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2012年11月30日金曜日

日本維新の会 政権公約「骨太2013−2016」(要旨)

日本維新の会 政権公約「骨太2013−2016」(要旨)
 この20年、日本は政治の混迷にとどまらず、経済・財政、社会保障、統治機構、エネルギー、外交安全保障等のあらゆる領域で停滞、弱体化しています。既成政党は改革を唱えましたが状況は悪化するばかりです。今こそ、前例と既得権益に縛られない大改革(グレートリセット)が必要です。日本維新の会は、従来の発想を超えた視点(維新八策)で、日本を賢く強くします。

 骨太2013−2016は、維新八策の理念を政策面から再整理し、国民に明確にするために作成したものです。

 <基本方針>

 維新八策の価値観、理念に基づいて、日本を賢く強くする

 少子・「超」高齢化社会を生き延びる、したたかな日本を構築する

 自主憲法の制定

 ◇1、経済・財政を賢く強くする

 <基本方針>
・公共工事拡大路線とは異なる経済成長を目指す(名目成長率3%以上、物価上昇率2%)=競争力強化路線
・財政金融一体のマクロ経済政策を実施
・政府と日銀の役割分担・責任の所在を再構築=日銀法の改正
・財政健全化を図る=プライマリーバランスの赤字0の目標設定
・フロー課税を引き下げる(企業減税等)
・政府・自治体の予算事業を民間に開放・新規参入を促す
・農業・医療・福祉・保育の成長産業化
・自由貿易圏の拡大=TPP交渉参加、ただし国益に反する場合は反対
・労働市場の流動化
・同一労働同一条件の徹底
・女性労働力の徹底活用
・人材の育成・開発→教育改革

 ◇2、社会保障を賢く強くする

 <基本方針>
・競争政策を徹底させるための安全網
・社会保険としての受益と負担を均衡させる
・平均余命を勘案し、年金制度を再構築=高齢者雇用の創出
・公務員の身分保障をなくし、民間の高齢者が行政組織で働くチャンスを広げる
・税金投入は低所得層の負担軽減、最低生活保障目的に限定する
・社会保険料、所得課税を公平公正に徴収する
・広く薄い年金目的の特別相続税を創設

 ◇3、国家のシステムを賢く強くする

 <基本方針>

・国の役割を絞り込み(外交・安全保障、危機管理、マクロ経済政策等)、国の機能を強化する
・国の危機管理機能の強化→国から地方への指示権
・中央集権の打破=内政は地方政府へ=究極は道州制=消費税の地方税化・地方共有税(新たな財政調整制度)の創設
・内閣の機能強化=人事権・予算編成権・組織編成権(各府省の設置法をすべて政令化)の内閣への一元化
・首長と参院議員の兼職禁止規定撤廃
・省庁横断的な立場の雇用担当大臣を置く
・公務員制度改革(身分から職業へ)・徹底した行政改革=東京都政、大阪府・市政でやったことを国でもやる
・議員報酬3割カット
・議員定数3〜5割削減
・個人献金を促す制度と企業団体献金の禁止
・教育委員会制度の廃止を含む教育制度改革
・東日本大震災の復興(原発事故処理を含む)のための体制づくり=被災地知事、市町村長に復興の権限・責任を持つポスト(大臣等)に就任してもらう=霞が関職員と被災地自治体職員を合わせて被災地首長が組織マネジメントし、復興プランを強力に実行する

 ◇4、エネルギー供給体制を賢く強くする

 <基本方針>
・先進国をリードする脱原発依存体制の構築
・原発政策のメカニズム・ルールを変える=ルールの厳格化
(1)安全基準
(2)安全基準適合性のチェック体制
(3)使用済み核燃料
(4)電力供給責任・賠償責任
・電力市場の自由化
・発送電分離
・最小のエネルギーで最大のパフォーマンスを上げる最先端モデルの国へ

 ◇5、外交安全保障を賢く強くする

 <基本方針>
・したたかな日本の構築
・日米同盟の深化
・実効支配力を強化する=海防力の強化や「実質的な」防衛費GDP1%枠の撤廃
・集団的自衛権の行使や領海統治などを定める国家安全保障基本法の整備
・海上保安庁の警備力強化、自衛隊の武器使用基準の見直し
・法と正義の主張(国際司法裁判所の活用〜尖閣諸島問題については中国に国際司法裁判所への提訴を促し、日本の主張の正当性を勝ち取る)
・相互依存戦略に基づく外交・安全保障戦略=経済・技術依存関係の構築
・定見のないODA削減に歯止めをかけ、途上国との友好と経済安全保障を促進

(毎日新聞より)

【関連記事】
・2012/11/30 日本維新の会へ逆風か 党方針に混乱ぶりの露呈も
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_8740.html

・2012/9/25 橋下氏の維新の会の経済政策 構造改革で日本経済復活なるかhttp://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_1730.html
・2012/9/25 「大阪維新の会 維新八策」の最終版の全文
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_25.html
・2012/11/16 自民党政権に交代したら金融緩和推進で円安・株高が見込まれる[武者リサーチ]
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_16.html
・2012/10/26 政治家もソーシャルメディアでの情報発信手段が重要な時代に 現在の総合トップは橋下徹氏(AMN調べ)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/amn.html
・2012/10/13 日本の財政の現状を知る 財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)より
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/24.html



日本維新の会へ逆風か 党方針に混乱ぶりの露呈も

大前研一氏は政治の「第三極」の日本維新の会へ厳しい見方をしています。

大前氏は、日経BPでの連載・大前研一の「産業突然死」時代の人生論の記事(2012/11/27)「日本維新の会には失望、橋下徹氏は輝いていた原点に戻るべきだ」にて、「中身のない国政進出はやめて、大阪市長の橋下徹氏は原点である大阪に戻り、着手しかけた改革で成果を見せるべき」と主張をしています。
記事URL: http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121127/331955/?ST=business&P=1

ポイントメモ
・そもそも、大阪で素晴らしい改革に着手していた橋下さんが国政進出をこれだけ急いだことに疑問
・国政進出を焦って石原さんと組むことになると、共通項は何なのかという批判を当然浴びる。維新の会としては、非常に攻撃されやすい状況
・今の橋下さんからは、自分が明確にこういうことをやっていきたい、大阪をピカピカにすることで日本をこう変えたい、といったビジョンが消えてしまっているように見える。目の前の選挙でいかに勝つかで頭がいっぱいのようだ
・国政復帰を目論む石原さんにも問題がある。中国との関係悪化に火をつけたのは、元を言えば石原さんだ。そんな人が国政に復帰して日本を指導するかのように振る舞うのは無責任きわまりない
・現在の日本にとって重要なのは経済問題と外交問題だが、この二人はそれらの問題について何も具体的な提案をしていない。つまり国政レベルでは「ノーアイデア」

WSJの記事(2012/11/30)「日本維新の会は大丈夫か」では、日本維新の会の混乱ぶりを露呈したを報じています。
記事URL: http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/15668/

WSJが報じている混乱ぶりが露呈したと見たのは下記の点。
・衆院選公約「骨太2013−2016」と政策実例を発表。エネルギー政策では「脱原発依存体制の構築」をうたった上で、政策実例の中に厳格な安全基準を設け発送電分離を進めることなどを明記、結果として「2030年代までに(原発は)フェードアウトする」との見通しを示したものの、核保有の持論はどうなるか聞かれた石原慎太郎代表は、「フェードアウトとはどういうことか」、「(消滅なら)それは違う。その公約は直させた。シミュレーションの中で淘汰を考えることだ」と返し、公約のフェードアウトの文言は「書き換えさせる」と述べたとのこと。WSJは、「公の場で、党首自らが主要政策に異を唱えたシーンを初めて見た」とコメントしています。
・エネルギー政策はもともと選挙戦の争点の1つだが、日本未来の党が旗揚げして以来、さらに注目されるテーマとなっている。橋下徹代表代行(大阪市長)は「30年代までの原発ゼロを目指す」と主張していたが、旧太陽との合流時の合意文書では「脱原発」の文言を外していた
・維新が第1党となった場合、誰が首相になるのかと問われ、石原氏は「平沼さん(平沼赳夫・国会議員団代表/元経済産業相)がいいと思う」と発言している。橋下氏は「石原首相」の擁立に言及。

【関連記事】
・2012/9/25 橋下氏の維新の会の経済政策 構造改革で日本経済復活なるかhttp://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_1730.html
・2012/9/25 「大阪維新の会 維新八策」の最終版の全文
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_25.html
・2012/11/16 自民党政権に交代したら金融緩和推進で円安・株高が見込まれる[武者リサーチ]
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_16.html
・2012/10/26 政治家もソーシャルメディアでの情報発信手段が重要な時代に 現在の総合トップは橋下徹氏(AMN調べ)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/amn.html
・2012/10/13 日本の財政の現状を知る 財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)より
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/24.html



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外国籍の子どもや孫に対する相続税と贈与税の課税対象拡大を財務省が検討

財務省が外国籍の子どもや孫に対する相続税と贈与税の課税対象拡大を検討することが伝えられています。
日経(2012/11/30)「外国籍の子・孫への相続税、外国資産も課税対象に 財務省検討」より

記事要旨:
・子どもが日本国籍であれば、国内外の資産はすべてが相続税の対象。しかし子どもが外国籍であれば、現在の仕組みでは相続税は日本の資産にしかかからない
・現在は外国籍の子どもや孫の場合、国内にある資産だけが課税対象だが、外国にある資産を課税対象に加える方針。例えば日本人の父親が国内外に持っていた資産を、海外にいる子どもに相続させる場合が該当
・外国にある資産への課税を逃れる事例があるため、課税の網を広げることが目的
・財務省によると、米国や英国、ドイツなどは自国の国籍を持たず国外に住む相続人でも、国内外の資産を対象に相続税を課している

これについて、信託大好きおばちゃんのブログの2012/11/30付の記事「外国籍の子・孫への相続税、外国資産も課税対象に 財務省検討」で解説がされています。
記事URL: http://shintaku-obachan.cocolog-nifty.com/shintakudaisuki/2012/11/post-3ee6.html

今の相続税法でも外国籍の非居住者に外国の財産を贈与したら非課税なことを利用して、ある日本人がアメリカの信託を使って、お父さんもお母さんの日本人なんだけど、子供をアメリカで生んで米国籍を取得させて贈与税を納めなかった事例があり、当局は否認して裁判になったけど一審で負け、係争中という事案がきっかけになっているようだということです。

信託大好きおばちゃんが指摘している事案は、「日本に住所がある祖父が国外財産である米国債を米国信託会社に信託し、米国籍の孫を受益者とした」事案に係る裁決(国税不服審判所・平成20年7月1日裁決)かと思われます。

事案のサマリー:
(奥村税務事務所(2011/8/31)「海外を活用した節税対策、1歳の子に国税局負ける」URL: http://www.okumura.ne.jp/2011/08/post-348.html より)
・平成16年8月4日に信託契約が締結された信託は、祖父(日本国籍、日本居住者)がスイスで保管していた米国債500万ドルを信託財産とし、アメリカの信託会社との間で、ニュージャージー州法に準拠し、祖父を委託者、米国信託会社を受託者とする信託契約を締結
・平成16年9月15日、500万ドルの信託財産を孫(当時0歳9か月)の父を被保険者、受託者である米国信託会社を保険契約者兼保険金受取人とする生命保険契約を締結し、440万ドルを支払った(保険金は6,000万ドル)。満期保険金または死亡保険金で受益者である孫に利益を分配するという信託となっている
・孫は、母親は出産が近づくと渡米し、アメリカで産まれている。アメリカの法律では、アメリカで生まれた子は、必然的に米国籍を持つ。そして親は、その子はアメリカで生まれ、アメリカに数ヶ月間いたので米国籍で、日本の非居住者であると主張。つまり、日本非居住者で日本国籍を有しない孫へのアメリカ資産の贈与であると、日本の贈与税が課税されないと主張
・国側はこれに対し、信託設定時の米国債の引渡しの時点で孫が信託の受益者であるとして、贈与税の課税価格を5億4,513万円、これに対する贈与税額を2億6,976万円、無申告加算税4,046万円を課した。
・それに対して1歳の孫が(実際には親が)名古屋地裁に提訴した結果、裁判所は、信託の設定に関し、相続税法4条1項の「受益者」に当たるとは認められないから、原告に対して、贈与税を課すことはできないとし、全面的に国が敗訴

