言えます。
実際の特に兄弟の仲が悪い場合には、細心の注意が必要です。


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JALのIPOの公開価格は仮条件レンジの上限の3790円に決定


日経の2012/9/10付の記事「再上場の日航、時価総額6900億円 相場の先行き左右」では、売り出し価格が10日、仮条件レンジの上限の3790円に決まったと伝えています。
売り出し価格から算出した時価総額は6873億円となり、10日終値での航空各社の時価総額はライバルの全日本空輸(ANA)が6329億円、世界の大手ではシンガポール航空(約7800億円)、中国国際航空(約7200億円)などと大手の一角になります。

会社更生後のリストラで、収益力の強さが高評価になっています。2012年3月期の「売上高営業利益率は17%と6~7%のANAや中国国際を上回る」と、他社と比べて高い企業体質となっています。
収益力の維持がポイントで、
・格安航空会社(LCC)の台頭を受け、運賃引き下げ圧力
・合理化で切り詰めてきた人件費も2013年3月期は増加となり、13年3月期の営業利益は約3割減の見通し
・採算の良い国際線ビジネス客の獲得
と挙げられています。

JALの再上場を機に、日本株の活性化への期待と、一方で、「再上場後の日航株が低迷するようだと投資家心理を冷やし、相場全体の重荷になりかねない」と、日本株全体へ影響が大きいと伝えています。

関連記事:

2012/9/8 JAL再上場 売り出し価格は低めに設定だが上場後の短期での利益確定売りに注意

2012年9月10日月曜日

退職後のマネープランで注意したい5つのポイント

日経の2012/5/16付の記事「退職貧乏父さんにならない方法」では、退職後のマネープランとして注意すべき5つの項目を挙げています。(日経マネー2012年6月号の記事を基に再構成した記事となっています)

「日経マネー」の実施したアンケート「個人投資家調査」によると、60歳以上(該当の回答者1081人)の金融資産は2000万円以上を保有する人が50%となっています。2000万~3000万が19.1%、3000万~5000万が18.7%、5000万~1億が10.9%、1億円以上が1.3%となっており、退職金と年金をもらっている世代のため、他の年代と比べて最も金融資産が多くなっています。2000万以上の金融資産を持っているのは、50代では37%、40代では27%ということです。

~注意すべき5つの項目と主要なポイント~
1.退職祝いに世界一周旅行を計画
・「退職金でドカンと買い物をして失敗する例が一番多い」(FP事務所ガイア代表取締役社長の中桐啓貴さん)
・退職金振り込み先の銀行からあの手この手で勧誘され、(経験がないのに)金融商品を数百万円単位で買ってしまう
→「これまで投資を一切してこなかった人が、退職金が出たからといって投資を始めるのはリスクが大きすぎる。少なくとも少額の投資で慣らし運転をしてから始めよう」(フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史さん)

2.「俺は仕事一筋。家は妻に任せきり」
・(家事を手伝っていなかった夫が)「退職後、急に夫婦で話し合うというのは難しい。退職前から、リタイア後はどんな暮らしをしたいかなど、お互いの価値観を確かめ合う時間を持つことしか対策はないです」(同上、中桐啓貴さん)

3.不動産投資で不労所得を得る
・“不労所得”に憧れて退職後に不動産投資を始めて失敗する例もよくあり、よほどノウハウがない限り素人はリスクが高い

4.子供のために学歴を高める資金支援
・「夫婦二人暮らしの場合、退職金を含め約3000万円前後の老後資金を準備しておきたい」(ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さん)
・海外留学の費用や大学院の学費などに仕送りしてしまい、貯蓄を大きく取り崩してしまうケース
→「やみくもに教育費を援助するのも考え物で、奨学金制度の活用も視野に入れたい」と指摘されている

5.趣味活動を増やして友達を作る
・趣味の出費も計画的に

国際分散投資を行うのに有力な3本の投資信託


日経のM&I 1の記事「国際分散投信、機動的に配分 手数料は1%前後と低め」では、国際分散型投信を行う投資信託で注目の3本について紹介がされています。

○トレンド・アロケーション・オープン(国際投信投資顧問)
運用会社の紹介ページへのリンク:
http://www.kokusai-am.co.jp/fncj037/Init.do?fundCd=148098
モーニングスターへの当投信情報へのリンク:
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2012033004
・株式、債券だけでなく不動産投資信託(REIT)やヘッジファンドなど幅広い資産に投資
・原則月に1回資産配分を見直す。市場環境が良いときは高リスク資産を増やし、悪いときは低リスク資産を増やす機動的な運用が特徴
・実際に運用するのは独金融グループ、アリアンツ系の運用会社
・信託報酬は年間約1.15%
・「毎月分配のグロソブは年金生活者に人気だが、より若い層に向いているとはいえない。この投信は市場の変化に対応し、中長期で資産形成していく20~50歳代向けに設計した」(吉田研一商品戦略グループリーダー)

○セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信)

運用会社の紹介ページへのリンク:
http://www.saison-am.co.jp/fund_g/
モーニングスターへの当投信情報へのリンク:
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2007031505

・30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資
・米大手バンガードが運用する指数型ファンド8本に株式と債券の配分が半々になるように投資
・信託報酬は0.74%程度
・定額積み立てなら5000円から1000円単位で購入可能

○eMAXIS バランス(三菱UFJ投信)

運用会社の紹介ページへのリンク:
http://maxis.muam.jp/e/balance/concept/index.html
モーニングスターへの当投信情報へのリンク:
(波乗り型) http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2011103104
(8資産均等型) http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2011103103
・内外の株式や債券に分散投資
・中でも「波乗り型」は良好な運用成績を上げている資産に機動的に配分を厚くするように設計
・信託報酬は0.525%
・毎月定額引き落としの積み立て運用も可能


