東芝の不正会計では、財務諸表の適正性を担保する立場の監査法人へ厳しい目が向けられました。
金融庁では、会計監査の在り方に関する懇談会というのが開かれ、本質的な会計監査のあり方についての議論がされています。
公認会計士や監査法人にとっては、かなり手厳しい見解も多く述べられていますが、議論の行方がどのようになっていくのかが注目されます。
金融庁 会計監査の在り方に関する懇談会(第1回)議事要旨
平成27年10月6日
・まずは質問がある。製造業などにおける製造委託先に対する部品の有償支給に関して、売上が原価に対して何倍にもなっている取引がある場合に、監査人から何も指摘がないということがなぜ起こるのかがよく分からない。監査人の判断の基準について少し伺いたい。
・内部統制に関して言うと、会社が組織ぐるみで不正を行うと、会計監査では全く分からないと言われるが、分からないはずがない。工事進行基準にしても、在庫の評価にしても、全てリスク・アプローチで想定される伝統的な論点で、内部統制で全く分からなかったということが平然と言われること自体が大問題であると思っている。
・工事進行基準に関して言えば、工事1つ1つがどんな状況であるかについて、会社の中の工程会議等で刻々議論・報告されているわけであり、これが会計監査で分からないというのであれば、もう会計監査を全てやめたらいいのではないかと思うほどである。
・会計不正があると、監査人の監査のやり方に全てフォーカスが向いてしまう傾向があるが、巨大な企業を監査していて、内部統制にも依拠しているわけであるから、正しい決算書を世の中に出すということは、会計監査人だけが使命としてやらなくてはならないことではなく、もちろん財務諸表をつくる企業もそうであるし、企業の中で様々な活動を監視する監査役も重要な役割を果たすであろうし、株主・投資家の眼も大事だと思う。
・特に日本の現行の会計士試験制度は誰でも受験できるような制度になっており、十代の合格者も出てきている。そのような試験に強い若者を否定するわけではないが、やはりきちんとした教養やビジネス感覚があり、一定の社会常識を備えていなければ、企業のミドルレベル以上の方達と丁々発止の議論はできない。特に経営トップの方とそれなりの議論を重ねていくためには、年齢だけではないと思うが、それなりの知見と知識がなければ相手にしてもらえないのではないか。財務、経理を担当される上場会社の方々の中には、非常に優秀な方がおられる。少し言葉は悪いが、そういった方々が、5、6年程度の経験の会計士を手玉にとるのは簡単なことではないかという気がする。
・現在、ITを駆使した取引の全件チェックといった手法について検討が進められているところであり、国際監査基準ではまだそういったものは出ていないのでかなり踏み込んだ議論にはなるが、こうした手法も検討しなければならない環境になってきているのではないか。この懇談会でも環境の変化に対応する監査とはどういうものなのかというところに知恵を出していきたいと思う。
・監査の現場についてお話したいが、基準がかなり飽和状態になっている、あるいは何か事故があると要求事項がどんどん積み重ねられていくということで、手続的に増えているのが実態だと思う。特に期末の監査の手続が増大している中、決められた決算期間の中で監査を終えるのが普通の対応であるので、期末の監査に相当の負荷がかかっているということになると思う。この監査の環境についても、是非議論していただきたいと考えている。
・関与会計士の力量はものすごく大事だと思う。要は、市場を守る責務をきちんと果たせるのかどうかというのが一番大きなところである。何か問題があったときには不適正意見を書かなければならないということではあるが、そういう力量のある会計士が少なくなっているのではないのかという疑問が今、持たれているわけであり、これにどう対応したらいいのか。単に公認会計士を総入替えすればいいという話ではないので、どうしたらいいのかというのが1つあるのだと思う。
・会計不正を監査で発見できなかった事例があったためこのような議論をしているわけだが、実際には、監査をしているときに不正を発見した、あるいは、不正でなくても、会計処理の間違いに気が付いて経営者を説得し、正しい財務諸表を世の中に出したという例はある。確か公認会計士協会で調査をして、1,000人ぐらいの会計士に聞いたところ、過去10年に2回ぐらいはそういったことに遭遇しているとのことである。そういった意味で会計監査が機能している面もやはりあるとは思う。
・監査について、投資家はきちんとやっていて当然だと思っている。投資家からみると監査の具体的な中身がよく分からない中で、専門的な視点のみから改善したと言われても納得し難い面もあるかもしれない。是非外部からも分かるような方策についても議論していただきたいと考えている。
金融に関するニュースやブログ記事について紹介するブログです。
金融・経済の動向や、ライフプランとパーソナルファイナンス(資産運用、財産管理、タックスプランニング)、法人・個人の財務の話などをテーマとします。
2015年12月30日水曜日
東芝不正会計で新日本有限責任監査法人に契約の新規の締結に関する業務の停止3ヶ月と業務改善命令
東芝の会計不正事件では、金融庁より、大手監査法人の一角である新日本有限責任監査法人に契約の新規の締結に関する業務の停止3ヶ月と業務改善命令という厳しい措置が取られました。
東芝の監査のプロセスについてのみならず、法人運営が著しく不当であるという評価が下されました。
金融庁 2015/12/22
監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について
(1)処分の対象者 新日本有限責任監査法人
(2)処分の内容
・契約の新規の締結に関する業務の停止 3月
(平成28年1月1日から同年3月31日まで)
・業務改善命令(業務管理体制の改善。詳細は下記4参照)
※併せて、同日、約21億円の課徴金納付命令に係る審判手続開始を決定
(3)処分理由
ア 東芝の平成22年3月期、平成24年3月期及び平成25年3月期における財務書類の監査において、7名の公認会計士が、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。
イ 当監査法人の運営が著しく不当と認められた。
事案の概要
(1)東芝の財務書類に対する虚偽証明
監査チームのメンバー構成が、長期間にわたり東芝や東芝の子会社の監査を担当した者が中心となっていることなどにより、東芝のガバナンスへの過信が生じ、東芝側の説明や提出資料に対して、批判的な観点からの検証が十分に実施できなかった
背景事情 下記アからウに記載した事実などが認められた
ア パソコン事業
~ 監査の担当者は、毎四半期末月の製造利益が他月に比べ大きくなっている状況や四半期末月の製造原価がマイナスとなる異常値を認識するとともに、その理由を東芝に確認し、「部品メーカーからの多額のキャッシュバック」があったためとの回答を受けていたが、監査調書に記載するのみで、それ以上にチーム内で情報共有をしていなかった。~
イ 半導体事業
~ 前工程の原価差額を減額した場合は、後工程の原価差額について同額の増額が行われるべきところ、東芝はこれを行っていなかったが、監査チームは、前工程における原価差額の減額が行われていたことを監査手続において認識しながら、後工程における原価差額の増額が行われているかを、十分かつ適切な監査証拠を入手し裏付けをもって確認する必要があるにもかかわらず、後工程における原価差額の増額は当然に行われていると勝手に思い込み、その確認を怠った。 ~
ウ 工事進行基準適用事案
~ 東芝の説明を鵜呑みにし、また、東芝から提出された発番票などの資料を確認するにとどまり、見積工事原価総額の内訳などについて、詳細な説明や資料の提出を受けておらず、経営者が使用した重要な仮定の合理性や見積りの不確実性の検討過程を評価していないなど、当然行うべき、特別な検討を必要とするリスクに対応した十分かつ適切な監査証拠の入手ができていなかった。
(2)当監査法人の運営
当監査法人の運営が著しく不当なものと認められた。
ア 品質管理本部及び各事業部等においては、原因分析を踏まえた改善策の周知徹底を図っていないことに加え、改善状況の適切性や実効性を検証する態勢を構築していない。そのため、社員及び監査補助者のうちには、監査で果たすべき責任や役割を十分に自覚せず、審査会検査等で指摘された事項を改善できていない者がいる。また、下記エにみられるように審査態勢も十分に機能していない。
イ 定期的な検証及び期中レビューにより、全ての監査の品質を一定水準以上に向上できているかを検証することとしている。しかしながら、これらの手段を組み合わせて用いても、早急に改善を要する監査業務や監査手続への適時な対応となっていないなど、実効性のあるモニタリングを実施する態勢を構築していない。また、定期的な検証において、監査手続の不備として指摘すべき事項を監査調書上の形式的な不備として指摘している。そのため、監査チームは指摘の趣旨を理解しておらず、審査会検査等で繰り返し指摘されている分析的実証手続等の不備について、改善対応ができていない。
ウ 識別されたリスクに対応した監査手続が策定されていないなどリスク・アプローチに基づく監査計画の立案が不十分であり、重要な会計上の見積りの監査における被監査会社が用いた仮定及び判断について遡及的に検討をしていないほか、被監査会社の行った見積り方法の変更や事業計画の合理性について批判的に検討しておらず、分析的実証手続の不備が改善されていないなど、これまでの審査会検査等で繰り返し指摘されてきた監査手続の重要な不備が依然として認められる。加えて、重要な勘定において多額の異常値を把握しているにもかかわらず、監査の基準で求められている実証手続が未実施であり、また、経営者による内部統制の無効化に関係したリスク対応手続として実施した仕訳テストにおいて抽出した仕訳の妥当性が未検討であるなど、リスクの高い項目に係る監査手続に重要な不備が認められる。
エ 審査担当社員が、監査チームから提出された審査資料に基づき審査を実施するのみで、監査チームが行った重要な判断を客観的に評価していない。
これを受け、日本公認会計士協会は下記の声明を出しています。
日本公認会計士協会 2015/12/22
会長声明「公認会計士監査の信頼回復に向けて」
(内容要旨)
・監査法人による監査の実施を巡って発生した今回の事態は、我が国の資本市場及び公認会計士監査に対する信頼を著しく損なうものであり、その社会的影響からしても極めて遺憾である。
・今回の事態を公認会計士監査全体への信頼が問われているものとして捉え、一人ひとりが原点に立ち戻り、公認会計士法が規定する公認会計士の使命及び職責を自覚し、真摯に監査業務に取り組むことが必要である。
・監査の実施に当たっては、特に、内部統制を含む企業及び企業環境を十分に理解し適切な対応を行っているか、職業的懐疑心を十分に保持し状況に応じ発揮し・高めるとともに、状況の変化等に対応して適宜監査計画を修正しているか、経営者との有効なコミュニケーションを実施しているか、監査役等との連携を強化すべく双方向の有効なコミュニケーションを実施しているか、また、監査チームにおいては十分な討議と知識等の共有が図られメンバーがそれぞれの役割を果たしているかを改めて確認し、コーポレートガバナンス・コードが謳う高品質な監査の実施とこれを実現するための十分な監査時間を確保することを要請する。
・経営者による内部統制の無効化や共謀により内部統制が機能しない場合があることに十分に留意するとともに、内部統制監査においては、内部統制基準・実施基準や実務指針を形式的に適用するのではなく、制度の趣旨に沿った実質的な適用ができているか、今一度確認することを要請する。
東芝の監査のプロセスについてのみならず、法人運営が著しく不当であるという評価が下されました。
金融庁 2015/12/22
監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について
(1)処分の対象者 新日本有限責任監査法人
(2)処分の内容
・契約の新規の締結に関する業務の停止 3月
(平成28年1月1日から同年3月31日まで)
・業務改善命令(業務管理体制の改善。詳細は下記4参照)
※併せて、同日、約21億円の課徴金納付命令に係る審判手続開始を決定
(3)処分理由
ア 東芝の平成22年3月期、平成24年3月期及び平成25年3月期における財務書類の監査において、7名の公認会計士が、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。
イ 当監査法人の運営が著しく不当と認められた。
事案の概要
(1)東芝の財務書類に対する虚偽証明
監査チームのメンバー構成が、長期間にわたり東芝や東芝の子会社の監査を担当した者が中心となっていることなどにより、東芝のガバナンスへの過信が生じ、東芝側の説明や提出資料に対して、批判的な観点からの検証が十分に実施できなかった
背景事情 下記アからウに記載した事実などが認められた
ア パソコン事業
~ 監査の担当者は、毎四半期末月の製造利益が他月に比べ大きくなっている状況や四半期末月の製造原価がマイナスとなる異常値を認識するとともに、その理由を東芝に確認し、「部品メーカーからの多額のキャッシュバック」があったためとの回答を受けていたが、監査調書に記載するのみで、それ以上にチーム内で情報共有をしていなかった。~
イ 半導体事業
~ 前工程の原価差額を減額した場合は、後工程の原価差額について同額の増額が行われるべきところ、東芝はこれを行っていなかったが、監査チームは、前工程における原価差額の減額が行われていたことを監査手続において認識しながら、後工程における原価差額の増額が行われているかを、十分かつ適切な監査証拠を入手し裏付けをもって確認する必要があるにもかかわらず、後工程における原価差額の増額は当然に行われていると勝手に思い込み、その確認を怠った。 ~
ウ 工事進行基準適用事案
~ 東芝の説明を鵜呑みにし、また、東芝から提出された発番票などの資料を確認するにとどまり、見積工事原価総額の内訳などについて、詳細な説明や資料の提出を受けておらず、経営者が使用した重要な仮定の合理性や見積りの不確実性の検討過程を評価していないなど、当然行うべき、特別な検討を必要とするリスクに対応した十分かつ適切な監査証拠の入手ができていなかった。
(2)当監査法人の運営
当監査法人の運営が著しく不当なものと認められた。
ア 品質管理本部及び各事業部等においては、原因分析を踏まえた改善策の周知徹底を図っていないことに加え、改善状況の適切性や実効性を検証する態勢を構築していない。そのため、社員及び監査補助者のうちには、監査で果たすべき責任や役割を十分に自覚せず、審査会検査等で指摘された事項を改善できていない者がいる。また、下記エにみられるように審査態勢も十分に機能していない。
イ 定期的な検証及び期中レビューにより、全ての監査の品質を一定水準以上に向上できているかを検証することとしている。しかしながら、これらの手段を組み合わせて用いても、早急に改善を要する監査業務や監査手続への適時な対応となっていないなど、実効性のあるモニタリングを実施する態勢を構築していない。また、定期的な検証において、監査手続の不備として指摘すべき事項を監査調書上の形式的な不備として指摘している。そのため、監査チームは指摘の趣旨を理解しておらず、審査会検査等で繰り返し指摘されている分析的実証手続等の不備について、改善対応ができていない。
ウ 識別されたリスクに対応した監査手続が策定されていないなどリスク・アプローチに基づく監査計画の立案が不十分であり、重要な会計上の見積りの監査における被監査会社が用いた仮定及び判断について遡及的に検討をしていないほか、被監査会社の行った見積り方法の変更や事業計画の合理性について批判的に検討しておらず、分析的実証手続の不備が改善されていないなど、これまでの審査会検査等で繰り返し指摘されてきた監査手続の重要な不備が依然として認められる。加えて、重要な勘定において多額の異常値を把握しているにもかかわらず、監査の基準で求められている実証手続が未実施であり、また、経営者による内部統制の無効化に関係したリスク対応手続として実施した仕訳テストにおいて抽出した仕訳の妥当性が未検討であるなど、リスクの高い項目に係る監査手続に重要な不備が認められる。
エ 審査担当社員が、監査チームから提出された審査資料に基づき審査を実施するのみで、監査チームが行った重要な判断を客観的に評価していない。
これを受け、日本公認会計士協会は下記の声明を出しています。
日本公認会計士協会 2015/12/22
会長声明「公認会計士監査の信頼回復に向けて」
(内容要旨)
・監査法人による監査の実施を巡って発生した今回の事態は、我が国の資本市場及び公認会計士監査に対する信頼を著しく損なうものであり、その社会的影響からしても極めて遺憾である。
・今回の事態を公認会計士監査全体への信頼が問われているものとして捉え、一人ひとりが原点に立ち戻り、公認会計士法が規定する公認会計士の使命及び職責を自覚し、真摯に監査業務に取り組むことが必要である。
・監査の実施に当たっては、特に、内部統制を含む企業及び企業環境を十分に理解し適切な対応を行っているか、職業的懐疑心を十分に保持し状況に応じ発揮し・高めるとともに、状況の変化等に対応して適宜監査計画を修正しているか、経営者との有効なコミュニケーションを実施しているか、監査役等との連携を強化すべく双方向の有効なコミュニケーションを実施しているか、また、監査チームにおいては十分な討議と知識等の共有が図られメンバーがそれぞれの役割を果たしているかを改めて確認し、コーポレートガバナンス・コードが謳う高品質な監査の実施とこれを実現するための十分な監査時間を確保することを要請する。
・経営者による内部統制の無効化や共謀により内部統制が機能しない場合があることに十分に留意するとともに、内部統制監査においては、内部統制基準・実施基準や実務指針を形式的に適用するのではなく、制度の趣旨に沿った実質的な適用ができているか、今一度確認することを要請する。
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2015年11月8日日曜日
マイナンバー制度による相続への影響はどうなる?
