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2012年10月2日火曜日

孫さんは損する?損しない?破格のプレミアム245%。 ソフトバンクによるイー・アクセス買収

マネーの知恵(仮)2012/10/1付の記事「孫さんは損する?損しない? ソフトバンクがイー・アクセスを破格のプレミアム245%で買収」では、ソフトバンクのイー・アクセスへの買収について、株式交換の交換比率について考えています。

以下、転載します。


ソフトバンクが株式交換によりイー・アクセスを100%子会社化することが公表されました。
直前の最後にイー・アクセスの株を買った人は、一夜にして3.45倍になりました。

○ソフトバンク 2012/10/1
ソフトバンク株式会社による株式交換を通じてのイー・アクセス株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

ソフトバンク・プレゼンテーション資料「ソフトバンクとイー・アクセスの経営統合について」(PDF形式:5.90MB/58ぺージ)

財務アドバイザーは
ソフトバンクはみずほ証券とプルータス・コンサルティング
イー・アクセスはゴールドマン・サックス(GS)
となっています。
ゴールドマン・サックスは関連会社を通じて、イー・アクセス株式の約 30.5%の株式を保有しています。ゴールドマン・サックスの財務アドバイザリー‐チームは、イー・アクセス株式を保有するゴールドマン・サックスの関係会社より独立して行為できるように、情報隔壁を設営したと説明がされています。
(とは言え、売り主と利害関係があるGSだけからの算定評価では怪しいので、)イー・アクセスは、UBS 証券株式会社からも、一定の前提条件のもとに、合意された株式交換比率がイー・アクセスの株主(ソフトバンク及びその関連会社を除く。)にとって財務的見地から妥当又は公正である旨の意見書(「フェアネス・オピニオン」)を合わせて取得したとしています。(*ただ、GSは株主として高く売却したい立場と売り主のアドバイザーとしてより高く評価されるよう交渉する立場で利害は一貫しているとも言えます。買い手のソフトバンクのアドバイザーであればGS内で利益相反があり問題ですが)

イー・アクセスの直近 15,070円の株価のところ3.45倍の 52,000円と評価されています。時価総額では約1800億円の評価がされています。
ソフトバンクのプレゼンテーション資料P33によると、
イー・アクセスを買収する企業価値は、株式価値 1802億円、有利子負債 1849億円で3651億円となります。
ソフトバンクにとって、下記の通り、7220億円の価値があり、「正当な価値」と説明をしています。
(7220億円の内訳)
・SBへのシナジー(想定)(顧客基盤の強化、ネットワークの共用、その他 経営効率化によるFCF増加額の現在価値)が3600億円(ソフトバンクにとってのアップサイド)
・顧客獲得コスト(モバイル 契約数 420万人×3万円/契約、ADSL 契約数140万×0.7万円/契約) 1360億円
・設備投資額等(減価償却後) 2260億円
(*買い手のソフトバンクにとって7220億円の価値があるため、7220億円以内の支出であれば買い手にとって合理的な評価額ということになります。一方、売り手のイー・アクセスにとって、顧客獲得コスト、設備投資額等で1360億円+2260億円で3620億円の価値が既にあると評価できるため、買収する企業価値3651億円は売り手の株主にとって合理的な評価額ということになります。)

開示資料では、「ソフトバンクとイー・アクセスは、イー・アクセスの現在の株価と、イー・アクセスが保有する①移動体通信サービスのネットワーク、②顧客基盤、及び③ソフトバンクモバイルとの間で創出が見込まれるシナジー等を総合的に勘案し、両社協議の上、イー・アクセスの普通株式の評価額を決定」したと説明されています。

ソフトバンクの直近株価1 株 3,108 円で割ると交換比率は16.74、すなわち、承認手続等の後、イー・アクセスの株主にはソフトバンク株が16.74株割り当てられます。1株に満たない端数はキャッシュで精算されます。

みずほ証券とプルータスは、「DCF 法による算定において前提としたイー・アクセスの将来の利益計画には、大幅な増益を見込んでいる事業年度を含んでおりますが、これは主として、営業力強化による販売数量増及びバックボーンネットワークの共用等による増益を見込んでいるため」に市場株価基準法、類似企業比較法よりはるか上にDCF 法 のレンジがあります。
実際に決定された交換比率16.74は、DCF法でのみ算定レンジに入っています。
みずほ証券のDCF法のレンジは15.55~22.71、プルータスのDCF法のレンジは13.502~19.072。

一方、GSは、「DCF法による分析に用いたイー・アクセスの業績見込において大幅な増減益を見込んでいる事業年度はありません」ということです。
GSによる株式交換比率の算定レンジはかなり広くなっています。(*算定レンジが広くなっている理由は不明です)
市場株価分析 3.92   ~ 7.07
類似会社比較法 0.22 ~ 16.87
DCF法(永久成長率法) 6.42 ~ 15.60
DCF法(マルチプル法) 7.10 ~ 18.01
実際に決定された交換比率16.74は、類似会社比較法、DCF法(マルチプル法)で算定レンジに入っています。
開示資料では、「類似会社比較法において比較対象とした会社は、いずれもイー・アクセスと直接的な比較対象となるものではありません」と記載があります。(*実際にどうなのかは分かりませんが、上限がみずほ・プルータスの算定レンジよりかなり上をいっており、「比較対象とした会社がイー・アクセスと直接的な比較対象となるものではない」ということは、高いマルチプルの会社を比較対象としてこじつけで選んだとも見て取れる記述です)
(*開示資料からは、「イー・アクセスの業績見込において大幅な増減益を見込んでいる事業年度はありません」としている計画に基づくDCF法の上限が、みずほ・プルータスの「大幅な増益を見込んでいる事業年度を含んでいる」計画に基づくDCF法の上限より大きく上回っている理由は不明です)

(*質疑応答でのi phone5の影響がきっかけとなったという本音が本当であるとすると、普通に考えると、GSがイー・アクセスの買収をソフトバンクに売り込みをしていた中、孫社長が「腹をくくった」タイミングであったというところでしょうか。買った価格が吹っかけられたものかどうかは、シナジー効果が実績として実を結ぶかどうかに掛かっています。)

*記事アップデート

2012/10/2「ソフトバンクによるイー・アクセス買収は孫社長の素早い決断 発表翌日の株式市場は高評価



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