マネーの知恵(仮)関連記事:
2012/3/19 (備忘メモ)国際投信の「トレンド・アロケーション・オープン」

2012/8/11 長寿の投資信託はパフォーマンスも良い!?専門家の注目する投資信託を検証


2012年9月9日日曜日

遺産分割でもめないために 老後の支援について切り出す 「相続」「介護」「資産管理」が必要

日経の月刊日経マネー 特集セレクトでの2012/9/5付の記事「「資産がない」家でトラブル多発、大相続時代の心構え」では、親子で共有すべき遺産相続の問題についてまとまってます。

「民間推計によると年間50兆円もの資産が、相続で動く」という「大相続時代」になっています。
背景には、「親と同居する長男が資産を継ぐ「家督相続」から、民法で定められた法定相続通りの「均分相続」を兄弟が主張する時代へと変わりつつある」ことがコメントされています。

実際には、遺産は「実家とわずかな金融資産のみ」で、分けるのが困難なケースが多く、増税、手取り収入減と年々家計が厳しくなっている中、ささやかな額でも相続を期待するようになっているとのことです。

「金融資産が不透明なまま、認知症になる親世代が増えている」という問題もあるようです。

記事では、親子で共有すべき4つの「相続・新常識」が示されています。

新常識1:「資産のない家」ほどもめる
⇒家庭裁判所の「遺産分割」紛争では、遺産1000万円強5000万円以下が最も多くて4割強、1000万円以下が約3割。典型例は「実家1軒とわずかな金融資産」という「分けられない」遺産の場合

新常識2:「普通の家」にも相続税がかかる
「2010年4月から実家相続の税負担が重くなり、今後は相続税の大幅アップが見込まれる」。
(筆者注:2010年4月から小規模宅地特例の適用が配偶者や同居及び継続居住している子しか受けられない等、厳しくなっています。消費税増税の議論が優先されたため相続税増税の議論は先送りされたものの、早ければ15年1月の開始予定です。)

新常識3:孫へ資産を移す「飛ばし相続」も
生前贈与の活用で資産移転により節税をする際、資産を渡す対象を孫まで広げて考えたい

新常識4:相続の前に「認知症」あり
「世界保健機関の2010年調査によると、介護を必要としない「健康寿命」と「平均寿命」の差は、日本人の場合7年弱。介護期間は平均7年と覚悟したほうがよさそう」とのこと。
「相続」「介護」「資産管理」支援を三位一体で考える必要。

また、「遺産分割でもめないためには、どうすればよいのか。まずは親子で資産整理を進め、財産を評価、遺言を書いて対策を練るのが、理想的なステップの踏み方」としています。
「相続税対策を考える前に、親の資産の全容を把握する必要がある」が、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんによると「子供がなるべく早く親の資産を把握したいのに対し、親は運用内容を明らかにせず重い腰を動かさない」という課題が指摘されています。
「「老後の生活をどう支援できるか考えたい」など、やんわりと切り出し、老後生活を親子で考えるという姿勢を見せることが大切」ということです。
有効な方法として、
親と一緒に、老後の支援について考えようと切り出す
→介護や資産管理の方針を決める
→資産状況を確認
→どう分配していくかを家族会議の開催を提案
→親は遺言書を作成(定期的な見直しも大切)
という順序でのアプローチ例が挙げられています。

「「親が第三者の連帯保証人になっていたことが分かり、借り入れ返済などの対応を迫られる場合がある」(司法書士の川原田慶太さん)。子供は早めに親に対し債務の有無を確認し、資産だけでなく負債であるローンについては注意が必要とされています。子供が相続を単純承認した場合、親の資産だけでなく負債も無限に引き継ぐためです。


マネーの知恵(仮)関連記事:
2012/6/9 相続で遺産が少ない場合でも親族での争いは起こる

2012/6/5 モメない相続 長谷川裕雅/著


野村HDの永井グループCEOが語る野村の新戦略


日経の2012/9/8付の記事「野村HDの永井グループCEO「顧客ニーズは圧倒的にアジアに」」では、野村HDのグループCEOトップに就任した永井浩二グループ最高経営責任者へのインタビューが掲載されています。

目下の課題である赤字が継続している海外事業の合理化計画について語られています。
また、野村の顧客は圧倒的に国内だが、法人も個人も含めて海外取引にニーズが向かっており、中でも顧客ニーズは圧倒的にアジアであるとしています。法人向けビジネスの軸足を「日本を含むアジア」へ移すとし、そのための組織の構造をどう変えるかについて語っています。

野村の利益を支えている国内営業について。
「顧客のニーズは多様化しているし、常に変化している。ライフステージや家族構成、年齢によっても変化する。こうしたニーズの変化にちゃんと耳を傾けて、真摯に受け止めてきたのか。自分の反省を含めて言えば、野村の人間はやや傲慢というか、自分たちの思い込みでサービスやアドバイスを押しつけがちだったと思う」と個人向け営業の課題について述べられています。
アグレッシブな目標としながら、「預かり資産であったり、(投資信託の信託報酬などの)ストック収入の拡大を目指す。ストック収入を現在の約400億円から16年3月期には694億円に増加させたい」とのこと。

また、過去の増資によりダイリューションを起こした反省を踏まえ、また、株主利益を意識するため、「16年3月期のEPS(1株利益)50円」を掲げたということです。

野村のIRサイトでは新体制によるプレゼンテーション資料が掲載されています。
○グループCEO 永井 浩二「創業90周年(2016年3月期)に向けて~ Fit for the Future」
http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/library/presentation/data/2012_0906_01_prem.pdf
個人向け営業についてピックアップ
(p7)
営業部門:お客様からの信頼獲得とグループの安定収益基盤としての役割を両立
・2016年3月期の税前利益1,000億円、顧客資産残高90兆円を目指す
・コンサルティング営業の深化:複雑化・高度化するお客様のニーズに対し、付加価値の高い提案
・商品戦略:タイムリーな商品提供、ポートフォリオ構築や時間軸の長い投資を念頭においた商品組成
(p8)
・投資信託ビジネスでは投資家の多様なリスク・リターンのニーズに応える幅広い商品を提供