「マイナンバー制度」がいよいよスタート、各家庭への通知の準備が着々と進められている。
(参考)マイナンバー制度開始 通知カード、個人番号カードの交付申請が届いたら知っておくべきこと
相続への影響はどうでしょうか。
日経記事で、司法書士・川原田慶太氏が解説しています。
マイナンバー制度は、市区町村に住民票をおく人が対象となる広範な制度のため、相続の分野とも無縁ではない。
「社会保障」「税」「災害対策」の分野での導入が先行するが、しばらくの期間は個人番号にひもづいて蓄積されるデータは限定的。開始当初は相続への影響は、おそらく限定的なものと思われる。
先行3分野の次に予定されている、「預貯金口座」「医療」へのマイナンバー適用がスタートした場合、大きな変化が生まれる可能性がある。
・「預貯金口座」のマイナンバーによる一元化
金融機関の預金口座がマイナンバーと紐づけられるようになる見通しである。
預金口座のマイナンバー管理が進めば、資産の「名寄せ」が容易になりまする。
相続の際には、亡くなった方の口座を明らかにし、遺産分割を進める。「故人がどこにどれだけ預金をしていたか」を一元化して調べられる方法は、これまでは確固たる仕組みは存在していなかった。
税務署のような強い権限をもった公的機関をしても、全国の金融機関をくまなくローラー作戦で調べるといった原始的な方法しかなく、現実的な作業量の問題としてすべての口座を把握することは難しかった。
マイナンバー利用が定着していけば、名寄せ調査の問題はたちどころに解決される。
故人・家族の口座のありかが全て簡単に収集できるようになる。
さらに、個人の家族の情報も同時に照らし合わせるようなことが可能なため、所得税のデータとも照らし合わせれば詳細なお金の流れの把握も可能となる。
また、相続財産や被相続人からのお金の流れが明確になることで、情報不足によるトラブルが減る反面、「誰それだけは生前にたくさんお金を貰っているので相続時は遠慮しろ」などというトラブルが増えるかもしれないとのコメントがされています。
【関連記事】
2015/10/1 マイナンバー対策 マイナンバーで副業がバレる心配への有効な対応策 ~キャバクラ嬢・ホステスのためのマイナンバーと確定申告講座~
(参考)マイナンバー制度開始 通知カード、個人番号カードの交付申請が届いたら知っておくべきこと
相続への影響はどうでしょうか。
日経記事で、司法書士・川原田慶太氏が解説しています。
マイナンバー制度は、市区町村に住民票をおく人が対象となる広範な制度のため、相続の分野とも無縁ではない。
「社会保障」「税」「災害対策」の分野での導入が先行するが、しばらくの期間は個人番号にひもづいて蓄積されるデータは限定的。開始当初は相続への影響は、おそらく限定的なものと思われる。
先行3分野の次に予定されている、「預貯金口座」「医療」へのマイナンバー適用がスタートした場合、大きな変化が生まれる可能性がある。
・「預貯金口座」のマイナンバーによる一元化
金融機関の預金口座がマイナンバーと紐づけられるようになる見通しである。
預金口座のマイナンバー管理が進めば、資産の「名寄せ」が容易になりまする。
相続の際には、亡くなった方の口座を明らかにし、遺産分割を進める。「故人がどこにどれだけ預金をしていたか」を一元化して調べられる方法は、これまでは確固たる仕組みは存在していなかった。
税務署のような強い権限をもった公的機関をしても、全国の金融機関をくまなくローラー作戦で調べるといった原始的な方法しかなく、現実的な作業量の問題としてすべての口座を把握することは難しかった。
マイナンバー利用が定着していけば、名寄せ調査の問題はたちどころに解決される。
故人・家族の口座のありかが全て簡単に収集できるようになる。
さらに、個人の家族の情報も同時に照らし合わせるようなことが可能なため、所得税のデータとも照らし合わせれば詳細なお金の流れの把握も可能となる。
また、相続財産や被相続人からのお金の流れが明確になることで、情報不足によるトラブルが減る反面、「誰それだけは生前にたくさんお金を貰っているので相続時は遠慮しろ」などというトラブルが増えるかもしれないとのコメントがされています。
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2015/10/1 マイナンバー対策 マイナンバーで副業がバレる心配への有効な対応策 ~キャバクラ嬢・ホステスのためのマイナンバーと確定申告講座~
2015年11月4日水曜日
キャバクラ店の源泉徴収漏れにはご注意
横浜市中区などでキャバクラを3店舗経営。そこで働くホステスらの給与から2011年7月~13年12月に源泉徴収した計約1億7千万円の所得税を全く納めなかった疑いがある。事業資金の捻出が目的だったとみられるとしたニュースが伝わってきました。
朝日新聞2015年11月4日「キャバクラ経営会社、1.7億円脱税容疑 給与天引き」
キャバクラ等の水商売では、所得税の源泉徴収を納めずに、店舗の経営者がガメてしまう場合があるようです。定期的にニュースに流れるので、それなりに多いのではと推察されます。
源泉徴収義務はあくまでキャバクラ店側ですが、働くキャバクラ嬢もとんだとばっちりが回る可能性がありますので、クリーンな店で働くのが良いでしょう。
キャバクラはホステスを直接雇用しているのに、別の派遣会社から委託されている形などで消費税をごまかすケースもあるようです。給与か外注か、という論点もあります。
【参考】
・マネーの知恵(仮)2013/1/20 キャバ嬢を喜ばせるお話!? そうだ!確定申告をしよう
・マネーの知恵(仮)2015/10/2 マイナンバー対策 マイナンバーで副業がバレる心配への有効な対応策 ~キャバクラ嬢・ホステスのためのマイナンバーと確定申告講座~
朝日新聞2015年11月4日「キャバクラ経営会社、1.7億円脱税容疑 給与天引き」
キャバクラ等の水商売では、所得税の源泉徴収を納めずに、店舗の経営者がガメてしまう場合があるようです。定期的にニュースに流れるので、それなりに多いのではと推察されます。
源泉徴収義務はあくまでキャバクラ店側ですが、働くキャバクラ嬢もとんだとばっちりが回る可能性がありますので、クリーンな店で働くのが良いでしょう。
キャバクラはホステスを直接雇用しているのに、別の派遣会社から委託されている形などで消費税をごまかすケースもあるようです。給与か外注か、という論点もあります。
【参考】
・マネーの知恵(仮)2013/1/20 キャバ嬢を喜ばせるお話!? そうだ!確定申告をしよう
・マネーの知恵(仮)2015/10/2 マイナンバー対策 マイナンバーで副業がバレる心配への有効な対応策 ~キャバクラ嬢・ホステスのためのマイナンバーと確定申告講座~
2015年10月29日木曜日
究極の相続税対策で相続税の発生がなくなる!? 「一般社団法人」の概要と留意点
究極の相続税対策と言われる、「一般社団法人」の活用が広がり始めています。
簡単にだけ説明をしますと、株式会社とは別の「一般社団法人」という法人形態があります。
簡単にだけ説明をしますと、株式会社とは別の「一般社団法人」という法人形態があります。
一般社団法人は剰余金や残余財産を社員・設立者に分配が出来ない仕組みになっているため、持分のない法人とも言われます。剰余金や残余財産の分配がないため、財産的価値がなく、一般社団法人の持ち分は相続税評価がゼロになるというものです。
財産的価値はありませんが、運営の意思決定を行う理事等を親族で固めることで、事実上の支配権を確保します。
本えば、一般社団法人を設立し、そこに株式や不動産を移転すると、移転時に課税はありますが、その後の代々の相続税はなくなる、というスキームです。
このように、一見、相続税の課税がなくなるというメリットがありますが、主な留意点は下記です。
・財産移転後の一般社団法人の意思決定権を持つ役職の地位を巡って争いが起こる可能性がある。
・財産移転時の課税の軽減のため自社株対策により株式評価額を下げてから移転する必要がある。
・一般社団法人設立後の運営体制を事前にしっかりと検討する必要がある。
・一般社団法人スキームは「究極の相続税対策」とも言われますが、国民全員が一般社団法人を設立すると誰からも相続税の課税がなくなります。そのため、将来的に税制改正等がされて、意味がないものになってしまう可能性がある。(現時点では一般社団法人防止のための税制改正の具体的な動きは確認されてはいません。ただ、いずれ使えなくなるだろうというのが専門家間でのコンセンサスです。)
→一般社団法人の設立を検討して見送る方は、この点をリスクと感じてやめるという場合が多いです。一般社団法人の解散によって元へ戻すことは出来ますが・・
(参考)
全国各地で社団法人の「設立ラッシュ」が起きている。2013年までの2年間で1万7000社近く設立され、それ以前の2年間の2.4倍に膨らんだ。東京都内で事務所を構える税理士は「すべてとは言わないが、多くが相続税対策」と明かす。公益のために設立される建前の社団法人には税務上、財産の持ち分という概念がなく、相続税がかからない。資産の受け皿に“もってこい”というわけだ。
ある大手小売業の70歳代のオーナーも、3人の娘のために3つの社団法人の設立を検討した。ところが、この節税策を実行すると、その時点で莫大な相続財産の配分が決まってしまう。オーナーはまだ健在にもかかわらず、3人の間で相続争いが勃発。配分は宙に浮いたままだ。
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2015年10月27日火曜日
異次元の金融緩和で国債を吸い上げる日銀。既に発行残高の3割を保有。2017年が限界!?
黒田東彦総裁が日銀総裁に就任直後の2013年4月に異次元緩和を始めて2年半が経過した。2018年までの任期5年の折り返し点を過ぎ、市場のゆがみが表れてきている。
2015年10月の時点で日銀の保有国債残高は300兆円を超え、発行残高の3割を占める。
BNPパリバ証券の渡辺誠氏の指摘では、「あと2年が限界」。BNPパリバ証券の試算によると、このまま日銀が国債を買い続ければ、17年末に保有比率が5割を超える。
銀行などが取引の担保に使う国債を除くと、買える国債が事実上なくなり、いずれ債券市場は干上がることが見えている。
その時、金利はどうなるか??
日経「異次元緩和 ゆがむ市場(上) 国債運用が消える日」(2015/10/23付)より
(国債市場の概況)
国債の発行残高1000兆円超のうち、毎年発行する新規国債は40兆円未満。異次元の金融緩和により、日銀が年間80兆円も買い上げる。市場に出回る国債は減り、需給が締まって金利が低下(国債価格は上昇)する。金利低下は経済活動を刺激するが、同時に債券市場のゆがみも目立ってきた。
債券ディーラーの仕事の多くは、財務省から買った国債を数日後に日銀に転売する「日銀トレード」となっている。日銀が財務省から国債を直接買うと「財政赤字の穴埋め」との批判を受けるため、市場参加者がわずかな値ざやと引き換えに橋渡し役を担う。こうした実態に嫌気が差すディーラーも多いという。国内大手銀行・証券の債券ディーラーが、マイナス金利となるような高い価格でも国債を購入し、短期国債のマイナス金利も起きている。
日銀は財務省から直接国債を買っていないが、証券会社を介して新発債を短期間で買っている状況だ。事実上、政府の赤字を中央銀行が穴埋めする財政ファイナンスの色合いも増している。
金融機関は国債を扱う債券部門の縮小・撤退を余儀なくされている。アール・ビー・エス証券が国債市場特別参加者の資格を返上して国債取引から撤退したほか、ゴールドマン・サックス証券など他の証券会社でも花形ディーラーの海外転出などが続いている。
松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏「国内債券市場の関係者は、国債の買い入れ状況を見る限り技術的に困難が伴うとして、緩和なしとみている向きが多い。逆に国内でも証券関係者や、海外機関投資家は緩和あり、もしくはやるべきという意見が強いようだ」
中央銀行が市場から国債を買い上げる量的緩和は日米欧で実施されている。
日米欧の国債利回りは通常のファンダメンタルズでは説明できない低い水準で推移し、インフレ調整後の実質金利は日米欧ともゼロ周辺になっている。金利形成プロセスが下方に歪んでいる可能性がある。
これは、新たなバブルを生んでいる可能性も否定できない。
2015年10月30日の日銀政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は、「追加緩和の手段が尽きているのでは」との質問に対し、「限界があるとは思っていない。現時点でも(日銀の国債保有額は)発行残高の3割弱。英イングランド銀行は7割くらいまで買い進んだ。日本も7割まで買うわけにはいかないが、すぐ限界がくるとは思っていない」と回答している。
量的緩和の行く末はどうなるか?
(関連記事)
・2014/12/27 アベノミクスの行く末と、個人投資家としての中長期の投資スタンスを考える
・2015/5/3 [感想・書評] 低欲望社会 大前研一/著
2015年10月の時点で日銀の保有国債残高は300兆円を超え、発行残高の3割を占める。
BNPパリバ証券の渡辺誠氏の指摘では、「あと2年が限界」。BNPパリバ証券の試算によると、このまま日銀が国債を買い続ければ、17年末に保有比率が5割を超える。
銀行などが取引の担保に使う国債を除くと、買える国債が事実上なくなり、いずれ債券市場は干上がることが見えている。
その時、金利はどうなるか??
日経「異次元緩和 ゆがむ市場(上) 国債運用が消える日」(2015/10/23付)より
(国債市場の概況)
国債の発行残高1000兆円超のうち、毎年発行する新規国債は40兆円未満。異次元の金融緩和により、日銀が年間80兆円も買い上げる。市場に出回る国債は減り、需給が締まって金利が低下(国債価格は上昇)する。金利低下は経済活動を刺激するが、同時に債券市場のゆがみも目立ってきた。
債券ディーラーの仕事の多くは、財務省から買った国債を数日後に日銀に転売する「日銀トレード」となっている。日銀が財務省から国債を直接買うと「財政赤字の穴埋め」との批判を受けるため、市場参加者がわずかな値ざやと引き換えに橋渡し役を担う。こうした実態に嫌気が差すディーラーも多いという。国内大手銀行・証券の債券ディーラーが、マイナス金利となるような高い価格でも国債を購入し、短期国債のマイナス金利も起きている。
日銀は財務省から直接国債を買っていないが、証券会社を介して新発債を短期間で買っている状況だ。事実上、政府の赤字を中央銀行が穴埋めする財政ファイナンスの色合いも増している。
金融機関は国債を扱う債券部門の縮小・撤退を余儀なくされている。アール・ビー・エス証券が国債市場特別参加者の資格を返上して国債取引から撤退したほか、ゴールドマン・サックス証券など他の証券会社でも花形ディーラーの海外転出などが続いている。
松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏「国内債券市場の関係者は、国債の買い入れ状況を見る限り技術的に困難が伴うとして、緩和なしとみている向きが多い。逆に国内でも証券関係者や、海外機関投資家は緩和あり、もしくはやるべきという意見が強いようだ」
中央銀行が市場から国債を買い上げる量的緩和は日米欧で実施されている。
日米欧の国債利回りは通常のファンダメンタルズでは説明できない低い水準で推移し、インフレ調整後の実質金利は日米欧ともゼロ周辺になっている。金利形成プロセスが下方に歪んでいる可能性がある。
これは、新たなバブルを生んでいる可能性も否定できない。
2015年10月30日の日銀政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は、「追加緩和の手段が尽きているのでは」との質問に対し、「限界があるとは思っていない。現時点でも(日銀の国債保有額は)発行残高の3割弱。英イングランド銀行は7割くらいまで買い進んだ。日本も7割まで買うわけにはいかないが、すぐ限界がくるとは思っていない」と回答している。
量的緩和の行く末はどうなるか?
