【日経新聞】ヘリコプターマネーとは何か(1)
【日経新聞】ヘリコプターマネーとは何か(2)
より
近頃、ヨーロッパやアメリカのエコノミストを中心に、ヘリコプターマネー論が盛んになってきました。これはヘリコプターで空からお金をばら撒くがごとく、国民にマネーを支給するという政策です。一見荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、一昔前はマイナス金利も実現生の高い政策とは思われていませんでした。なぜ今著名なエコノミストの間でこの政策に注目が集まっているのでしょうか。
・もともとヘリコプターマネーの政策を提言し、この名称をつけた人物はシカゴ学派の大家M・フリードマン。1969年の論文「貨幣の最適量」にて、この政策について触れています。そしてヘリコプターでマネーがばらまかれるがごとく、国民にマネーが支給された場合、物価は確実に上がるだろうと言っているのです。
・一般的な金融政策では、中央銀行は金融機関から国債を買い取りその結果マネーが市場に供給されます。しかし、そのマネーは金融機関が貸し出しや投資を行わなければ本当の意味で市場には出回りません。経済に影響を与えないのです。一方、一般国民に対して直接マネーを支給した場合、幾らかは退蔵される部分があるとしても、その一部は消費に使われる可能性が高いと言えます。
・そして、その結果物価の上昇圧力が生まれます。またそのために、この政策がデフレだ客のための特効薬になると主張する方も多いのです。
・この政策の核心は中央銀行の貨幣発行益にあるといわれており、事実上0に近いコストで貨幣の発行をできる中央銀行がそのヘリコプターマネーの原資を提供することになります。政府が増税や予算の調整、あるいは国債発行などでその原資を用意した場合は他の需要を減らすことになりますが、中央銀行の貨幣発行にはその心配が要らず、確実に物価を押し上げる効果が期待できます。
・この政策は2000年に当時の米国連邦準備理事会(FRB)理事であったベン・バーナンキやジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が日本向けの提案として発言し、話題を呼びました。その後は一旦下火になりましたが、近年はこれまでのようなデフレ脱却の文脈を超えて、ロボットやAIが進歩し個人が「労働できなくなった」未来のベーシックインカムと紐づけられて議論が進んでいるのです。
金融に関するニュースやブログ記事について紹介するブログです。
金融・経済の動向や、ライフプランとパーソナルファイナンス(資産運用、財産管理、タックスプランニング)、法人・個人の財務の話などをテーマとします。
2016年7月10日日曜日
2016年6月14日火曜日
量的緩和により世界で長期金利低下 マイナス金利政策の影響
【日経新聞6月11日朝刊】世界で長期金利低下、日独は最低 企業の成長期待しぼむ
緩和頼み、回らぬ歯車 構造改革が急務
マイナス金利国債10兆ドル 全体の半分、日本は8割
では、量的緩和により世界で長期金利低下の状況について解説がされています。
2016年5月末の段階で、 全世界のでのマイナス金利の国債の量は10兆4千億ドル( 約1100兆円)に達しました。 世界の国債残高の総量は20兆ドル程度のため、 実に半分もの国債ががマイナス金利という状況です。そして、 債券王と呼ばれるビル・グロス氏がこの状況に対して「 いつか爆発する超新星だ」どコメントするように、 この状況の継続が経済に悪影響をもたらす可能性が指摘されていま す。
⑤ 異例の金融政策や英国のEU離脱などの特殊事情によって金利が下 がっているが、 その間に低金利を活用した投資の活性化が起きなければ、 低金利による資金の増加は不動産投資などに回り、 世界的に都市部の不動産価格を教えあげてしまうなどのバブル形成 (とその後の崩壊)につながりかねない。
緩和頼み、回らぬ歯車 構造改革が急務
マイナス金利国債10兆ドル 全体の半分、日本は8割
では、量的緩和により世界で長期金利低下の状況について解説がされています。
2016年5月末の段階で、
以下、5つのポイントを見ていきましょう。
①現在世界の中央銀行は、 物価の安定や経済政策としての金融緩和を目的に、 大幅に国債を買い増している。 しかしあくまでもこれは一時的な処置であって、 中央銀行がこの政策をいつまで続けられるかは不明。また現状は、 英国のEU離脱への懸念からリスクの低い国債の購入が盛んという 特殊事情もある。
②上記のような中央銀行、金融機関、 各種投資かなどの国債購入の増加により、「経済の体温計」 とも呼ばれる長期金利が世界的にで低下している。 日本でも10年物国債利回りが年マイナス0.155% と過去最低を更新。 世界全体でも国債残高の半分近くがマイナス金利という状況。
③本来ここまで金利が下落すれば企業の投資意欲が刺激され、 企業による資金調達と設備投資の増加が期待されるが、 現状はそのようになっていない。 そのため企業の成長期待が下がり、 ますます成長に向けた投資が減少するという悪循環にもなっている