○グループCOO兼ホールセール部門CEO 吉川 淳「ホールセール部門戦略~ Fit for the Future」
http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/library/presentation/data/2012_0906_02_prem.pdf

参考
2013年3月期第1四半期決算説明資料(説明文付)
http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/summary/financial/data/2013_1q_pres.pdf

(筆者注:個人向け営業について、「ポートフォリオ構築や時間軸の長い投資を念頭においた商品組成」という点について、野村がどのような投資信託を出してくるのか注目です。)

2012年9月8日土曜日

JAL再上場 売り出し価格は低めに設定だが上場後の短期での利益確定売りに注意

2012/8/30「JALのIPOは個人投資家に不人気? 大型IPOのプラス面とマイナス面」のアップデートです。

WSJの2012/9/8付の記事「JAL再上場、売出価格は仮条件レンジ上限か」は、9/19に東京証券取引所に株式を再上場(IPO)する日本航空(JAL)の最大調達額約6600億円となる大型IPOの動向について報じています。

売り出し価格は、投資家を呼び込むため意図的に低く設定した3500~3790円という仮条件レンジの上限に近くなるとの観測が伝えられています。

「全体の購入者の5割から7割を占めるとみられる個人投資家の需要を喚起するため仮条件は低く設定されている」とのこと。
応募数は定数に達したもようであるものの、JAL株を買う多くの個人投資家が短期で利益を出そうとする可能性があると指摘がされています。
いちよし投資顧問の秋野充成運用部長の「長期で買おうとしてる人はあまりいないとは思うけど、ほとんどの人は1週間とか2週間のうちに益出ししようと思って買ってるんじゃないですかね」とのコメントが掲載されています。「燃料価格の変動や激しい競争、格安航空会社(LCC)の日本市場参入などに直面するJALは、2013年3月期の営業利益が前年度から27%低下すると予想」され、「長期的な妙味に欠ける」という面も指摘がされています。

一方で、「仮条件レンジ内のどの価格をとっても割安な価格となっているとみており、売出価格は3750円近辺になると予想」する見方もあるようです。
SMBCフレンド証券投資情報部の中西文行部長による、売り出し価格は「上限。筋肉質な企業体質、収益構造に生まれ変わり、収益も非常に伸びている。個人投資家に人気が高い」「今のマーケットの地合いもJALには追い風」とのコメントが掲載されています。

また、株式を売り出す企業再生支援機構の政治的な要因もマイナスと伝えられています。

フォローアップ記事:

2012/9/11 JALのIPOの公開価格は仮条件レンジの上限の3790円に決定



2012年9月7日金曜日

良好な運用実績、比較的抑えたコスト、一定の純資産の規模、安定した資金の流入等の条件を満たす投資信託

モーニングスター朝倉智也社長の2012/9/7付のブログ記事「リスクオフ環境下での「投資信託選びのポイントは?」」では、投資信託選びのポイントの解説がされています。

投資信託の選定候補は、「リターンが高く、リスクが低く、かつコストの低いファンド」と指摘。
「日本の投信は、設定当初は純資産が大きく積み上がり、その後は資金が急激に流出してしまうファンドが多い」としながら、直販投信(さわかみ、セゾン、コモンズ、鎌倉、ありがとう等)は「厳しい運用環境の中でも資金が流入し続けている」と評価しています。

モーニングスターの「ファンド検索」機能により、「良好な運用実績、比較的抑えたコスト、一定の純資産の規模、安定した資金の流入等の条件を満たすファンド」が示されています。
モーニングスター:ホーム >投資信託 >詳しく条件を指定して検索(詳細検索)
http://www.morningstar.co.jp/FundData/DetailSearch.do

条件設定は、
3年間のトータルリターン:同じ分類のファンドの平均より高い
3年間の標準偏差:同じ分類のファンドの平均より低い
リスクメジャー:全てのファンドの中で平均以下のリスク水準
信託報酬:同じ分類の平均より低い
運用年数:3年以上
償還期間:10年以上
純資産額:10億円以上
資金流入:1年以上連続して資金が流入
で行ったとしています。

該当は2件で、特徴とともに紹介がされています。
・エマージング・ソブリン(毎月決算型)ヘッジ(国際投信)
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2009031803
・セゾン バンガード・グローバルバランスF(セゾン投信)
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2007031505


また、「リスクオフ環境下では、極力リスクを抑えつつ、少しでもいいのでリターン」へのニーズが強いとして、「特にリスク指標である標準偏差、リスクメジャー、過去の最大下落率等を参考」にするようアドバイスがされています。

マネーの知恵(仮)関連記事:
2012/8/11 長寿の投資信託はパフォーマンスも良い!?専門家の注目する投資信託を検証

2011/12/5 インデックス投資のメリット・デメリット ~「退屈」なインデックス投資

2011/10/4 個人の資産運用で、良いファンド(運用商品)とは何か?


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ミドルリスク・ミドルリターンのメザニン・ファイナンスは有望な資産クラス 今後の市場の整備に期待

大和総研の菅野泰夫研究員による「復調する日本のLBOファイナンス市場」では、メザニン・ファイナンスについて解説しています。
レポート:http://www.dir.co.jp/publicity/exposure/pdf/12090602.pdf

LBOファイナンスで、LBOローンとともに注目される手法がメザニン・ファイナンスとなります。
メザニン・ファイナンスは、従来の銀行融資(シニアローン)と普通株式によるエクイティ・ファイナンスの中間的なリスク・リターンを持つもので、大型の買収案件等で活用されています。

メザニン・ファイナンスの手法は2つの説明がされています。
・LBO型メザニン -ファイナンシャルスポンサーや経営者自身がMBOを実施する際に活用
・コーポレート型メザニン -有利子負債の増加と株式の希薄化を伴わないで旺盛な資金調達ニーズに活用