(関連記事)
・2014/12/27 アベノミクスの行く末と、個人投資家としての中長期の投資スタンスを考える
・2015/5/3 [感想・書評] 低欲望社会 大前研一/著
2015年10月13日火曜日
証券営業の現場 大手証券会社元社員が語る「顧客が資産を失っても、路頭に迷っても関係ない」
証券営業の現場の声を伝える記事がありました。
ビジネスジャーナル
大手証券会社元社員「手数料稼ぎ第一で、クズ株も押し付け。顧客の損に興味なし」
http://biz-journal.jp/2013/03/post_1767.html
記事では、某大手証券会社の元女性社員Y氏(仮名、30代前半)が下記のことを語っています。
証券会社では、電話、対面で顧客からの株などの売り買いに対応する窓口業務を行っていたようです。
「私が勤務していた当時は、個人の名前と成績グラフが貼ってありました。日々、どれだけの売り買いを顧客にさせ、手数料を取ることができたのかをわかるようにするためです。社員間の競争意識が強かったので、とにかく顧客に売り買いをさせることに全力を注いでいました」
「手数料は取引金額に応じて異なります。ですので、私たちの間では億以上の資産を株式投資されている顧客は『大切な顧客』ですが、資産数千万円程度の顧客は『たんなる顧客』、それ以下の数百万、数十万の顧客は『クズ』『ゴミ』と呼んでいました。顧客から電話を頂いても、億単位の方以外のあしらいは適当でした。少額の運用に頭を使うのは時間の無駄ですし、売り買いしていただいても数十万、数百万円程度の取引額では手数料も微々たるものです。そんな手数料のために、事務処理をするのは面倒ですから」
「逆に、証券会社の上部から“とにかく売れ”と言われた長期的な値上がりが見込めない株=“クズ株”は、投資金額が数百万、数十万レベルの顧客に押し付け販売します。多少でも上がらないとマズイので、売りつけ後に社内で株価を操作し数日だけ上げ、あとは下落していきました。顧客の資産よりも、自分の成績を上げることが大切なので、より多くの手数料を稼ぐために、顧客と投資金額について相談しながら、目先だけ上がるような銘柄を勧めていました。上がった時に株を売らせるのではなく、少し下がりだした時に、損切りをさせて、また目先で上がるような銘柄を勧めます。こうすることで、顧客は少し儲けている、儲かっているという気持ちになるようです。実際に、この方法で何人かの顧客は私に感謝してくださいました」
「どんな銘柄でも、基本的にどんどん売り買いさせていました。実際は、このまま置いておくほうが儲かりそうな銘柄でも、手数料の儲けのために移動(現在保有する株を売って、他の株を買うこと)をお勧めしたことが多いと思います。株価は政府要人の発言や出来高数などによって変化します。さらに、ひとつひとつの銘柄にはクセのようなものがあり、毎日見ているとクセがだいたい読めるようになります。そこで、銘柄移動を繰り返し、何度も繰り返させることで手数料を頂いていました。ですから、顧客が増えているはずだと思っていた総資産は、アッという間になくなっていきました」
「顧客が資産を失っても、路頭に迷っても関係ないです。だいたい、自力でなんの勉強もせず、ただお金を預け、電話をかけていれば資産が増えると思っているほうが間違いだと思います。他の証券会社社員の方は知りませんが、私はリスクの高い信用買いを顧客にお勧めすることはしませんでしたので、顧客が借金まで背負われることはなかったと思います」
「一番大切なことは、証券会社社員の話は絶対に鵜呑みにしないこと。特に、いいことずくめでリスクを言わない場合には、“クズ株”の営業だと思って間違いなし。次に、株取引はネットやスマホが一番。いかに自分流の投資法や自分に合った銘柄を見つけるかが、決め手になると思います」
【関連記事】
・2015/8/15 [感想・書評]投資賢者の心理学―行動経済学が明かす「あなたが勝てないワケ」 大江英樹/著
・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
ビジネスジャーナル
大手証券会社元社員「手数料稼ぎ第一で、クズ株も押し付け。顧客の損に興味なし」
http://biz-journal.jp/2013/03/post_1767.html
記事では、某大手証券会社の元女性社員Y氏(仮名、30代前半)が下記のことを語っています。
証券会社では、電話、対面で顧客からの株などの売り買いに対応する窓口業務を行っていたようです。
「私が勤務していた当時は、個人の名前と成績グラフが貼ってありました。日々、どれだけの売り買いを顧客にさせ、手数料を取ることができたのかをわかるようにするためです。社員間の競争意識が強かったので、とにかく顧客に売り買いをさせることに全力を注いでいました」
「手数料は取引金額に応じて異なります。ですので、私たちの間では億以上の資産を株式投資されている顧客は『大切な顧客』ですが、資産数千万円程度の顧客は『たんなる顧客』、それ以下の数百万、数十万の顧客は『クズ』『ゴミ』と呼んでいました。顧客から電話を頂いても、億単位の方以外のあしらいは適当でした。少額の運用に頭を使うのは時間の無駄ですし、売り買いしていただいても数十万、数百万円程度の取引額では手数料も微々たるものです。そんな手数料のために、事務処理をするのは面倒ですから」
「逆に、証券会社の上部から“とにかく売れ”と言われた長期的な値上がりが見込めない株=“クズ株”は、投資金額が数百万、数十万レベルの顧客に押し付け販売します。多少でも上がらないとマズイので、売りつけ後に社内で株価を操作し数日だけ上げ、あとは下落していきました。顧客の資産よりも、自分の成績を上げることが大切なので、より多くの手数料を稼ぐために、顧客と投資金額について相談しながら、目先だけ上がるような銘柄を勧めていました。上がった時に株を売らせるのではなく、少し下がりだした時に、損切りをさせて、また目先で上がるような銘柄を勧めます。こうすることで、顧客は少し儲けている、儲かっているという気持ちになるようです。実際に、この方法で何人かの顧客は私に感謝してくださいました」
「どんな銘柄でも、基本的にどんどん売り買いさせていました。実際は、このまま置いておくほうが儲かりそうな銘柄でも、手数料の儲けのために移動(現在保有する株を売って、他の株を買うこと)をお勧めしたことが多いと思います。株価は政府要人の発言や出来高数などによって変化します。さらに、ひとつひとつの銘柄にはクセのようなものがあり、毎日見ているとクセがだいたい読めるようになります。そこで、銘柄移動を繰り返し、何度も繰り返させることで手数料を頂いていました。ですから、顧客が増えているはずだと思っていた総資産は、アッという間になくなっていきました」
「顧客が資産を失っても、路頭に迷っても関係ないです。だいたい、自力でなんの勉強もせず、ただお金を預け、電話をかけていれば資産が増えると思っているほうが間違いだと思います。他の証券会社社員の方は知りませんが、私はリスクの高い信用買いを顧客にお勧めすることはしませんでしたので、顧客が借金まで背負われることはなかったと思います」
「一番大切なことは、証券会社社員の話は絶対に鵜呑みにしないこと。特に、いいことずくめでリスクを言わない場合には、“クズ株”の営業だと思って間違いなし。次に、株取引はネットやスマホが一番。いかに自分流の投資法や自分に合った銘柄を見つけるかが、決め手になると思います」
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・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
2015年10月12日月曜日
世界経済の中期経済見通し(2014~2024年度) ニッセイ基礎研究所より
ニッセイ基礎研究所(2014/10/16)
Weekly エコノミスト・レターでの中期経済見通し(2014~2024年度)より抜粋
(PDF)
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2014/we141016.pdf
(世界経済)
・世界経済は回復基調が続いているが、そのペースは依然として緩慢なものにとどまっており、主要先進国のGDPギャップはリーマン・ショック以降、ほぼ一貫してマイナス圏で推移している。IMFの世界経済見通しでは、足もとだけでなく先行き 5 年間の成長率予想が下方修正されており、需要不足と供給力の低下が同時進行している。
・米国の利上げは比較的ゆっくりとしたペースで進められると予想しているが、最終的には 3.75%まで引き上げられるとみている。そのため、予測期間中盤以降は長期金利も 4%半ばまで上昇、投資が加速しにくい状況になると思われる。
・欧州はメインシナリオとして 2016 年内は緩和強化が続くと想定、利上げには 2017 年後半に着手するが、金融政策正常化のプロセスはごく緩やかと想定。
(日本経済)
・日本経済再生の鍵は、高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしと女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上を同時に進めることである。2024年度までの10年間の日本の実質GDP成長率は平均1.3%と予想するが、消費税率引き上げ、オリンピック開催前後で振幅の大きな展開が続くだろう。
・基礎的財政収支の赤字は縮小傾向が続くが、2024 年度でも▲2.0%の赤字となり、2020 年度までに基礎的財政収支を黒字化するという政府目標は達成されない可能性が高い。
(新興国経済)
・世界経済に占める新興国の割合は今回の予測期間末である 2024 年には 50%近くまで高まるだろう。国別には現在世界第 2 位の経済規模となっている中国が米国を抜いて世界一の経済大国となるほか、現時点では経済規模が日本の 3 分の 1 程度にすぎないインドはすでに人口が日本の約 10 倍となっていることに加え、先行きの人口増加率も日本を大きく上回ることから、予測期間末には日本のGDPを上回ることが予想される。
・中国は、生産年齢人口は 2015 年前後をピークに減少に転じ、成長率にはマイナスのインパクトをもたらすだろう。今後 10 年の中国経済を考えると、生産年齢人口の伸び鈍化や従来の成長モデルが壁にぶつかることで成長率は 6%台前半へと徐々に鈍化していくだろう。
Weekly エコノミスト・レターでの中期経済見通し(2014~2024年度)より抜粋
(PDF)
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2014/we141016.pdf
(世界経済)
・世界経済は回復基調が続いているが、そのペースは依然として緩慢なものにとどまっており、主要先進国のGDPギャップはリーマン・ショック以降、ほぼ一貫してマイナス圏で推移している。IMFの世界経済見通しでは、足もとだけでなく先行き 5 年間の成長率予想が下方修正されており、需要不足と供給力の低下が同時進行している。
・米国の利上げは比較的ゆっくりとしたペースで進められると予想しているが、最終的には 3.75%まで引き上げられるとみている。そのため、予測期間中盤以降は長期金利も 4%半ばまで上昇、投資が加速しにくい状況になると思われる。
・欧州はメインシナリオとして 2016 年内は緩和強化が続くと想定、利上げには 2017 年後半に着手するが、金融政策正常化のプロセスはごく緩やかと想定。
(日本経済)
・日本経済再生の鍵は、高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしと女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上を同時に進めることである。2024年度までの10年間の日本の実質GDP成長率は平均1.3%と予想するが、消費税率引き上げ、オリンピック開催前後で振幅の大きな展開が続くだろう。
・基礎的財政収支の赤字は縮小傾向が続くが、2024 年度でも▲2.0%の赤字となり、2020 年度までに基礎的財政収支を黒字化するという政府目標は達成されない可能性が高い。
(新興国経済)
・世界経済に占める新興国の割合は今回の予測期間末である 2024 年には 50%近くまで高まるだろう。国別には現在世界第 2 位の経済規模となっている中国が米国を抜いて世界一の経済大国となるほか、現時点では経済規模が日本の 3 分の 1 程度にすぎないインドはすでに人口が日本の約 10 倍となっていることに加え、先行きの人口増加率も日本を大きく上回ることから、予測期間末には日本のGDPを上回ることが予想される。
・中国は、生産年齢人口は 2015 年前後をピークに減少に転じ、成長率にはマイナスのインパクトをもたらすだろう。今後 10 年の中国経済を考えると、生産年齢人口の伸び鈍化や従来の成長モデルが壁にぶつかることで成長率は 6%台前半へと徐々に鈍化していくだろう。
2015年10月6日火曜日
日本証券アナリスト協会より「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」が選定
日本証券アナリスト協会より、「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」平成 27 年度の結果発表がされました。
○ ディスクロージャー優良企業
・業種別(本年度は 14 業種)の優良企業選定
建設・住宅・不動産 大東建託 ( 6 回連続 7 回目 )
化学・繊維 旭化成 ( 12 回連続 12 回目 )
医薬品 シスメックス ( 新 規 )
石油・鉱業 昭和シェル石油 ( 新 規 )
鉄鋼・非鉄金属 住友金属鉱山 ( 5 回連続 5 回目 )
電気・精密機器 オムロン ( 3 回 目 )
自動車・同部品・ タイヤ富士重工業 ( 2 回連続 2 回目 )
電力・ガス 東京瓦斯 ( 4 回連続 9 回目 )
運 輸 東日本旅客鉄道 ( 4 回連続 8 回目 )
通信・インターネット 日本電信電話 ( 新 規 )
商 社 三菱商事 ( 1 4 回 目 )
小売業 ローソン ( 4 回連続 9 回目 )
銀 行 三菱UFJフィナンシャル・グループ ( 2 回連続 4 回目 )
コンピューターソフト SCSK ( 2 回連続 3 回目 )
○ 新興市場銘柄
・新興 5 市場上場企業の時価総額等により選定の企業を評価対象。
セリア ( 2 回連続 2 回目 )
ピーシーデポコーポレーション ( 新 規 )
(2 社同得点 3 位)
フジオフードシステム ( 新 規 )
プロトコーポレーション ( 6 回 目 )
○ 個人投資家向け情報提供
・本年 6 月以前 1 年間において、「個人投資家向け会社説明会」を開催している企業を評価対象。
シスメックス ( 4 回連続 4 回目 )
三菱UFJフィナンシャル・グループ ( 新 規 )
日本電産 ( 3 回連続 9 回目 )
○ 高水準のディスクロージャーを連続維持している企業
・て直近 3 回連続して上位(2 位ないしは 3 位)の評価を受けた次の 5 社を高水準のディスクロージャーを維持している企業として称賛状
(*IRサイトを追記)
建設・住宅・不動産 長谷工コーポレーション
http://www.haseko.co.jp/hc/company/ir/
医薬品 塩野義製薬
http://www.shionogi.co.jp/ir/library/
電力・ガス 電源開発
http://www.jpower.co.jp/annual_rep/ann50000.html
運 輸 ヤマトホールディングス
http://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/
コンピューターソフト 野村総合研究所
https://www.nri.com/jp/ir/
○ ディスクロージャーの改善が著しい企業
化学・繊維 三井化学
電気・精密機器 ソ ニ ー
〃 T D K
商 社 双 日
小売業 丸 井 グ ル ー プ
コンピューターソフト ITホールディングス
*上場企業は模範となる会社を見習ってIRを向上すると日本の株式市場全体の活性化が期待できますね。
○ ディスクロージャー優良企業
・業種別(本年度は 14 業種)の優良企業選定
建設・住宅・不動産 大東建託 ( 6 回連続 7 回目 )
化学・繊維 旭化成 ( 12 回連続 12 回目 )
医薬品 シスメックス ( 新 規 )
石油・鉱業 昭和シェル石油 ( 新 規 )
鉄鋼・非鉄金属 住友金属鉱山 ( 5 回連続 5 回目 )
電気・精密機器 オムロン ( 3 回 目 )
自動車・同部品・ タイヤ富士重工業 ( 2 回連続 2 回目 )
電力・ガス 東京瓦斯 ( 4 回連続 9 回目 )
運 輸 東日本旅客鉄道 ( 4 回連続 8 回目 )
通信・インターネット 日本電信電話 ( 新 規 )
商 社 三菱商事 ( 1 4 回 目 )
小売業 ローソン ( 4 回連続 9 回目 )
銀 行 三菱UFJフィナンシャル・グループ ( 2 回連続 4 回目 )
コンピューターソフト SCSK ( 2 回連続 3 回目 )
○ 新興市場銘柄
・新興 5 市場上場企業の時価総額等により選定の企業を評価対象。
セリア ( 2 回連続 2 回目 )
ピーシーデポコーポレーション ( 新 規 )
(2 社同得点 3 位)
フジオフードシステム ( 新 規 )
プロトコーポレーション ( 6 回 目 )
○ 個人投資家向け情報提供
・本年 6 月以前 1 年間において、「個人投資家向け会社説明会」を開催している企業を評価対象。
シスメックス ( 4 回連続 4 回目 )
三菱UFJフィナンシャル・グループ ( 新 規 )
日本電産 ( 3 回連続 9 回目 )
○ 高水準のディスクロージャーを連続維持している企業
・て直近 3 回連続して上位(2 位ないしは 3 位)の評価を受けた次の 5 社を高水準のディスクロージャーを維持している企業として称賛状
(*IRサイトを追記)
建設・住宅・不動産 長谷工コーポレーション
http://www.haseko.co.jp/hc/company/ir/
医薬品 塩野義製薬
http://www.shionogi.co.jp/ir/library/
電力・ガス 電源開発
http://www.jpower.co.jp/annual_rep/ann50000.html
運 輸 ヤマトホールディングス
http://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/
コンピューターソフト 野村総合研究所
https://www.nri.com/jp/ir/
○ ディスクロージャーの改善が著しい企業
化学・繊維 三井化学
電気・精密機器 ソ ニ ー
〃 T D K
商 社 双 日
小売業 丸 井 グ ル ー プ
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*上場企業は模範となる会社を見習ってIRを向上すると日本の株式市場全体の活性化が期待できますね。
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2015年10月5日月曜日
マイナンバー制度開始 通知カード、個人番号カードの交付申請が届いたら知っておくべきこと
全国民一人一人に12ケタの番号を割り当てるマイナンバー制度が2015年10月5日より開始。
マイナンバーは、外国人を含め、日本で住民登録をするすべての人に割り振られる番号。結婚で名字が変わっても、原則として番号は一生同じ。
マイナンバーの対象の世帯は約5500万と膨大で、10月5日時点の住所に対し、各家庭に通知カードが10月中旬から11月末にかけて簡易書留で順次届く。
不在で受け取れなかった場合も封筒は1週間、最寄りの郵便局で保管される。自宅や勤務先への再配達が可能。その後は住所地の市区町村に戻されるため、原則として市区町村の窓口で受け取る。
○通知カード
(通知カード見本は総務省ホームページより)
・通知カードは、住民の方々にマイナンバーを通知するもので、平成27年10月以降、住民票を有する全ての住民に対し、簡易書留により郵送される。
・通知カードは紙製のカードで、自分の個人番号の他、住所、氏名、生年月日、性別等が記載(透かし等の偽造防止技術も施されている)。本人に番号を通知するためのもの。受け取った通知カードに必要事項を記入し、写真を添付したうえで郵送すると、希望者には2016年1月以降、顔写真やICチップのついたプラスチック製の「マイナンバーカード」が無料で交付される。
・平成28年1月から、社会保障・税・災害対策における各種手続において、本人確認とともに、個人番号の記載・確認を求められることとなり、また個人番号カードの交付を受ける際にも返却が必要となる。
→受け取った通知カードは大切に保管する。
○個人番号カードの交付申請
(個人番号カードの交付申請の見本は総務省ホームページより)
・通知カードには顔写真は記載されておらず、通知カードを使用して番号確認と本人確認を同時に行うためには、別に運転免許証や旅券等の本人確認書類が必要となる。
⇒番号確認と本人確認を1枚で行いたい方は、「個人番号カード」を取得する。
・個人番号カードは、ICチップに個人情報が記録され、身分証明書などに使う。
・個人番号カードには、個人番号、住所、氏名、生年月日、性別の他、顔写真が記載されることとなり、番号確認と本人確認が1枚で行うことが出来る。交付手数料は当面の間無料。
・個人番号カードの交付を希望する場合は、郵送された通知カードの下に付いている個人番号カード交付申請書により、顔写真を貼り付けて、申請を行う。スマートフォンで申請書のQRコードを読み取り、データを送る方法もある。
・カードができるとはがきが届くので、はがきと通知カード、運転免許証などの本人確認書類を持って自治体の窓口で受け取る。その場で英数字6~16桁と、数字4桁の暗証番号を設定するため、暗証番号はあらかじめ決めておく。
・本人確認のため、乳幼児も窓口に連れて行く必要がある。住民基本台帳カードを持っている人は、ここで返納する。
*総務省の想定では、来年1~3月に配布する個人番号カードは1千万枚。申請が想定を上回った場合、カード発行までかなり待たされる可能性がある。
番号は来年1月から税や社会保障などの行政事務の効率化に活用される。国は、公正に税金を集めたり、年金を配ったりするため、個人の所得を正確につかむ。17年から国と自治体の情報システムをつなげる。政府はマイナンバーで検索すると、個人情報を簡単に取り寄せられるようになる。年金の不正受給や脱税といった不正行為が防ぎやすくなる。
一方、国民への監視強化や、個人情報流出を懸念する声は根強い。
政府は情報管理体制の強化と、慎重な制度運用を行う必要がある。
【参考記事】
・2015/10/1 マイナンバー対策 マイナンバーで副業がバレる心配への有効な対応策 ~キャバクラ嬢・ホステスのためのマイナンバーと確定申告講座~
http://money-learn.seesaa.net/article/427077936.html
マイナンバーは、外国人を含め、日本で住民登録をするすべての人に割り振られる番号。結婚で名字が変わっても、原則として番号は一生同じ。
マイナンバーの対象の世帯は約5500万と膨大で、10月5日時点の住所に対し、各家庭に通知カードが10月中旬から11月末にかけて簡易書留で順次届く。
不在で受け取れなかった場合も封筒は1週間、最寄りの郵便局で保管される。自宅や勤務先への再配達が可能。その後は住所地の市区町村に戻されるため、原則として市区町村の窓口で受け取る。
○通知カード
(通知カード見本は総務省ホームページより)
・通知カードは、住民の方々にマイナンバーを通知するもので、平成27年10月以降、住民票を有する全ての住民に対し、簡易書留により郵送される。
・通知カードは紙製のカードで、自分の個人番号の他、住所、氏名、生年月日、性別等が記載(透かし等の偽造防止技術も施されている)。本人に番号を通知するためのもの。受け取った通知カードに必要事項を記入し、写真を添付したうえで郵送すると、希望者には2016年1月以降、顔写真やICチップのついたプラスチック製の「マイナンバーカード」が無料で交付される。
・平成28年1月から、社会保障・税・災害対策における各種手続において、本人確認とともに、個人番号の記載・確認を求められることとなり、また個人番号カードの交付を受ける際にも返却が必要となる。
→受け取った通知カードは大切に保管する。
○個人番号カードの交付申請
(個人番号カードの交付申請の見本は総務省ホームページより)
・通知カードには顔写真は記載されておらず、通知カードを使用して番号確認と本人確認を同時に行うためには、別に運転免許証や旅券等の本人確認書類が必要となる。
⇒番号確認と本人確認を1枚で行いたい方は、「個人番号カード」を取得する。
・個人番号カードは、ICチップに個人情報が記録され、身分証明書などに使う。
・個人番号カードには、個人番号、住所、氏名、生年月日、性別の他、顔写真が記載されることとなり、番号確認と本人確認が1枚で行うことが出来る。交付手数料は当面の間無料。
・個人番号カードの交付を希望する場合は、郵送された通知カードの下に付いている個人番号カード交付申請書により、顔写真を貼り付けて、申請を行う。スマートフォンで申請書のQRコードを読み取り、データを送る方法もある。
・カードができるとはがきが届くので、はがきと通知カード、運転免許証などの本人確認書類を持って自治体の窓口で受け取る。その場で英数字6~16桁と、数字4桁の暗証番号を設定するため、暗証番号はあらかじめ決めておく。
・本人確認のため、乳幼児も窓口に連れて行く必要がある。住民基本台帳カードを持っている人は、ここで返納する。
*総務省の想定では、来年1~3月に配布する個人番号カードは1千万枚。申請が想定を上回った場合、カード発行までかなり待たされる可能性がある。
番号は来年1月から税や社会保障などの行政事務の効率化に活用される。国は、公正に税金を集めたり、年金を配ったりするため、個人の所得を正確につかむ。17年から国と自治体の情報システムをつなげる。政府はマイナンバーで検索すると、個人情報を簡単に取り寄せられるようになる。年金の不正受給や脱税といった不正行為が防ぎやすくなる。
一方、国民への監視強化や、個人情報流出を懸念する声は根強い。
政府は情報管理体制の強化と、慎重な制度運用を行う必要がある。
【参考記事】
・2015/10/1 マイナンバー対策 マイナンバーで副業がバレる心配への有効な対応策 ~キャバクラ嬢・ホステスのためのマイナンバーと確定申告講座~
http://money-learn.seesaa.net/article/427077936.html
2015年9月22日火曜日
税理士業界の競争激化 懲戒処分も増加
2015/9/22付の日経「税理士懲戒、10年で3倍 脱税指南や名義貸し 背景に顧客奪い合い」では、脱税を指南したり、無資格者に税理士の名義を貸したりして、懲戒処分を受ける税理士や税理士法人が急増していると伝えています。
・国税庁によると、1998年の処分件数は1件だけだったが、その後は増え続け、14年度は59件と過去最多を更新。処分の内訳は税理士登録を抹消される「業務禁止」が13件、1年以内の「業務停止」が46件。横浜市の60代の男性税理士は「経営環境が厳しくなる中、顧問先の要求を断りきれず、脱税行為の相談に乗ったり、虚偽の税務書類の作成に加担したりする税理士が目立つ」と声をひそめる。
・「格安の決算申告」「月の顧問料は8千円から」などとうたう同業者のホームページ(HP)がズラリと並ぶ。
目立つのは顧問料の安さを強調し、乗り換えを誘う文句。ある税理士は「税理士業務に登録できる弁護士や公認会計士の参入も増え、都市部では顧客の奪い合いが年々激しくなる。これ以上安い顧問料ではとてもやっていけない」と嘆く。
・日本税理士会連合会の杉田宗久専務理事は「7万5千人の登録者からみれば処分はごく一部だが、件数が増えているのは事実。国税当局とも連携し、職業倫理研修や過去の非違事例の周知などを通じて指導を徹底したい」と話す。
<税理士の懲戒処分とは>
税理士法44条で(1)業務の禁止(2)2年以内の業務停止(3)戒告――の3種類が規定されている。顧問先に対する脱税の指南や虚偽の税務書類の作成、無資格者への名義貸しなどが処分の対象。懲戒処分を受けた税理士は官報に氏名、住所、事務所名などが公告されるほか、処分期間中は国税庁のホームページでも公表される。
*格安 決算申告での検索結果
○A事務所
丸投げ決算はなぜ40,000円(税抜)でできるのか!!