20・30代にとっての国の年金に対する理解をするためのコツ


20・30代にとっての国の年金に対する理解をするためのコツが、FPで企業年金連合会 会員センター調査役(嘱託)などをされている山崎俊輔氏の日経(2012/11/27)「国の年金は上手に頼り、賢く疑う 国の年金はバラ色老後に欠かせない(4)」のコラムにて語られています。

*若い世代にとって、年金は遠い先のことなのでなかなか普段真剣に考えることが少ない問題だが、「その時」になる前に長い期間をかけて準備をしていく必要があります。国の年金制度は当てにし過ぎるものでもないですが、最低限の保障と考えるべきというところでしょう。厚生年金や企業年金は会社制度・勤続年数・給与水準によっても変わってきますが、自分についての将来設計・ライフプランを考えておくことが将来困らないようにするためには大切です。

ポイントのメモ/

・若い世代(20~30代)は、まずは、仕事を頑張ること。特に厚生年金の場合、自分頑張れば、自分の年金額のアップになって返ってくる部分が大きい。「たくさん保険料を納めた人」は将来の年金額もアップして戻ってくる
・「長く働き続けること」は年金額を増やす重要なポイント。30年働いてその後未納した人と、22歳から65歳まで43年間働いた人では、年金額は大きく異なる。仮に同じ平均賃金だったとすれば、長く働いた人は長く保険料を納めた分、1.4倍年金額が多くなる

・若い世代にとって、今まで育ってきた時間以上の時間を経過しなければ65歳はやってこないほど遠いことなので、若い世代が年金制度を合理的に理解できないのは当たり前。遠い将来についてきちんと計画的に考え、準備することの重要性を理解することは難しい
・行動経済学の研究でも、遠い未来のことほど人は先送りしてしまう、つまり合理的でない選択をしてしまうことが明らかになっている(近視眼的選択あるいは異時点間での選択の不合理などといわれる)。要するに、目の前の生活をエンジョイすることが優先されてしまい、遠い将来の経済的リスクを自覚し、今は苦しくても合理的に資金準備することは難しいということ

・定年退職後になって生じた格差はもうほぼ固定されてしまう。そのときに持っている財産、そのときにもらえる国の年金額が自分の老後のすべて
・老後の豊かさを本当に欲しいと思ったら、リタイアまでに1億円は欲しいところ。生命保険文化センターの調査ではゆとりある老後の望ましい金額について月額36.6万円(「生活保障に関する調査」2010年12月)。これを女性の65歳時点での余命23.66年で考えれば合計で1億400万円が必要になる。1億円は欲しいが、実現は難しい
・38年の会社員人生の中で1億円をためたいのであれば、毎月14.66万円をため続ける必要がある(金利は2%と設定)。しかも住宅ローンの返済分や子どもの教育費はこれと別に確保しなければならない。若い頃、積立を少額にしたら(例えば毎月10万円に下げる)、その分40~50歳代の負担は高くなる(毎月21万円必要になる)

・「本人はまだよく分からない未来に対して強制的に備える仕組み」として国の年金制度は大切
・今後、国の年金水準が下がるとしても、老後の基本的な生活費のやりくりにはなるだろう。また、実際にはどうなるか予測できない長寿リスクに備える余裕資金が不要となるので、これまた準備が現実的なものになってくる
・国の年金を活用し、さらに上積みをはかっていくことが老後の豊かさを確保するための現実的戦略。老後をバラ色にしたいと考えたとき、国の年金はバラ園の土、のようなもの

【関連記事】

・2012/10/21 日本の年金制度と国民年金(老齢基礎年金)・厚生年金について
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_21.html
・2012/10/22 企業年金とは何か?確定給付企業年金や確定拠出企業年金といった仕組みを知る
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_2321.html
・2012/11/6 20代・30代の国の年金制度への正しい考え方
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/2030.html
・2012/9/2 30-40 歳代の「資産形成層」の金融面の特徴と顧客ニーズは何か
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/30-40.html

日本株の潮目は変わったか? 日本経済と株式市場のポイント


日興アセットマネジメントが毎月公表している日興AMファンドアカデミーマーケットシリーズ「'Japanese Economy'日本経済新たなる登攀」は、図表とともにポイントが解説されており、大変重宝する情報源となっています。

2012年11月のタイトルは「日本株式の上昇の鍵となる「円安の進行」と「海外投資家の買い」」となっています。
PDF: http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/japanese-economy/pdf/1211_01.pdf

下記は、各項目の内容の要点をメモしたものです。

1.今月のトピック≫日本株式の上昇の鍵となる 円安の進行」と 海外投資家の買い」
・総選挙後に次期政権を担うことが有力視されている政党の政策をにらみ、円安基調に弾みが いたことなどを背景に 日本株式が買われる動きが強まっている。11月半ばを境に、日本株式は上昇基調に転じ、日経平均株価は、11/26には約6ヵ月半ぶりとなる9,400円台を一時回復するなど好調な推移
・日本株式の牽引役として注目されているのが海外投資家の動向。た11月第2週の東証の投資部門別売買状況によると、海外投資家の日本株式の買越額は1,292億円。これは、10月第3週以来の高水準。
・これまで円高による企業業績の鈍化が嫌気され、海外投資家は、日本株式の持ち高を減らす傾向にあったが、日本株の上昇の勢いが強まる中、持ち高が少ないことによって運用成績が劣後するリスクに対応するため、日本株式の積み増しに動いているとみられる。
・最近の円安や株価の上昇が急ピッチであることや、一部には期待が先行し過ぎているとの見方が強まっていることから、円安や株高の進行は一旦調整に向かう可能性もあろう。しかしながら、総選挙後はどの政権・枠組みになっても金融緩和圧力が増すとみられることは、円安をもたらしやすいと考えられるほか、米国や中国の良好な経済統計の発表を背景に、足元で海外株式市場が堅調に推移していることなどから、海外投資家の日本株式買いは今後も活発化しやすい傾向にあると考えられよう。

*潮目が変わったとみるか、期待先行で総選挙後はまたジリ貧となるか、金融緩和が経済の実需を伴って効果があるのか、注意深く見ていく必要はありそうです。

2.まとめ:国内景気は年初に比 悪化するも、年明け以降は持ち直しが期待される
・日本株式の投資環境→企業の改善努力によって、収益体質の改善が明確になってきている。海外景気の減速懸念や国内景気の低迷など不透明要因はあるものの 足元の円安の進行や株価バリュエーションなどが相場の下支え要因となろう
・景気全般の状況→日本の10-12月期のGDPは横ばい圏内か、マイナス成長になると予想されるが、米国や中国で景気の持ち直しを示す経済指標が相次 ち直しを示す経済指標が相次 る となどから 年明け以降は景気が持ち直しに転じ くと考えられる
・弱含み状態にある生産活動→内外需とも依然として停滞していることから、生産は当面弱含みの状況が続くと予想
・企業の構造変化
・海外景気の動向が注目される輸出
・底堅さを維持する消費

【景気全般の状況】
3.2012年7-9月期GDPは3四半期ぶりにマイナス成長
・2012年7-9月期の実質GDP成長率(1次速報値)は、前期比年率換算▲3.5%となり、3四半期ぶりにマイナス成長
・復興需要などに伴ない公的需要は増加したが、個人消費の悪化や、先行き不透明感の強まりによる設備投資の手
控えなどで民間需要が落ち込んだほか、海外経済の減速による輸出の減少も影響
・輸出の減少がGDPの押し下げに最も寄与

【弱含みの状態にある生産活動】
4.弱含みの状態にある生産活動
・内外需とも依然として停滞していることから、生産は当面弱含みの状況が続くと予想
・在庫調整は続いているものの、それ以上に需要が減少しているため、在庫調整圧力は引き続き高い状況に

5.マイナスに転じた設備投資
・足元で輸出の減少が続き、生産が弱含む中、企業は不要不急の投資の実行を先送りしている可能性があるものの、日銀短観などによる設備投資計画も底堅いものとなっており、設備投資の持ち直しが期待

【企業の構造変化】
6.企業業績を支える日本企業の収益体質の改善
・2012年4-6月期の法人企業統計によると、企業の売上は前年同期比▲1.0%(前期:同+0.6%)、経常利益は同+11.5%(前期:同+9.3%)となった。経常利益は増加を続けたものの、売上高は2四半期ぶりの減少
・損益分岐点比率、売上高経常利益率は引き続き良好な水準にある

【海外景気の動向が注目される輸出】
7.輸出の重石となる海外経済の減速
・当面、中国向け輸出は自動車を中心に減少傾向が続くとみられる。反日感情による不買運動の影響は徐々に薄れていくと予想されるが、欧州景気の先行き不透明感も依然として強いことから、輸出の回復は年明け以降になると考えられる

8.弱いながらも改善傾向にある企業の景況感
・景気の先行指標として注目される上記の製造業景気指数が、米国および中国において改善傾向にある。輸出の回復を通じて、日本の生産の持ち直しに寄与することが見込まれる

9.持ち直しが期待される世界経済
・IMF(国際通貨基金)は、2012年の世界の成長率予想を3.3%(7月時点3.5%)、2013年の予想を3.6%(同3.9%)とそれぞれ下方修正。欧州経済の停滞が、先進国のみならず、成長の中核を担う新興国にまで波及しており、IMFでは、「世界経済が数ヵ月前よりも先行き不透明な状況に陥っている」と分析
・IMFが「世界経済の最大のリスク」と指摘するユーロ圏においても、2013年には景気が回復に向かう可能性があるとみられている

【底堅さを維持する消費】
10.生産調整が影響し始めた労働市場
・2012年9月の有効求人倍率は8月の0.83倍から0.81倍となり、2009年7月以来、3年2ヵ月ぶりに前月から低下
・輸出停滞を主因とした製造業の生産調整を背景に、製造業中心に厳しい雇用環境が続くとみられる。ただし、団塊世代の大量退職に対応するため、非製造業が採用を増やす傾向にあることから、労働市場の大幅な悪化にはつながらないと考えられる

11.足踏み状態が続く所得環境
・一人当たり賃金の減少が、雇用者所得を押し下げている

12.悪化傾向にある街角景気
・2012年10月の景気ウォッチャー調査によると、経済活動の現場に近い人々が感じる、足元の景況感を示す現状判断指数は、前月比▲2.2ポイントの39.0と、6ヵ月連続で景況感の分かれ目である50を下回った
・また、景気の2~3ヵ月後を予想する先行き判断指数も、41.7(前月比▲1.8ポイント)となり、6ヵ月連続で低下
・消費税引き上げの駆け込み需要などへの期待感がある一方、日中関係悪化を背景に、中国向け輸出および観光客の減少に対する懸念などが景況感の悪化に

13.根強いデフレ圧力
・2012年9月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は、前年同月比▲0.1%と5ヵ月連続のマイナス。電気代の値上げやガソリン高などを受け、マイナス幅は前月に比べ縮小したが、家庭用耐久財やテレビやプリンターなど教育娯楽用耐久財、および外国パック旅行など幅広い品目で価格が下落しており、 デフレ基調は変わっていないとみられる

【日本株式の投資環境】
14.日本株式市場の変動に大きく影響する海外投資家の動向
・投資家別売買動向で海外投資家は、2012年5月以降は、世界的な株式市場の下落などを背景に日本株式を売り越す傾向にあったが、世界的な株式市場の持ち直しを受け、10月は小幅ながらも買い越しに転じた

15.2012年度の企業業績見通し
・海外景気の減速や国内景気の低迷に注意する必要はあるものの、足元で円高修正の動きがみられていることは、企業業績回復の追い風

















(東証一部企業の経常利益合計(1989-2013年度予想))
日興アセットマネジメント作成より


16.日本企業による海外企業のM&A拡大
・2011年の日本企業の海外企業へのM&A件数は455件となり、近年では最も多い件数となった。また、2012年においても、前年を上回るペースで活発なM&Aが行なわれている

