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2015年7月12日日曜日

日本の投信市場は世界で中国に次ぐ後進国 「情報公開」「手数料・費用」に課題(モーニングスターより)

米モーニングスターはこのほど、世界25カ国の投信市場を評価した「グローバル・ファンド・インベスター・エクスペリエンス(GFIE)」(PDF、2.3MB)レポートを発表し、日本の評価を前回(2013年)の「C」から「C-」に一段階引き下げたことが伝えられています。

モーニングスター(2015/7/9)「日本は“投信後進国”!?グローバル調査下位の理由」より
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2015/3q/MFA120150709.html

2年に1回発表される同レポートは「規制・税金」、「情報公開」、「手数料・費用」、「販売・メディア」という4つの項目で各国の投信市場を評価し、これらを合算してA(最高評価)からFまで12段階でランク付けしています。

(日本の評価)
日本は「規制・税金」 「B」
情報公開 「C」
手数料・費用 「D+」
販売・メディア 「B-」

日本より評価の低いのは資本市場を規制する中国のみになります。
















日本は、「情報公開」と「手数料・費用」の低評価です。
○「情報公開」の問題点
・目論見書の内容・・重要な情報のみを記載した簡易目論見書(日本では交付目論見書)は、読みやすさを重視して簡潔にまとめることが望ましく、多くの国は5ページ以内でまとめているが、日本でも交付目論見書の簡素化が図られてきたものの、国際的に見ると、10ページを超えるファンドが目立つ日本の現状は改善の余地がある
・交付目論見書の記載事項・・大部分のファンドで投資リスクの記載が一般的な内容にとどまっており、各ファンドの投資方針に特有のリスクについて言及がない点が課題。日本ではファンドマネジャーの名前や運用経験年数、報酬体系、ファンドへの自己資金の投資額の記載などの情報が記載されることはほとんどなく、低評価
・ポートフォリオの組み入れ銘柄の開示・・月次で全銘柄を開示するのが理想とされ、実際、今回の調査対象国25カ国のうちインドと韓国は月次での開示を行っている。一方、日本では年1回または2回作成される運用報告書で全銘柄が開示されるが、月報では組入上位のみにとどまっており、十分ではないとの評価

○「手数料・費用」
・ファンドを保有し続ける限り継続的に基準価額から差し引かれるエクスペンスレシオ(日本の信託報酬にほぼ相当)について、資産クラスごとの純資産額加重での平均値比較が行われたが、日本は国内籍の債券型ファンドが1.51 %と、カナダと台湾と並び最も高い水準となっている
・日本では大半のファンドで販売手数料を支払う必要があり、販売手数料無料(ノーロード)のファンドはまだ少ないと指摘
・販売員が投資家にとって最適なファンドがあると考える場合でも、特定のファンドに過大な手数料が設定されているため、手数料を優先した営業が行われやすいことは問題視

モーニングスターの記事では、「一部では預かり資産を伸ばすことを重視し、ポートフォリオのコアとなるファンドを販売手数料なしで対面販売する動きがあるなど変化の兆しは見られるが、全体では依然として純資産額上位に販売手数料が比較的高いハイリスクのファンドが目立つのが現状。投資家の長期の資産形成を後押しする動きが本格化すれば、より高い評価につながるだろう」と締めくくられています。


*以前より指摘されている課題ですが、なかなか改善されていないことが窺えます。

参照)
・金融庁「我が国金融業の中長期的な在り方」WG 2011年12月16日
モーニングスター株式会社 代表取締役COO 朝倉智也「投資信託に関する現状の課題と対応」
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/siryou/20111216/01.pdf
・金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/gijiroku/20111216.html

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