過去20年以上に渡る決算業務の中から培われたノウハウがここに結実し、
40,000円(税抜)で可能となりました。
通常の感覚ではできません。しかし、我々はきちんと利益を確保しながら提供できる体制を整えました。
では、どうしてそのようなことができるのでしょうか。
少しヒントをお話したいと思います。
(以下、略)
○B事務所
ピンポイントプラン 最短3日の納品実績
決算申告で必要な作業だけ依頼
決算書作成 30,000円
法人税申告書作成・提出 40,000円
トータルプラン 最短3日の納品実績
決算申告に必要な基本作業をまとめて依頼
決算書作成・法人税申告書作成・提出 60,000円
・国税庁によると、1998年の処分件数は1件だけだったが、その後は増え続け、14年度は59件と過去最多を更新。処分の内訳は税理士登録を抹消される「業務禁止」が13件、1年以内の「業務停止」が46件。横浜市の60代の男性税理士は「経営環境が厳しくなる中、顧問先の要求を断りきれず、脱税行為の相談に乗ったり、虚偽の税務書類の作成に加担したりする税理士が目立つ」と声をひそめる。
・「格安の決算申告」「月の顧問料は8千円から」などとうたう同業者のホームページ(HP)がズラリと並ぶ。
目立つのは顧問料の安さを強調し、乗り換えを誘う文句。ある税理士は「税理士業務に登録できる弁護士や公認会計士の参入も増え、都市部では顧客の奪い合いが年々激しくなる。これ以上安い顧問料ではとてもやっていけない」と嘆く。
・日本税理士会連合会の杉田宗久専務理事は「7万5千人の登録者からみれば処分はごく一部だが、件数が増えているのは事実。国税当局とも連携し、職業倫理研修や過去の非違事例の周知などを通じて指導を徹底したい」と話す。
<税理士の懲戒処分とは>
税理士法44条で(1)業務の禁止(2)2年以内の業務停止(3)戒告――の3種類が規定されている。顧問先に対する脱税の指南や虚偽の税務書類の作成、無資格者への名義貸しなどが処分の対象。懲戒処分を受けた税理士は官報に氏名、住所、事務所名などが公告されるほか、処分期間中は国税庁のホームページでも公表される。
*格安 決算申告での検索結果
○A事務所
丸投げ決算はなぜ40,000円(税抜)でできるのか!!
過去20年以上に渡る決算業務の中から培われたノウハウがここに結実し、
40,000円(税抜)で可能となりました。
通常の感覚ではできません。しかし、我々はきちんと利益を確保しながら提供できる体制を整えました。
では、どうしてそのようなことができるのでしょうか。
少しヒントをお話したいと思います。
(以下、略)
○B事務所
ピンポイントプラン 最短3日の納品実績
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2015年9月21日月曜日
直販投信の比較と人気の秘訣は
投資信託というのは、個人投資家は証券会社や銀行を通じて購入するのが一般的です。
「直販投信」は、証券会社や銀行を通さず、直接、個人投資家が運用会社から投資信託を買うもので、近年、注目が集まっています。
それぞれ特徴があり、トップが全国を回り長期投資の意義を顧客に直接説明するなどしてファンを増やしています。
毎月定額などで、こつこつ積み立てていく資産形成世代の投資家層に人気があります。
ここで挙げる「直販投信」は、グローバル分散投資を行うセゾン投信以外は、日本株が投資対象です。
最も残高があるのはさわかみ投信ですが、近年はパフォーマンスはTOPIXといったベンチマークと比べて今ひとつという評判が多く、実際、過去1・3・5年での運用成績はカテゴリーベンチマークを下回っています。日本の直販投信の草分けで既存ファンは多く、残高はダントツトップです。
最近、伸びているのはひふみ投信(+ひふみプラス)で、堅調なパフォーマンスを出しています。過去1・3・5年で見てもシャープレシオが良いのが特徴でもあり、運用が上手いと言えます。ただ、ひふみ投信+ひふみプラスでの残高が800億円を超えてきているので、中小型株の運用に強みを持つひふみ投信は投資対象の売買のしやすさは残高が小さいほどやりやすいはずで、残高が大きくなってきてからのパフォーマンスがどうなっていくかが注目されます。
主な直販投信の特徴(2015/9/21放映「マネーの羅針盤」より、データも2015/9/21モーニングスターより現在のもの)
・さわかみ投信
日本で初めて直販投信を販売
http://www.sawakami.co.jp/
さわかみ投信
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=1999082402
純資産 280,811百万円
過去5年トータルリターン 13.99% カテゴリー順位 83位
シャープレシオ 0.83
信託報酬等(税込) 1.08%
・セゾン投信
手軽に国際分散投資
http://www.saison-am.co.jp/
セゾン バンガード・グローバルバランスF(セゾン投信の代表ファンド)
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2007031505
純資産 100,803百万円
過去5年トータルリターン 12.53% カテゴリー順位 50位
シャープレシオ 1.07
信託報酬等(税込) 0.69%
・ひふみ投信
機動的な運用に定評
http://123.rheos.jp/
ひふみ投信
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2008100102
純資産 24,314百万円
過去5年トータルリターン 24.72% カテゴリー順位 17位
シャープレシオ 1.73
信託報酬等(税込) 1.06%
ひふみプラス
純資産 52,795百万円
*ひふみ投信とひふみプラスは同じ運用である。証券会社経由で販売されるのがひふみプラス。
「「ひふみ投信」と他社で販売している「ひふみプラス」は同じマザーファンドに投資するため、投資方針等は同じで、組入銘柄に相違はありません」とホームページで説明されている。
・コモンズ投信
30年の長期投資
http://www.commons30.jp/
コモンズ30ファンド
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2009011901
純資産 6,692百万円
過去5年トータルリターン 14.78% カテゴリー順位 69位
シャープレシオ 1.05
信託報酬等(税込) 1.35%
糸島氏がファンドマネージャーの「ザ・2020ビジョン」
2015/9/30現在 純資産 5,251百万円、過去1年+6.09%、カテゴリー順位98位(上位40%)
・かまくら投信
社会貢献企業に均等投資
http://www.kamakuraim.jp/
結い2101
純資産 18,825百万円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010032902
過去5年トータルリターン 11.55% カテゴリー順位 43位
シャープレシオ 1.30
信託報酬等(税込) 1.09%
【関連記事】
2012/9/30 理念への共感を呼び少しずつ根付く直販の独立系投信 運用規模や実績が課題
「直販投信」は、証券会社や銀行を通さず、直接、個人投資家が運用会社から投資信託を買うもので、近年、注目が集まっています。
それぞれ特徴があり、トップが全国を回り長期投資の意義を顧客に直接説明するなどしてファンを増やしています。
毎月定額などで、こつこつ積み立てていく資産形成世代の投資家層に人気があります。
ここで挙げる「直販投信」は、グローバル分散投資を行うセゾン投信以外は、日本株が投資対象です。
最も残高があるのはさわかみ投信ですが、近年はパフォーマンスはTOPIXといったベンチマークと比べて今ひとつという評判が多く、実際、過去1・3・5年での運用成績はカテゴリーベンチマークを下回っています。日本の直販投信の草分けで既存ファンは多く、残高はダントツトップです。
最近、伸びているのはひふみ投信(+ひふみプラス)で、堅調なパフォーマンスを出しています。過去1・3・5年で見てもシャープレシオが良いのが特徴でもあり、運用が上手いと言えます。ただ、ひふみ投信+ひふみプラスでの残高が800億円を超えてきているので、中小型株の運用に強みを持つひふみ投信は投資対象の売買のしやすさは残高が小さいほどやりやすいはずで、残高が大きくなってきてからのパフォーマンスがどうなっていくかが注目されます。
主な直販投信の特徴(2015/9/21放映「マネーの羅針盤」より、データも2015/9/21モーニングスターより現在のもの)
・さわかみ投信
日本で初めて直販投信を販売
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澤上 篤人
廣済堂出版 (2015-10-30)
売り上げランキング: 435,504
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手軽に国際分散投資
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セゾン バンガード・グローバルバランスF(セゾン投信の代表ファンド)
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過去5年トータルリターン 12.53% カテゴリー順位 50位
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中野晴啓
朝日新聞出版 (2015-07-13)
売り上げランキング: 10,151
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・ひふみ投信
機動的な運用に定評
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ひふみ投信
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2008100102
純資産 24,314百万円
過去5年トータルリターン 24.72% カテゴリー順位 17位
シャープレシオ 1.73
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ひふみプラス
純資産 52,795百万円
*ひふみ投信とひふみプラスは同じ運用である。証券会社経由で販売されるのがひふみプラス。
「「ひふみ投信」と他社で販売している「ひふみプラス」は同じマザーファンドに投資するため、投資方針等は同じで、組入銘柄に相違はありません」とホームページで説明されている。
・コモンズ投信
30年の長期投資
http://www.commons30.jp/
コモンズ30ファンド
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2009011901
純資産 6,692百万円
過去5年トータルリターン 14.78% カテゴリー順位 69位
シャープレシオ 1.05
信託報酬等(税込) 1.35%
糸島 孝俊
日本実業出版社
売り上げランキング: 21,760
日本実業出版社
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糸島氏がファンドマネージャーの「ザ・2020ビジョン」
2015/9/30現在 純資産 5,251百万円、過去1年+6.09%、カテゴリー順位98位(上位40%)
・かまくら投信
社会貢献企業に均等投資
http://www.kamakuraim.jp/
結い2101
純資産 18,825百万円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010032902
過去5年トータルリターン 11.55% カテゴリー順位 43位
シャープレシオ 1.30
信託報酬等(税込) 1.09%
新井 和宏
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 56,518
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2012/9/30 理念への共感を呼び少しずつ根付く直販の独立系投信 運用規模や実績が課題
2015年9月13日日曜日
週刊東洋経済(2015年9月19日号)「やり直し相場ではじめるETF(上場投資信託)超入門」
週刊東洋経済(2015年9月19日号)「やり直し相場ではじめるETF(上場投資信託)超入門」
p56~p97の21頁にわたりETF特集が組まれています。
内容
Part1 市場動向こそ好機 完全入門!今なぜETF投資か(p58-61)
1.下落相場に強い 国際分散投資に最適
2.圧倒的な低コスト 長期投資で最大の武器
3.短期売買も得意 レバレッジ型、VIX連動が急増
4.高い優良株不要 同じ成績で紙くずになる危険もない
5.簡単・格安に取引 ネット証券でいつでも売買
6.投資対象が多様化 新興国や商品、債券にも投資可能
○1000人アンケート
○データ解説 ITバブル崩壊、リーマンショックで起きたこと 国際分散投資は暴落相場を乗り越えた(p62-63)
○10分で学ぶETFの基礎知識(p64-65)
Part2 達人に学ぶETF投資術(p66-71)
・カン・チュンドさん(普陽FPオフィス)~世界経済の成長に乗る王道の国際分散投資
・浅川夏樹さん(「銀座 八千花」オーナー兼個人投資家) ~下落ヘッジ+高分配金で鉄壁
・深野康彦さん(ファイナンシャルリサーチ 代表) 訪日客「爆買い」はこう狙え
・渡邊雅史さん(お金のデザイン チーフETFストラテジスト) 成長、配当、物価ヘッジで勝つ
○レバレッジ・インバースの衝撃 メガバンク、トヨタ株を超える大商い(p72-73)
○著名投資ブロガー 水瀬ケンイチのポートフォリオの組み方 自分で耐えられる最大損失額をまず決めよ(p74-75)
Part3 徹底解剖!ETFの投資対象 相場激変でも慌てない(p76-87)
○代表的なアセットクラス別のETFが紹介(p76-83)
○次のバブル崩壊はETFが引き金か?(p84-85)
○日本人が知らないETF大手の正体(p86)
○ETF大国米国では独立系アドバイザーが活躍(p87)
Part4 買ってよいETF ダメなETF 主要銘柄を徹底評価(p88-97)
マネーの知恵(仮)「「やり直し相場ではじめるETF超入門」週刊東洋経済(2015年9月19日号)を読み解く」では、内容のまとめとコメントが掲載されています。
p56~p97の21頁にわたりETF特集が組まれています。
内容
Part1 市場動向こそ好機 完全入門!今なぜETF投資か(p58-61)
1.下落相場に強い 国際分散投資に最適
2.圧倒的な低コスト 長期投資で最大の武器
3.短期売買も得意 レバレッジ型、VIX連動が急増
4.高い優良株不要 同じ成績で紙くずになる危険もない
5.簡単・格安に取引 ネット証券でいつでも売買
6.投資対象が多様化 新興国や商品、債券にも投資可能
○1000人アンケート
○データ解説 ITバブル崩壊、リーマンショックで起きたこと 国際分散投資は暴落相場を乗り越えた(p62-63)
○10分で学ぶETFの基礎知識(p64-65)
Part2 達人に学ぶETF投資術(p66-71)
・カン・チュンドさん(普陽FPオフィス)~世界経済の成長に乗る王道の国際分散投資
・浅川夏樹さん(「銀座 八千花」オーナー兼個人投資家) ~下落ヘッジ+高分配金で鉄壁
・深野康彦さん(ファイナンシャルリサーチ 代表) 訪日客「爆買い」はこう狙え
・渡邊雅史さん(お金のデザイン チーフETFストラテジスト) 成長、配当、物価ヘッジで勝つ
○レバレッジ・インバースの衝撃 メガバンク、トヨタ株を超える大商い(p72-73)
○著名投資ブロガー 水瀬ケンイチのポートフォリオの組み方 自分で耐えられる最大損失額をまず決めよ(p74-75)
Part3 徹底解剖!ETFの投資対象 相場激変でも慌てない(p76-87)
○代表的なアセットクラス別のETFが紹介(p76-83)
○次のバブル崩壊はETFが引き金か?(p84-85)
○日本人が知らないETF大手の正体(p86)
○ETF大国米国では独立系アドバイザーが活躍(p87)
Part4 買ってよいETF ダメなETF 主要銘柄を徹底評価(p88-97)
マネーの知恵(仮)「「やり直し相場ではじめるETF超入門」週刊東洋経済(2015年9月19日号)を読み解く」では、内容のまとめとコメントが掲載されています。
資金流出懸念の新興国通貨 「トラブルド10」
アメリカの経済メディアで、2015年8月下旬からの世界同時株安などで懸念が広がる中国の景気減速や人民元安による影響を受けやすく、資金流出が懸念される10ヶ国・地域の新興国通貨を表す「トラブルド10」という造語が使われ始めています。
「Troubled」は混乱や不安の状態にあるという意味です。
下記の10通貨が対象です。
ブラジルレアル
ロシアルーブル
南アフリカランド
コロンビアペソ
台湾ドル
タイバーツ
シンガポールドル
韓国ウォン
チリペソ
ペルーソル
これらの通貨は、輸出に占める対中国の比率が高かったり、人民元安で中国と比べた国際競争力が低下しそうな国が中心になっています。
2013年夏の米国のQE3(量的金融緩和)政策の縮小観測の際に資金流出懸念が懸念されたフラジャイル5(ブラジル、トルコ、南アフリカ、インド、インドネシア)は、経常赤字が大きく、インフレ率も高い5ヶ国として上げられましたが、新たなテーマとして「トラブルド10」が流行するのかもしれません。
(2015.9.13日経ヴェリタスの記事を参考に作成)
「Troubled」は混乱や不安の状態にあるという意味です。
下記の10通貨が対象です。
ブラジルレアル
ロシアルーブル
南アフリカランド
コロンビアペソ
台湾ドル
タイバーツ
シンガポールドル
韓国ウォン
チリペソ
ペルーソル
これらの通貨は、輸出に占める対中国の比率が高かったり、人民元安で中国と比べた国際競争力が低下しそうな国が中心になっています。
2013年夏の米国のQE3(量的金融緩和)政策の縮小観測の際に資金流出懸念が懸念されたフラジャイル5(ブラジル、トルコ、南アフリカ、インド、インドネシア)は、経常赤字が大きく、インフレ率も高い5ヶ国として上げられましたが、新たなテーマとして「トラブルド10」が流行するのかもしれません。
(2015.9.13日経ヴェリタスの記事を参考に作成)
2015年8月31日月曜日
ボラティリティ・インデックス(VIX、VI)の急上昇時の日米株式市場 投資のチャンスか?金融危機の始まりか!?