17.注目される株主還元の活発化
・2012年は企業業績の増益基調への回帰が期待される中、企業の株主還元意識が引き続き高いことから、今後も自社株買い総額、配当総額ともに増加基調を維持していくと予想

18.配当利回りの魅力高まる日本株式
・、配当利回りの上昇がさらに進む一方で、10年国債利回りはおおむね低下基調にあることから、TOPIXの配当利回りは10年国債利回りを大きく上回っている

19.企業収益の改善が株価を下支え
・企業の収益体質の改善基調が明確になる中、企業業績は総じて底堅く推移
・国内景気の下振れが懸念されるものの、米国が緩やかながらも拡大基調を維持し、中国でも景気減速の動きに歯止めが掛かるなど、海外経済全体として成長の動きが続く可能性が高いとみられることは、企業収益を下支えていくとみられる

20.低い水準で推移する日本株式のPER
・2012年10月末時点の予想PER (12ヵ月予想利益ベース)は、日本(TOPIX)は約11.7倍、米国(S&P500)は約12.6倍
・企業業績の回復や企業の収益体質の改善などに伴ない、日本株式のPERは過去と比べると極めて低い水準で推移

21.低水準にある日本株式のPBR
・現在の日本株式は 現在の日本株式は、PBR PBRがが11倍を下回る水準にあるなど歴史的な低水準

2012年11月28日水曜日

資産運用で失敗しないための心掛け(行動ファイナンスの観点から)


週刊ダイヤモンドの連載'山崎元のマネー経済の歩き方'での記事「個人が行動ファイナンスから学ぶ7カ条」では、個人投資家が
記事URL: http://diamond.jp/articles/-/28390

山崎元氏は、たびたび、行動ファイナンスの成果を金融機関が顧客に売り込むために「悪用」していると言います。本記事では、顧客側が行動ファイナンスの研究から得られる心構えについて解説がされています。

山崎氏より、「投資家の側よりも、金融商品の売り手の側で体系的に応用(顧客側から見ると「悪用」といってもいい!)されていることは、筆者が本欄でも繰り返し書いている。しかし、この研究は本来、投資家の判断上の弱点を教えてくれる点で、投資家の側でも役に立つはず」と指摘がされています。

7ヶ条のポイント
その一、「自分も含めて、人間は間違うと知る」
損得の上で合理的な計算と、「こんな感じがする」という感情は、しばしば違った結論をもたらすが、人は多くの場合、後者に引きずられがち

その二、「気休めのために売買しない」
多くの投資家が、過剰な売買による手数料コストのおかげで運用パフォーマンスを悪化させている

その三、「過去を将来に当てはめない」
運用においては、過去のデータを直接将来に当てはめることが間違いになる場合が多い。しかし、人は、自分の経験を「法則」のように考えたがる傾向がある

その四、「お金に色を付けない」
インカムゲインとキャピタルゲインは別々に考えてしまいがちだが、合計して損得を判断することが基本

その五、「自分の買値にこだわるな」
「自分の買値」は将来の収益率変動を左右する要因ではない

その六、「“絶対”にこだわらない」
「絶対」に元本割れしたくない、といった絶対(確率0または1)に対して、人は過大な評価を下し、不利な価格を甘受する傾向

その七、「お金と幸せを混同するな」
幸福感に対するお金の説明力は、大まかにいって、想像されるほど大きくない。お金を人生の「目的」だと勘違いしないほうがいい

・2012/9/2 30-40 歳代の「資産形成層」の金融面の特徴と顧客ニーズは何か
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/30-40.html
・2012/10/5 毎月分配型投信の購入と保有の理由を行動ファイナンスの観点から考える
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_1700.html

2012年11月26日月曜日

M&Aのアドバイザリー費用の会計処理がのれん計上から一括費用計上へ改正の方向性


マネーの知恵(仮)2012/11/26「M&AのFA費用 のれん計上から一括費用計上へ改正の方向性」より転載:

M&Aの際の会計処理について、金融機関などのファイナンシャル・アドバイザー(FA)に支払った報酬を買収の当該決算期に費用処理するよう改めるという方向性にあるようです。
現行の日本の会計基準では、M&Aの際のFAへの報酬について、買収総額に含め、「のれん」に含めて計上しのれん償却を通じて、20年以内の会社がM&Aによる統合効果が及ぶと判断した償却期間にわたって費用として計上していく会計処理が行われています。
これを、「のれん」に含めず、M&Aを行った期の費用として計上するようにする方向性であるとのことです。

具体例では、
買収額 100・FA費用 5、買収された会社の純資産 80、のれん償却期間 5年
の場合、
現行の日本の会計基準では、
のれん 25(100+5-80)、5年間で5の'のれん償却費'P/Lに費用として計上
となっていますが、
改正後の会計基準では
のれん 20(100-80)、買収した会計期間に5、5年間で4の'のれん償却費'P/Lに費用として計上
となります。

日本の会計基準を作成する企業会計基準委員会(ASBJ)はM&A(合併・買収)の会計基準改正に着手するという方向性が日経で報じられたところで本決定ではありませんが、時期は、「強制適用は2015年4月からが有力で、前倒しを求める声もある」ということです。

国際会計基準(IFRS)や米国会計基準はすでに切り離して費用処理することになっており、基準を共通化するという理由とともに、基準の改正は昨年発覚したオリンパスの粉飾決算もきっかけとも報じられています。
2011年に世間を賑わせたオリンパスの過去の粉飾決算では、英医療機器メーカーのジャイラスの買収時に飛ばし損失の穴埋めのために巨額のFA報酬を支払ったことにしてのれん償却に紛れ込ませることにより損失を数期で計上することにより一時に大きな費用を計上しないことが事件の発覚させずらくした要因の1つとなったのではないかと一部で指摘がされています。

参照記事:
日経(2012/11/23)「FA費用を一括計上 M&A会計基準、改正へ」

マネーの知恵()関連記事:
2011/2/2 会計の基礎⑤補足 のれんとは
2011/12/4 オリンパス 上場廃止か維持かの可能性についての論点まとめ

[参考]
日本の会計基準では、企業結合に直接要した支出額である企業結合を成立させるために取得企業が外部のアドバイザー(例えば投資銀行のコンサルタント、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士等の専門家)に支払った交渉や株式の交換比率の算定に係る特定の報酬・手数料等はのれんに含めると規定されています(企業結合会計基準第 26 項)。(ただし、社内の人件費(例えば社内のプロジェクト・チームの人員に係る人件費)等や契約に至らなかった取引や単なる調査に関連する支出額はのれんに含めない)
IFRSでは、企業結合に直接起因する取引コスト(FA報酬が含まれる)は、移転した対価に含めず、発生した時点又はサービスの提供を受けた時点で費用処理されると規定されています(IFRS353項)。

2012年11月20日火曜日

外資系投資銀行 クロスボーダー案件の増加によりM&A部門拡充

厳しい環境が伝えられる外資系投資銀行ですが、M&A部門は拡充しているようです。
日経記事(2012/11/18)「米系証券、M&A部門の人員増強 円高で案件増」では、円高などを背景に日本企業が活発な海外買収に乗り出しており、クロスボーダーのM&A業務に外資系が強みを持つことが背景にしている解説しています。

記事では、

・シティグループ証券
11月に外資系の投資ファンドから買収経験の豊富な人材をスカウトし、M&Aグループの責任者に。最近の3カ月で、若手も含め部門の約1割に当たる7人を採用
シティの神保裕一投資銀行本部長「M&Aは東京の仕事の評価が(世界で)高まっている」

・ゴールドマン・サックス証券
世界の金融環境が不安定な中、企業のリスクヘッジ志向が高まるとみて、高度な技法を使う資金調達を手掛ける部門強化のため、幹部クラスを採用。大型の海外M&Aを手掛ける際に発生する為替リスクを抑えたい企業のニーズも取り込む。

・三菱UFJモルガン・スタンレー証券
M&A部隊について「海外企業買収は活況を呈しており、M&A専任の人員を1割増強する方向で、採用活動を始めている」(幹部)

・JPモルガン
投資銀行部門で若手を中心に採用しているもよう

と、各社の状況を伝えています。

また、「メリルリンチ日本証券は債券部門で香港からトレーダーを数人東京に異動させるなど、米系ではM&A部門以外の人員拡充の動きもある。人件費を比較的安く抑えられる若手を採用したいとの意向も強いようだ」とのこと。

【関連記事】
・2012/9/20 【書籍】外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/5000.html
・2012/10/31 UBSが大リストラ 従業員の15%にあたる約1万人を削減
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/ubs15.html
・2012/9/28 リストラの嵐の外資系金融機関 厳しい雇用環境が続く見通し
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_3577.html


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2012年11月19日月曜日

AKB48の販売促進は厳しい状況の裏返し!? 個人向け復興応援国債のPR


米ヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・マネジメントのカイル・バス氏はかねてより「日本売り」を公言する人物ですが、2012/11/15の米バージニア大学が主催したカンファレンスで、日本国債の安全神話が崩れるとの主張を行ったようです。
参照記事:日経(2012/11/18)「「日本国債&AKB」を笑う米ファンド米州総局編集委員 藤田和明」

カイル・バス氏は、「構造的な転換点を日本は迎えている。すでにルビコン川を渡った」とし、3つの視点から確信は最近さらに深まったということです。
カイル・バス氏の主張:
1.経常赤字に転落する時期が早まってきた。これまで2013年後半と見ていたが、12月に発表される10月のデータから始まっておかしくない。中国での日本製品不買の動きが影響してくる。安倍政権になれば中国との今後の交易関係に影を落とす
2.日銀の独立性が危ぶまれる。政府の日銀への圧力で、国家財政を穴埋めする紙幣の増刷にブレーキが掛からなくなる。消費税も上げられそうにない
3.高齢化により家計の資産取り崩しが始まる時期の到来だ。年金も銀行も国債を買う側から売る側になる日がいずれやってくる

また、議論の途中で使ったのはAKB48の写真で、財務省が国債購入を促す宣伝に用いており、いかに売るのに困っているかの証左であり、「ミニスカートが好きなんだ。日本人は」まくしたてたということです。

日経記事では、ヘッジファンドのポジショントークでもあり、バス氏が日本国債の危機は「今後数カ月にも起きうる」と主張したのは2011年11月で、この1年で損失が出ていてもおかしくはないし、海外ファンドが日本国債に売りを仕掛けては失敗するという流れは1990年代以降、続いているという点を捕捉しています。
ただ、日本の財政は行き詰まるとの見方が深まっているのは間違いなく、多くの市場参加者が日本国債の売り手側に回れば、「市場からの規律」は突然やってくるかもしれないと指摘をしています。
「欧州債務危機で儲けたヘッジファンドたちは、次に狙える大きい市場は日本だと思い始めているんだろう」という会場で聞いた参加者のつぶやきの方が気になったということです。

カイル・バス氏の話のネタにもなった「AKB48」の国債への起用については、2012/5/28付けのWSJ記事「JGB48?――財務省、復興国債のPRにAKB48起用へ」で、AKB48が販売促進に一役買う国債の見通しは厳しいようだと伝えています。日本国債の需要が弱く、「財務省はAKB48の人気で、国債に対する意識が高まり、投資家が乗り気になって、低利回りを補ってくれることを期待している」ということです。
また、「ミニスカートとひざ下の靴下、大半が男性のファン層に訴える思わせぶりな歌詞といったAKB48のイメージは一見、まじめな日本の国債にとって際ど過ぎる感じもする」とコメントしていますが、過去に「2010年には国債投資が異性へのアピール度向上につながるとするビジネスマン向け広告を雑誌に掲載したことがある」と、財務省が型破りな販促戦略を採用したのはこれが初めてではないとのことです。
記事URL: http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/11532/



























(時事ドットコムより)

財務省は2012/11/16、人気アイドルグループの「AKB48」を起用した東日本大震災の復興応援国債のポスターを発表しています。仙台市出身で自身も被災した岩田華怜、高橋みなみ、大島優子、渡辺麻友、島崎遥香といったメンバー5人が登場し12月6日から販売する個人向け復興応援国債をPRするようです。
AKBメンバーが被災地で支援活動する写真を使用し、テレビCMも放映する予定ということです。
時事ドットコム: http://www.jiji.com/jc/eqa?k=2012111600775&g=eqa

