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2012年9月30日日曜日

理念への共感を呼び少しずつ根付く直販の独立系投信 運用規模や実績が課題


日経の投資の知恵袋 2012/9/29付の記事「直販投信コツコツと 運用期限設けず長期保有向き 独自の理念、実績も確認」では、直販投信の現状と課題を探っています。
直販投信は、運用会社が証券会社などの販売会社を通さずに、運用会社が投資家に直接販売する投資信託です。独自の運用理念や長期保有向けの商品性などが特徴となっています。

直販投信の代表格は、さわかみ投信が1999年に設定した「さわかみファンド」。「個人投資家が長期に資産形成するのに最適な投信がなかったため、自ら立ち上げた」(沢上篤人会長)とのこと。

その後、2000年代に相次ぎ直販投信が登場しています。

「短期志向で販売会社を重視する姿勢が目立つ既存の投信に対する問題意識が原点にある」(セゾン投信の中野晴啓社長)と言い、既存の投信の問題意識により立ち上げられた投信も多くあります。
直販投信は長期保有しやすい商品設計になっており、主な直販投信は毎月、定額を積み立て購入できるようになっています。
一般の投信は運用期間を5年や10年など限定するものも増えていますが、直販投信は基本的に期限を設けないで永続する設計になっています。
手数料の点では、投信評価会社のモーニングスターによると、「公募追加型投信の平均の販売手数料は購入額の2.75%」。直販投信は購入時の手数料である販売手数料を取らないように設計しています。
また、多くの独立系投信では、投資家向けセミナーなどを積極的に開催しており、運用会社の「顔」が見えやすいという特徴もあります。
運用戦略もそれぞれに特色があります。

(2012/9/29日経を基に作成)
運用会社 / ファンド名 / 設定時期 / 投資対象 / 信託報酬 / 残高(2012/8末)
さわかみ投信 / さわかみファンド / 1999/8 / 日本株 / 1.05% / 1987億円

ありがとう投信 / ありがとうファンド / 2004/9 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.60%(資産構成により変動) / 76億円

セゾン投信 / セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド / 2007/3 / 国内外の株式・債券で運用する複数の投信 / 0.74%(資産構成により変動) / 458億円
セゾン投信 / セゾン資産形成の達人ファンド / 2007/3 / 国内外の株式・債券で運用する複数の投信 / 1.30%(資産構成により変動) / 59億円

クローバー・アセットマネジメント / 浪速おふくろファンド / 2008/4 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.65%(資産構成により変動) / 6億円
クローバー・アセットマネジメント / かいたくファンド / 2008/4 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.60%(資産構成により変動) / 4億円
クローバー・アセットマネジメント / らくちんファンド / 2008/4 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.60%(資産構成により変動) / 4億円

レオス・キャピタルワークス / ひふみ投信 / 2008/10 / 日本株 / 1.029% / 24億円

ユニオン投信 / ユニオンファンド / 2008/10 / 国内外の株式で運用する複数の投信 / 1.90%(資産構成により変動) / 13億円

コモンズ投信 / コモンズ30ファンド / 2009/1 / 日本株 / 1.2075% / 17億円

鎌倉投信 / 結い2101 / 2010/3 / 主に日本株 / 1.05% / 19億円

(関連記事)
2012/4/3 マネーの知恵(仮) 「日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。」藤野英人:レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)/著(備忘メモ)


課題は、純資産額(残高)の規模がまだ小さいことです。投資信託協会によると、2012年8月末の直販投信の残高の総計は公募投信全体の0.6%ということです。
運用会社の収入は運用残高に比例するので、さわかみ投信を除くと赤字経営の運用会社が多く、運用が続けられるかどうかも課題です。(*運用会社が倒産しても、不正がなければ、運用者が預けている資金は別管理されているので守られます)

販売チャネルを広げるため、コモンズ投信はソニー銀行で販売を始めたり、レオスは直販投信と同じ運用内容の別のファンドを設定しSBI証券で販売するなどの取り組みが始まっているとのこと。

また、運用理念に魅力を感じて直販投信を買う個人投資家も多いとされていますが、注意点もあります。
モーニングスターの朝倉智也社長は「ファンドマネジャーが代わったときは運用理念や方針に変化がないか、注意が必要だ」と指摘しています。
ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏も「理念に共感できるかだけではなく、投資プロセスや運用のスタイル、体制、成績なども含め総合的にみることが大切だ」と指摘しています。

ブログ「日本ファミリーオフィス協会」の2012/9/29付の記事「直販投信は広まるかー目立つパイオニア「さわかみ投信」の不振」では、「さわかみファンド」の過去3年のパフォーマンスはマイナス24.27%で、日経平均以下。ひふみ投信が過去3年でプラス9%と健闘、コモンズはマイナス9%。「投信は成績よりも残高で報酬が決まるので、圧倒的にさわかみ投信が利益が出ている」結果となっています。小規模で多くの投信運用会社が赤字の状況について、「やはり「事業」としてするのだから、利益が出ないと続かない。顧客にも迷惑をかけることになる」とし、「理念は素晴らしいのだが、まずは結果を出さないと直販投信そのものが信用をなくし、広まることもないのではないか。あくまでも投資なのだから、澤上さんがよく言っていたように「儲けてなんぼ」だ」と指摘をしています。
記事URL: http://ameblo.jp/jfoa/entry-11367234989.html

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