ニッセイ基礎研究所(2014/10/16)
Weekly エコノミスト・レターでの中期経済見通し(2014~2024年度)より抜粋
(PDF)
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2014/we141016.pdf
(世界経済)
・世界経済は回復基調が続いているが、そのペースは依然として緩慢なものにとどまっており、主要先進国のGDPギャップはリーマン・ショック以降、ほぼ一貫してマイナス圏で推移している。IMFの世界経済見通しでは、足もとだけでなく先行き 5 年間の成長率予想が下方修正されており、需要不足と供給力の低下が同時進行している。
・米国の利上げは比較的ゆっくりとしたペースで進められると予想しているが、最終的には 3.75%まで引き上げられるとみている。そのため、予測期間中盤以降は長期金利も 4%半ばまで上昇、投資が加速しにくい状況になると思われる。
・欧州はメインシナリオとして 2016 年内は緩和強化が続くと想定、利上げには 2017 年後半に着手するが、金融政策正常化のプロセスはごく緩やかと想定。
(日本経済)
・日本経済再生の鍵は、高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしと女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上を同時に進めることである。2024年度までの10年間の日本の実質GDP成長率は平均1.3%と予想するが、消費税率引き上げ、オリンピック開催前後で振幅の大きな展開が続くだろう。
・基礎的財政収支の赤字は縮小傾向が続くが、2024 年度でも▲2.0%の赤字となり、2020 年度までに基礎的財政収支を黒字化するという政府目標は達成されない可能性が高い。
(新興国経済)
・世界経済に占める新興国の割合は今回の予測期間末である 2024 年には 50%近くまで高まるだろう。国別には現在世界第 2 位の経済規模となっている中国が米国を抜いて世界一の経済大国となるほか、現時点では経済規模が日本の 3 分の 1 程度にすぎないインドはすでに人口が日本の約 10 倍となっていることに加え、先行きの人口増加率も日本を大きく上回ることから、予測期間末には日本のGDPを上回ることが予想される。
・中国は、生産年齢人口は 2015 年前後をピークに減少に転じ、成長率にはマイナスのインパクトをもたらすだろう。今後 10 年の中国経済を考えると、生産年齢人口の伸び鈍化や従来の成長モデルが壁にぶつかることで成長率は 6%台前半へと徐々に鈍化していくだろう。
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