【関連記事】

・2012/10/13 日本の財政の現状を知る 財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)より
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/24.html
・2012/8/23 消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要(伊藤元重教授の警告~2030年の日本の社会保障の制度について、年金の支給年齢引き上げ、医療費負担の増加、相続税増、高齢医療費改革、さらなる増税~)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9924.html
・2012/8/15 日本の国債相場が安定している理由(日本証券経済研究所の中島将隆氏の小論文「日本の国債相場を支えているものは何か」より)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_6211.html
・2012/10/12 日本国債の金利上昇で銀行の損失 金利1%上昇で6.4兆円、2%上昇で13.3兆円
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_12.html
・2012/10/11 IMF、日本の金融機関の国債保有の拡大に懸念 「銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/imf.html

毎月分配型投信はなぜ売れるのか?心理要因を考える


マネーの知恵(仮)の下記記事では、毎月分配型投信は何故売れるのかについて考えています。
2012/11/18 毎月分配型投信はなぜ人気があり、売れるのか?
http://money-learn.seesaa.net/article/302460005.html

(以下、転載)

毎月分配型投信が日本では投信の売れ筋になっています。
株式型投信の残高は2011年末で45兆円程ですが、70%弱が毎月分配型投信となっています。

この毎月分配型投信ですが、毎月分配をしてしまうことによって資産運用における複利の効果が得られない、多くの毎月分配型投信では元本を取り崩して分配していて運用成果になっていない、分配金を利用する予定がなく分配金で同じ投資信託に再投資する場合には分配金には税金がかかるため控除される税金の分だけ再投資額が少なくなり投資の効率が悪くなるなど、さまざまな識者や専門家からは多くの批判が上がっていますが、依然として人気となっています。
20126月からはさすがに元本を取り崩して払い戻す分は、運用報告書において「特別分配金」から「元本払戻金」とより実態を表すように変わったため、運用報告書をきちんと見ていれば元本の取り崩しで分配がされていることに誤解は生じないように規制がされました。(旧称の特別分配金という名称では元本の払い戻しだと理解していない人も多かったのではないでしょうか。)

私から見ると、
私は資産形成世代で、元本まで勝手に払い戻されてしまうような毎月分配型投信には用はないですし、
そもそも対面で販売されることの多い投資信託ですが、通常の場合では販売手数料を3%、信託報酬2%近くのコストを負担するという負けから入るという高コストは検討する気が起きないくらいあり得ないですし、
さらに分配金を出すためにあの手この手で複合的にリスクを取る運用(通過選択型やカバードコールの組み合わせなど)をされ、うまくいかなかった結果でも元本の一部だけは返ってくるなんて、もはや余計なお世話です。

毎月分配型投信の購入者は、分配金が元本で払われている仕組みがきちんと分かっていない、コスト感覚にも乏しい情弱層なのでしょうか?

日本の家計の金融資産の多くの部分は高齢者が保有しており、投資信託の購入層も大部分は高齢者です。
毎月分配型投信を販売する側に言わせれば、お金のない資産形成世代なんかに用はなく、まとまった資金を持っている高齢者に売れるかどうかが大事なわけです。
毎月分配型投信は高齢者に対して、退職金や年金一時金が入りまとまったお金の運用を日本の超低金利の中で預金利息では割が悪いので有利な運用先を探したい、とは言え、収入が減るのでお金が定期的に入ってくることがとても助かるという点で嬉しい、という点でニーズを満たしているようです。
毎月分配型投資信託の分配金は元本を崩して支払われることもあることは、(仕組みをきちんと分かっていない人との割合は分かりませんが)ある程度多くの投資家は承知しているかもしれないが、それでもなお、預金を取り崩すことと比較すれば、ベターな資産運用のひとつであるために多くの投資家が購入しているということになります。
生活費とは別の口座にお金を移して債券などで運用しつつ、定期的に生活費の口座へ移せば良いのではないかとも思うのですが、生活費とは別の口座にお金を移して債券などで運用を始めることに3%、口座の残高に毎年2%近くを課金されるような仕組みが成り立つのは凄いなあと思います。

このように、高齢者のニーズを満たした理由は、「定期的に分配金をもらえると嬉しいという心理上の効果」が大きいのかと思います。上記で色々と説明したように、経済合理性だけではうまく説明できませんが、心理をうまく捉えた設計と営業がされていると言えます。

高齢者にとっては(いや、高齢者でなくても)、長期的にじっくりと運用益を積み上げていくより、目先でいくらかでもお金が入ってくると嬉しく感じるのが人間心理で、「預金より良いですよ」「年金の足しにしてはいかがですか」というトークとともに、日本では投信のメインの購買層である高齢者のニーズに特にうまくマッチしたという側面があるのだと思います。
元本が取り崩されてお金が入ってきているのだと仕組みをきちんと認識をしているとしても、「現に」毎月お金は入っているし投信で残っているお金はそれなりには運用されているのだと自分に言い聞かせてしまえば、解約することもなく、1度買ってしまったらそのまま持ち続ける、という人も意外と多いのかもしれません。
投信の動向や各種の記事等での販売現場の声を見ていると、元本払戻金によって元本部分が減っていることが理由で投信からの資金流出として反応は強くなく、分配金が減ったら資金流出が大きくなるというように見えますので、心理上の効果は結構大きく働いていると言えるのではないでしょうか。

このような点については、下記リンクの記事では、行動ファイナンスという観点から、双曲割引、代表性のヒューリスティック、プロスペクト理論、心の会計という概念から毎月分配型にハマる人間心理についての日経記事での解説を取り上げています。
マネーのネタ帳(2012/10/5)「毎月分配型投信の購入と保有の理由を行動ファイナンスの観点から考える」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_1700.html

他に、私の個人的な見解で、毎月分配金型の投信が売れる理由で大きいと私が思っているのは、「金融機関の販売姿勢」です。
毎月分配金型の投信の大半の購入者は高齢者で、年金の上乗せというニーズにうまく乗せて売り込みの営業トークがされます。
「毎月これだけの利回りが入ってきますよ」とご丁寧に「分配金利回り」なる表を見せて、リスクの説明をなるべく曖昧にしつつ分配金がどれだけもらえるかを強調する説明をするため、投資のご経験のない多くの高齢者は「分配金利回りの分の運用がされているに違いない」と思い、「仕組みを十分に理解することなく」買っている。目論見書を精読する人は実際にはいないでしょうし、運用報告書にきちんと目を通す人は、何の根拠もない推測ですが、半分もいないのではないでしょうか。
そして、銀行などで強く勧められると、銀行が悪いものを提供するはずがないのだと信頼して買ってしまう人は多いでしょう。

結果として、「分配金利回り」は「運用利回り」ではなく、多くの分配型投信は「分配金利回り」>「運用利回り」となり、「元本払戻金」となっていますが、上記の心理上の理由で維持されている。

これらが永続的に回っていくやり方なのかどうかは疑問ですが、現実として「分配金有りの投信という巨大なマーケット」を作っている大きな理由であると私は推察しています。

【関連記事】
・2012/10/29 投資信託の販売現場で強引な営業 高齢者とのトラブルが増加中
・2012/10/5 毎月分配型投信の購入と保有の理由を行動ファイナンスの観点から考える
・2012/9/22 多くのグローバル・リートファンドでは元本からの取り崩しにより分配金が支払われている



2012年11月18日日曜日

新興国投資の教祖(グル) テンプルトン・インベストメンツのマーク・モビアス氏が語る新興国・フロンティア市場の魅力


新興株への投資で有名なフランクリン・テンプルトン・インベストメンツというアメリカの運用会社があります。
フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ: http://www.franklintempleton.co.jp/

フランクリン・テンプルトン・インベストメンツで新興国にある18の運用拠点のアナリストを束ねる新興国市場部門統括責任者で、「新興国投資の教祖(グル)」と呼ばれるマーク・モビアス氏へのインタビューが日経ヴェリタスセレクト(2012/8/5)「新興国投資の教祖が語る 有望「フロンティア市場」マーク・モビアス氏に聞く」に掲載されています。

新興国・フロンティア市場への投資への見解についてメモしておきます。
メモ/
・新興国経済は鈍化しているとはいえ、平均成長率は5%だ。1%前後の先進国に比べると十分に高い
・新興国では内需も成長している。内需が拡大すれば、より耐久性のある経済になる。新興国は『離陸段階』に入った。中国がよい例
・2011年までの過去10年間では、10回のうち8回、新興国株が先進国株の収益率を上回っており、この傾向は今後も続くと思う
・強気の理由は3つある。
①成長率の違い。新興国の方が先進国よりも経済成長率が高い。
②資金の豊富さ。新興国は純債務国から純債権国に変わった。
③債務の少なさだ。債務残高の対GDP比率は先進国に比べて低く、この差は拡大している。先進国に比べ新興国の財政は健全
・BRICsで注目している国は中国とインド
→短期的には中国。巨大な消費市場を抱えている。今や世界第2位の経済大国。米国が年3~4%成長すれば、みな満足するように、中国も今後は2けたの成長は期待できない。だが今年も7%は伸びるだろう。この規模の経済にとって7%というのは非常に健全な成長率。10~15年後には人口が減少に転じると予想される。人口減少に備え製造業の高付加価値化を実現できるか、工場などの自動化を進められるかを注意深く見ていきたい
→中長期にはインド。人口構成がきれいなピラミッドになっており、若年層が多い。今の若年層が5~10年後にさらに購買力をつけ、消費市場が拡大すると期待できる。汚職問題などを抱えるが、政府は改革しようとしている。
この先10年で見れば、インドの成長率が中国を上回るだろう
・BRICsよりも興味を持って見ているのが、東南アジア諸国連合(ASEAN)とフロンティア市場
→ASEAN諸国は中国向けの輸出が増え、中国への依存度が高まるにつれ、政治的な影響力を高める必要があると思うようになった。一国一国は小さくても、集まれば力を持つと気づいた。中でもベトナムやインドネシアなどに注目している。ベトナムは労働コストの安さと生産性の高さ、そして天然ゴムなどの資源がとれる点が魅力。
インドネシアは人口が非常に多く、消費市場の拡大が期待できる。
→フロンティア市場の魅力は経済規模が小さいため、GDPの伸び率が高まりやすいこと。2001年から2010年までの10年間で、世界各国を経済成長率が高い順に並べると、上位10カ国のうち9カ国がフロンティア市場、6カ国がアフリカの国だった。
新しい技術をすぐに利用できる点も強み。新しい技術の利用は成長をさらに加速させる。例えば、最初から無線通信を使えるフロンティア国では電話線を引き固定電話を使う必要はない。
・運用資産の7~8割を先進国、2~3割を新興国に投資するとよい。若い人なら100%株で運用しそのうち新興国株が50%以上でもよいだろう。そして毎月一定額を規則的に買う購入方法を勧める。とくに新興国株は、危機などで株価が暴落した後の戻りが大きい。定額購入だと下落局面でより多く買えるので、株価が上昇に転じた時により高いリターンを得られる
フロンティア市場のなかでも投資割合が大きいのがナイジェリア。汚職がはびこっているものの、経済は非常に活気がある。貿易が盛んで人口も多い。ガスや原油など資源がとれる点も魅力。
ガーナにも投資をしている。同国の経済は価格の上下動が激しいココア頼みだ。政府は成長源の分散を図るため、民間投資を促そうとしていた。
ケニアやバングラデシュ、スリランカなども面白い

【関連記事】

・2012/11/18 フロンティア市場、エマージング債券のETFがSBI・楽天証券で取り扱い開始
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/etfsbi.html
・2012/11/8 注目の新興国 VIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/vip.html
・2012/9/5 新興国債券に注目集まる
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_6633.html