借入期間はシニアローンより1年程度長いものが通常で6~8年程度、調達コストは通常の銀行融資より高めの6~15%であるとのことです。

ただ、日本では大型のM&Aが欧米より少なく、投資家層の裾野拡大には至っていないようです。

年金運用においては、日本の投資家にニーズの大きい「ミドルリスク・ミドルリターンでの資産クラスとして、選好が大きく高まる期待もできる」とのこと。
過去の実績によるリスク・リターンのイメージの図が掲載されています。
(文中の図表4より)



年代によってリスク・リターンが大きく異なるようです。
国内株式や国内債券とは相関係数がマイナスということで分散効果は期待出来るが、現時点で厚みのある市場ではなく、時価評価に関する基準やセカンダリー市場の整備には時間を要するとの見方がされています。


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数学と社会の発展

文部科学省から、2012/9/7付で「数学イノベーション戦略(中間報告)の概要」が公表されています。

ビッグデータの活用,リスク管理(金融・環境エネルギー問題・災害予測・防災)といった数理的により複雑な問題解決の機会が増えています。
背景には、「近年の社会の複雑化や情報化,計算技術の進歩,計算機性能の飛躍的向上などに伴い,諸科学・産業界が数学と協働し、課題を解決する場が飛躍的に増加」していることがあります。

一方で、「我が国では数学の力が必要との意見が多く見られるものの,アメリカやドイツ等の諸外国と比較すると数学と諸科学・産業との協働は未だ不十分であり,組織的な取組が必要」があると指摘がされています。

数学の持つ力を、「具体的実体を抽象化してその本質を抽出し,一般化・普遍化する力」とし、新たな社会的価値や経済的価値を創出する革新を生み出すこと(数学イノベーション)が不可欠としています。

課題解決のための推進策として、
1.数学のニーズの発掘からイノベーションへつなげるために必要な活動
(1)「出会いの場」「議論の場」の設定
(2)数学研究者と諸科学・産業との協働に向けた研究の推進
(3)諸科学・産業からの相談への対応
(4)「出会いの場」「議論の場」で得られた情報の関係者間での共有・活用
2.数学イノベーションに必要な人材
(1)数学界における人材の育成
(2)諸科学・産業における人材育成
3.その他(情報発信,理解の増進など)
であり、「これらの諸活動を継続的に実施するためには,個人的な活動だけでは限界であり,組織的かつ全国的な活動が可能となる「拠点」を構築する必要」があるとしています。

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“ちいさな企業”未来部会~知識サポート・経営改革プラットフォーム事業と、“ちいさな企業”未来補助金


先日の記事「経済産業省起業支援 1万社へ助成金 “ちいさな企業”未来助成金」のアップデートです。

経済産業省・中小企業庁の中小企業政策審議会 “ちいさな企業”未来部会による法制検討WG 第1回(平成24年9月5日)が行われました。
「未来会議取りまとめを踏まえた今後の中小企業政策について」という配布資料がホームページにあがっています。

知識サポート・経営改革プラットフォーム事業と、“ちいさな企業”未来補助金が大枠のようです(P4)。
知識サポート・経営改革プラットフォーム事業では、「100万以上の事業者・起業を目指す者等が利用でき、1万以上の支援人材・機関が参画するITクラウドを活用したプラットフォームを構築」する計画です。

“ちいさな企業”未来補助金の骨子は、現在のところ(P6より)、
・①グローバル成長型起業・創業、②地域需要創出型起業・創業、③第二創業という3つの創業スタイルに応じて、知恵と資金を供給する新たな補助制度を創設。
・対象は新たに起業・創業しようとする個人又は先代から引き継がれた知恵や資産を活用し新事業に挑戦する個人や中小・小規模企業(第二創業)。申請条件は事業計画策定の段階から知識サポートを受けること。公募・審査を行い、事業計画の実施に必要な経費を助成。
・事業計画で想定する資金規模は、
1)グローバル成長を目指す起業・創業が、1社 数千万円~1億円程度
2)地域のニーズに応える若者・女性等による起業・創業が、少額の1社 数百万円程度
3)後継者による第二創業が、1社 数千万円程度
⇒当面1千件程度の“未来のグローバル企業の芽”、1万件程度の“小さな企業”及び3千件程度の第二創業を大胆に創り出す
という内容になっています。

税制関連として(P15-17)
1.グローバル成長型の起業・創業の支援(雇用創出型ベンチャー企業の税額控除措置)
  創業間もない成長力の高い中小ベンチャー企業の雇用創出と事業拡大を支援するため、エンジェル税制の対象となる中小ベンチャー企業の法人税の軽減措置を創設する。
2.地域需要創出型の起業・創業の支援(創業時の登録免許税、印紙税の免除措置)
  小規模会社の設立による地域需要創出型の起業・創業を支援するため、資本金2000万円未満の株式会社の設立時の登録免許税、印紙税を免除する措置を創設する。
3.事業承継の円滑化(事業承継税制の使い勝手向上へ向けた見直し)
  中小企業の事業承継問題に対応するため、事業承継税制の適用要件を見直して使い勝手の向上を図るとともに、小規模企業向け事業用土地の減額評価の特例の創設を図る。
といった点が検討されています。

金融面からは(P19)
1.経営支援と一体となった融資制度の創設(日本公庫(国民・中小))
2.資本性資金を供給する制度の整備(日本公庫(国民・中小))
3.経営力強化保証(保証協会)
といった制度が検討されています。

2012年9月6日木曜日

投資したいファンドや為替リスク、為替ヘッジについてのアンケート結果(日興AM)


日興アセットマネジメントは、「「ヘッジ」の理解度に関する調査」のアンケート結果を公表しています。

全国に住んでいる「投信 ご意見番」の登録者491人で、30代以下 141人(29%)、40~50代 283人(58%)、60代以上 67人(13%)という対象とのこと。
投信ご意見番・・お客様に提供している当社の商品やサービスを常に改良していくために、いろいろなご意見をくださる方(ご意見番)を募集

いくつかの項目について。
・投資したいファンド
「投資対象がわかりやすいファンド」の回答が最多(45%)
「市場の動きに左右されにくいファンド」29%、「仕組みがシンプルで信託報酬が低く、投資家自身がうまく売買タイミングを掴めるかどうかで、利益が左右されるファンド」が26%、一方、「新しい運用手法を用いており、信託報酬が高いが、ファンドマネージャーの手腕によって(投資元本に対する)絶対収益を獲得しようとするファンド」は9%。
(筆者注:低コストのインデックス商品に潜在的なニーズが大きい?)

