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2012年10月12日金曜日

日本国債の金利上昇で銀行の損失 金利1%上昇で6.4兆円、2%上昇で13.3兆円


ロイターの2012/4/19付の記事「金融面の不均衡みられず、金利1%上昇で銀行保有債券に損失6.4兆円=日銀」では、国債の金利上昇が銀行の保有する国債へ与えるリスクの日銀の試算を伝えています。
ロイター記事: http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE83I05820120419

全期間の金利がフラットに1%上昇の場合の国債の評価損は、大手行が3.4兆円、地域銀行で3.0兆円。
同じく一律で2%上昇した場合、国債の評価損は、大手行が7.3兆円、地銀が6兆円との試算となるということです。

日銀 金融システムレポート(2012年4月)PDF:
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr120419a1.pdf

レポートでは、「日本の金融システムは全体として安定を維持しており、金融面の不均衡も生じていないとの見解を示」されつつも、「日本の政府債務残高が拡大を続ける中で、「金融機関が多額の国債を保有していることには留意が必要」と指摘」がされているとのことです。
全年限の金利が1%ポイント上昇した場合の保有債券の損失額は、2011年12月末時点での計算で、大手行が3.4兆円、地域銀行で3.0兆円になると試算がされているとロイター記事では伝えられています。

日銀では、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して強力に金融緩和を推進していく方針を示しているが、その際、「金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件とする」ということです。

(*デフレ脱却を目的に物価上昇を目指していますが、金利上昇を招く可能性があるということです。2012年10月現在、量的緩和の政治的な働きかけもされていますが、金利上昇リスクへの注意が必要となります。)

また、参議院の社会保障・税一体改革特別委員会で、白川方明総裁は国債の金利が一律で2%上昇した場合に大手銀行と地方銀行が保有する国債の評価損が13.3兆円にのぼるとの試算を示しています。3月末時点の保有資産に基づく試算で、内訳は大手行が7.3兆円、地銀が6兆円であると発現しています。
白川総裁は「財政への信認が低下し、銀行の貸出金利が上がらず長期金利だけが上昇すると経済・金融への影響が大きい」「金利上昇にはいわゆる悪い金利上昇といい金利上昇があるが、悪い金利上昇、つまり、財政の信認がなくなって長期金利のみ上がる状況を是非とも避けないといけない」と指摘をしています。

白川総裁発言(第180回国会 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会 第7号 平成24年7月25日)
URL: http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/180/0159/18007250159007a.html
「本年3月末時点で日本の大手行全体、全部で12行ございますけれども、これ37.1兆円でございます。これに地方銀行、第二地方銀行、地域銀行全体でこれは17.3兆円ということになってまいります。
 仮に国債金利が一律全期間2%上昇するいわゆるパラレルシフトというケースを想定しますと、2012年3月末時点で銀行が保有する債券価格の下落幅は、大手行で7.3兆円、地域銀行で6.0兆円という計算になります。これはあくまで機械的な計算でございます。
 これがどのような影響を及ぼすかということでございます。これはどのような状況の下で長期金利の上昇が起こるかということに依存いたします。仮に財政に対する信認が失われて長期金利だけが上がってしまうというケースと、それから経済が改善し、貸出しも増えていく、貸出金利も上がっていくという状況の下で国債金利が上がってくるというケースでは状況が異なってまいります。
 当然のことながら、後者のケースですと、これは一方でプラスがございますから、マイナスとプラスがある程度時間を掛ければ相殺されることになりますけれども、仮に財政の信認が低下して長期金利だけが上がるというケースを想定しますと、これは先生が御懸念のように日本の経済、金融に大きな影響を与えます。
 影響を与えるルートでございますけれども、仮にその悪い形での金利上昇が起きますと、銀行の自己資本が減る、体力が減るということですから、当然貸出しがしにくくなってくるということになってまいります。そのことが実体経済に影響を与えてくるということになりまして、私どもとしては、そういう意味では長期金利が安定的に形成されるということが大事だというふうに思っております。」

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