「日銀が買い入れる国債の金利」「国債入札の落札金利」「流通利回り」の3つがマイナスになる日も珍しくありません。
2013年4月に「2年で2%」とした物価目標も道のりは遠く、日銀が大量に国債を買い入れる政策は当面続くと見られます。一方、物価目標を達成しても、国債の買い入れ額の縮小の思惑を呼び、市場に動揺が走る可能性もあります。
金融政策の正常化は先を見通せないほどの長い年月がかかりそうです。
○想定される日銀の「出口」までの道のりとハードル(*)
2015~2016年 「物価上昇率CPI2%上昇」が安定的に見通せるようになる。
*物価低迷が続けば追加緩和も⇒出口はさらに遠のく
2016~2017年頃 国債買い入れペースを段階的に緩め始める。
*景気鈍化すれば緩和縮小はストップ
2017~2018年頃 国債買い入れをゼロに
2018年以降 保有国債は市中で売却せず、満期償還に伴い徐々に減る。利上げも検討
*財政再建の遅れも金融政策の正常化の妨げに
・現在の買い入れペースで、仮に2016年末まで続けると、2017年初頭から緩和縮小に動いたとしても、17年末時点の日銀のバランスシートは2015年3月の1.5倍の450兆円で、名目GDPに匹敵する規模になる。
・日銀が売り出しオペに動いたとすると市場が動揺し長期金利が上昇圧力。日銀は保有国債を売却せず、満期まで持って残高を減らす可能性が高い。
・日本の政務債務残高は巨額で、金利上昇に弱い。長期金利が上昇し出すと、政府や与党から金融緩和の正常化に向けたプロセスを中断し、国債を買う政策を取るよう圧力がかかりかねない。
(参考)日経ヴェリタス 2015.2.1 異次元緩和、見通せぬ「出口」超長期金利も長期化の観測
加藤 出
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