・金融商品の売買タイミングについて、自分で判断できる自信があるか
非常にある 2%、ややある 15%
に対し、
自信が「あまりない」(32%)、自信が「まったくない」(27%)

売買タイミングの問題を解決するために、以下のどの手段を取りたいですか?

「できるだけ長期的に資産を持ち、焦らずに良いタイミングを待つ」(47%)、「自力で勉強しながら、実践し、スキルを高める」(24%)
(筆者注:長期運用の潜在的なニーズは結構大きい?)

・海外資産に投資したことがあるか?
ある 34% ない 66%

他、為替変動リスクについて認知や為替ヘッジの理解についての質問がされています。
「為替ヘッジの意味について、半分以上(58%)の回答者が「海外資産に投資する際、為替変動リスクを抑える手法」として認知している」とのこと。
「為替変動リスクに対応する機能を持つファンドに対して、5割近くの回答者が「非常に興味がある」(10%)と「やや興味がある」(35%)と回答し、購入意欲について質問した際、33%の回答者が購入意欲を示した」ということです。

海外債券の為替ヘッジ ヘッジコストとヘッジ外債の超過利回りは内外の長短金利差

マネーの知恵(仮)の2012/9/6付記事「海外債券の為替ヘッジの超過利回りは、「海外長短金利差 - 日本長短金利差」」では、外国債券の為替ヘッジと、イールドカーブがスティープ化している場合の外国債券+為替ヘッジの場合について取り上げています。

為替ヘッジは、
・ヘッジ外債利回り=海外長期金利 - ヘッジコスト
・ヘッジコスト=(スポット為替レート - フォワード為替レート)/スポット為替レート≒海外短期金利 - 日本短期金利
・ヘッジ外債の超過利回り=ヘッジ外債利回り - 国内長期債利回り=海外長短金利差 - 日本長短金利差
という関係があります。

2012年9月5日水曜日

テレビ番組×ソーシャルメディアの可能性

日経の2012/9/5付の記事「TVとSNSの融合 つぶやき量、人気の指標に(徳力基彦)」では、テレビ番組とインターネットのソーシャルメディアの連携についての可能性について解説しています。

記事では、下記のポイントが指摘されています。
(1)テレビとソーシャルメディアの融合が加速し始めている
(2)ソーシャルビューイングは視聴率に影響する可能性
(3)逆に視聴率とは異なる影響力指標が見つかる可能性

「SPEC~翔~」「NEWS WEB 24」の番組で成果を上げた、視聴者が番組を視聴しながらツイッターで感想を投稿する「ソーシャルビューイング」(投稿内容をデータ放送の画面や番組の画面に表示するという手法)という手法が紹介されています。

cf.『SPEC~翔』2012年4月1日 放映前日、当日、翌日公式ツイッター他まとめ
cf.ブログ記事:「ツイッターと連動のニュース番組、NHK NEWS WEB24 どこまでやれるか見ものですね。 [テレビ番組]」

また、「ワールドビジネスサテライト」ではFacebookページを開設、「番組の放送時間以外での視聴者との双方向のコミュニケーションに挑戦」している様子を伝えています。「事前に番組内容を予告することで視聴につなげる効果」や「視聴率ではみえてこない視聴者の生の感想が、ソーシャルメディア上に見えてくることにも大きな可能性」があるとのこと。
(筆者注:2012/9/5現在のFacebookページ「ワールドビジネスサテライト」の「いいね!」の数は 157,469人。
写真付で今日の内容や番組の裏側を紹介。番組の最後では視聴者の質問にゲスト解説者が回答しています。)

「本当にその番組をお金を払ってでも視聴したいファン」の「「熱量」を測る指標の一つとしてツイッターへの投稿数が使える可能性」について言及されています。

さらなるソーシャルメディアの普及により、ソーシャルメディアと連動したマスキャンペーンにおいて、「ソーシャルビューイングを推奨している番組にテレビCMを打つ方が、単に視聴率の高い番組に比べて効率が良いといった事例」が出てくるのではという展望が示されています。


ソーシャルメディア進化論
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シャープ社債の動向に見る国内社債市場が抱える課題


日経の2012/9/4付の記事「シャープ社債があぶり出す「後出し」リスク」では、シャープの社債で問題が浮き彫りになっている国内社債市場が抱える課題について報じています。

記事で指摘されている課題は下記の点。「最善策が見いだしにくい議論だが、改善を進めていかないと、社債市場の発展を妨げることになりかねない」とコメントがされています。

・社債には他の債務に担保に付けることを制限するコベナンツ(誓約事項)を付けることができる。だが適用範囲を社債に限定し、銀行融資など他の債務を対象外とする場合が大半である点
⇒銀行の追加融資枠を設定の一方、不動産や有価証券などで担保も全額取得。「社債保有者から見ると、資金繰り不安を和らげる材料である一方、他の債務に担保が設定されたことで社債が債務不履行(デフォルト)になった際の回収率は大幅に引き下がることが予想される」こととなる。