日本版JOBS法による起業促進、ベンチャー育成、IPO・新興市場活性化が経済対策の一環で出される見通し


NSJ日本証券新聞(2012/11/6)「IPO・新興市場活性化に向けて規制緩和「日本版JOBS法」制定へ」では、起業促進、ベンチャー企業育成、IPO(新規上場)市場および新興市場活性化を狙って、政府が月内にまとめる経済対策の目玉の1つとして日本版JOBS(ジョブズ)法」が経済対策の目玉の1つとして打ち出される見通しであると伝えています。政府が11月内にまとめる経済対策に織り込まれる予定ということです。
記事URL: http://www.nsjournal.jp/column/detail.php?id=316684&dt=2012-11-06

JOBS法は米国で今年4月に誕生した「The Jumpstart Our Business Startups Act」(新興成長企業起業促進法、通称JOBS法)を参考にしているものです。

米JOBS法のポイント
・未上場企業の資本市場への参入障壁を取り払うことで新興成長企業(年間総収入10億ドル未満=円換算で約800億円未満)の成長を支援し、IPO企業数増加、それに伴う雇用増加、経済成長を目的
・IPOを目前にした新興成長企業についてはSOX法などの規則適用を5年間、猶予する「IPO On―Ramp」という条項を創設(内部統制対応費などを含めて上場に掛かる費用が高額となり、IPOのメリットを享受しにくいとの指摘)

日本版JOBS法のポイント
・事業年度ごとの内部統制監査報告書の提出義務の一定期間免除」が盛り込まれる見通し
・IPO前でもアナリスト・レポート発行可(現状はIPO前の企業情報は目論見書の範囲内にとどめられている)
・一般に公開されている目論見書(Ⅰの部)の記載内容は、現状は企業活動の過去実績に限定されているが、これについても「将来情報の記載解禁」となる見込み

2012年11月の日本ベンチャーキャピタル協会による資料「成長マネー活性化に関わる 規制・制度改革要望のご説明」においても、「米国同様に、いやそれ以上にベンチャー企業の成長による社会経済の活性化を必要としている我が国において、その成長を促進させ、レバレッジ的効果も期待出来る「日本版JOBS法」の導入は真に推進するべ
きプロジェクトであると考えています」とし、日本版JOBS法の導入が提言されています。
PDF: http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2012/wg1/121105/item2.pdf

ETFの分配金利回り 4%以上も4銘柄


東京証券取引所の月刊レポート「~ETFで好利回り投資~ETFの分配金利回りってどれくらい?」では、分配金に着目したETF投資についての紹介がされています。
レポート(PDF): http://www.tse.or.jp/rules/etf/b7gje6000002em5o-att/bunpaikin.pdf

上場企業の配当金支払額は年々増加していて、2011年度は6兆円を超える配当金が支払われており、企業の株主還元の姿勢が強くなっているため、上場企業の配当金支払額が増加すると、これらの銘柄を組み入れているETF(上場投資信託)の分配金も増加することが期待されるということです。
なお、ETFは1月と7月に分配金の支払いを行う銘柄が多くなっているようです。ETFの配当実施銘柄数(2011年6月~2012年5月)を見ると、1月は31銘柄、7月は60銘柄で、他の月は数銘柄ですので、7月が多数です。
*3月決算の上場会社の配当を受けて7月の分配基準日を定めているETFが多いのかなと思います。

ETFの確定分配金利回り(2012年6月11日現在)として、下記表が掲載されています。

4%以上は4件で、内訳は下記の4銘柄です。
(ETF名(証券コード) 分配金利回り 運用会社(受託会社)の順に記載)
・上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型(1345) 5.07% 日興アセットマネジメント
・上場インデックスファンド豪州リート(S&P/ASX200 A‐REIT)(1555) 5.07% 日興アセットマネジメント
・上場インデックスファンド海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型(1677) 4.89% 日興アセット
マネジメント
・NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343) 4.26% 野村アセットマネジメント
*レポートでは分配金利回り上位10件が掲載されています。他には、医薬や銀行セクターのETF等が上位に入っています。

また、レポートではETF銘柄別の分配金基準日カレンダーが掲載されています。

フロンティア市場、エマージング債券のETFがSBI・楽天証券で取り扱い開始

SBI証券と楽天証券がフロンティアおよびエマージング(新興国)マーケットのETFの取り扱いを開始しました。
取り扱い開始は両社とも2012/11/15からとなっています。

・[FM]iシェアーズ® MSCI フロンティア 100 インデックス・ファンド 信託報酬 0.79%
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/NYSEARCA/FM.htm?qt=FM
・[EEMS]iシェアーズ® MSCI エマージング・マーケット小型株インデックス・ファンド 信託報酬 0.69%
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/NYSEARCA/EEMS.htm?qt=EEMS
・[LEMB]iシェアーズ® 現地通貨建てエマージング・マーケット債券ファンド 信託報酬 0.60%
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/NYSEARCA/LEMB.htm?qt=LEMB
*リンクはブラックロックの商品概要ページ

「フロンティア」市場とは、新興国市場のさらに次に有望とされるマーケットで、中・低所得国で構成され、その資本市場は「先進国」や「新興国」と比較すれば多かれ少なかれ未成熟な市場です。

例えば、FM(フロンティア 100インデックス・ファンド)の2012/11/15時点での上位保有銘柄の国別内訳は
クウェート 31%
カタール 15%
アラブ首長国連邦 12%
ナイジェリア 12%
パキスタン 4.8%
カザフスタン 4.0%
オマーン 3.4%
アルゼンチン 2.9%
バングラデシュ 2.7%
米国 2.6%
となっています。
業種は金融が56.8%、電気通信が15.2%と金融と電気通信が大きな割合となっています。

シュローダーズのTalkingPoint(2012/6)ではフロンティア市場について解説されています。
PDF: http://www.schroders.co.jp/mt/p/pdf/marketreport/20120615/1417/FrontierMarket.pdf

シュローダーズによると、FMのベンチマークとなっているMSCI 指数によって定義されるフロンティア株式市場について、アジア、東欧、アフリカ、中南米、中東など広範囲の地域の中の26ヶ国の株式市場で構成され、中でも中東地域のウェイトが全体の約 6 割を占めると説明されています。 また、「フロンティア市場では、健全な経済運営を行っている中東諸国から、他地域に比べて未発達ながら高い成長を遂げているアフリカの国まで、その構成国の特徴は多岐にわたる」ということです。
MSCI指数では、「MSCI エマージング・マーケット指数」と「MSCI フロンティア・マーケット指数」は完全に区分されており、両方の指数に属する市場はなく、現在フロンティア・マーケットでも将来エマージング・マーケットへ変更というように、経済や市場の動向によって構成国は変わるものとなっています。

地域ごとに経済成長の背景(成長の源泉)については下記の通り。
中東地域: 原油からの収益を軸に、経済成長の多角化を進める。
アフリカ地域:中国からの投資により電力網の設置などインフラ整備が行われており、天然資源の採掘が進むと期待される。
アジア市域: 低い労働コストを背景に、新たな生産拠点として注目されている。
東欧地域: コモディティ関連の産業の成長が期待される。

フロンティア経済は、経済発展の初期の段階にあり、先進国経済や新興国経済よりも高い成長を遂げると期待されるともされますが、エマージング市場以上に不確実性が高いとも考えられます。
ただ、下記の点で投資魅力が説明されています。
・MSCI フロンティア ・マーケット指数の予想収益に基づく2012年4月時点での予想PER は8.3倍、MSCI ワールド指数の11.8倍や MSCI エマージング・マーケット指数の9.5倍に比べ、大きくディスカントされた水準
・グローバルな視点で投資を行う投資家の中でも、実際にフロンティア市場へ投資を行っている投資家は、まだまだ少数派で、国際投資家のエマージング株式への投資額が約 6910 億米ドルと見積もられているのに対し、フロンティア市場への投資残高はその 1~2%、110 億米ドル程度と推測され、「先行者利益」が期待できる。
・分散効果が高い。フロンティア株式は、MSCI ワールド指数や S&P GSCI 指数などに対し低相関を示す傾向にある。 フロンティア ・マーケット指数の構成する各市場間の相関も低い。 これは、各国の株式市場が、その国独自の状況によって変動する傾向にあるため
・フロンティア株式市場は、構成各国の経済水準と比べれば、著しく未成熟な状態にあるといえるが、フロンティア経済が世界の GDP の 4.4%を占めるに対し、株式市場のウェイトは世界の 0.4%に過ぎないため、上昇余力が大きい


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2012年11月16日金曜日

ETFを活用したJ-REITへの投資手法[東証レポートより]

東京証券取引所の月刊レポート「~最近注目を集めるJ-REIT投資~ETFを活用したJ-REITへの投資手法」(2012年11月版)では、ETFを利用したJ-REITへの投資手法やそのメリットについて紹介されています。
URL(PDF): http://www.tse.or.jp/rules/etf/b7gje6000002em5o-att/b7gje6000002z4hr.pdf

J-REITは、「たくさんの投資家から資金を集めて「不動産」を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に配当(正確には分配)する商品」で「「株」と同じ方法で売買が可能」。
株価の変動は大きいのですが、魅力は高い配当利回りです。
利回りの比較 (2012年10月末時点)
J-REITの確定配当利回り 4.95%
東証1部上場銘柄の加重配当利回り(確定) 2.50%
新発10年国債利回り 0.775%

2012年はJ-REITが好調で、東証REIT指数に連動するETFの純資産総額は2011年と比べて2倍の約300億円(2012年10月末現在)となっています。
東証REIT指数に連動するETFは下記2銘柄です。
・NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343) 信託報酬 0.32% 年4回分配
・上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型(1345) 信託報酬 0.30% 年6回分配

REITに関する追い風となる制度改正等の動向として下記の点が挙げられています。
・資金調達・資本政策手段の多様化(ライツ・オファリング、無償減資及び自己投資口取得等の導入)
・ガバナンスの強化(投資法人の意思決定の仕組みについて、投資家の信頼を高めるための仕組みの導入の検討)
・インサイダー取引規制の導入(J-REITは現在インサイダー取引規制の対象外)
・金融緩和の強化(日銀が「資産買入等の基金」の規模を拡大し、総額1,300億円のREITの買い入れ)

また、ETFを利用するメリットとしては、東証REIT指数に連動するETFの配当利回り、手軽に分散投資、少額(1万円程度)から投資可能、日々のファンド組入銘柄の状況(PCFファイル)やリアルタイムの1口当たり純資産価格(iNAV)が配信されており情報入手が容易、流動性供給を約束した2社以上の指定参加者(証券会社)による高い流動性が挙げられています。

【関連記事】

・2012/10/12 世界のREITのレポート/情報源の一覧と低コスト商品(ETF,投資信託)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/reitetf.html
・2012/9/1 J-REITの値動き TOPIXと高い相関あり
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/j-reittopix.html
・2012/8/23 Jリート市場の役割
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/j.html

マネーの知恵(仮)関連記事:
・2012/7/12 長期の資産形成と自分年金の作り方を考える(1)
http://money-learn.seesaa.net/article/280414842.html
・2012/7/2 J-REIT投資の分配金と資産形成について考える(2)  -J-REITの分配金と株価のトレンド
http://money-learn.seesaa.net/article/278575756.html
・2012/6/28 J-REIT投資の分配金と資産形成について考える(1)
http://money-learn.seesaa.net/article/277673639.html

参考:2012年4月から10月の東証REIT指数(黄)とTOPIX(緑)の比較チャート


自民党政権に交代したら金融緩和推進で円安・株高が見込まれる[武者リサーチ]

武者リサーチ(2012年11月16日)のストラテジーブレティン (83号)「転機到来、「デフレ容認政策」破棄必至 ~政権の交代で円急落、日本株式急進へ~」では、金融緩和策を支持する立場で、自民党政権に交代したら金融緩和推進で円安・株高になるだろうと見込みが語られています。
URL(PDF): http://www.musha.co.jp/wp-content/uploads/musha/bulletin_j_20121116.pdf

