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2012年10月15日月曜日
アメリカ景気の急激な悪化が心配される問題「財政の崖」とは
「財政の崖」とは、アメリカで、2013年の頭から、ブッシュ減税が切れることによる「実質的増税」と「強制的な歳出削減」のダブルパンチで崖から落下するような急激な財政の引き締めが起こってしまう可能性があり、アメリカ景気が悪くなるのではないかという問題を言います。
アメリカ経済は世界最大で、アメリカの景気は日本経済はもとより世界経済にも影響を与える大きな市場です。
欧州では財政懸念で経済は悪化しており、中国経済も減速している中、世界経済が冷え込むことが心配されています。
アメリカでは、2012年末から2013年はじめにかけて、ブッシュ前政権時代から段階的に導入した大型減税の2012年末での失効と、13年初からGDPの5%程度に相当する連邦予算の強制削減の開始が重なる、「財政の崖」と呼ばれる大きな問題を抱えています。
ブッシュ前大統領が始めた大型減税は2010年末に2年間の延長が決まり、今年末に期限が切れまる。さらに、2011年に成立した財政赤字の削減をめざす予算管理法により、2013年から2021年までの9年間で1.2兆ドル(約94兆円)の歳出削減が始まります。
大型減税の期限が切れたうえ、歳出の強制削減が始まるため、急激な財政引き締めにより、米国経済、ひいては世界経済に大きな悪影響が出ると懸念されています。
米議会予算局では、この「財政の崖」の問題が放置されれば、13年暦年の影響額はGDP比約5%に達し、GDP成長率が13年上半期に前期比年率換算▲1.3%となり、通年では前年比+0.5%にとどまると試算がされています。
大統領選挙によって現職のオバマ大統領もしくは共和党のロムニー候補が次期大統領になりますが、選挙後、赤字削減案や一部減税の延長などで緩和させるような措置が取られるとの見方が多いようです。
選挙前の合意は極めて困難とみられています。問題の回避には、減税失効の延期・歳出削減の見直しなど、米議会の対応が必要ですが、上下両院で多数を占める党が異なる「ねじれ議会」状態にあることに加え、12年11月に大統領選挙・議会選挙を控えていることなどを背景に民主・共和両党の対立が続いているためです。
スケジュールとしては、選挙終了後に一旦、数ヵ月の減税失効延期を決め、13年1月招集の新議会のもとで最終的な対応をまとめる可能性が高いようです。
一方で、何らかの対応が議会でうまくいかず、合意できなければ、年明け後の米経済は急失速するリスクがあり注意が必要です。
問題の先送りへの批判の声も出ています。
国際通貨基金(IMF)・世界銀行関連会合のため来日したガイトナー長官の発現
「先送りや延期は責任ある戦略とは思わない。その時にたやすい道と思えても、大きな問題をわが国に残すことになる。有効とは思わない」
「(11月6日の)選挙から年末までの期間に、段階的に導入できる改革の枠組みについて協議できると考えている。持続可能性を達成するのに合意すべき政策改革の規模は国内総生産(GDP)の2─3%程度。税制改革と歳出削減を組み合わせ、バランスのとれた形で実施すれば、段階的な改革を進められるとともに、投資の余地も生み出せる」
(ロイター 2012/10/11 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89A04120121011 より)
参考:
・日経 2012/10/14 今日のことば 米の「財政の崖」 迫る歳出の強制削減
・ロイター 2012/10/11 欧州情勢や米「財政の崖」問題などで認識共有=日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89A04120121011
・ウォール・ストリート・ジャーナル 2012/9/28 米「財政の崖」は避けられない運命か―オバマ氏再選の場合はこうなる
・Bloomberg 2012/9/28 米国の「財政の崖」と闘うのはロムニーかオバマか
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MB178V6JIJWA01.html
・日興アセットマネジメント アクロス・ザ・ボーダー 2012/8
http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/across-the-border/pdf/across_1208.pdf
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