日米の残高上位の投資信託・ETFには顕著な差があります。
日経記事「売れ筋が最適にはあらず 日本の投信はコスト高」(2015/5/30)では、日米の投信ビジネスの比較と日本の課題が解説されています。
本記事の内容をまとめると、下記の通りです。
・日本ではアクティブ型が上位
残高上位5位の信託報酬の平均は米国が年0.28%なのに対し、日本は1.52%です。
日本では投信・ETFの上位5位は全てアクティブ型、かつ、毎月分配型、信託報酬は1.25~1.76%。
米国では投信・ETFの上位5位は4本がインデックス型、信託報酬は0.17~0.22%。アクティブ型のアメリカン・ファンズ・グロースも信託報酬は0.66%と日本よりは低めです。
長期で好成績のアクティブ型もあるが事前に選ぶのは簡単でないため、インデックス型を中心に運用する方が長期で資産を増やしやすいというのが資産運用の世界では通説です。アクティブ型は信託報酬などコスト負担が大きいので、長期運用になるほどインデックス型に負ける傾向があります。
記事では、2014年末までの5年間で、世界の不動産投資信託(REIT)、高格付けの海外債券、日本株の各分野で残高が最も多いアクティブ型投信の基準価格をそれぞれ代表的なインデックス型と比べた比較が付けられていますが、上昇率はいずれもインデックス型が勝っているようです。
モーニングスターの朝倉智也社長によると、「こうした傾向は海外でも目立ち、米国では資金がインデックス型にシフトしている」とのことです。
アクティブ インデックス
日本株 フィデリティ・日本成長株 eMAXISトピックス←勝ち
世界債券 グローバル・ソブリン eMAXIS先進国債券←勝ち
世界リート ラサール・グローバルREIT eMAXIS先進国リート←勝ち
・テーマ型が主流
日本の残高上位は入れ替わりが激しいことも大きな特徴です。
米国は5年前も10位までに入っていた投信が多いが、日本は1本だけ。5年前は新興国関連の顔ぶれが目立っていた。「そのときどきで投資家の関心を集めやすいテーマの投信が上位に入る。価格がすでに上がっている例が多く、投資家は高値づかみになりがちだ」(ミーニングスター朝倉氏)という状況です。
資産の中心(コア)は堅実に増やすことを目指し、インデックス投信で国内外の株や高格付け債券などに幅広く分散投資する「コア・サテライト戦略」という考え方がありますが、日本の残高上位は「リートや低格付け債など本来はサテライトで投資すべき資産が大半を占める」(IO ウェルス・アドバイザーズの岡本和久氏)と指摘がされています。
・アクティブ型が日本で売れるのは金融機関が儲けたいから
日本では投資家が投信を保有する限り、信託報酬の約半分が販売した金融機関に入るため、信託報酬のより高い投信を売る動機になりやすいとみられています。
米国では資産配分などの助言を受けたい場合は独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)を通じて投信を買う人も多いため、低コストのインデックス型が選ばれます。ただし、別途アドバイザーへのコストがかかります。最近の報酬は年1%前後のことが多いようです。
・ラップ口座
日本では近年ファンドラップが資産配分の助言をする点が初心者を中心に拡大していますが、総コストは年2~3%かかります。
日本の公的年金が見込む世界分散投資の長期期待リターンは年約4%。2~3%のコストを引けば資産の増え方は鈍ることとなり、「利点とコストを比べ自分にあう方法を選ぼう」と解説されています。
【関連記事】
・2014/5/24 証券会社が勧めるラップ口座 残高急増で4兆円を突破、専門家は「最も買ってはいけない金融商品」と指摘
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/05/blog-post_25.html
【マネーの知恵(仮)関連記事】
・2015/1/11 個人投資家が買いたい投信と金融機関が売りたい投信は全然違う ~投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2014より~
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・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
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・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html
・・2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)
ファンドラップ ~コストと期待リターン -多くの人は0.5%以下の利回りに2.5%以上の手数料を払っている!?
http://money-learn.seesaa.net/article/426530132.html
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