内容メモ/
・政権が交代し、日銀のデフレ容認政策が根本転換すれば、円と日本株式は劇的転換を見せるだろう
・安部総裁は2~3%のインフレターゲット、デフレ脱却までの日銀の無制限の金融緩和、日銀法改正を唱え、円高・デフレ脱却を政策のかなめに据えている。躍進が予想される日本維新の会、みんなの党などもほぼ類似の主張
・デフレは下記の悪影響を日本経済に与えてきた
生産性が上がらないが成長余地の大きいサービス産業を、価格下落によって疲弊させ経済活力を奪い続けた
円高とのスパイラルを引き起こし半導体、エレクトロニクス、素材などの日本の産業集積を破壊した限りない貨幣選好を定着させリスクマネーを金融市場から追い出した
年金生活者や公務員などの確定給付受給者を厚遇、労働所得の不平等な分配を定着させた
弱者の賃金を引き下げ格差を拡大させた
・米国において現実に成功している金融緩和は試す意義はある


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2012年11月14日水曜日

マネックスの米国株リニューアルによりSBI・楽天より断然有利に

マネックス証券が米国株取引をリニューアルし手数料下げ&取引銘柄大幅増加するというリリースについて報告しましたが、ザイ・オンラインでもマネックスの米国株取引リニューアルについて記事が出ています。

・2012/11/12 マネックスが米国株取引をリニューアル 手数料下げ&取引銘柄大幅増加
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_2.html
・マネックスのリリース: http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2012/news1211_01.htm

ザイ・オンラインの記事 2012/11/12「ネット証券で「米国株」サービス競争勃発!?取引銘柄数が2800まで増えた会社が登場!」では、マネックス証券の米国株取引リニューアルについて伝えています。
記事URL: http://diamond.jp/articles/-/27756

国内のネット証券で米国株取引を提供しているSBI証券と楽天証券との比較表が掲載されています。
リニューアル後のマネックスでは、
・取扱銘柄(ETF含む) 2800銘柄以上(SBI 911銘柄、楽天 1177銘柄)
・注文方法 指値、成行、逆指値
・取引時間 22時~翌10時
・注文受付時間 24時間
・注文の有効期限 最大90日先まで
・売買単位 1株単位
・手数料 14.7~18.9ドル/1約定(1000株まで、キャンペーンもあり)(SBI、楽天とも同じで26.25ドル/1約定(1000株まで)、1000超は1株ごとに2.1セント追加)
と、上記の全項目でSBI証券・楽天証券よりも個人投資家にとって良い条件となっています。
コストは、「従来は3社とも同水準だった取引手数料でも、リニューアル後はマネックス証券が最安条件時には他社の半値近くまで安くなる(前月取引が30回以上の場合)」とのこと。

このリニューアルは、マネックスが2011年に買収し100%子会社とした米国のシステム開発会社「トレードステーション社」の取引システムを採用し、同社の技術をマネックス証券が“自社内開発”して米国取引所に接続したことで、取引手数料の低コスト化、取引銘柄数や機能面で優位に立つことを実現できたようです。
「トレードステーション社は、米国の個人投資家向け情報誌「バロンズ」がオンライン証券第1位に選ぶなど定評ある会社」ということです。

今後はレポートやセミナーなどで米国株情報を意識的に強化していき、すでにSBI証券が実施している「円貨決済」についても、今後取り入れたいとサービスの向上が伝えられています。

マネックス側からは下記のようなアピールがされています。
広木隆チーフ・ストラテジスト
「投資対象として本当に魅力的なのは、単に指標が割安な株でなく、成長が期待されているのに放置されている小さな銘柄だ。米国株にはその“お宝”があふれている」
村上尚己チーフ・エコノミスト
「世界の動きは米国で決まる。米国株式市場を見ておくことは投資の基本」

【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2012/11/14 米国株取引はマネックスに決まり!? 手数料下げ&取引銘柄大幅増加のリニューアル
http://money-learn.seesaa.net/article/301710613.html
・2012/8/23 マネックス証券の新ツール「MONEX VIEW β」と資産管理ツールへの今後の期待
http://money-learn.seesaa.net/article/288023689.html
・2012/8/10 アカウントアグリケーションサービス
http://money-learn.seesaa.net/article/285714565.html
・2011/5/18 パーソナル・ファイナンス(個人のお金の管理)について考えてみた
http://money-learn.seesaa.net/article/202102810.html

2012年11月13日火曜日

藤戸レポート(2012/11/12):「財政の崖」とヘッジファンド決算


三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長・藤戸則弘氏の藤戸レポート「(株式投資戦略)~米選挙後に直面する「財政の崖」とヘッジファンド決算」(2012/11/12)がリリースされています。
レポートPDF: http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/pdf/fj20121112.pdf

メモ/
・アメリカの大統領選を振り返り、大統領選後の下げはヘッジファンドの「意図あり」(ボラティリティを駆使する収益チャンス)
・日本では「決断できない政治」というキャッチフレーズがマスコミのお気に入りだが、米議会は日本どころではない⇒オバマ政権、株式市場の年内最大の難関。「土壇場で妥協成立」と見ているが、途中経過では投資家が不安に苛まれる局面があるだろう
・ヘッジファンドの決算対策や来期のポジション調整は例年感謝祭前後(2012年は11/22)に終了。投機マネーフローを理解しないとマーケットの動きは理解できない
・日経平均は11月の調整は感謝祭までで、段階的に買い下がり、感謝祭明けはクリスマス商戦の活況報道とともに情報志向が見込まれる

【関連記事】
・2012/11/13 米大統領選が終わり「財政の崖」問題が焦点に アメリカの政治・経済イベントに注目
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_7651.html

・2012/10/20 アメリカ経済は各種経済指標面で回復基調 目先の焦点、大統領選挙の行方と「財政の崖」の見通し
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_5570.html
・2012/11/3 米「財政の崖」が世界に不況を輸出する!?
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_4296.html
・2012/10/15 アメリカ景気の急激な悪化が心配される問題「財政の崖」とは
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_15.html

米大統領選が終わり「財政の崖」問題が焦点に アメリカの政治・経済イベントに注目


米大統領選が終わり、アメリカ経済に重要な影響を与える「財政の崖」問題が焦点となっています。
来年(2013年)初めに大型減税の期限切れと歳出の自動削減が重なる「財政の崖」回避に向け、米議会と政府が妥協点を見いだせるかどうかは依然不透明で、富裕層向けの減税打ち切りを主張する民主党と、どのような増税措置も経済に悪影響を与えるとしてブッシュ減税の延長を求める共和党の対立が続いています。

日興アセットマネジメントの楽読「市場の注目は、大統領選挙から「財政の崖」へ」(2012/11/9)では、2013年度の財政赤字削減額(試算)や米国の主な政治・経済イベントが掲載されています。
PDF: http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/rakuyomi/pdf/raku121109_01.pdf
金融市場は、民主党と共和党の協議が難航することで、昨年夏に米連邦債務上限の引き上げ問題の際のような市場の混乱を警戒しており、市場動向を見極める上でも、今後の米議会での協議の行方に注目が集まるとされています。

2013年度の財政赤字削減額(試算)は下記の通り示されています。

歳入増 3,930億米ドル⇒減税などの期限が切れ、家計の税負担が増すことで個人消費が減少すると予想
ブッシュ減税の失効など 2,250億米ドル
給与税減税の失効 850億米ドル
その他の減税の失効 650億米ドル
医療制度改革に伴なう増税 180億米ドル

歳出減 980億米ドル⇒連邦予算の強制削減によって、国家安全保障、国内投資、および主要な政府機能に深刻な影響をおよぼすと予想
強制歳出削減 540億米ドル
失業保険給付延長の失効 340億米ドル
メディケア診療報酬の支払額削減 100億米ドル

その他 -40億米ドル

計 4,870億米ドル

政治・経済イベントです。
2012年11月13日 議会再開
2012年12月末 ブッシュ減税の失効、給与税減税の失効、失業保険給付延長の失効など
2013年1月2日 強制歳出削減
2013年1月3日 第113 回議会開会
2013年1月20日 大統領就任式
(スケジュールは予告なしに変更される可能性あり)

*イベントの前後はマーケットが荒れる可能性に注意が必要かもしれません。

【関連記事】
・2012/10/20 アメリカ経済は各種経済指標面で回復基調 目先の焦点、大統領選挙の行方と「財政の崖」の見通し
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_5570.html
・2012/11/3 米「財政の崖」が世界に不況を輸出する!?
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/blog-post_4296.html
・2012/10/15 アメリカ景気の急激な悪化が心配される問題「財政の崖」とは
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_15.html

海外積立投資で年利10%!?マーケティング手法の是非

アブラハム・プライベートバンクが30代~40代に向けて海外積立投資の助言を行う「いつかはゆかし」というサービスが話題と波紋を呼んでいます。
金融資産1億円以上の会員コミュニティを謳うYUCASEE(ゆかし)や、富裕層に関するニュースサイトゆかしメディアを運営するアブラハム・グループ・ホールディングス(株)の子会社による投資助言業がサービス主体です。

いつかはゆかし
http://itsukaha-yucasee.jp/about/

市況かぶ全力2階建のポスト
・「いつかはゆかし」で「いつかはなくし」とならないためのライフハック
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65718413.html
・月5万円で1億円、アブラハム・プライベートバンクの海外積立「いつかはゆかし」の楽しみ方
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65716641.html

この「いつかはゆかし」について、NHNJapan執行役員でツイッターでは3万8千人以上のフォロワーがいる田端氏とアブラハムグループの高岡社長がFacebook上で激論をしています。
田端信太郎氏vs高岡壮一郎社長
2012/11/10: https://www.facebook.com/tabata.shintaro/posts/332880163476798

2012/11/11: https://www.facebook.com/SoichiroTakaoka/posts/459780040740143

議論の過程はFacebookのポストが公開されているので直接読むのが面白いのですが、発端は、田端氏(2012/11/10土)の「情弱層はなぜ「ゆかしファンド」でカモられるのか。」というポストに高岡社長が反応。「本人が降臨すると炎上する。だから今回のようにネットで反論したのは初めてです。踏み切った理由は、商談でお会いしたことある田幡さんなら信用できると思い、敢えて議論をさせていただきました」とのこと。

そして、翌日(2012/11/11)に高岡社長が「ソーシャルの時代、誰もがドヤ顔で間違ったことをネットで発言し、他人に大きな迷惑や損害をかけてしまうことがある」から始まるポストに、田端氏が「想定利回り10%」という見せ方をするマーケティング手法に疑問を呈することからまた議論が沸騰していきます。

サイト上は、「たとえば月5万円を積み立てると、期待年利10%で30年で1億円が手に入る」と記載しているのですが、30年間の期待年利10%での運用が見込めるというような見せ方にはなっています。「「想定利回り10%」を御社がさしたる根拠もなく謳っているにも関わらず、それを信ずるに足ると判断したと思われる層が、「いつかはゆかし」の顧客の多数派」であり、「「投資情報を正しく解釈し、合理的に振る舞うリテラシーが弱い」という意味で、「情弱」なのでは」ないかというのが田端氏の主張となっています。



















一方、アブラハムグループが運営する海外投資新聞というサイトでは、「いつかは ゆかし」に速攻で入会した人たちは何者だったのか?」(2012.11.08)という記事がアップされています。
記事URL: http://media.yucasee.jp/offshore-news/posts/index/176?oa=ymb6048
海外投資新聞の記事によると、「いつかは ゆかし」の会員属性は、
男性が88%
20代10%、30代50%、40代30%、50代10%
毎月積立額で一番多いのは「毎月10万円」、次いで「毎月5万円」
職種は、大半が会社員。業種は、マスコミ、金融機関、研究機関、公務員、医療機関、IT企業が多い
⇒マスコミや金融機関、研究員といった情報感度の高いこれらの職種に従事する人はいわゆる「情報強者」が顧客である、
とのコメントがされています。
*アブラハムグループが運営するサイトですから、事実上の記事広告とも言えます。


さて、海外積み立て投資ですが、日本で比較的知られているのは、
・ハンサード
・フレンズプロビデント
・スタンダードライフ
というものがあります。フレンズプロビデントは2012年8月10日でもって日本人の新規受け入れを停止と伝えられています。

下記のサイトなどを見る限りでは、アブラハム・プライベートバンクが「助言」するのはハンサードの購入を通じての積み立て投資だと推察されます。
*また、海外積み立て投資をきっかけにして、海外のヘッジファンドの個別商品についても「助言」サービスがされるのかもしれません。