VIX、VIといったボラティリティ(市場の変動の大きさ)を示すインデックスがあります。市場の急変時に急上昇をします。
NYダウのシカゴ・オプション取引所が作り出した「ボラティリティ・インデックス」の略称をVIX指数としてよく使用されています。ボラティリティの上昇は投資家がマーケットの行方が読めず恐れを感じている時であることから、「恐怖指数」とも呼ばれます。
日経平均では日経VIという指数が使われます。
2015年8月24日からのマーケットの変動時もボラティリティは急上昇しました。
三菱IFJモルガン・スタンレー証券のシニア投資ストラテジスト・藤戸則弘氏の「藤戸レポート」(2015/08/31 急落相場のパターン分析と対処法)では、ボラティリティ・インデックスの分析とレポート前週のマーケット急落と見通しがされています。
レポートのリンク:
http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/pdf/fj20150831.pdf
ボラティリティ(VIX、VI)の急上昇は、投資のチャンスか?金融危機の始まりか!?
・NYダウとVIX指数
2008年以降でVIX指数が40%超の局面は下記の4回です。(解説は藤戸レポートを参考に掲載)
(図は藤戸レポート p2より)
① リーマン・ショック
2008年10/24に89.5%。
リーマン・ブラザーズの倒産に伴い、住宅・クレジットバブルの崩壊で、世界が大恐慌に沈むとの恐怖で投資家が狼狽。90%近いVIは史上最高、混乱の極にあった。
ダウ平均は、2008年5/19高値13,136ドルから11/21安値7,449ドルで▲43.2%の下落。その後2009年1/6高値9,088ドルまで+22%の戻りを見せるが、実体経済の落ち込みを反映して同年3/6安値6,469ドルまで▲28.8%の反落。壮烈な「二段下げ」となる。
② ギリシャ・ショック
2010年5/21に48.2%。
政権交代により、ギリシャ政府の財政関連指標が粉飾だったことが発覚。
第一次ギリシャ・ショックであり、ユーロ圏離脱が真剣に論じられた。ダウ平均は、2010年4/26高値11,258ドルから同年7/2安値9,614ドルまで▲14.6%下落。夏場は低水準の揉み合いとなったが、9月中旬以降に上昇トレンドに回帰。
③ ユーロ危機
2011年8/8に48.0%。
ギリシャに端を発した債務問題がスペイン、イタリア等の重債務国にまで波及し、通貨ユーロの崩壊が懸念された。
ダウ平均は、2011年5/2高値12,876ドルから同年10/4安値10,404ドルまで▲19.1%の下落。ECB(欧州中銀)の懸命な政策対応もあって、年末頃から上昇傾向に転じた。
④ チャイナ・リスク
今回2015年の53.2%。
ユーロ危機以降、比較的平穏な株高時代が続いたが、約4年ぶりの大変動。
・日経平均と日経平均のボラティリティ・インデックス(VI)
日経平均は2008年以降で過去6回のVI40%超の局面があります。(解説は藤戸レポートを参考に掲載)
NYダウのVIX指数40%超えの4回と、東日本大震災(2011年)、バーナンキ・ショック(2013年)が加わります。
(図は藤戸レポート p3より)
① リーマン・ショック
日経平均のVIは2008年10/31に92.0%(史上最高)
日経平均は2008年6/6高値14,601円から10/28安値6,994円まで▲52.0%の急落。2005年に始まった「小泉構造改革相場」が2007年2月に高値を付けて調整過程にあっただけに、ネガティブ・インパクトは大きくなった。米ダウと同様に、11/5高値9,521円・+36.1%や2009年1/7高値9,325円・+33.3%まで戻す局面もあった。しかし、世界同時株安に巻き込まれ、2009年3/10安値7,021円まで売り込まれた。
② ギリシャ・ショック
VIは2010年5/21高値44.0%
欧州株安→米株安→日本株安の連鎖による。
日経平均は、2010年4/5高値11,408円から9/1安値8,796円まで▲22.8%の下落。日本固有の要因ではなく、海外の悪影響に巻き込まれるパターンが続いた。
③ 東日本大震災
天災でVIが3/15に69.8%まで急騰した稀有なケース。リーマン・ショックに次ぐ高いレベル。
日経平均は、2/17高値10,891円から3/15安値8,227円まで▲24.4%の下落。VIのピークと株価の安値がピタリ一致した珍しいパターンだ。経済・金融情勢が材料の場合は、波状的に安値を形成することが多いが、天災はまさに瞬間で相場が織り込んでしまった。その後、7/8高値10,207円まで+24.0%のリバウンドを見せた。
④ ユーロ危機
VIは2011年8/9に42.6%。
震災の影響に加えてユーロ危機が株価を圧迫。さらに、タイ大洪水により日本企業のサプライ・チェーンが崩壊。
日経平均は同年11/25安値8,540円まで売り込まれた。7月高値からは▲16.3%の下落。
この2011年は、日本株相場にとってツキがなかった最たる例。
⑤ バーナンキ・ショック
2013年5/23に48.3%。
藤戸氏によると、注目すべきは、米VIX指数が6/24の21.9%に留まっていること。また、高値奪回には、約半年を要したことになる。このバーナンキ・ショックのパターンは参考になることが多いとしています。
5/23時点ではザラ場高値15.1%に過ぎない。つまり、FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和政策の段階的縮小)は、新興国や日本に大きな衝撃を与えたけれども、米国にとっては軽微であったことが分かる。記憶に新しいが、日経平均は5/23高値15,942円をマークした後に急落し、1日で1,143円安となった。急落を契機に、6/13安値12,415円まで▲22.1%の下落である。その後、低水準の往来が続いた後に、8/28安値13,188円で二番底を形成し、大納会高値16,320円まで上昇トレンドを描いた。
⑥ チャイナ・リスク
今回、2015年8月26日の48.9。
VIX、VIといったボラティリティ・インデックスが40%超となる場合は、明らかなオーバー・ショートを示唆しています。
投資の観点から見た場合には、このVIX、VIの40%超は、買いのチャンスと捉えることもできます。
ただし、藤戸レポートによると、VIX、VIのピークと株価のボトムが一致するケースは、意外に少ないと分析されています。
むしろ、40%超から大乱高下相場が続くことを考えた方が良いとのことで、株価の大底は、波乱相場の中で1~2か月後に訪れるケースが少なくないとしています。
そして、その悪材料によって実体経済や金融システムが大きなダメージを受ける場合には、リーマン・ショック時のように壮烈な二段下げに移行する場合もある。逆に、2013年バーナンキ・ショックのように、日本の実体経済が回復モメンタムを維持している場合には、高値奪回の可能性も十分あると分析されています。
藤戸レポートは、「現時点では、前者よりも後者の可能性が高いように思える」と判断を示しています。
結論としては、レポートでは「VI、バリュエーション、オシレーター、市場の狼狽ぶりを見ると、日経平均の17,000円台は買いの好機」としています。
*今回の藤戸レポートのボラティリティ・インデックスの観点からの過去のケースも踏まえた分析は非常に参考になります。
ボラティリティ・インデックスが40%を超えるような上昇は大よそ1~2年に一度という頻度であり、冷静にマーケット変動の要因を分析し、どのように対処をしていくかが大きく投資成績にインパクトを与える局面とも言えます。
マネーの知恵(仮)関連記事:
・2015/8/25 日経平均下落や世界同時株安に長期投資家はどう対処すべきか
http://money-learn.seesaa.net/article/424782159.html
・2015/9/5 MUMS藤戸氏の日経平均予測(マネーの羅針盤) 「下がった時に弱気になっていては株式投資は儲からない」
http://money-learn.seesaa.net/article/425402299.html
NYダウのシカゴ・オプション取引所が作り出した「ボラティリティ・インデックス」の略称をVIX指数としてよく使用されています。ボラティリティの上昇は投資家がマーケットの行方が読めず恐れを感じている時であることから、「恐怖指数」とも呼ばれます。
日経平均では日経VIという指数が使われます。
2015年8月24日からのマーケットの変動時もボラティリティは急上昇しました。
三菱IFJモルガン・スタンレー証券のシニア投資ストラテジスト・藤戸則弘氏の「藤戸レポート」(2015/08/31 急落相場のパターン分析と対処法)では、ボラティリティ・インデックスの分析とレポート前週のマーケット急落と見通しがされています。
レポートのリンク:
http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/pdf/fj20150831.pdf
ボラティリティ(VIX、VI)の急上昇は、投資のチャンスか?金融危機の始まりか!?
・NYダウとVIX指数
2008年以降でVIX指数が40%超の局面は下記の4回です。(解説は藤戸レポートを参考に掲載)
(図は藤戸レポート p2より)
① リーマン・ショック
2008年10/24に89.5%。
リーマン・ブラザーズの倒産に伴い、住宅・クレジットバブルの崩壊で、世界が大恐慌に沈むとの恐怖で投資家が狼狽。90%近いVIは史上最高、混乱の極にあった。
ダウ平均は、2008年5/19高値13,136ドルから11/21安値7,449ドルで▲43.2%の下落。その後2009年1/6高値9,088ドルまで+22%の戻りを見せるが、実体経済の落ち込みを反映して同年3/6安値6,469ドルまで▲28.8%の反落。壮烈な「二段下げ」となる。
② ギリシャ・ショック
2010年5/21に48.2%。
政権交代により、ギリシャ政府の財政関連指標が粉飾だったことが発覚。
第一次ギリシャ・ショックであり、ユーロ圏離脱が真剣に論じられた。ダウ平均は、2010年4/26高値11,258ドルから同年7/2安値9,614ドルまで▲14.6%下落。夏場は低水準の揉み合いとなったが、9月中旬以降に上昇トレンドに回帰。
③ ユーロ危機
2011年8/8に48.0%。
ギリシャに端を発した債務問題がスペイン、イタリア等の重債務国にまで波及し、通貨ユーロの崩壊が懸念された。
ダウ平均は、2011年5/2高値12,876ドルから同年10/4安値10,404ドルまで▲19.1%の下落。ECB(欧州中銀)の懸命な政策対応もあって、年末頃から上昇傾向に転じた。
④ チャイナ・リスク
今回2015年の53.2%。
ユーロ危機以降、比較的平穏な株高時代が続いたが、約4年ぶりの大変動。
・日経平均と日経平均のボラティリティ・インデックス(VI)
日経平均は2008年以降で過去6回のVI40%超の局面があります。(解説は藤戸レポートを参考に掲載)
NYダウのVIX指数40%超えの4回と、東日本大震災(2011年)、バーナンキ・ショック(2013年)が加わります。
(図は藤戸レポート p3より)
① リーマン・ショック
日経平均のVIは2008年10/31に92.0%(史上最高)
日経平均は2008年6/6高値14,601円から10/28安値6,994円まで▲52.0%の急落。2005年に始まった「小泉構造改革相場」が2007年2月に高値を付けて調整過程にあっただけに、ネガティブ・インパクトは大きくなった。米ダウと同様に、11/5高値9,521円・+36.1%や2009年1/7高値9,325円・+33.3%まで戻す局面もあった。しかし、世界同時株安に巻き込まれ、2009年3/10安値7,021円まで売り込まれた。
② ギリシャ・ショック
VIは2010年5/21高値44.0%
欧州株安→米株安→日本株安の連鎖による。
日経平均は、2010年4/5高値11,408円から9/1安値8,796円まで▲22.8%の下落。日本固有の要因ではなく、海外の悪影響に巻き込まれるパターンが続いた。
③ 東日本大震災
天災でVIが3/15に69.8%まで急騰した稀有なケース。リーマン・ショックに次ぐ高いレベル。
日経平均は、2/17高値10,891円から3/15安値8,227円まで▲24.4%の下落。VIのピークと株価の安値がピタリ一致した珍しいパターンだ。経済・金融情勢が材料の場合は、波状的に安値を形成することが多いが、天災はまさに瞬間で相場が織り込んでしまった。その後、7/8高値10,207円まで+24.0%のリバウンドを見せた。
④ ユーロ危機
VIは2011年8/9に42.6%。
震災の影響に加えてユーロ危機が株価を圧迫。さらに、タイ大洪水により日本企業のサプライ・チェーンが崩壊。
日経平均は同年11/25安値8,540円まで売り込まれた。7月高値からは▲16.3%の下落。
この2011年は、日本株相場にとってツキがなかった最たる例。
⑤ バーナンキ・ショック
2013年5/23に48.3%。
藤戸氏によると、注目すべきは、米VIX指数が6/24の21.9%に留まっていること。また、高値奪回には、約半年を要したことになる。このバーナンキ・ショックのパターンは参考になることが多いとしています。
5/23時点ではザラ場高値15.1%に過ぎない。つまり、FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和政策の段階的縮小)は、新興国や日本に大きな衝撃を与えたけれども、米国にとっては軽微であったことが分かる。記憶に新しいが、日経平均は5/23高値15,942円をマークした後に急落し、1日で1,143円安となった。急落を契機に、6/13安値12,415円まで▲22.1%の下落である。その後、低水準の往来が続いた後に、8/28安値13,188円で二番底を形成し、大納会高値16,320円まで上昇トレンドを描いた。
⑥ チャイナ・リスク
今回、2015年8月26日の48.9。
VIX、VIといったボラティリティ・インデックスが40%超となる場合は、明らかなオーバー・ショートを示唆しています。
投資の観点から見た場合には、このVIX、VIの40%超は、買いのチャンスと捉えることもできます。
ただし、藤戸レポートによると、VIX、VIのピークと株価のボトムが一致するケースは、意外に少ないと分析されています。
むしろ、40%超から大乱高下相場が続くことを考えた方が良いとのことで、株価の大底は、波乱相場の中で1~2か月後に訪れるケースが少なくないとしています。
そして、その悪材料によって実体経済や金融システムが大きなダメージを受ける場合には、リーマン・ショック時のように壮烈な二段下げに移行する場合もある。逆に、2013年バーナンキ・ショックのように、日本の実体経済が回復モメンタムを維持している場合には、高値奪回の可能性も十分あると分析されています。
藤戸レポートは、「現時点では、前者よりも後者の可能性が高いように思える」と判断を示しています。
結論としては、レポートでは「VI、バリュエーション、オシレーター、市場の狼狽ぶりを見ると、日経平均の17,000円台は買いの好機」としています。
*今回の藤戸レポートのボラティリティ・インデックスの観点からの過去のケースも踏まえた分析は非常に参考になります。
ボラティリティ・インデックスが40%を超えるような上昇は大よそ1~2年に一度という頻度であり、冷静にマーケット変動の要因を分析し、どのように対処をしていくかが大きく投資成績にインパクトを与える局面とも言えます。
マネーの知恵(仮)関連記事:
・2015/8/25 日経平均下落や世界同時株安に長期投資家はどう対処すべきか
http://money-learn.seesaa.net/article/424782159.html
・2015/9/5 MUMS藤戸氏の日経平均予測(マネーの羅針盤) 「下がった時に弱気になっていては株式投資は儲からない」
http://money-learn.seesaa.net/article/425402299.html
2015年8月29日土曜日
GPIF 日本株の積み増し余力は約2.3兆円、資産構成全体で必要な変更幅の78%進捗した水準
GPIFの2014年秋に設定した新たな資産構成の目標値への進捗率は8割近くに達成しているようです。
【関連記事】
・2015/7/12 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、平成26年度 収益率はプラス12.27%(収益額は15兆2822億円)、平成26年度末の運用資産額は137兆4769億
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/07/gpif261227152822261374769.html
GPIFの6月末の運用資産額は過去最高の141.1兆円。年金特別会計で管理する2.88兆円も加えた積立金全体に占める国内債の構成比は37.95%と比較可能な2008年度以降で最低を更新。
国内株 23.39% →最高
外株 22.32% →最高
外債 13.08% →昨年末に次ぐ高さ
短期資産 3.27%
全体の5%を上限とするオルタナティブ(代替)投資は0.05%
Bloombergによると、国内債と国内株の6月末の構成比は、新資産構成の公表前の昨年9月末から目標値へ至るのに必要な変更幅の78%進捗した水準になっています。
6月末の積立金全体を基にした試算では、国内債は満期償還分も含め、さらに約4.2兆円の削減余地がある。国内株は値上がり分も込みで約2.3兆円、外債は為替損益も含めて約2.8兆円、外株は約3.9兆円の積み増しが必要とされています。
(引用元・参考記事)
Bloomberg(2015/8/28)「GPIF、日本株買い・国内債売り終盤戦-株安円高で余地拡大も」より
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTRL7X6K513N01.html
【関連記事】
・2015/7/12 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、平成26年度 収益率はプラス12.27%(収益額は15兆2822億円)、平成26年度末の運用資産額は137兆4769億
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/07/gpif261227152822261374769.html
GPIFの6月末の運用資産額は過去最高の141.1兆円。年金特別会計で管理する2.88兆円も加えた積立金全体に占める国内債の構成比は37.95%と比較可能な2008年度以降で最低を更新。
国内株 23.39% →最高
外株 22.32% →最高
外債 13.08% →昨年末に次ぐ高さ
短期資産 3.27%
全体の5%を上限とするオルタナティブ(代替)投資は0.05%
Bloombergによると、国内債と国内株の6月末の構成比は、新資産構成の公表前の昨年9月末から目標値へ至るのに必要な変更幅の78%進捗した水準になっています。
6月末の積立金全体を基にした試算では、国内債は満期償還分も含め、さらに約4.2兆円の削減余地がある。国内株は値上がり分も込みで約2.3兆円、外債は為替損益も含めて約2.8兆円、外株は約3.9兆円の積み増しが必要とされています。
(引用元・参考記事)
Bloomberg(2015/8/28)「GPIF、日本株買い・国内債売り終盤戦-株安円高で余地拡大も」より
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTRL7X6K513N01.html
2015年8月27日木曜日
高齢者に深く知って欲しい運用の「常識」を7つ(山崎元氏より)
経済評論家の山崎元氏が特に高齢者に深く知って欲しい運用の「常識」を7つ紹介しています。
対面の金融機関の勧誘の際には心得ておきましょう。
(1) 年齢と運用方法は基本的に無関係だ。高齢者向け、若者向けといった年齢別に最適な運用商品、運用方法といったものは無い。
