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2012年12月30日日曜日

ウォールストリート金融マンの見るアベノミクス(ブログ・ウォールストリート日記より)


ブログ・ウォールストリート日記の記事(2012/12/30)「アベノミクスは日本を救う?」では、ニューヨーク在住のharry_gさんによる、「アベノミクス」についての見方を、ウォールストリートの期待値も含めて語られています。
記事URL: http://wallstny.exblog.jp/19433648/

下記、ポイントのメモになります。

・選挙戦を通じて特に注目に値するなと思った点
①選挙戦の主要テーマとして国民が選んだのは、圧倒的に「経済関連」であった
②選挙後により明確になったことですが、安倍氏と自民党の関心が、完全に2013年7月の参議院選挙に向いている
→どのような理由にせよ、安倍氏が次の選挙を睨んでいる以上、彼が実行してくる政策は、隣国への強硬姿勢の誇示と、その結果の貿易・経済活動の停滞ではなく、参院選で重要な地方票を睨んだ「バラマキ」型の財政政策と、都市部での支持を固めるための徹底した景気対策となることが予想

・金融市場は安倍政権誕生にポジティブに反応しており、日銀による追加緩和を睨んだ円相場は70円台後半から80円台後半へと一気に円安に。ニューヨークではどのような投資家が実際に日本株に興味を示しているのか
→最初に買い始めたのは、全般的にトップダウンで物を見る傾向がある欧州の投資家であり、11月後半になると、一年に一度、日本株を見るか見ないかといったアメリカのグローバル株式ファンドマネージャーからも、問い合わせが増えて来た
→そのような投資家も日本に注目し始めたという事は、それだけ変化への期待値が膨らんでいる証拠だと言える

・アベノミクスへの評価
日本経済が直面している問題の中心が、経済規模の縮小を導くデフレと、唯一の基幹産業とも言うべき製造業を苦しめる円高であることを考えると、安倍政権のどちらの政策も、流れとしては正しい方向を向いている気がする。しかし、日本国内も欧米の投資家も、まだまだアベノミクスに懐疑的であるようにも感じる

・The Economicsのトップ記事「Go on Mr Abe, surprise us」
→インフレターゲットの設定は望ましいが、その実行過程にまで細かく口を出すことで、日銀の独立性が失われるようだと、金融市場は日本市場への信頼を低下させて、金利の悪い上昇=政府負担の増加をもたらしてしまうかもしれない、と指摘
→安倍政権への提案として、日銀に対して不要に強い態度で出るのではなく、女性の社会参加を促し(確かにこれは、移民増加などよりも遥かに大規模かつ即効的に、労働人口減少の問題への対策になると考えられます)、規制緩和を促進し、また野田政権を引き継いでTPPへの参加を進めることが出来れば、安倍政権は歴史に名を残すことが出来るだろう、と指摘

・金融政策は有効か
→行き過ぎの感があった日銀バッシングは、国内では経団連からも批判の対象に。そもそも、口では強行なことを言いながら、実際の政策は現実的であることの多い安倍氏だけに、大幅にトーンダウンしている中国・韓国に対する政策と同じように、日銀についても実際どこまでプッシュするつもりなのか、よく分からない
→長年の不景気と需要の減退に慣れてしまった日本国民の中に存在する、「国内・海外ともに不景気で、需要が減少している中で、いくらカネをばら撒いたところで、消費・投資されないのではないか」、「給料が上がらない中で物価だけ上がったら、ますます人は消費しなくなるのではないか」などといった疑念は、そう簡単には払拭されない気がする

・2013年の展望
アベノミクスの金融政策如何によっては、為替レートや物価を通じて、日本経済や株式市場に大きな影響を与えるでしょう。
アメリカ経済が「財政の崖」を乗り切って、成長軌道に乗るようなことがあれば、米金利の先高感が、一層の円安の助けとなるかも。
→安倍氏が本心では何を考えているのか、どの政策をどれほど突っ込んだ形で実行する気があるのかについては、正直よく分からない。欧米からの期待値は、前回に政権を担った時のイメージが強いせいもあってか、あまり高くないと言える気がする。また、同氏の持論である憲法改正や軍事力の強化は、主要貿易相手国である中国や韓国との関係を、悪化させてしまうかもしれない。
→間違いなく言えそうなのは、2013年は今までと比較して、日本への注目が高まりそうだという事。仮に自民党が、参院選でも勝利した場合には、アベノミクスよりも一層踏み込んだ、小泉政権時に見られたような規制緩和などの政策も、期待できるかもしれない。

【関連記事】
・2012/12/28 藤巻健史氏による「アベノミクス」についての見解 「時すでに遅し」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/12/blog-post_28.html
・2012/12/27 安倍政権の金融緩和政策 その先にある危なさ
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・2012/12/27 安倍政権の'アベノミクス'が失敗するリスク要因は
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