ハンサード 初心者入門ガイド
http://hansard.mods.jp/page4.html
ヤフー知恵袋 【海外投資に詳しい方に質問です。】 海外オフショア積み立て投資を検討しておりま
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1276093782

(筆者コメント)
*「いつかはゆかし」をざっと読みますと、投資助言料は「積立残高の0.945%」で、「積立期間中は退会はできません、積立を完全に停止・解約し、助言対象資産(=積立投資残高)がゼロになった場合に退会」ということですので、契約が積み上がって相当期間が経過すればアブラハム社にかなりのストック収入が見込める秀逸なビジネスモデルであると見て取れます。
海外積み立て商品自体を購入する事自体はアブラハムとは関係なく、アブラハムは積立運用に組み込む商品を「助言」するだけの立場なのですが、積み立て投資をしている間に「商品選択は自分でやるから」と言うことで投資助言契約を解除できないかのような記載になっており、海外積み立て商品の継続と助言がセットになっているようにも読め、少々気になったところではあります。
*特に投資初心者の方は海外の金融商品の購入は国内の金融商品の購入以上に十分な検討をされますよう念のため申し添えます。

2012年11月10日土曜日

債券(公社債)投資の利息、償還損益、売却損益に関する税金(証券税制)について

個人投資家における債券(公社債)投資の利息、償還損益、売却損益に関する税金についてです。
*債券(公社債)投資の税制はややこしいです。

大和総研より、「すぐに役立つ税金ガイド 税金読本(2012年度版)」の「公社債投資の税金」の部分がアップされています。
内容は、公社債の種類、公社債に対する課税の概要、利付債の税金、個人向け国債への課税、ABS(債券型)の税制、割引債の税金、新株予約権付社債の税金、特殊な債券(仕組債とよばれる特殊なキャッシュ・フローを持つ債券)の税金、譲渡損益の損益通算と幅広く網羅的に所得税の課税関係について取り上げられています。
PDF: http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/tax/12110801tax.pdf

ここでは、債券の購入をした場合でよく出てくる基本的なポイントを押さえておきます。
細かい部分は大和総研のPDF資料で確認出来ます。例えば、新株予約権付社債、仕組債、他社株転換可能債(EB)はそれぞれ確認が必要です。

債券(公社債)の収入は、一定期間の経過後に定められた利率をもらえる利子、債券の満期に入ってくる償還金額と買った金額の差額である償還差益、満期前の途中で売却した場合の売却額と買った金額の差額である譲渡益に分けれます。
債券の種類は、大まかには、
・利付債(額面のクーポン利息をもらい、満期には額面が償還。途中で価格は動き、額面で売買されるとは限らない)
・割引債(発行時に額面から利息分を差し引いた金額で買う。額面未満の価格で発行されて額面で償還される債券で、期中に利払はない)
があります。

①利子
・一律20%(所得税15%・住民税5%)の源泉分離課税(源泉徴収されるので確定申告等は不要)

②償還差益
・利付債は雑所得として総合課税
・割引債は発行時に所得税18%の源泉分離課税が源泉徴収され、償還時に改めて税金が徴収されることはない
ex.90円発行で100円償還の割引債があるとすると、発行時に償還差益10円の18%にあたる1.8円が先取りで課税される。この1.8円は割引債の発行価額に上乗せさ、90円+1.8円の91.8円で購入。
(利付債を、額面金額を超える金額で購入し、額面で償還を受けた場合は償還差損が生じた場合は、損失が無かったものとして取り扱う)
*外貨建債券の償還により外国通貨で受け取った償還金は、現実に本邦通貨(円)に交換されない場合であっても、税務上、円換算を行って本邦通貨により償還差益を計算。償還差益(為替差益を含んで計算)が生じた場合は、 雑所得として総合課税の対象となり、原則として、確定申告が必要。(外貨換算は、取引金融機関の公表する為替レートを用いる)
*外貨建債券の償還損は利付債は所得計算上ないものと見なされ、割引債の償還損は総合課税の雑所得内で損益通算可能(利付債は雑所得内でのみ通算を可能とする説、割引債は利付債と同様に雑所得内部でも損益通算不可能とする説もあり、実際に損益通算する場合は専門家や税務署へ要確認)

③譲渡益(売却益)
・一般の利付債・割引債は非課税
・国外で発行された割引債(ゼロ・クーポン債など)等は譲渡所得として総合課税の対象(譲渡損は損益通算の対象)。
*総合課税の譲渡所得には、50万円の特別控除があるので、譲渡益50万円までは非課税。
・利付債を利払日と利払日の間に証券会社を通して売買する場合には、売り方の保有日数に対応する利息である経過利子を買い方が売り方に支払うが、、受け渡される経過利子は、税相当額として20%を控除した額による。経過利子も譲渡収入に含まれる。経過利子に対する20%の税相当額は所得税や住民税そのものではないため、確定申告による精算はできない
(割引債類似の利付債や新株予約権付社債等は総合課税や申告分離課税となります)
*外貨建債券の利付債の譲渡益は原則非課税、譲渡損はないものとみなす(何の利益とも相殺出来ない)。
*外貨建債券の譲渡損は利付債は所得計算上ないものと見なされ、割引債の譲渡損は給与や事業所得など総合課税扱いの他の所得と損益通算可能 →参照: https://www.netbk.co.jp/wpl/NBGate/i900500CT/PD/fp_column_07_4

○個人向け国債にかかる税金は?
・通常の利付債と同じく、利子に対して20%の源泉分離課税
・中途換金は、口座を開設している証券会社等を通じて国に買い取ってもらう方法により行う。買取額は、額面金額に経過利子相当額を加えた額から、直前2回分の各利子(税引前)×0.8(注)を除いた金額となる。中途換金の際の譲渡益は非課税。個人向け国債の取扱機関に口座を開設している個人間の売買は、発行日以後、いつでも可能。その場合の譲渡益も非課税となる。
(注)平成25年1月10日以降に国が買い取るもの(既発債含む)については、「0.79685」
・償還時には額面100円で償還される。通常は発行時に額面で購入するので、償還差益は発生しないが、個人間売買で購入した場合は、額面と購入金額との差額が償還差損益となる。償還差益は雑所得として総合課税の対象。

(*は筆者の追加部分)

【関連記事】

・2012/8/30 金融庁 日本版ISAの恒久化の税制改正要望を正式提示
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_5693.html


【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2012/8/14 債券、株と一体課税の方向(日経より) 10%の軽減税率は終了か!?
http://money-learn.seesaa.net/article/286617544.html
・2012/9/6 海外債券の為替ヘッジの超過利回りは、「海外長短金利差 - 日本長短金利差」
http://money-learn.seesaa.net/article/290491730.html


2012年11月9日金曜日

自営業者らが任意で上乗せしている国民年金基金 巨額の積み立て不足1兆4千億円


年金基金制度の積み立て不足が深刻な状況にあっています。
国民年金基金は、自営業者らが国民年金に上乗せして任意加入している基金です(*)。2011年末での積み立て不足が約1兆4271億円に達していると報じられています。
(日経(2012/10/23)「国民年金基金、積み立て不足1兆4千億超 11年度末」)

国民年金基金連合会のホームページを見ると、詳細の報告は見当たりませんでしたが、財政・資産運用状況というところに推移が示されています。
国民年金基金 トップぺージ > 事業概況 > 財政・資産運用状況
URL: http://www.npfa.or.jp/jigyo/finance/index.html

財政・資産運用状況によると国民年金基金の積み立て不足と運用利回りの推移(H14-H23年度)は下記の通り。リーマンショック時の平成19、20年度に運用利回りの大幅悪化とともに、積み立て不足が膨れ、挽回出来ずにむしろ平成21~23年にかけて悪化している状況です。






日経によると、
2011年度末に必要な積立金は4兆1015億円だったが、残高は2兆6743億円にとどまっている。将来の年金を現役時代が掛け金として積み立て、受給者に給付する仕組み。将来の給付のために必要な原資として保有しておかなければならない責任準備金に占める積み立て不足の割合は11年度末時点で34.8%。 加入者は約52万人で、受給者は約34万人。受給者が増える一方で加入者は減収傾向にある。また運用利回りが想定を下回っており、基金の財政は深刻化している
ということです。

なお、公的年金の保険料の一部を企業が代行して運用している厚生年金基金制度も厳しい財政状況のもとに、厚労省により、赤字の基金は5年以内に解散し、制度も10年で廃止する案をまとめ、専門委員会に提示されています。
厚生年金基金の資産は総額で約27兆円あるが、半数の基金が代行部分に積み立て不足を抱えており、その総額は1.1兆円に達するという状態になっています。

*年金の3階部分である厚生年金基金制度の廃止が決定した中、2階部分のみならず、3階部分まで確定給付で国が保証している国民年金基金のあり方も今後問われてくることになりそうです。
国の確定給付の年金制度は最終的には国の負担となるのでしょうか。

(*)参考:
2012/10/21 日本の年金制度と国民年金(老齢基礎年金)・厚生年金について
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_21.html

【関連記事】
・2012/10/22 企業年金とは何か?確定給付企業年金や確定拠出企業年金といった仕組みを知る
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_2321.html
・2012/11/6 20代・30代の国の年金制度への正しい考え方
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/11/2030.html
・2012/10/16 日本の年金制度は16カ国中14位(マーサージャパンによる評価) 高齢化の進展で現役世代に過剰な負担、現在の年金制度を持続は困難
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/1614.html
・2012/9/2 30-40 歳代の「資産形成層」の金融面の特徴と顧客ニーズは何か
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/30-40.html

日本証券業協会内に「個人投資家応援証券評議会」が設置 個人投資家の立場から提言

日本証券業協会の証券戦略会議において「個人投資家応援証券評議会」が設置され、2012/11/1から正式に発足、11/5に第1回会合を開催されたと伝えられています。
議長はマネックス証券代表取締役社長の松本大氏。

個人投資家応援証券評議会は、個人投資家を主たる顧客基盤とする証券会社を参加資格とし、個人投資家の視点で証券市場の活性化策および規制緩和要望などを取りまとめ、積極的に意見を発信していくことを目的に設立されたとしています。
ネット証券大手と中堅以下の対面証券の20社により構成。個人向けもやっているけど、機関投資家や法人を顧客としている証券会社は入れず、100%個人投資家の側に立った方策を考えていき、様々な提言を行っていくことを目的としています。

課題は、「公募増資」「インサイダー取引問題」「信用取引ルール」「取引所に関する全般」「銘柄推奨に関する非合理的な規制の緩和」「税制」「次世代に向けた資産形成のあり方」「証券投資普及への環境整備」の8項目とのこと。
議論の課程や評議会の活動については、日本証券業協会のWEBサイトや、各社のホームページ等を通じて公開していくということです。

松本大氏は、公募増資の問題、空売り規制が厳しすぎる、コンピュータによる超高速トレードが速すぎるので個人投資家が現在値より高い価格で信用新規売り注文を入力しても、発注ボタンを押したときには現在値より低い価格になってしまっていて警告の対象になってしまうなど、改善することはたくさんあると述べています。
評議会が日証協の中に設置されたというところに意味があり、取りまとめた提言は正式なルートで、証券戦略会議などしかるべき場に上げるので、「発信する力」があると意気込みを語っています。

低迷する株式市場をもとに株式の売買は細り、取引の多い投資家はFXへ流れており、ネット・対面を問わず、個人投資家の“株ばなれ”に対する危機感が背景にあるようです。

・ZAIオンライン(2012/10/31) 「個人投資家応援証券評議会」発足議長の松本大マネックス証券社長に聞いた!
http://diamond.jp/articles/-/27073
・日本証券新聞(2012/11/6) 「個人投資家応援証券評議会」共同取材で方針打ち出す 「8つの議題」に順次対応
http://www.nsjournal.jp/column/detail.php?id=316686&dt=2012-11-06
・ZAIオンライン(2012/11/6) 「個人投資家応援証券評議会」が活動開始!ネット証券+対面証券の社長が声を揃えたこととは?
http://diamond.jp/articles/-/27469

2012年11月8日木曜日

注目の新興国 VIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)


DIAMコラム(2012/11/8)『VIPに注目する3つのポイント(1)~旺盛な購買力~』では、VIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)のVIP3ヶ国の生活面を中心に各国1枚ずつで紹介がされています。