・融資のコベナンツに関する適時開示は、定量的な基準が定められていない

・社債管理者のあり方。
①「社債管理者は発行会社の財務内容の監視やデフォルト以降の債権保全・回収を担うが、具体的な権限の範囲が明確でない」。
⇒「担保を設定した2行はシャープの主力行であると同時に、新株予約権付社債(転換社債=CB)の社債管理者でもある」。マイカルでは利益相反の観点から係争に発展した事例もある。
②社債金額(最低単位)が1億円以上の場合は社債管理者の設置が義務付けられていない。
社債管理者を置くことは発行体にとってコスト増にもなるため、現状では大半の社債が非設置債となっている。
制度の形骸化が指摘されている。

欧州債務危機とドイツ国債のマイナス金利の動向見通し


ロイターの2012/9/4付の記事「焦点:ヘッジファンドさえも悩ませる独国債の今後の値動き」では、マイナス金利(「ドイツ2年国債利回りは7月にマイナスとなり、現在はマイナス0.037%」)の続くドイツ国債について市場参加者の様々な見方をしていることを伝えています。

主な見方として、下記の点が挙げられています。
・特にユーロ圏の指導者が債務共有化(共同債)の考えを導入し、ドイツにより大きな債務負担を押し付ける方向で解決しようとした場合、ドイツ国債の極めて高い価格(極めて低い利回り)は下落(利回りは上昇)すると見込まれる
・スペインが正式に救済を申し出れば、ドイツはその救済コストに加えて次はイタリアの問題にさらされることになるので、ドイツ国債の利回りが上がるのは確実
・ドイツ国債の高価格は市場の不透明感によって妥当性が裏付けられている
・ユーロ圏が解体すれば価値あるドイツマルクで返済される可能性もある
・ドイツ国債の安全性ゆえに、投資資金の管理代としてドイツにマイナス金利を支払うだけの価値はある
・ドイツ国債を取引する上で重要な問題は、ユーロ圏債務危機が悪化していった場合に、ドイツ国債などの安全資産に対する投資家の需要が一段と強まるのか、あるいはドイツが他国の債務をより多く負担して借り入れコスト上昇を招くのかという点
・足元である2012年9月は、スペインやイタリアの国債買い入れ計画の詳細が発表される可能性のある欧州中央銀行(ECB)理事会や、米連邦公開市場委員会(FOMC)といったイベントがあり、投資家の失望が生まれる余地も大きいことから、一部のファンドはドイツ国債を再び買う態勢を整えつつある
・ドイツ国債の見通しが悪化した場合、オランダやオーストリアのCDSの方がドイツのCDSよりも動きが急速になる可能性がある

新興国債券に注目集まる


WSJの2012/9/4付の記事「【バロンズ】新興国債券の新戦略」では、新興国の債券に注目が集まり「財政に対し責任を持つよう新興諸国に強いることになった1990年代の通貨危機を考えると、これらの国の債券は大躍進を遂げた」と評し、「記録的な資金が流入している」こととその背景を伝えています。

GDPに対する債務比率の平均は先進諸国ではほぼ100%となっている一方、「新興国の場合、債務のGDP比率は34%に過ぎない」。「「新興国市場」はもはや「ジャンク」とは程遠く、こうした諸国の信用格付けは引き上げられている」とコメントされています。「JPモルガン新興国市場債券インデックス・グローバル・ディバーシファイドを構成する債券のうち約3分の2は現在、投資適格級となっている」とのこと。

多くの投資家が注目している結果、「好機を見つけるのはますます難しくなっている」と指摘。
残されたのが2つの選択肢で、「通貨エクスポージャーを含む現地通貨建てのソブリン債」と、「ソブリン債ほど流動性が高くはなく、相場の変動がずっと大きいことが多い社債」とのことです。

積立型個人年金保険を購入する前に気を付けたい4つの事項

日経の「いつかは経済自由人!」の2012/9/4付の記事「金融商品「目の錯覚」にご注意 編集委員・田村正之」では、積立型個人年金保険の表面上は特に見えるが気を付けておきたい事項について対話式で説明しています。

積立型個人年金保険で、「『予定利率は2%を超え、業界でも指折りの高さです。例えば50歳から毎月2万円、15年間積み立てていただくと、積立総額は360万円ですが、15年後に一括受け取りの場合、378万円に増えます。銀行預金よりお得」といった(よくある)営業トーク。
気を付けるべき点は何か?

記事では、次の4点を指摘しています。

①保険商品の予定利率が適用になるのは原則的に純保険料の部分だけ
保険には純保険料(保険金や給付金の支払いに充てる保険の原価)と付加保険料(保険会社の経費・利益、保険者にとってのコスト)に分かれるが、予定利率が適用されるのは純保険料のみ。
純保険料の割合は、「商品によって全然違うので一概にいえないけど、半分くらいの場合も結構ある」とのこと。すなわち、「払ったお金全体に対する実質的な利回りは、予定利率の数字に比べてはるかに低くなるのが通常」となります。(実は販売員でさえ違いをはっきり認識していない人がいるということ。「マネー関係のメディアでも『○○商品の予定利率は○%で、銀行預金より高い』とかミスリーディングな紹介」されていたり、保険の営業員が予定利率を勘違いしているケースもあるようですので、注意が必要)

②時間価値を考慮する(積立総額に比べて18万円増えるのは15年後)

複利での利回りは年約0.7%。
(一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で積み立てた場合、将来いくらになるかを計算する。『年金終価係数』という考え方です。

参考:マネーの知恵(仮)2011/1/8 単利 複利 現在価値 について(ファイナンスの基本)

③途中解約せずに満期まで持つつもりなら、預貯金じゃなくて国債と比べるべき

世の中の金利の基準は国債。そして、「国債の利回りは、期間が同じ預貯金の利回りより通常はるかに高い」。「金利が過去最低レベルにある今でさえ、10年物国債の利回りは年約0.8%」と説明されています。
さらに「この保険型商品は15年なので、10年物国債より本来は利回りが高くてもいいのにそうなっていない」と指摘。
また、「個人向け国債のような特殊なものを別として」、価格変動リスクはあるが、「満期まで持てば額面が返ってくる」。
「保険型の貯蓄商品の多くも、中途で解約すると手数料などで元本を割り込むことが多い」という点も注意が必要です。

