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2012年9月12日水曜日

中長期の経常収支の見方について(内閣府より)

内閣府の「中長期の経常収支の見方について(平成24年9月11日)」では、経常収支の今後の中長期的、構造的な行方をどうみるか、経常収支の政策的意義付けは何かについて、慶應義塾大学経済学部教授の吉野直行委員が内閣府の協力を得て、取りまとめを行っています。
報告書一覧:http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/houkoku/houkoku.html
本文PDF:http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/houkoku/pdf/keijoshushi_1.pdf
図表PDF:http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/houkoku/pdf/keijoshushi_2.pdf

概要は下記の通りとなっています。(冒頭の概要分より一部追加)
1.問題意識と考え方の枠組み
・ 貿易収支赤字化の意味、経常収支の今後の中長期的、構造的な行方、経常収支の政策的意義づけ等を検討、考え方を整理
・ 経常収支の中期的な検討のために、家計・法人企業・一般政府の各部門のの貯蓄投資差額を合計した「貯蓄投資バランス」の観点から検討。
・ 民間機関・国際機関の経常収支の見方は様々(赤字化から黒字維持まで)
*日本の経常収支の見通しについて、「国際機関については、OECD は赤字化する(2020 年対 GDP 比▲0.3%程度3)と見る一方、IMF は縮小するものの黒字は維持される(2017 年対 GDP 比 1.9%程度4)」と見方が分かれていると指摘。

2.経常収支の動向とその背景
・ 2011 年貿易収支は赤字化したが、所得収支は大幅黒字であり、経常収支も黒字を維持
・ 貯蓄投資差額は、企業は大幅な貯蓄超過、家計は小幅な貯蓄超過、政府部門は大幅な投資超過(財政赤字)

3.中長期的な経常収支の見方に係る論点
3.1 構造要因に関する論点
・ 構造要因1 家計の高齢化:高齢化により貯蓄率は低下傾向にあるが、投資率低下(家計の純投資も減少)によりその影響は一部相殺され、合わせると高齢化の進展が貯蓄投資差額に及ぼす影響は不確定。ただ、高齢化は投資よりも貯蓄に大きく影響するとの実証結果がある
・ 構造要因2 高い企業貯蓄水準と潜在成長率低下による投資意欲の減退:潜在成長率の低下によって低迷していた投資が経済活性化により増加し、貯蓄超過が縮小する可能性(政策努力もあってデフレが脱却でき、期待成長率の上昇により企業活動が徐々に積極化し経済が活性化した段階という前提)
・ 構造要因3 財政健全化への取組:財政健全化を着実に進めることで投資超過幅が縮小。ただし現在、財政や社会保障の将来不安によって家計部門の貯蓄が行われているとしたら、財政健全化により将来不安が軽減され、民間貯蓄が減少する可能性がある点に留意が必要
・ 構造要因4 企業の海外移転:海外移転の影響は貯蓄・投資両面にあり経常収支への影響は不確定(海外移転は国内投資の減少を通じ、貯蓄投資差額を拡大させる。他方、国内投資の減少は、資本ストックの伸びを低下させるために潜在 GDP を低下させ、その結果、貯蓄を減少させるようにも作用するため)
・ 構造要因5 世界の経常収支の推移:日本の貯蓄投資バランスは世界の実質金利により決定。中国や米国の不均衡、産油国の動向に留意

3.2 2011 年のショックの性格付け
・ 生産性へのショックが一時的なものの場合、経常収支の悪化は大きいが影響は一時的。恒久的なショックの場合は、家計の最適化行動を通じて経常収支の悪化は小幅。2011 年のショックは両方の側面(鉱物性燃料を恒久的とすればそれぞれ半々)。

3.3 所得収支
・ 所得収支の黒字幅は、直接投資比率の上昇により拡大の可能性

3.4 小括
・ 高齢化によって中長期的に経常収支の黒字は縮小傾向にあると思われるが、縮小テンポは貯蓄や投資に影響を与える景気動向や制度改革、更には財政健全化等の要因に依存。
・2011 年の貿易収支赤字化には一時的な要因もあり、これが定着するとは必ずしも言い切れない。

4.経常収支の持つ意味
・ 短期的には緩衝剤の側面:震災時には収支悪化(エネルギーや不足する物資の輸入増加)により国内経済の下押しを緩和し経済厚生の低下が抑制
・ 経済厚生と経常収支の黒字・赤字に直接の関係はないが、経済厚生の低下はそれ自体問題として取り組むべき
・ 市場が注目する指標である経常収支はチェックすべき指標の一つであるが、それで捉えられないリスクも存在
・ 経常収支の動向にかかわらず財政健全化は着実に進めるべき

なお、足元の動向は、2012/9/10付で第一生命経済研究所・経済調査部による「国際収支(2012年7月)~経常黒字は当面低水準での推移が予想される~」で解説がされています。
定例経済指標レポート:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et12_146.pdf

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