記事URL: http://diamond.jp/articles/-/29917
ダイヤモンドオンライン'経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層'での記事「リフレ政策の危うさは規律喪失にある――熊野英生・第一生命経済研究所経済調査部 首席エコノミスト」(2012/12/26)では、安倍晋三首相の提唱するリフレ政策の先にある危なさが語られています。
日銀は、「国債消化は市場規律が重要である」とか、「私たちは財政ファイナンスをしてはいけない」といった婉曲的な表現をしますが、「日銀にすれば、財政規律が壊れて無制限の財政拡張が行われたときには、デフレの苦痛よりも大きな長期金利上昇と円安による輸入物価の痛みが、企業・家計を襲うことを口に出して言いたいのだろう」と、リフレ政策の弊害(副作用)の可能性について解説しています。
日銀関係者からは、「リフレ政策をやっても効かない」という金融緩和無効論もあれば、「リフレ政策をやると日本経済が破滅する」という金融政策劇薬論もあり、「金融政策は効かないけれども、場合によっては劇薬になります」と言うと混乱するが、両者のセンターラインを分けているのは、熊野氏によると、「国債消化を日銀が助けることを政府がどこまで当たり前だと思うかに依存していると考える」ということです。
熊野氏のロジックは、
①日銀が国債購入を無制限に増やして、政府の国債消化に障害が起こらないように万全を期する。
②国債消化の安心感が、政府の財政拡張を容易にさせる(財政規律の緩和)。
③財政拡張を行っても、長期金利は上昇しないとたかをくくって、財政拡張・国債増発が安易に行われる(財政規律の喪失)。
④財政再建が頓挫して、政府債務の発散が長期金利上昇や歯止めのかからない円安を引き起こす。
ということで、「ポイントは、②と③のラインがどこで引かれるかが不明確であることだ。政治主導は、それを後押ししがちである。いつの間にか③のところまで、政府の認識がモラルハザードに陥ることになる」としています。
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