PDFリンク:
http://www.diam.co.jp/news/report/report_marketcolumn/report_marketcolumn_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/11/08/column_121108_2.pdf

VIPは、アジアのなかでも成長が期待されるベトナム(Vietnam)、インドネシア(Indonesia)、フィリピン(Philippines)の頭文字を合わせた造語です。
外務省が行った世論調査(2008年)での「重要なパートナー国はどこですか?」という問いに、ベトナムとインドネシアは日本を第1位に、そしてフィリピンも米国に次いで第2位にしており、どの国も日本との関連が深く、旺盛な消費パワーが感じられ、BRICsのように注目新興企業と言えそうです。

~ポイント~
ベトナム
・ハノイとホーチミン周辺には85%の人口が集中
・は1986年からスタートしたドイモイ政策は外国からの直接投資や、ODA(政府開発援助)が奨励されるようになるなど、積極的に外資を導入。これにより市場経済が導入され、その間に蓄えた金や株式による収入を消費に回っている
・2005年から2009年にかけての家電の市場シェア(小売売上高)の増加率は平均+19.6%と家電の普及が目覚ましい
・ベトナムの人々はひたすら貯蓄して一気に高額な消費に回す傾向があるようである

インドネシア
・ASEAN最大の人口を有する
・18,110の島々からなる。国土は日本の5倍だが、日本の3分の1の面積を持つジャワ島に、日本と同じ人口を抱える
・人口の9割弱がイスラム教
・日本食が人気があり、吉野家をはじめ日本企業の進出も多い
・2007年に外国資本の小売業参入が本格的に認められた(1998年に制限付きで参入が許可)ことで、外資系のコンビニチェーンなどの進出が加速

フィリピン
・11の大きな島を中心に、7,000以上の島々からなる
・人口の約9割がカトリック教徒
・英語が公用語で、海外で活躍する人が多く、海外からの送金は、フィリピンの貴重な収入源(海外からの送金はGDPに含まれない)
・最近のフィリピンは、コンビニとコーヒー専門店が多く見られ、スターバックスのアジア・太平洋地域での出店数は5番目に多い
・フィリピンは他の国以上に消費を楽しむ傾向。乗用車・パソコン・冷蔵庫(耐久消費財)の普及率はVIP3か国で1番高い
・ユニクロがアジアでシンガポールや、マレーシア、タイに次ぐ4カ国目の進出国としてフィリピンを選ぶなど、日本企業の積極的な展開が見られている

【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2011/7/19 BRICsから「グロース・マーケッツ(成長市場)」へ(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長 ジム・オニール氏)
http://money-learn.seesaa.net/article/215650534.html
・2010/12/28 BRICs、VISTA、NEXT11 、MENA とは
http://money-learn.seesaa.net/article/176427394.html

2012年11月6日火曜日

20代・30代の国の年金制度への正しい考え方

年金制度の破綻論が世の中にはたくさんありますが、年金制度がいきなり行き詰って破綻するのではなく、早かれ遅かれ。年金制度の改正がされて、支給年齢の引き上げや減額の方向へ行くというのが正しい見方と考えられます。
「年金制度が破綻」=「何ももらえない」=「年金を払うのも無駄」という考えは少し行きすぎです。
とはいえ、日本の人口動態や年金制度の構造、今の日本の現状からは、若い世代ほど年金の支払いと比べて受け取る年金の条件や支払いと受け取りの費用対効果が悪くなっていくことは間違いなさそうで、国にべったりと頼れると楽観的に考えるのも残念ながら正しいとは言えません。
若い世代はむやみに不安がるのではなく、正しい認識と取るべき対処法を知っておくことが1番の自衛策と言えます。


日経電子版の'20代から始めるバラ色老後のデザイン術'での2012/11/6付記事「国の年金はそう簡単に破綻しない 国の年金はバラ色老後に欠かせない(1)」では、AFP、1級DCプランナーの山崎俊輔氏により、20代から30代の若い世代の国の年金制度との付き合いの考え方が示されています。
日経URL: http://mx.nikkei.com/?4_68787_153069_9
以下、山崎氏の主張から、20代から30代の若い世代に向けて筆者が重要であると思った項目とポイントをピックアップしました。

[若い世代の老後への不安は高まる一方]
・内閣府「子ども・若者白書(2012年版)」によれば、若者に対する働くことの不安のうち、老後の年金に関する不安は81.5%⇒年金の安心がなければずっと働き続けなければならないかも、という恐れがある。
・金融広報中央委員会の調査(「家計の金融行動に関する世論調査」単身世帯)では、金融資産を保有する目的として、「老後の生活資金」と回答する割合が「病気や災害への備え」「住宅取得の資金」「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心」という回答を上回り、初めてトップに。

[年金制度はどうなっていくか]
・20代から30代の若い世代にとって、「年金」といえば不公平の象徴であり、不信感の塊のようなもの。
・ただし、金が破綻すると厚生年金保険料を納めなくてもすむかもしれないが、年金に代わり生活保護支給のために所得税が大増税になることが想定される。(生活保護は憲法で生存権を保障している以上、国に支払わなければならない責任がある)
・年金積立金は100兆円あり、国は破綻させないようにかじ取りしながらも公的年金制度は維持されていくはず。問題はむしろ政治決断の遅れで財源確保を先送りしていることで、積立金はさらなる悪化から日本の年金制度を救っていると考えられる。

[20代から30代の若い世代の年金制度への考え方]
・国の年金は「過信は禁物、疑心も禁物」。
・国の年金に老後の豊かな生活が100%頼れる、というのは幻想で、「国の年金は老後の100%を頼るものではないが、老後の生活のベースを支えてくれるもの」と考えるべき。
・老後の基礎的な出費(食費や日用品、電気やガス代といった最低限のコスト)は国の年金でなんとかなるので、交際費や趣味・旅行などの個人的幸せに関する費用を自分で確保する、というように考えていくのが、これからの20~30代の年金の考え方。
・「自分で備える」か「国に頼る」の2択ではなく、実際には2本立てで考えていくべき。

【関連記事】
・2012/10/21 日本の年金制度と国民年金(老齢基礎年金)・厚生年金について http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_21.html
 ・2012/10/22 企業年金とは何か?確定給付企業年金や確定拠出企業年金といった仕組みを知る http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_2321.html
・2012/10/16 日本の年金制度は16カ国中14位(マーサージャパンによる評価) 高齢化の進展で現役世代に過剰な 負担、現在の年金制度を持続は困難 http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/1614.html
・2012/9/2 30-40 歳代の「資産形成層」の金融面の特徴と顧客ニーズは何か http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/30-40.html

ソフトバンク株とイー・アクセス株の裁定取引にチャンス到来の2日間

マネーの知恵(仮)では、ソフトバンク株とイー・アクセス株の交換比率の調整にあたっての観測報道から比率調整発表の間での取引好機について掲載しています。

・2012/12/6 ソフトバンク株とイー・アクセス株の裁定取引に大チャンス到来の2日間
http://money-learn.seesaa.net/article/300537454.html

(以下、転載)

11/12は、イー・アクセス株とソフトバンク株の取引に大きなチャンスでした。

先週木曜の2012/11/1に、米スプリント・ネクステルの買収によりソフトバンクの株価が大きく下がったことを受け、ソフトバンクとイー・アクセスの交換比率を見直す方向で検討中と報じられました。(*1
10月1日にイー・アクセス買収を発表した際のソフトバンク株の基準価格は3108円でしたが、1031日終値は2527円と基準価格に比べ18.7%低い水準となっていました。

なお、本件の報道を受け、ソフトバンクは「現時点で決まった事実はない」とIRで公表しています。
ソフトバンクのIR2012/11/1):
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20121101/7r4myu/140120121101029254.pdf

「現時点で決まった事実はない」というのは水面下でどのような動きがあっても、取締役会での機関決定を正式に行うまでは全て「決定する前」になりますので、観測報道が出たときのお決まりの文句です。明確に否定するのでない場合は、誤報ではない、少なくとも検討・交渉を行っていることは間違っていないと読むのが大人の見方になります。
この報道を受け、11/1の株価終値は、ソフトバンクは+3.60%2,618円(前日の決算発表を受け株価が上昇)、一方、イー・アクセスの株価は前日比+10.04%44,400円となっています。
交換比率を、16.95(44,400÷2,618)までの上昇を市場は織り込んだことになります。
11/2の株価終値は、ソフトバンクは2,714円、イー・アクセスは45,432円なので、株価比率は16.76で、前日の11/1から大きな動きはありませんでした。

ソフトバンクのイー・アクセスの株式交換のリリース文には、ソフトバンクの基準株価13,108円として株式交換比率を決めるが、「10取引日間の終値の平均値(公表後基準価格)」が3,108円の85%未満である場合には、52,000円を公表後基準価格で除した数で株式交換比率を調整すると書かれています。(*2)

ソフトバンクの10取引日間の終値の平均値が3,108円の85%である2,641円未満となったのは10/22からで、11/1までの9営業日までの間はずっと2,641円未満となっていました。
11/1の終値で推定される新交換比率は20.1152,000÷2,572)。一方、市場でのソフトバンクとイー・アクセスの株価比率は16.95なので、ソフトバンク売り・イー・アクセス買いをすれば、株式交換比率の調整が実際に発表された場合には、株価比率が16.9520.11に近づく過程で裁定利益が狙えることになります。ソフトバンクとイー・アクセスの場合、交換比率と実際の株価は2.53%台のディスカウントの水準で推移していましたので、その分を織り込んでも、新交換比率の発表直後の売却で15%程度の利益率を狙えるチャンスだったことになります。

株式交換のリリース文に条件がはっきり書かれているので、ソフトバンクの株価が2,641円未満となったときから株式交換比率の調整がされるだろうと読むことだって可能でした。

観測報道が出てもなお、株価に十分に反映されなかったのは何故か。
これは私の11/1の夜の疑問でした。

このまま株式交換されても交換比率は16.74なので、16.96前後の株価比率でソフトバンク売り・イー・アクセス買いをした場合、最悪、交換比率の調整がされなくても1%程度の損失とソフトバンク売りの金利と取引手数料が損失、交換比率の調整がされれば15%程度の利益が見込める状態です。
ソフトバンクがイー・アクセスの出資比率を1/3未満にするとか報道されていますが、「いったん100%にする」と孫社長は名言もしている報道記事がありましたので、最悪の最悪で何かの事情で株式交換自体が撤回される可能性は極めて低い。
株式交換のプレスリリース(*2)を読んでも、交換比率の調整のタイミングや交換比率の調整を行うかどうかの細かい条件の有無は分からない。第2四半期の決算発表を受けて株価は上昇し、2,618円とトリガーの2,641円に近付いており、その後に株価が2,641円を10営業日以上超え続けてソフトバンクが逃げ切る形になる可能性はなくはなさそうです(11/2には2,714円まで上昇しています)。
他にも何か重大なリスクの見落としがあるか、ないか。
ただ、しっかりと9営業日もの間、ソフトバンクの10営業日平均株価がトリガーの2,641円を下回っている以上は、交換比率の調整がされる可能性は結構高そうではあります。

結果としては、11/1に観測報道が出た、その翌日の11/218時に、交換比率は16.74から20.09へと調整されました(*3)

そもそも何故、交換比率見直しの観測報道が出て来たのでしょうか。
日経記者が交換比率のリリースから見直しがあるのではないかと気付いて取材をしてグッジョブな報道をしたのか。
ソフトバンクが「急な超大型M&Aの発表で株価が急落しただけだから一過性の要因であり株価は戻るはずだ!もう少し様子を見ようよ」とかゴネてたところに、イー・アクセスのアドバイザー兼大株主のゴールドマン・サックスがキレて、さらに決算が良かったものだから本当に株価が上がっちゃったらヤバいと思って日経記者にチクッて記事につながったのか。。
それともどこかで誰かの言及があったのか。

このあたりの事情は推測の域は出ませんが、後から結果として見えることは、観測報道が株式交換比率の調整発表の後押しに影響した可能性は多少はあるかもしれない、ということです。

注)(*1)(*3)は下のブログ本文にて詳細を掲載しています。