記事URL: http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121126/331783/?ST=business&P=1
伊藤元重教授によると、2000年からの10年においてBRICs諸国は目覚ましい成長をとげましたが、過去においても新興国の中で目覚ましい成長を遂げる国は少なくなかったということです。
過去の例として、「70年代にはブラジルやメキシコなどの中南米諸国が目覚ましい成長を遂げた。しかし、80年代に入ると、中南米諸国は累積債務問題などから失速することになる。その80年代には、韓国や台湾など北東アジア諸国が急速に成長することになる。90年代になると東南アジア諸国に成長が波及」してきたことを挙げています。その後、「97年のアジア通貨危機で東南アジアや北東アジアの国々の成長は止まる。その後、中国が急速に成長を続け、中国の存在感が強」まってきているのが現在となっています。
「21世紀はアジアの時代である、というのはほとんど自明のことであると考えられている。しかしこの点についても、いちおう懐疑的に考えておく必要はあるだろう。新興国の成長が続くのであれば、人口が多い新興国が密集しているアジアの成長は続き、世界全体の中でアジアのシェアは拡大するだろう」として、「ただ、アジア通貨危機後、東南アジアの多くの国の成長率が鈍化し、そして今、中国の成長率が鈍化を始めている。アジア全体の成長率が下がり始める可能性がないとは誰にも言い切れない」と述べられています。
そして、「いつの時代にも急速に成長する新興国はあるのだが、同時に通貨危機や財政危機でおかしくなっていく新興国もある。ある程度の期間成長を続けてきた新興国は、どこかの時点で大きく躓く」という点を指摘され、「今後、新興国の多くがさらに成長を続けるということを期待することは難しい。成長する国もあるが、平均的に見れば、新興国の成長率は鈍化する」という見解が示されています。
ただし、「経済のグローバル化が進み、新興国に多くの投資資金が回るようになったことが世界経済の構造を大きく変えたとも考えられる」とも述べられ、「2000年あたりを転機に世界経済の構造が大きく変わったのか。この点について今の段階で判断することは難しそう」であると断定的な判断は据え置かれています。
*2000年代の新興国の成長は目覚ましかったが、それが今後も継続していくと安易に考えることは危険であるという文脈で理解が出来ます。
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