財務省が外国籍の子どもや孫に対する相続税と贈与税の課税対象拡大を検討することが伝えられています。
日経(2012/11/30)「外国籍の子・孫への相続税、外国資産も課税対象に 財務省検討」より
記事要旨:
・子どもが日本国籍であれば、国内外の資産はすべてが相続税の対象。しかし子どもが外国籍であれば、現在の仕組みでは相続税は日本の資産にしかかからない
・現在は外国籍の子どもや孫の場合、国内にある資産だけが課税対象だが、外国にある資産を課税対象に加える方針。例えば日本人の父親が国内外に持っていた資産を、海外にいる子どもに相続させる場合が該当
・外国にある資産への課税を逃れる事例があるため、課税の網を広げることが目的
・財務省によると、米国や英国、ドイツなどは自国の国籍を持たず国外に住む相続人でも、国内外の資産を対象に相続税を課している
これについて、信託大好きおばちゃんのブログの2012/11/30付の記事「外国籍の子・孫への相続税、外国資産も課税対象に 財務省検討」で解説がされています。
記事URL: http://shintaku-obachan.cocolog-nifty.com/shintakudaisuki/2012/11/post-3ee6.html
今の相続税法でも外国籍の非居住者に外国の財産を贈与したら非課税なことを利用して、ある日本人がアメリカの信託を使って、お父さんもお母さんの日本人なんだけど、子供をアメリカで生んで米国籍を取得させて贈与税を納めなかった事例があり、当局は否認して裁判になったけど一審で負け、係争中という事案がきっかけになっているようだということです。
信託大好きおばちゃんが指摘している事案は、「日本に住所がある祖父が国外財産である米国債を米国信託会社に信託し、米国籍の孫を受益者とした」事案に係る裁決(国税不服審判所・平成20年7月1日裁決)かと思われます。
事案のサマリー:
(奥村税務事務所(2011/8/31)「海外を活用した節税対策、1歳の子に国税局負ける」URL: http://www.okumura.ne.jp/2011/08/post-348.html より)
・平成16年8月4日に信託契約が締結された信託は、祖父(日本国籍、日本居住者)がスイスで保管していた米国債500万ドルを信託財産とし、アメリカの信託会社との間で、ニュージャージー州法に準拠し、祖父を委託者、米国信託会社を受託者とする信託契約を締結
・平成16年9月15日、500万ドルの信託財産を孫(当時0歳9か月)の父を被保険者、受託者である米国信託会社を保険契約者兼保険金受取人とする生命保険契約を締結し、440万ドルを支払った(保険金は6,000万ドル)。満期保険金または死亡保険金で受益者である孫に利益を分配するという信託となっている
・孫は、母親は出産が近づくと渡米し、アメリカで産まれている。アメリカの法律では、アメリカで生まれた子は、必然的に米国籍を持つ。そして親は、その子はアメリカで生まれ、アメリカに数ヶ月間いたので米国籍で、日本の非居住者であると主張。つまり、日本非居住者で日本国籍を有しない孫へのアメリカ資産の贈与であると、日本の贈与税が課税されないと主張
・国側はこれに対し、信託設定時の米国債の引渡しの時点で孫が信託の受益者であるとして、贈与税の課税価格を5億4,513万円、これに対する贈与税額を2億6,976万円、無申告加算税4,046万円を課した。
・それに対して1歳の孫が(実際には親が)名古屋地裁に提訴した結果、裁判所は、信託の設定に関し、相続税法4条1項の「受益者」に当たるとは認められないから、原告に対して、贈与税を課すことはできないとし、全面的に国が敗訴
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