(2) 資金使途と運用方法も概ね無関係だ。老後資金と子供の学費は同じ運用方法でいいし、そもそもお金を分けて運用することが無意味だ。
(3) リスクを取る大きさは、運用商品の種類ではなく、リスクを取る運用商品に投資する「金額」で調節するのがいい。
(4) 運用商品を購入するかもしれない相手(銀行、証券会社、保険会社、FPなど)に運用を相談してはいけない(「無料相談」もダメ!)。
(5) 配当や分配金を使うのも、自分が持っている普通預金を取り崩すのも、同じ金額を使うなら、経済的な意味は同じ。預金がある人(たいていはあるだろうが)には「分配金のニーズ」など無い。
(6) 株式や投資信託は、お金が必要だと思えば、自分が買った値段より安く売っても全く問題無い。
(7) 同じ市場に投資するにあたって手数料がより高い商品は「それだけでダメ」。「手数料は高いが、運用は上手い」という運用商品を事前に選ぶことはできない。
出処
現代ビジネス(2015/8/27) 「分配金で暮らす」は間違い! 老後に苦しまないための 「運用7つの常識」を教えよう
金融業界の「カモ」になってはいけない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44916
マネーの知恵(仮)関連記事
・2015/8/22 私の今までの投資遍歴(3) 銀行からの定期預金キャンペーンのお誘いと金融商品セールスを受ける
http://money-learn.seesaa.net/article/424622970.html
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html
・2015/7/25 [感想・書評]全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド 山崎元 水瀬ケンイチ/著
http://money-learn.seesaa.net/article/423002177.html
対面の金融機関の勧誘の際には心得ておきましょう。
(1) 年齢と運用方法は基本的に無関係だ。高齢者向け、若者向けといった年齢別に最適な運用商品、運用方法といったものは無い。
(2) 資金使途と運用方法も概ね無関係だ。老後資金と子供の学費は同じ運用方法でいいし、そもそもお金を分けて運用することが無意味だ。
(3) リスクを取る大きさは、運用商品の種類ではなく、リスクを取る運用商品に投資する「金額」で調節するのがいい。
(4) 運用商品を購入するかもしれない相手(銀行、証券会社、保険会社、FPなど)に運用を相談してはいけない(「無料相談」もダメ!)。
(5) 配当や分配金を使うのも、自分が持っている普通預金を取り崩すのも、同じ金額を使うなら、経済的な意味は同じ。預金がある人(たいていはあるだろうが)には「分配金のニーズ」など無い。
(6) 株式や投資信託は、お金が必要だと思えば、自分が買った値段より安く売っても全く問題無い。
(7) 同じ市場に投資するにあたって手数料がより高い商品は「それだけでダメ」。「手数料は高いが、運用は上手い」という運用商品を事前に選ぶことはできない。
出処
現代ビジネス(2015/8/27) 「分配金で暮らす」は間違い! 老後に苦しまないための 「運用7つの常識」を教えよう
金融業界の「カモ」になってはいけない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44916
マネーの知恵(仮)関連記事
・2015/8/22 私の今までの投資遍歴(3) 銀行からの定期預金キャンペーンのお誘いと金融商品セールスを受ける
http://money-learn.seesaa.net/article/424622970.html
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html
・2015/7/25 [感想・書評]全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド 山崎元 水瀬ケンイチ/著
http://money-learn.seesaa.net/article/423002177.html
2015年7月20日月曜日
バンガード、低コスト運用の投信を普及させるため日本の販売体制を強化
バンガードが日本で直販投信を開始するようです!?
日経新聞(2015/7/20)は、バンガードがノーロード(販売手数料なし)、低コスト運用の投信を普及させるため日本の販売体制を強化していると伝えています。
バンガードは、上場投信(ETF)やインデックス投信で米国最大のシェアを持つほか、確定拠出年金でも米最大の運用会社。手数料を取らずに販売するノーロード投信の販売で業界のトップです。大手には、ブラックロックやステート・ストリートといった運用会社があります。
運用資産総額は5月末で3.3兆ドル(約350兆円)の巨大運用会社です。運用資産総額は下記の通り順調な増加です。
上場投信(ETF)の運用総額は5000億ドル(約62兆円)に近づき、市場シェアは20%です。うちアジア(中国・台湾、日本、シンガポール)が600億ドルだ。日本の運用資産は(未公表だが)14年の1年間に60%増えた。
また、クレディセゾン経由で販売する『セゾン・バンガード・グローバル・バランス・ファンド』の運用総額が5月下旬に1000億円を突破しています。
日経記事では、バンガード・グループのウィリアム・マクナブ会長兼最高経営責任者(CEO)へのインタビューが掲載されています。
資金流入加速の背景は、低コスト運用、ファンドの運用戦略の明確な説明など細やかなサービスが投資家の支持を獲得したというのがベースです。「08年の金融危機後、資金流入が加速した。投資家が資金を振り向ける際、信頼できる金融機関を重視するようになり、顧客本位の当社が投資家の支持を獲得した」と語っています。
また、「投信販売の事業モデルの変化も大きい。運用資産額に手数料を課すファイナンシャル・アドバイザー(FA)が広まり、(手数料を目的に投信の乗り換えを勧めるのではなく投資家に有利な)低コストの当社投信を推奨するFAが増えた」と語っています。
バンガードの運用資産全体の35%がFA経由で、10年前にはほぼゼロだっただけに大きく変化しています。40%は直販、残りは確定拠出年金による流入になっています。
*この点は主に米国での話で、日本では「運用資産額に手数料を課すファイナンシャル・アドバイザー(FA)」はいませんので(日本の法規制では難しくファイナンシャル・アドバイザーのプレーヤーがいない)、インデックス商品の普及にはまだまだ課題が多いのが現状です。
【関連記事】
2015/7/2 バンガードの新オフィスのセレモニーとパーティーに参加してきました。
http://money-learn.seesaa.net/article/421688484.html
その他インタビュー要旨
・日本での状況
「日本の販売が大きく上向いたのは、アベノミクスの効果も大きい。コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化や証券投資の環境改善が進んだ。当社は昨年、米国本社のリテール販売部門のトップを、日本法人の代表に任命した。日本法人を東京・千代田区の永田町に移し、規模を拡大した。直販や提携を軸に日本の事業拡大に備え、体制を整えつつある」
・日本事業の難しい点
「株式投資文化の欠如だ。最近は変わりつつあり、日本人の株式投資需要を感じるようになった。今後は日本株への投資だけではなく、グローバル投資の重要さを強調したい。過去20年間に世界中の株式に分散投資していれば、日本株や預金よりはるかに大きな利回りを確保できたはず」
「もう一つの壁は投信の販売体制だ。日本では証券会社が相当な額の手数料を取る。ノーロードを重視する当社はこうした販売体制に参加するつもりはない。投資家との利益相反を避けるのが難しいからだ。いずれ日本の市場にも変化が訪れる日が来ると信じている」
*1985年の初版以来、世界で50万部を超えるベストセラー『敗者のゲーム』は世界中で読み継がれている代表的な投資指南書。
著者であるチャールズ・エリス氏はかつてバンガードの取締役を務めていました。
日経新聞(2015/7/20)は、バンガードがノーロード(販売手数料なし)、低コスト運用の投信を普及させるため日本の販売体制を強化していると伝えています。
バンガードは、上場投信(ETF)やインデックス投信で米国最大のシェアを持つほか、確定拠出年金でも米最大の運用会社。手数料を取らずに販売するノーロード投信の販売で業界のトップです。大手には、ブラックロックやステート・ストリートといった運用会社があります。
運用資産総額は5月末で3.3兆ドル(約350兆円)の巨大運用会社です。運用資産総額は下記の通り順調な増加です。
上場投信(ETF)の運用総額は5000億ドル(約62兆円)に近づき、市場シェアは20%です。うちアジア(中国・台湾、日本、シンガポール)が600億ドルだ。日本の運用資産は(未公表だが)14年の1年間に60%増えた。
また、クレディセゾン経由で販売する『セゾン・バンガード・グローバル・バランス・ファンド』の運用総額が5月下旬に1000億円を突破しています。
日経記事では、バンガード・グループのウィリアム・マクナブ会長兼最高経営責任者(CEO)へのインタビューが掲載されています。
資金流入加速の背景は、低コスト運用、ファンドの運用戦略の明確な説明など細やかなサービスが投資家の支持を獲得したというのがベースです。「08年の金融危機後、資金流入が加速した。投資家が資金を振り向ける際、信頼できる金融機関を重視するようになり、顧客本位の当社が投資家の支持を獲得した」と語っています。
また、「投信販売の事業モデルの変化も大きい。運用資産額に手数料を課すファイナンシャル・アドバイザー(FA)が広まり、(手数料を目的に投信の乗り換えを勧めるのではなく投資家に有利な)低コストの当社投信を推奨するFAが増えた」と語っています。
バンガードの運用資産全体の35%がFA経由で、10年前にはほぼゼロだっただけに大きく変化しています。40%は直販、残りは確定拠出年金による流入になっています。
*この点は主に米国での話で、日本では「運用資産額に手数料を課すファイナンシャル・アドバイザー(FA)」はいませんので(日本の法規制では難しくファイナンシャル・アドバイザーのプレーヤーがいない)、インデックス商品の普及にはまだまだ課題が多いのが現状です。
【関連記事】
2015/7/2 バンガードの新オフィスのセレモニーとパーティーに参加してきました。
http://money-learn.seesaa.net/article/421688484.html
その他インタビュー要旨
・日本での状況
「日本の販売が大きく上向いたのは、アベノミクスの効果も大きい。コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化や証券投資の環境改善が進んだ。当社は昨年、米国本社のリテール販売部門のトップを、日本法人の代表に任命した。日本法人を東京・千代田区の永田町に移し、規模を拡大した。直販や提携を軸に日本の事業拡大に備え、体制を整えつつある」
・日本事業の難しい点
「株式投資文化の欠如だ。最近は変わりつつあり、日本人の株式投資需要を感じるようになった。今後は日本株への投資だけではなく、グローバル投資の重要さを強調したい。過去20年間に世界中の株式に分散投資していれば、日本株や預金よりはるかに大きな利回りを確保できたはず」
「もう一つの壁は投信の販売体制だ。日本では証券会社が相当な額の手数料を取る。ノーロードを重視する当社はこうした販売体制に参加するつもりはない。投資家との利益相反を避けるのが難しいからだ。いずれ日本の市場にも変化が訪れる日が来ると信じている」
*1985年の初版以来、世界で50万部を超えるベストセラー『敗者のゲーム』は世界中で読み継がれている代表的な投資指南書。
著者であるチャールズ・エリス氏はかつてバンガードの取締役を務めていました。
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2015年7月12日日曜日
日本の投信市場は世界で中国に次ぐ後進国 「情報公開」「手数料・費用」に課題(モーニングスターより)
米モーニングスターはこのほど、世界25カ国の投信市場を評価した「グローバル・ファンド・インベスター・エクスペリエンス(GFIE)」(PDF、2.3MB)レポートを発表し、日本の評価を前回(2013年)の「C」から「C-」に一段階引き下げたことが伝えられています。
モーニングスター(2015/7/9)「日本は“投信後進国”!?グローバル調査下位の理由」より
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2015/3q/MFA120150709.html
2年に1回発表される同レポートは「規制・税金」、「情報公開」、「手数料・費用」、「販売・メディア」という4つの項目で各国の投信市場を評価し、これらを合算してA(最高評価)からFまで12段階でランク付けしています。
(日本の評価)
日本は「規制・税金」 「B」
情報公開 「C」
手数料・費用 「D+」
販売・メディア 「B-」
日本より評価の低いのは資本市場を規制する中国のみになります。
日本は、「情報公開」と「手数料・費用」の低評価です。
○「情報公開」の問題点
・目論見書の内容・・重要な情報のみを記載した簡易目論見書(日本では交付目論見書)は、読みやすさを重視して簡潔にまとめることが望ましく、多くの国は5ページ以内でまとめているが、日本でも交付目論見書の簡素化が図られてきたものの、国際的に見ると、10ページを超えるファンドが目立つ日本の現状は改善の余地がある
・交付目論見書の記載事項・・大部分のファンドで投資リスクの記載が一般的な内容にとどまっており、各ファンドの投資方針に特有のリスクについて言及がない点が課題。日本ではファンドマネジャーの名前や運用経験年数、報酬体系、ファンドへの自己資金の投資額の記載などの情報が記載されることはほとんどなく、低評価
・ポートフォリオの組み入れ銘柄の開示・・月次で全銘柄を開示するのが理想とされ、実際、今回の調査対象国25カ国のうちインドと韓国は月次での開示を行っている。一方、日本では年1回または2回作成される運用報告書で全銘柄が開示されるが、月報では組入上位のみにとどまっており、十分ではないとの評価
○「手数料・費用」
・ファンドを保有し続ける限り継続的に基準価額から差し引かれるエクスペンスレシオ(日本の信託報酬にほぼ相当)について、資産クラスごとの純資産額加重での平均値比較が行われたが、日本は国内籍の債券型ファンドが1.51 %と、カナダと台湾と並び最も高い水準となっている
・日本では大半のファンドで販売手数料を支払う必要があり、販売手数料無料(ノーロード)のファンドはまだ少ないと指摘
・販売員が投資家にとって最適なファンドがあると考える場合でも、特定のファンドに過大な手数料が設定されているため、手数料を優先した営業が行われやすいことは問題視
モーニングスターの記事では、「一部では預かり資産を伸ばすことを重視し、ポートフォリオのコアとなるファンドを販売手数料なしで対面販売する動きがあるなど変化の兆しは見られるが、全体では依然として純資産額上位に販売手数料が比較的高いハイリスクのファンドが目立つのが現状。投資家の長期の資産形成を後押しする動きが本格化すれば、より高い評価につながるだろう」と締めくくられています。
*以前より指摘されている課題ですが、なかなか改善されていないことが窺えます。
参照)
・金融庁「我が国金融業の中長期的な在り方」WG 2011年12月16日
モーニングスター株式会社 代表取締役COO 朝倉智也「投資信託に関する現状の課題と対応」
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/siryou/20111216/01.pdf
・金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/gijiroku/20111216.html
モーニングスター(2015/7/9)「日本は“投信後進国”!?グローバル調査下位の理由」より
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2015/3q/MFA120150709.html
2年に1回発表される同レポートは「規制・税金」、「情報公開」、「手数料・費用」、「販売・メディア」という4つの項目で各国の投信市場を評価し、これらを合算してA(最高評価)からFまで12段階でランク付けしています。
(日本の評価)
日本は「規制・税金」 「B」
情報公開 「C」
手数料・費用 「D+」
販売・メディア 「B-」
日本より評価の低いのは資本市場を規制する中国のみになります。
日本は、「情報公開」と「手数料・費用」の低評価です。
○「情報公開」の問題点
・目論見書の内容・・重要な情報のみを記載した簡易目論見書(日本では交付目論見書)は、読みやすさを重視して簡潔にまとめることが望ましく、多くの国は5ページ以内でまとめているが、日本でも交付目論見書の簡素化が図られてきたものの、国際的に見ると、10ページを超えるファンドが目立つ日本の現状は改善の余地がある
・交付目論見書の記載事項・・大部分のファンドで投資リスクの記載が一般的な内容にとどまっており、各ファンドの投資方針に特有のリスクについて言及がない点が課題。日本ではファンドマネジャーの名前や運用経験年数、報酬体系、ファンドへの自己資金の投資額の記載などの情報が記載されることはほとんどなく、低評価
・ポートフォリオの組み入れ銘柄の開示・・月次で全銘柄を開示するのが理想とされ、実際、今回の調査対象国25カ国のうちインドと韓国は月次での開示を行っている。一方、日本では年1回または2回作成される運用報告書で全銘柄が開示されるが、月報では組入上位のみにとどまっており、十分ではないとの評価
○「手数料・費用」
・ファンドを保有し続ける限り継続的に基準価額から差し引かれるエクスペンスレシオ(日本の信託報酬にほぼ相当)について、資産クラスごとの純資産額加重での平均値比較が行われたが、日本は国内籍の債券型ファンドが1.51 %と、カナダと台湾と並び最も高い水準となっている
・日本では大半のファンドで販売手数料を支払う必要があり、販売手数料無料(ノーロード)のファンドはまだ少ないと指摘
・販売員が投資家にとって最適なファンドがあると考える場合でも、特定のファンドに過大な手数料が設定されているため、手数料を優先した営業が行われやすいことは問題視
モーニングスターの記事では、「一部では預かり資産を伸ばすことを重視し、ポートフォリオのコアとなるファンドを販売手数料なしで対面販売する動きがあるなど変化の兆しは見られるが、全体では依然として純資産額上位に販売手数料が比較的高いハイリスクのファンドが目立つのが現状。投資家の長期の資産形成を後押しする動きが本格化すれば、より高い評価につながるだろう」と締めくくられています。
*以前より指摘されている課題ですが、なかなか改善されていないことが窺えます。
参照)
・金融庁「我が国金融業の中長期的な在り方」WG 2011年12月16日
モーニングスター株式会社 代表取締役COO 朝倉智也「投資信託に関する現状の課題と対応」
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/siryou/20111216/01.pdf
・金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/gijiroku/20111216.html
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、平成26年度 収益率はプラス12.27%(収益額は15兆2822億円)、平成26年度末の運用資産額は137兆4769億
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、「平成26年度 運用状況の概要」を公表しています。