④足元の経済状況がずっと続くと思い込んで商品選びをしてしまうこと(現在だと、低金利・デフレ)

「日銀は、前年比1%の消費者物価上昇率が2014年度にも達成できるという見通し」を示しているが、インフレが年に1%続いた場合の15年後の積立総額の378万円は、現在価値で「約325万円」になるということ。
経済見通しは不確実であり、「セオリーは、確定利回りの商品を使う場合はあまり長い期間のものは選ばない」という考えが示されています。
長期の経済動向は分かりません。現在は1%を割る長期金利も、「1990年以降2011年までの平均でさえ、長期金利の平均は実は約2.5%。00年以降11年まででも1.4%」。

上記の点には注意しつつ、「確定利回りの商品は、安定的に資産を増やしていける利点もある。様々な資産に幅広く投資する中で、確定利回りのものを一部入れておくのは別に悪くない」し、「年金保険には年金保険料控除っていう税制面の優遇もある」という解説がされています。
(筆者注:保険の営業員は、保険をより多く販売することが自らのコミッションになります。そのため、顧客の資産全体のバランスを考えずに、より多く販売しようという姿勢が見られることがあります。この点にも注意が必要です)

他に、錯覚してしまいがちなのは「特に多いのは外貨建て商品」があるとのこと。
(筆者注:このシリーズは期待出来ます!)

2012年9月4日火曜日

CFOという仕事 スキルレベルに比べてリターンが大きい(今井隆志氏)

日経ビジネスの2012/9/4付の「外資トップが教える 経営の科学」でのエース損害保険株式会社元代表取締役社長兼CEOの今井隆志氏の記事「第8回 CFOはとてもお買い得なポジション」は、CFOについて論じています。

CFOはChief Financial Officer(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)のことで、最高財務責任者と略されます。
今井氏は、「外資系企業に移って最初に気付いたことのひとつは、財務系のポジションの優遇のされ方」で、CFOが「強大な権限」を持っていることだったと語っています。
外資系企業の「利益の絶対額に対する要求の方がはるかに大きい」という「利益偏重が、CFOの強大な権限の裏付け」とのこと。
「大学で微分方程式や複雑な物理現象を理論化することを学んできた」という今井氏の視点では、「私の独断ですが、CFOは要求されるスキルレベルに比べてリターンが大きい」ということです。

(外資系企業では、)「社長の多くが高いレベルの財務や経理処理の知識を習得」しているため、「CFOはそれらの分野の実務を忠実かつ正確にこなしてくれればいい」というポジションで、「CFOから社長」は少数ということ。
また、「CFOの中には人心掌握などのスキルがあまりない人が多いのも、私の実感」だと語っています。

ビジネススキルとして、「財務・経理の分野を社長として理解しておくためには、複式簿記の完全な理解は必要」だということです。

財務的な方法の理解のためには下記の2冊が紹介されています。

リチャード・ブリーリーらが書いた「コーポレート ファイナンス(第8版)上」
(筆者注:海外MBAのファイナンスの授業で多くの学校で教科書になっている本。分量は多いが説明が分かりやすいという評判です。既に理解している人には説明が冗長な部分もあるかもしれません)

コーポレート ファイナンス(第8版) 上
リチャード・ブリーリー スチュワート・マイヤーズ フランクリン・アレン
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ベニンガの「フィナンシャル・モデリング」
(筆者注:日本語版絶版のため下記は英語版。ファイナンス理論の幅広い具体的な計算をエクセルで学べる1冊です)

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2012年9月3日月曜日

独立行政法人の理事・理事長の報酬総額は61億4313万円


独立行政法人は、「かつて中央省庁傘下の特殊法人などが一連の行政改革で看板を掛けかえた、一定の行政サービスを行う法人組織」で、いわゆる「官僚の天下り組織の代表格」になります。

理事長の年収が2000万円を超える独立行政法人は、16法人にのぼるとのこと。
1位は、経済産業省所管の産業技術総合研で2296万円。
2位は、厚生労働省所管の国立病院機構の2277万円。
3位は、経済産業省所管の日本貿易保険で2229万円。
以下、年金・健康保険福祉施設整理機構(厚生労働省所管)、情報通信研究機構(総務省)と続きます。

各理事長の前職は、
産業技術総合研究所=民間銀行職員
国立病院機構=国立病院の理事長
日本貿易保険=経済産業省の官僚
年金・健康保険福祉施設整理機構=大学病院の教授
であり、「国民からの批判をかわすための策略なのか、このように理事長には所管官庁のOBではなく、外部から人材を招聘している例が多い」とのこと。

「その分、一般の理事は官僚OBががっちり固めている」ということです。
理事の年収も高額で、1位の経済産業省所管の産業技術総合研は1859万円ということ。

全97法人全体の理事・理事長の報酬総額は61億4313万円ということです。

「独立行政法人を含めた行政改革と、無駄の削減に強い関心をいだくべき」としています。

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2012年9月2日日曜日

30-40 歳代の「資産形成層」の金融面の特徴と顧客ニーズは何か


日本リサーチ総合研究所の調査研究部・主任研究員 藤原裕之氏による2012/9/1付レポート「資産形成層をどう開拓するか~「販売の論理」から「顧客の論理」への転換:金融経済レポート」は、「資産形成層」の特徴について分析されています。

「金融業界は、高齢世代をメイン・ターゲットに置く一方、資産形成層に対して必ずしも十分なマーケティング展開を行ってこなかった。切実な問題を抱える資産形成層にどれだけ付加価値を提供できるかが、金融機関の重要なテーマ」であるとしています。

「資産形成層」とは、ある程度貯蓄が出来て資産形成の入り口に立っている層、つまり 30-40 歳代を指すことが多いと定義しています。
「資産形成層」の 30-40 歳代は、「年金受給の引き上げ、年功賃金の崩壊などを受け、老後の暮らしに備えた資産形成が従来の同世代以上に求められている」ということです。

