インデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏のブログでは、2012/9/4-5でのバンガード本社への視察ツアーについての記事が掲載されています。
ブログ記事:
2012/9/14 バンガード社は群馬県にある典型的な日本企業、というイメージの会社でした
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-1713.html
2012/9/16 成功報酬がないのに、本当に満足度は高いのか?(バンガード社探訪記)
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-1714.html
2012/9/16 ファンド資産が増える ⇒ 手数料が下がるの摩訶不思議・・(バンガード社探訪記)
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-1717.html
バンガードは米国のETFの運用会社の大手です。
Wikipediaの説明では、「1976年にバンガード・グループ創業者ジョン・C・ボーグルにより個人投資家向けに世界初のインデックスファンドが発売された。「長期・分散・低コスト」での投資を提唱している。バンガード・グループ元社外取締役に『
ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者の現プリンストン大学経済学部長バートン・G・マルキール、現社外取締役としては『
敗者のゲーム』の著者のチャールズ・エリスがいる。」ということ。
バンガード本社の場所はペンシルベニア州Malvern。
運用資産額は約2兆ドル(およそ160兆円)で、約39%は、アクティブ・ファンドの運用、残り61%が、インデックス・ファンド(ETF含む)。
バンガードの商品をダイレクトに購入している人たち)はおよそ43%、「機関投資家等」が約67%の資産残高比率。確定拠出年金(401Kプラン)を通じての購入は、「実際に投資信託を買っているのは個人ですが、バンガード社にとっての顧客は「企業」」になり、また、アドバイザーを通じての購入も含めて「機関投資家等」とされています。
43%の「純粋な個人投資家」の資産の残高ベースでおよそ45%を占めているのは、預かり資産100万ドル以上の富裕層で、富裕層の約半分は75歳以上ということです。
以下、内容のサマリーです。
・低コストとバンガード社の理念「クライアント・ファースト」(顧客第一主義)
Low cost is a critical success factor.(低コストこそが、成功の根幹である)
・温和でゆったりしている社員が多い。
「私たちはウォール街の ガツガツ系の運用会社とは違うのです。」(バンガードの幹部)
「会社の理念が日常ベースで共有されている雰囲気」で、「ひとつのコミュニティ(共同体)」が会社内で形成されていると感じられたとのことで、「古きよき日本の会社」のようであったということです。
・個人顧客の4つのカテゴライズ
「Personal Investor」・・預かり資産が5万ドル以下。口座管理手数料として年20ドルが必要
「その他」では預かり資産によって、「Voyager Services」、「Voyager Select Services」、「Flagship Services」
と分けられる。口座管理手数料はなし。
「Voyager Select Services」以上のプランでは、CFPの資格を持ったファイナンシャルプランナーのアドバイスや書面交付がある「ファイナンシャルプラン」作成サービスが無料で受けられる(、「Core」「Voyager Services」では有料)。個々のアドバイザーに「成功報酬のインセンティブ」はない。
「Voyager Select Services」と「Flagship Services」の顧客には「ラップ口座」のサービスもある。
アドバイザーが具体的にポートフォリオを組み、当てはめるファンド、ETFについても助言。「投資助言サービス」
かつ、「資産管理サービス」のようなもの。
・全てが自前
アドバイスのCFP、コールセンターは社員が担い、印刷工場、データセンターは全て自前。R&D(研究開発センター)も本社に併設。
カン氏は、「サービスの質を維持・向上させたい、また、顧客情報を、責任を持って管理したいという気持ち」を感じたと述べられています。
・アクティブ・ファンドも低コスト
米国のアクティブ・ファンドの平均年間経費率は 1.15% だが、バンガードのアクティブ・ファンドの平均は 0.28%。
・ファンドの規模によってコストを安くしていく
「資産が大きくなって収入が増えてコストを上回ってくれば、それぞれの投信の決算期ごとに、その分、エクスペンス・レシオを引き下げて投資家に還元」する仕組み。
『かかったコスト(実費)だけしかもらわない実費経営がバンガードの基本』(バンガード・インベストメンツ・ジャパンの加藤隆代表)。
日本の保険会社のように、「バンガードのファンドを保有する人(ファンド保有者)が、バンガードという会社そのものを「所有」」する。そのため、「ファンド保有者のほうだけを向いて経営が出来る、つまり、実質的に「実費経営」が可能になる」とのこと。
ex 「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)の年間経費率は 0.06%
「バンガード・MSCI・エマージング・マーケッツETF」(VWO)の年間経費率は 0.20%
・インデックス運用の運用力
「浮動株調整後の時価総額加重平均を採用した指数こそ、インデックスファンド(含むETF)の運用にふさわしい指標である」(株式チームのSandipさん)
流動性の高さ、広範な分散の重要性。「浮動株調整後の時価総額加重平均を採用した指数でも、低コストでプロダクトが組成できなければ、それは商品になり得ない」。
「i シェアーズがETFの百貨店だとすると、バンガードはやはり「セレクトショップ」のイメージ」とのこと。
関連リンク:
バンガードインベストメンツジャパン
2012/3/21
日本経済新聞電子版に掲載されたコラムいつかは経済自由人!「日本と大差、米巨大投信「顧客本位」の秘密」(バンガードインベストメンツジャパンのページに全文掲載)
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