マーケットの好調を反映し、全資産においてプラス、収益率はプラス12.27%(収益額は15兆2822億円)、平成26年度末の運用資産額は137兆4769億円になっています。
自主運用を開始した平成13年からの累計は50兆7338億円ということです。
GPIFは、基本ポートフォリオを見直し、国内株式へ大きなウェイトを置くよう転換しています。
・GPIFが基本ポートフォリオ変更へ 国内債券 35%、国内株式 25%、外国債券 15%、外国株式 25%
http://moneyneta.blogspot.jp/2014/11/gpif-35-25-15-25.html
平成26年末では、運用資産別の構成割合は、国内債券 39.39%、国内株式 22.00%、外国債券 12.63%、外国株式 20.89%、短期資金 5.08%となっています。
・年金積立金管理運用独立行政法人 平成26年度 運用状況の概要
http://www.gpif.go.jp//topics/2015/pdf/0710_h26unyoujoukyou.pdf
・年金積立金管理運用独立行政法人 平成26年度 業務概況書(全78頁)
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h26_q4.pdf
マーケットの好調を反映し、全資産においてプラス、収益率はプラス12.27%(収益額は15兆2822億円)、平成26年度末の運用資産額は137兆4769億円になっています。
自主運用を開始した平成13年からの累計は50兆7338億円ということです。
GPIFは、基本ポートフォリオを見直し、国内株式へ大きなウェイトを置くよう転換しています。
・GPIFが基本ポートフォリオ変更へ 国内債券 35%、国内株式 25%、外国債券 15%、外国株式 25%
http://moneyneta.blogspot.jp/2014/11/gpif-35-25-15-25.html
平成26年末では、運用資産別の構成割合は、国内債券 39.39%、国内株式 22.00%、外国債券 12.63%、外国株式 20.89%、短期資金 5.08%となっています。
・年金積立金管理運用独立行政法人 平成26年度 運用状況の概要
http://www.gpif.go.jp//topics/2015/pdf/0710_h26unyoujoukyou.pdf
・年金積立金管理運用独立行政法人 平成26年度 業務概況書(全78頁)
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h26_q4.pdf
2015年5月30日土曜日
投信ビジネス後進国の日本 日米で売れている投資信託はなぜ違うのか
日米の残高上位の投資信託・ETFには顕著な差があります。
日経記事「売れ筋が最適にはあらず 日本の投信はコスト高」(2015/5/30)では、日米の投信ビジネスの比較と日本の課題が解説されています。
本記事の内容をまとめると、下記の通りです。
・日本ではアクティブ型が上位
残高上位5位の信託報酬の平均は米国が年0.28%なのに対し、日本は1.52%です。
日本では投信・ETFの上位5位は全てアクティブ型、かつ、毎月分配型、信託報酬は1.25~1.76%。
米国では投信・ETFの上位5位は4本がインデックス型、信託報酬は0.17~0.22%。アクティブ型のアメリカン・ファンズ・グロースも信託報酬は0.66%と日本よりは低めです。
長期で好成績のアクティブ型もあるが事前に選ぶのは簡単でないため、インデックス型を中心に運用する方が長期で資産を増やしやすいというのが資産運用の世界では通説です。アクティブ型は信託報酬などコスト負担が大きいので、長期運用になるほどインデックス型に負ける傾向があります。
記事では、2014年末までの5年間で、世界の不動産投資信託(REIT)、高格付けの海外債券、日本株の各分野で残高が最も多いアクティブ型投信の基準価格をそれぞれ代表的なインデックス型と比べた比較が付けられていますが、上昇率はいずれもインデックス型が勝っているようです。
モーニングスターの朝倉智也社長によると、「こうした傾向は海外でも目立ち、米国では資金がインデックス型にシフトしている」とのことです。
アクティブ インデックス
日本株 フィデリティ・日本成長株 eMAXISトピックス←勝ち
世界債券 グローバル・ソブリン eMAXIS先進国債券←勝ち
世界リート ラサール・グローバルREIT eMAXIS先進国リート←勝ち
・テーマ型が主流
日本の残高上位は入れ替わりが激しいことも大きな特徴です。
米国は5年前も10位までに入っていた投信が多いが、日本は1本だけ。5年前は新興国関連の顔ぶれが目立っていた。「そのときどきで投資家の関心を集めやすいテーマの投信が上位に入る。価格がすでに上がっている例が多く、投資家は高値づかみになりがちだ」(ミーニングスター朝倉氏)という状況です。
資産の中心(コア)は堅実に増やすことを目指し、インデックス投信で国内外の株や高格付け債券などに幅広く分散投資する「コア・サテライト戦略」という考え方がありますが、日本の残高上位は「リートや低格付け債など本来はサテライトで投資すべき資産が大半を占める」(IO ウェルス・アドバイザーズの岡本和久氏)と指摘がされています。
・アクティブ型が日本で売れるのは金融機関が儲けたいから
日本では投資家が投信を保有する限り、信託報酬の約半分が販売した金融機関に入るため、信託報酬のより高い投信を売る動機になりやすいとみられています。
米国では資産配分などの助言を受けたい場合は独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)を通じて投信を買う人も多いため、低コストのインデックス型が選ばれます。ただし、別途アドバイザーへのコストがかかります。最近の報酬は年1%前後のことが多いようです。
・ラップ口座
日本では近年ファンドラップが資産配分の助言をする点が初心者を中心に拡大していますが、総コストは年2~3%かかります。
日本の公的年金が見込む世界分散投資の長期期待リターンは年約4%。2~3%のコストを引けば資産の増え方は鈍ることとなり、「利点とコストを比べ自分にあう方法を選ぼう」と解説されています。
【関連記事】
・2014/5/24 証券会社が勧めるラップ口座 残高急増で4兆円を突破、専門家は「最も買ってはいけない金融商品」と指摘
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/05/blog-post_25.html
【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2015/1/11 個人投資家が買いたい投信と金融機関が売りたい投信は全然違う ~投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2014より~
http://money-learn.seesaa.net/article/412140543.html
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html
・・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
ファンドラップ ~コストと期待リターン -多くの人は0.5%以下の利回りに2.5%以上の手数料を払っている!?
http://money-learn.seesaa.net/article/426530132.html
日経記事「売れ筋が最適にはあらず 日本の投信はコスト高」(2015/5/30)では、日米の投信ビジネスの比較と日本の課題が解説されています。
本記事の内容をまとめると、下記の通りです。
・日本ではアクティブ型が上位
残高上位5位の信託報酬の平均は米国が年0.28%なのに対し、日本は1.52%です。
日本では投信・ETFの上位5位は全てアクティブ型、かつ、毎月分配型、信託報酬は1.25~1.76%。
米国では投信・ETFの上位5位は4本がインデックス型、信託報酬は0.17~0.22%。アクティブ型のアメリカン・ファンズ・グロースも信託報酬は0.66%と日本よりは低めです。
長期で好成績のアクティブ型もあるが事前に選ぶのは簡単でないため、インデックス型を中心に運用する方が長期で資産を増やしやすいというのが資産運用の世界では通説です。アクティブ型は信託報酬などコスト負担が大きいので、長期運用になるほどインデックス型に負ける傾向があります。
記事では、2014年末までの5年間で、世界の不動産投資信託(REIT)、高格付けの海外債券、日本株の各分野で残高が最も多いアクティブ型投信の基準価格をそれぞれ代表的なインデックス型と比べた比較が付けられていますが、上昇率はいずれもインデックス型が勝っているようです。
モーニングスターの朝倉智也社長によると、「こうした傾向は海外でも目立ち、米国では資金がインデックス型にシフトしている」とのことです。
アクティブ インデックス
日本株 フィデリティ・日本成長株 eMAXISトピックス←勝ち
世界債券 グローバル・ソブリン eMAXIS先進国債券←勝ち
世界リート ラサール・グローバルREIT eMAXIS先進国リート←勝ち
・テーマ型が主流
日本の残高上位は入れ替わりが激しいことも大きな特徴です。
米国は5年前も10位までに入っていた投信が多いが、日本は1本だけ。5年前は新興国関連の顔ぶれが目立っていた。「そのときどきで投資家の関心を集めやすいテーマの投信が上位に入る。価格がすでに上がっている例が多く、投資家は高値づかみになりがちだ」(ミーニングスター朝倉氏)という状況です。
資産の中心(コア)は堅実に増やすことを目指し、インデックス投信で国内外の株や高格付け債券などに幅広く分散投資する「コア・サテライト戦略」という考え方がありますが、日本の残高上位は「リートや低格付け債など本来はサテライトで投資すべき資産が大半を占める」(IO ウェルス・アドバイザーズの岡本和久氏)と指摘がされています。
・アクティブ型が日本で売れるのは金融機関が儲けたいから
日本では投資家が投信を保有する限り、信託報酬の約半分が販売した金融機関に入るため、信託報酬のより高い投信を売る動機になりやすいとみられています。
米国では資産配分などの助言を受けたい場合は独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)を通じて投信を買う人も多いため、低コストのインデックス型が選ばれます。ただし、別途アドバイザーへのコストがかかります。最近の報酬は年1%前後のことが多いようです。
・ラップ口座
日本では近年ファンドラップが資産配分の助言をする点が初心者を中心に拡大していますが、総コストは年2~3%かかります。
日本の公的年金が見込む世界分散投資の長期期待リターンは年約4%。2~3%のコストを引けば資産の増え方は鈍ることとなり、「利点とコストを比べ自分にあう方法を選ぼう」と解説されています。
【関連記事】
・2014/5/24 証券会社が勧めるラップ口座 残高急増で4兆円を突破、専門家は「最も買ってはいけない金融商品」と指摘
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/05/blog-post_25.html
【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2015/1/11 個人投資家が買いたい投信と金融機関が売りたい投信は全然違う ~投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2014より~
http://money-learn.seesaa.net/article/412140543.html
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html
・・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
ファンドラップ ~コストと期待リターン -多くの人は0.5%以下の利回りに2.5%以上の手数料を払っている!?
http://money-learn.seesaa.net/article/426530132.html
2015年5月25日月曜日
証券会社が勧めるラップ口座 残高急増で4兆円を突破、専門家は「最も買ってはいけない金融商品」と指摘
日経(2015/5/25)によると、ラップ口座の残高が、2015年3月末までに過去1年間で3倍弱に膨らみ、4月末には4兆円を超えたと伝えられています。
ラップ口座は、「個人が投資先選びなど資産運用を金融機関に一任するもので、投資初心者を中心に長期の資産形成をめざす商品」として関心を集めているようです。
契約残高は野村証券、大和証券、三井住友信託銀行、SMBC日興証券の上位4社で全体の8割超を占めているようです。
野村、大和はラップの残高が1兆円を超え、営業に力が入っていることが窺えます。「証券各社は売買手数料に依存する変動の大きい収益構造を預かり資産からの安定収益で稼ぐ形に変えようとしている。各社ともラップをその中核商品と位置づけており、営業姿勢の変化も残高拡大を後押ししている」と伝えられています。
ラップ口座は目標利回りや期間、リスク許容度などを聞いた上で、その計画に沿って資産配分や商品選択、配分見直しを代行するサービス。オーダーメード型のSMAと投資先を投資信託に絞るファンドラップがあります。
ファンドラップ:証券会社等は顧客と投資一任契約を締結し、顧客の許容リスクや期待リターン等に応じて、複数の投資信託から顧客に適したポートフォリオを構築して運用を行ないます。
SMA:セパレートリー・マネージド・アカウント(Separately Managed Account)の略称で、証券会社が、投資家から預かった資金を、投資一任契約に基づいて、投資家の運用方針に従って一括して運用・管理するサービスです。最低投資額が数千万~1億円と富裕層が顧客の中心とされています。
最近は証券各社がファンドラップの最低額を300万~500万円程度まで引き下げており、多忙や高齢などで運用の手間を省きたい個人を中心に投資を始める入り口商品としての需要が広がっています。
各社ともサービスの差別化で顧客の囲い込みを展開、野村は顧客と運用方針を確認する機会を最低でも年4回設定。契約後もきめ細かい助言を続けることで「既存顧客からの追加の預け入れも目立つ」ということです。
ラップ口座は、契約するコストが高いという指摘があります。
日経記事では、「1つは投資一任契約に対して支払う手数料で、ファンドラップの場合は残高の1~1.5%程度がかかる。これとは別に運用先の投資信託の管理費用が必要で、これは同1%前後かかることが多い。残高に対して総額2%程度のコストがかかるため、ラップ口座は「投資先商品だけを見れば高い」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)という指摘がある。上場投資信託(ETF)を自分で組み合わせるなどすれば、費用を抑えてラップ口座とほぼ同じ運用ができるからだ」と記事内で記載されています。
一方、「野村総合研究所の金子久上級研究員は「付随する助言サービスも含めれば、手数料に見合うと考える人も多い」と話す。契約後に各社とも運用状況を継続的に顧客に報告し、市場環境や生活計画の変化に対応したアドバイスを何度も受けられるからだ」とされ、日経では、「コストが適正かどうかは、付随するサービスも見たうえで自ら判断する必要がある」とされています。
週刊ダイヤモンド(5月23日号)は「投資の鉄則」というお金の運用の大特集で、「ラップ口座」は、専門家アンケートで専門家5人中3人が「最も買ってはいけない金融商品」に挙げられました。理由は「金融機関に丸投げする高手数料コスト商品」とされています。
【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
ファンドラップ ~コストと期待リターン -多くの人は0.5%以下の利回りに2.5%以上の手数料を払っている!?
http://money-learn.seesaa.net/article/426530132.html
・2014/12/21 (株)お金のデザインの新サービス「ETFラップ」の説明会に行ってきました。
http://money-learn.seesaa.net/article/411045614.html
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
ラップ口座は、「個人が投資先選びなど資産運用を金融機関に一任するもので、投資初心者を中心に長期の資産形成をめざす商品」として関心を集めているようです。
契約残高は野村証券、大和証券、三井住友信託銀行、SMBC日興証券の上位4社で全体の8割超を占めているようです。
野村、大和はラップの残高が1兆円を超え、営業に力が入っていることが窺えます。「証券各社は売買手数料に依存する変動の大きい収益構造を預かり資産からの安定収益で稼ぐ形に変えようとしている。各社ともラップをその中核商品と位置づけており、営業姿勢の変化も残高拡大を後押ししている」と伝えられています。
ラップ口座は目標利回りや期間、リスク許容度などを聞いた上で、その計画に沿って資産配分や商品選択、配分見直しを代行するサービス。オーダーメード型のSMAと投資先を投資信託に絞るファンドラップがあります。
ファンドラップ:証券会社等は顧客と投資一任契約を締結し、顧客の許容リスクや期待リターン等に応じて、複数の投資信託から顧客に適したポートフォリオを構築して運用を行ないます。
SMA:セパレートリー・マネージド・アカウント(Separately Managed Account)の略称で、証券会社が、投資家から預かった資金を、投資一任契約に基づいて、投資家の運用方針に従って一括して運用・管理するサービスです。最低投資額が数千万~1億円と富裕層が顧客の中心とされています。
最近は証券各社がファンドラップの最低額を300万~500万円程度まで引き下げており、多忙や高齢などで運用の手間を省きたい個人を中心に投資を始める入り口商品としての需要が広がっています。
各社ともサービスの差別化で顧客の囲い込みを展開、野村は顧客と運用方針を確認する機会を最低でも年4回設定。契約後もきめ細かい助言を続けることで「既存顧客からの追加の預け入れも目立つ」ということです。
ラップ口座は、契約するコストが高いという指摘があります。
日経記事では、「1つは投資一任契約に対して支払う手数料で、ファンドラップの場合は残高の1~1.5%程度がかかる。これとは別に運用先の投資信託の管理費用が必要で、これは同1%前後かかることが多い。残高に対して総額2%程度のコストがかかるため、ラップ口座は「投資先商品だけを見れば高い」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)という指摘がある。上場投資信託(ETF)を自分で組み合わせるなどすれば、費用を抑えてラップ口座とほぼ同じ運用ができるからだ」と記事内で記載されています。
一方、「野村総合研究所の金子久上級研究員は「付随する助言サービスも含めれば、手数料に見合うと考える人も多い」と話す。契約後に各社とも運用状況を継続的に顧客に報告し、市場環境や生活計画の変化に対応したアドバイスを何度も受けられるからだ」とされ、日経では、「コストが適正かどうかは、付随するサービスも見たうえで自ら判断する必要がある」とされています。
週刊ダイヤモンド(5月23日号)は「投資の鉄則」というお金の運用の大特集で、「ラップ口座」は、専門家アンケートで専門家5人中3人が「最も買ってはいけない金融商品」に挙げられました。理由は「金融機関に丸投げする高手数料コスト商品」とされています。
【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
ファンドラップ ~コストと期待リターン -多くの人は0.5%以下の利回りに2.5%以上の手数料を払っている!?