資産形成層の特徴は下記のポイント。
・「40 歳代と比較して 30 歳代は世代内の格差が大きい」
・「貯蓄に占める預貯金の割合は 30 歳代で約 6 割、40 歳代で約 5 割」で一方「株式の保有比率は 30 歳代で 4%、40 歳代で 5%と低く、趨勢的にも低下傾向」
・バランスシートは厳しい状況で、住宅購入の影響で、「貯蓄額から負債額を引いた純貯蓄額をみると、30 歳代はマイナスの状態(負債が貯蓄より多い)、40 歳代もわずかにプラスになっている程度」
・「元本割れ商品」に対する保有意向を尋ねると、約 8 割が「全く保有したいと思わない」⇒レポートでは、「預貯金重視・元本保証重視の強まりには、ここ数年の市況悪化が影響していると思われるが、根底には、将来不安など資産形成層の抱える構造問題があることは確実だろう」と分析
・金融商品の保有目的は「病気・災害への備え」「子供の教育資金」「老後の生活資金」の 3 要素にほぼ集約。40 歳代になると「子供の教育資金」が増加

資産形成層に対して金融機関が真の顧客志向を発揮する要素として、下記の4つが挙げられています。
①顧客のライフイベントを把握する
ライフサイクル上の様々なイベント(結婚、住宅購入、子育て・教育、退職、老後といった一般的なイベントや、病気、災害、解雇、転職、起業などといった特別な状況のもの)に応じたマネープランや適した商品サービスを提供する必要
②顧客の声とあるべき姿を区別する
顧客ニーズとあるべき姿が乖離している場合、金融機関は、顧客をあるべき姿に導く姿勢
ex.住宅購入のタイミングまで踏み込んでアドバイスするのが真の顧客サービス
③保有資産のリスクを統合的に把握・管理する
顧客との対話を通じ、顧客の保有商品を把握し、顧客に最適な運用プランを提示
④ネットを活用したサービスの拡充
先の保有商品の把握もネットを活用すればスムーズに進む可能性
金融機関の選択理由として、資産形成層は「インターネットによるサービスの充実」を挙げる人が多い


本レポートでは、

「家計の金融行動に関する世論調査」金融広報中央委員会

「家計調査」財務省

のデータが使用されています。

消費増税でも財政収支はマイナス、国の対GDP債務残高は改善せず


マネーの知恵(仮)の2012/9/1付の記事「消費増税でも財政収支はマイナス、国の対GDP債務残高は改善せず」では、政府が2012/8/31に公表した、「経済財政の中長期試算(平成24年8月31日)」の2013年度からの財政運営の基本指針と中長期の財政見通しについて見ています。

経済成長率、プライマリーバランスの推移、政府債務の対GDP残高比の10年間の見通しを、内閣府の公表している図表とともに示しています。
シナリオは強気・慎重の2つですが、いずれにおいても、プライマリーバランスを20年度に黒字にする目標には届かないものとなっています。日経では、「PB黒字化という目標達成に向けて追加増税に関する議論が活発になる可能性が高い」との見通しを伝えています。

関連記事:
・消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要(2012/8/23

・日本の国債相場が安定している理由(2012/8/15

・消費増税法を巡る与野党調整の難航に市場は敏感に反応(2012/8/20


2012年9月1日土曜日

英エコノミスト誌 「2050年の世界」 科学、政治、人口、経済、女性、などの20の分野で2050年までの世界を予想

エコノミスト誌の編集者や記者が各章を分担して執筆した、英エコノミスト誌編集の著書「2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する」では、「英エコノミスト誌が、総力をあげ、科学、政治、人口、経済、女性、などの20の分野で2050年までの世界を予想」しています。

章立ては下記の通り。
第1部 人間とその相互関係
 第1章 人口の配当を受ける成長地域はここだ
 第2章 人間と病気の将来
 第3章 経済成長がもたらす女性の機会
 第4章 ソーシャル・ネットワークの可能性
 第5章 言語と文化の未来
第2部 環境、信仰、政府
 第6章 宗教はゆっくりと後退する
 第7章 地球は本当に温暖化するか
 第8章 弱者が強者となる戦争の未来
 第9章 おぼつかない自由の足取り
 第10章 高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか
第3部 経済とビジネス
 第11章 新興市場の時代
 第12章 グローバリゼーションとアジアの世紀
 第13章 貧富の格差は収斂していく
 第14章 現実となるシュンペーターの理論
 第15章 バブルと景気循環のサイクル
第4部 知識と科学
 第16章 次なる科学
 第17章 苦難を越え宇宙に進路を
 第18章 情報技術はどこまで進歩するか
 第19章 距離は死に、位置が重要になる
 第20章 予言はなぜ当たらないのか

ブログ「官庁エコノミストのブログ」では、「かなり楽観的な方向を示している印象」と評しています。やや疑問に感じる項目もあるとしながら、知らない分野については目から鱗が落ちまくりで、興味深いとコメントされています。

内藤忍さんのブログでは、「経済だけではなく、医療、自然界、宇宙開発、宗教、言語と幅広い分野をカバーしており、各章にコンパクトにまとめられて」おり、「面白さは、結論に至るまでに提示されているデータ」にあり、「そのプロセスから、様々なヒントを得ることができる」と評価されています。

ブログ「そのスピードで」では、著書内に掲載されているデータの一部がコメントとともに紹介されています。

日本については存在感の低下により、決して明るくない未来が予測されています。
2050年の日本人の平均年齢は52,7歳。
人口一人当たりのGDPは、米国を100とすると、韓国は105、日本は58。この時点でのG7は、中国、アメリカ、インド、メキシコ、ロシア、ブラジル、インドネシアで日本は入っていないとされています。

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する
英『エコノミスト』編集部 船橋 洋一
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