【日経新聞5月21日朝刊P.17】社債、崩れる「ゼロ金利の壁」 より
ポイント
①国債以外の債券(例えば社債など)は、日地銀が金融機関支援などのために買い入れを行う場合を除き、これまでゼロ金利以下での取引はほとんど行われることはありませんでした。しかし、現在財投機関債などでもマイナス利回りでの取引が発生し始め、こうした市場の常識が壊れ始めています。
②一見不可思議に見えるマイナス金利の取引における主な買い手は【マイナス利回りでもデリバティブを通してプラス利回りに変えられる海外投資家】と【現金を減らさざる得ない国内投信】の2つです。
③まず海外投資家は、日本の円債を購入する場合に手元のドルを円に変える必要がありますが、現在市場は慢性的なドル不足に悩まされており、ドルと円の両替時に1.5%程度のプレミアムを入手可能。若干のマイナス金利であれば、円債の購入はメリットがあるのです。
④また国内投信は現在信託銀行に預けている解約などに備えた資金の手数料に頭を悩ませています。これらの預け金には4月中旬から手数料がかかるようになったためです。購入した社債の利回りのマイナス幅が先ほどの手数料よりも小さいのであれば、まだ社債を購入した方が良いわけです。現在、このような運用ではなく手元現金を減らすための取引が活発化しています。
⑤このようにマイナス金利の取引も発生し始めている状況は、国内生保などの運用難に悩む大手国内投資家に対し、さらなるダメージを与えてしまうかもしれません。
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