http://money-learn.seesaa.net/article/426530132.html
・2014/12/21 (株)お金のデザインの新サービス「ETFラップ」の説明会に行ってきました。
http://money-learn.seesaa.net/article/411045614.html
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
2015年5月5日火曜日
日銀の量的緩和 見えない「出口」と正常化へは長期化の見通し
日銀の量的緩和により、債券市場で長期金利が低下の一途をたどっています。
「日銀が買い入れる国債の金利」「国債入札の落札金利」「流通利回り」の3つがマイナスになる日も珍しくありません。
2013年4月に「2年で2%」とした物価目標も道のりは遠く、日銀が大量に国債を買い入れる政策は当面続くと見られます。一方、物価目標を達成しても、国債の買い入れ額の縮小の思惑を呼び、市場に動揺が走る可能性もあります。
金融政策の正常化は先を見通せないほどの長い年月がかかりそうです。
○想定される日銀の「出口」までの道のりとハードル(*)
2015~2016年 「物価上昇率CPI2%上昇」が安定的に見通せるようになる。
*物価低迷が続けば追加緩和も⇒出口はさらに遠のく
2016~2017年頃 国債買い入れペースを段階的に緩め始める。
*景気鈍化すれば緩和縮小はストップ
2017~2018年頃 国債買い入れをゼロに
2018年以降 保有国債は市中で売却せず、満期償還に伴い徐々に減る。利上げも検討
*財政再建の遅れも金融政策の正常化の妨げに
・現在の買い入れペースで、仮に2016年末まで続けると、2017年初頭から緩和縮小に動いたとしても、17年末時点の日銀のバランスシートは2015年3月の1.5倍の450兆円で、名目GDPに匹敵する規模になる。
・日銀が売り出しオペに動いたとすると市場が動揺し長期金利が上昇圧力。日銀は保有国債を売却せず、満期まで持って残高を減らす可能性が高い。
・日本の政務債務残高は巨額で、金利上昇に弱い。長期金利が上昇し出すと、政府や与党から金融緩和の正常化に向けたプロセスを中断し、国債を買う政策を取るよう圧力がかかりかねない。
(参考)日経ヴェリタス 2015.2.1 異次元緩和、見通せぬ「出口」超長期金利も長期化の観測
「日銀が買い入れる国債の金利」「国債入札の落札金利」「流通利回り」の3つがマイナスになる日も珍しくありません。
2013年4月に「2年で2%」とした物価目標も道のりは遠く、日銀が大量に国債を買い入れる政策は当面続くと見られます。一方、物価目標を達成しても、国債の買い入れ額の縮小の思惑を呼び、市場に動揺が走る可能性もあります。
金融政策の正常化は先を見通せないほどの長い年月がかかりそうです。
○想定される日銀の「出口」までの道のりとハードル(*)
2015~2016年 「物価上昇率CPI2%上昇」が安定的に見通せるようになる。
*物価低迷が続けば追加緩和も⇒出口はさらに遠のく
2016~2017年頃 国債買い入れペースを段階的に緩め始める。
*景気鈍化すれば緩和縮小はストップ
2017~2018年頃 国債買い入れをゼロに
2018年以降 保有国債は市中で売却せず、満期償還に伴い徐々に減る。利上げも検討
*財政再建の遅れも金融政策の正常化の妨げに
・現在の買い入れペースで、仮に2016年末まで続けると、2017年初頭から緩和縮小に動いたとしても、17年末時点の日銀のバランスシートは2015年3月の1.5倍の450兆円で、名目GDPに匹敵する規模になる。
・日銀が売り出しオペに動いたとすると市場が動揺し長期金利が上昇圧力。日銀は保有国債を売却せず、満期まで持って残高を減らす可能性が高い。
・日本の政務債務残高は巨額で、金利上昇に弱い。長期金利が上昇し出すと、政府や与党から金融緩和の正常化に向けたプロセスを中断し、国債を買う政策を取るよう圧力がかかりかねない。
(参考)日経ヴェリタス 2015.2.1 異次元緩和、見通せぬ「出口」超長期金利も長期化の観測
加藤 出
朝日新聞出版 (2014-07-11)
売り上げランキング: 43,722
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2015年5月3日日曜日
大前研一氏「アベノミクスは失敗する」
向研会 2014年経済総括
(関連記事)
マネーの知恵(仮)2015/5/3 [感想・書評] 低欲望社会 大前研一/著
http://money-learn.seesaa.net/article/418356446.html
「大前研一が語るアベノミクスが失敗する理由と対策が秀逸!」よりまとめ
http://traveler.hatenablog.com/entry/2014/12/19/%E5%A4%A7%E5%89%8D%E7%A0%94%E4%B8%80%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%8C%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%81%99%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%A8%E5%AF%BE
・アベノミクスは、あくまで20世紀型の経済対策
⇒1.金融政策 2.財政政策 3.成長戦略である。現在の日本の状況は過去の経済史上初めての現象の為、これらは効果を発揮しない
・日本の問題点は、低欲望社会
⇒今までの経済の常識では、金利が5%を切ると国民は喜んで金を借りたのだが、日本では金利1.5%でも誰も借りない。特に住宅需要のある30代は低成長社会で育ったために消費意欲が無い。日銀がどんなに紙幣を供給しても借りる人がいない為に、銀行に貸し出しできない金が100兆円以上ねむっている。
・アベノミクスの見通し
⇒年金基金から日本株に30兆円突っ込んだために、現在は株高になっているが、日本人は資産を株式で運用していない為に、個人消費を活性化できない。
・デフォルトやハイパーインフレはいつ起こってもおかしくない。トリガーとなりそうなのは以下の3つである。
1.格付け会社が一気に日本国債の格付けを下げる
2.CDS(日本国債の保険料率)が現在の6(60%)から1(100%)に上がった時
3.政治家の不用意な発言
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マネーの知恵(仮)2015/5/3 [感想・書評] 低欲望社会 大前研一/著
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⇒1.金融政策 2.財政政策 3.成長戦略である。現在の日本の状況は過去の経済史上初めての現象の為、これらは効果を発揮しない
・日本の問題点は、低欲望社会
⇒今までの経済の常識では、金利が5%を切ると国民は喜んで金を借りたのだが、日本では金利1.5%でも誰も借りない。特に住宅需要のある30代は低成長社会で育ったために消費意欲が無い。日銀がどんなに紙幣を供給しても借りる人がいない為に、銀行に貸し出しできない金が100兆円以上ねむっている。
・アベノミクスの見通し
⇒年金基金から日本株に30兆円突っ込んだために、現在は株高になっているが、日本人は資産を株式で運用していない為に、個人消費を活性化できない。
・デフォルトやハイパーインフレはいつ起こってもおかしくない。トリガーとなりそうなのは以下の3つである。
1.格付け会社が一気に日本国債の格付けを下げる
2.CDS(日本国債の保険料率)が現在の6(60%)から1(100%)に上がった時
3.政治家の不用意な発言
2015年3月29日日曜日
国外財産調書の未提出による過少申告加算税の加重措置の適用
14年1月から開始されている国外財産調書制度の未提出による罰則規定の適用があったとのこと。
トーメンエレクトロニクス株のインサイダー取引事件で金融商品取引法違反の罪で起訴された東京都の元会社社長の被告が、国外財産に伴う所得については、国外財産調書の未提出による過少申告加算税の加重措置の対象となり、通常より5ポイント高い15%の加算税が適用されたもようだ。同措置の適用が明らかになったのは初めて。
また、偽りの記載をして提出した場合又は正当な理由なく期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになっている。
国外財産調書制度は14年1月から開始。毎年12月末時点で海外に5千万円超の財産がある場合、翌年3月までに財産内容を記した調書を税務署に提出する義務がある。未提出で国外財産に関する申告漏れが発覚した場合は過少申告加算税が加重される。
関係者によると、被告は2013年末時点でシンガポールの関連会社に約20万米ドルの貸付債権を保有するなど、海外に5千万円を超える財産があったが、「国外財産調書」を提出していなかった。
関係者によると、被告は2013年末時点でシンガポールの関連会社に約20万米ドルの貸付債権を保有するなど、海外に5千万円を超える財産があったが、「国外財産調書」を提出していなかった。
参考:
・日経(2015/3/28)「インサイダー被告、国外財産申告せず 加算税を初適用」
・国税庁 No.7456 国外財産調書の提出義務
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7456.htm
国外財産調書の提出制度においては、適正な提出をしていただくために次のような措置が設けられています。
1 国外財産調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置
国外財産調書を提出期限内に提出した場合には、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税又は相続税の申告漏れが生じたときであっても、過少申告加算税等が5%軽減されます。
2 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置
国外財産調書を提出期限内にない場合又は提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合(記載が不十分と認められる場合を含みます。)に、その国外財産に関して所得税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除きます。)が生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。
3 正当な理由のない国外財産調書の不提出等に対する罰則
国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。ただし、提出期限内に提出しなかった場合については、情状により、その刑を免除することができることとされています。
三浦 誠
中央経済社
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2015年1月17日土曜日
日本の不動産投資市場2014
野村総研が2014年7月に出した「日本の不動産投資市場 2014」
https://www.nri.com/jp/opinion/r_report/pdf/japanreport2014_jp_final.pdf
グラフとともに、かなりのボリュームで詳細に分析がされています。
https://www.nri.com/jp/opinion/r_report/pdf/japanreport2014_jp_final.pdf
グラフとともに、かなりのボリュームで詳細に分析がされています。
2015年1月13日火曜日
個人の投資に関する平成27年度税制改正
○NISAの拡充
・ジュニアNISAの創設 →平成28年より
(年間投資上限80万円) →(とりあえず平成35年まで)
・年間投資上限の引上げ 120万円へ →平成28年より
(年間投資上限80万円) →(とりあえず平成35年まで)
・年間投資上限の引上げ 120万円へ →平成28年より
○確定拠出年金制度の拡充
・新たに以下の者を対象に
-主婦 (年間拠出額27.6万円まで)
-公務員(同、14.4万円まで)
-小規模企業も制度加入しやすい措置
(所得控除制度を新設)
↓
確定拠出年金法改正後
(平成28年からか)
・新たに以下の者を対象に
-主婦 (年間拠出額27.6万円まで)
-公務員(同、14.4万円まで)
-小規模企業も制度加入しやすい措置
(所得控除制度を新設)
↓
確定拠出年金法改正後
(平成28年からか)
○世代間の資産移転促進
・結婚・子育て資金の贈与税の非課税制度(1000万円〔うち結婚資金300万円〕)
・教育資金贈与信託は平成31年3月末まで延長
↓
平成27年4月~平成31年3月末まで
2015年1月8日木曜日
日銀によるETF買い入れによる5つの効果
日銀は2010年12月15日以降、異次元の量的緩和策の中で、ETFを買い入れる非伝統的手法をとっています。
2014年10月31日発表の「日銀黒田バズーカ2」の概要
①長期国債の保有残高の伸びを年間50兆円から80兆円と30兆円拡大。
②買い入れる国債の平均年限も最大3年延長。(平均残存年限を7-10年程度へ)
③ETFやREITの買い入れ額を3倍に。
(ETFの年間買入れ額を1兆円→3兆円に、
REITの年間買入れ額300億円→900億円に)
※ETFの買い入れ対象に新たにJPX日経400連動型ETFを加える
ETF買い入れの効果について、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、下記の5つを指摘しています。
1.購入したETFを売却するときの「出口政策」がやりやすくな
インフレが過熱した場合に売れば、マーケットをコントロールしやすい。
2.ETF買い入れによる金融緩和策と、日銀の財務の健全性が同じ方向性にあること
アベノミクスが成功してデフレを脱却すれば、株価も上がり、日銀の財務の健全化にもなる。
円は安くなり、国債は最高値で金利は史上最低。歴史を見ても、一度信用を失った通貨や国債を買い支えるのは不可能なので、そのような最悪の状態にならないよう、一刻も早く国債からETFにシフトすべき。
3.株式市場を通して生きた経済にお金が回る
ETFの買い入れはマネーストック(世の中に出回っているお金の総量)に直結する。国債購入の場合は、銀行にお金が流れてもお金を借りる企業が少ないため、実体経済への影響は少ない。「マネタリーベースが増えるのはたしかだが、実体経済にお金が回らない」というのは現在の量的金融緩和に対する批判の最たるものだ。
4.資産効果が期待できる
株価が上がれば、経営者や資産家、株主の消費が促され、それが波及して全国的に消費マインドが向上する。
株価が上がってすべての人が恩恵を受けるとはいえないが、困る人はいない。一方、国債の大量購入によって国債価格が上がり金利が下がると、年金運用などの面で困る人は少なくないだろう。
5.日銀が買い入れるETFに「JPX400」が加わり、企業のROE(株主資本利益率)に対する意識が高まる
JPX400は、資本の効率的活用や投資家を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした「投資家にとって魅力の高い会社」で構成される株価指数なので、JPX400の注目度が高まれば、この指数に採用されたい企業が増える。
結果として、企業のROEに対する意識が高まり、自社株買いや配当額が増えるといった効果が期待できる。企業の内部留保はおよそ300兆円あるが、その有効活用にもつながる。
・ダイヤモンドオンライン(2015/1/8)
「【2015年の日本株】日銀の「ETFドカ買い」で 年末に日経平均は2万2000円へ」より
http://diamond.jp/articles/-/64614?page=2
ただ、中央銀行が株式を購入するというのは世界を見渡しても異例な政策でもある。どの企業の株を買うかという判断を中央銀行が下すというリスクは、個別株ではなくTOPIX連動型のETFを買うことで回避しているとしても、通貨の番人である中央銀行がき損の恐れのあるリスク資産を大量に買うことは、通貨の価値に関わる問題でもある。
損失は国民の税金によって補填されることになる。
ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミスト、矢嶋康次氏は「金融政策の波及経路が昔より多岐にわたるようになっており、一概にリスク資産を購入すべきではないとは言えない。しかし、損失が生じた場合は、通貨の価値を守るためにも補てんが欠かせない。そこには国民の血税が使われることになるのだから、その方法については『出口』を迎える前に一日も早く決めるべきではないか」との見方を示している。
(ロイター(2014/11/6)「荒れ始めた日本株市場、日銀ETF買いめぐり思惑交錯」っより)
日銀は、「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果」をホームページで発表しています。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
2014年10月31日発表の「日銀黒田バズーカ2」の概要
①長期国債の保有残高の伸びを年間50兆円から80兆円と30兆円拡大。
②買い入れる国債の平均年限も最大3年延長。(平均残存年限を7-10年程度へ)
③ETFやREITの買い入れ額を3倍に。
(ETFの年間買入れ額を1兆円→3兆円に、
REITの年間買入れ額300億円→900億円に)
※ETFの買い入れ対象に新たにJPX日経400連動型ETFを加える
ETF買い入れの効果について、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、下記の5つを指摘しています。
1.購入したETFを売却するときの「出口政策」がやりやすくな
インフレが過熱した場合に売れば、マーケットをコントロールしやすい。
2.ETF買い入れによる金融緩和策と、日銀の財務の健全性が同じ方向性にあること
アベノミクスが成功してデフレを脱却すれば、株価も上がり、日銀の財務の健全化にもなる。
円は安くなり、国債は最高値で金利は史上最低。歴史を見ても、一度信用を失った通貨や国債を買い支えるのは不可能なので、そのような最悪の状態にならないよう、一刻も早く国債からETFにシフトすべき。
3.株式市場を通して生きた経済にお金が回る
ETFの買い入れはマネーストック(世の中に出回っているお金の総量)に直結する。国債購入の場合は、銀行にお金が流れてもお金を借りる企業が少ないため、実体経済への影響は少ない。「マネタリーベースが増えるのはたしかだが、実体経済にお金が回らない」というのは現在の量的金融緩和に対する批判の最たるものだ。
4.資産効果が期待できる
株価が上がれば、経営者や資産家、株主の消費が促され、それが波及して全国的に消費マインドが向上する。
株価が上がってすべての人が恩恵を受けるとはいえないが、困る人はいない。一方、国債の大量購入によって国債価格が上がり金利が下がると、年金運用などの面で困る人は少なくないだろう。
5.日銀が買い入れるETFに「JPX400」が加わり、企業のROE(株主資本利益率)に対する意識が高まる
JPX400は、資本の効率的活用や投資家を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした「投資家にとって魅力の高い会社」で構成される株価指数なので、JPX400の注目度が高まれば、この指数に採用されたい企業が増える。
結果として、企業のROEに対する意識が高まり、自社株買いや配当額が増えるといった効果が期待できる。企業の内部留保はおよそ300兆円あるが、その有効活用にもつながる。
・ダイヤモンドオンライン(2015/1/8)
「【2015年の日本株】日銀の「ETFドカ買い」で 年末に日経平均は2万2000円へ」より
http://diamond.jp/articles/-/64614?page=2
ただ、中央銀行が株式を購入するというのは世界を見渡しても異例な政策でもある。どの企業の株を買うかという判断を中央銀行が下すというリスクは、個別株ではなくTOPIX連動型のETFを買うことで回避しているとしても、通貨の番人である中央銀行がき損の恐れのあるリスク資産を大量に買うことは、通貨の価値に関わる問題でもある。
損失は国民の税金によって補填されることになる。
ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミスト、矢嶋康次氏は「金融政策の波及経路が昔より多岐にわたるようになっており、一概にリスク資産を購入すべきではないとは言えない。しかし、損失が生じた場合は、通貨の価値を守るためにも補てんが欠かせない。そこには国民の血税が使われることになるのだから、その方法については『出口』を迎える前に一日も早く決めるべきではないか」との見方を示している。
(ロイター(2014/11/6)「荒れ始めた日本株市場、日銀ETF買いめぐり思惑交錯」っより)
日銀は、「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果」をホームページで発表しています。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
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