④人為的な政策がない場合金利は経済成長への期待度で決まるとされ ており、経済成長への期待が高ければ、 多少金利が高くとも企業は資金を調達し、 工場や店舗の建設などの設備投資を行うもの。 しかし現状はマイナス金利にもかかわらず、 企業の設備投資は伸びていない。
例えば、先進国の企業の内部保留は過去最高水準だが、 設備投資はリーマン危機前を下回っており。 米アップルのような成長企業ですら、 収益を再投資ではなく配当として株主還元に回している状況。
こうした状況を改善し、企業の成長余力を高めるためにも、 欧州中央銀行(ECB) のドラギ総裁は経済成長のための規制緩和の実現を各国に呼びかけ ている。
2016年2月25日木曜日
黒田東彦日本銀行総裁に聞く マイナス金利導入の背景 と反対意見
朝日新聞「黒田日銀総裁、マイナス金利の真意 一問一答」(2016/2/24)にて、黒田東彦日本銀行総裁へのマイナス金利導入の背景をインタビューした記事が掲載されています。
主な内容は下記の通り。
*全般的に「教科書的」な回答が窺えます。
・2016年1月の相場変動を受け(原油価格下落、中国・新興国・資源国の不透明感、世界的に株・為替変動)
(人々が将来も物価が下がり続けると思う)デフレマインドの転換が遅れるリスクが高まっていたので、従来の大規模な金融緩和に加えて導入した。
マーケットがリスクを過度に回避する傾向が続いている気がしますが、日本の経済や物価に与える影響はしっかり見ていく。
・政策効果の狙い
イールドカーブの起点を下げるとともに、従来の大量の国債の買い入れを続けることで、短期から長期まで金利の水準全体を引き下げることが狙い。狙い通り、企業向け貸し出しの基準となる金利や住宅ローンの金利が下がっている。これから設備投資や住宅投資などが増え、経済にプラスの影響が出てくると考えている。
・預金金利への影響は
預金金利はもともと非常に低い水準まで下がっており、預金者の不満は、それが若干、引き下げられたということ。これに比べると、住宅ローンなどの貸出金利の低下の方が下げ幅も経済全体への影響もずっと大きく、企業や家計にとってはプラスになると思う。
・人々は不安になってお金をせっせとため込み、投資や消費に慎重にならないか
そういう懸念は持っていない。マイナス金利政策は我が国では初めてで、いろいろな意見が出ていることは承知している。だが、貸出金利を引き下げ、投資や消費にプラスの影響を与えることを狙っている点では、これまでの大規模な金融緩和と基本的に違いはない。企業向け貸し出しは伸びており、今後も同様に前向きな効果が出るとみている。
預金金利と残高の関係についてはいろいろな研究があるが、基本的には金利が下がれば預金が減るのがふつうで、預金が増えるということはあまり考えられない。
・追加緩和(マイナス金利の引き下げ)
さらなる引き下げには、十分な余地がある。ただ、マイナス金利にすること自体が目的ではない。経済や物価の動向を無視してマイナス幅を拡大することはない。
個人の預金金利がマイナスになることはないと思う。欧州でも四つの中央銀行が、日銀より大きなマイナス金利にしているが、個人の預金金利はマイナスになっていない。
また、日銀の黒田東彦総裁は2月25日午後の衆院財務金融委員会では、「預金金利の低下幅は小さいが、貸し出しの基準となる金利や住宅ローン金利ははっきりと低下している」「今後設備投資や住宅投資に好影響が及び、国民生活にとって必ずプラスになると確信している」と発言しています。一般消費者への影響として、上記と同様に、「預金金利がマイナスになることはない」と述べています。
一方、日経記事(2016/2/25)では、マイナス金利導入の投票に反対票を入れた木内登英審議委員は、マイナス金利は「資産買い入れと整合性がない」と批判しています。国債売却後の資金運用利回り低下により金融機関が日銀に国債を売却しづらくなるため。
マイナス金利と資産買い入れを両立する欧州は、買い入れ規模など日本とは環境が異なるため「必ずしも参考にならない」という。金融機関が「預金者や与信先にコストを転嫁する可能性がある」として、逆に金融引き締め効果をもたらすとの懸念も示している。
基本的スタンスとして、2%の物価上昇は「現行の日本経済の実力を上回る」として、無理に物価を押し上げれば悪影響が及ぶとの懸念すら示しており、「経済の実力に見合ったペースで回復を続けられる政策運営が重要」で、副作用をもたらしかねない大規模な金融緩和はむしろ縮小させるべきだとする立場とされています。
(関連記事)
・日銀のマイナス金利導入の背景と反対意見(2016/2/10)
・マネーの知恵(仮)(2016/1/23) 下げ相場の時にこそ考えたい「投資の出口」
主な内容は下記の通り。
*全般的に「教科書的」な回答が窺えます。
・2016年1月の相場変動を受け(原油価格下落、中国・新興国・資源国の不透明感、世界的に株・為替変動)
(人々が将来も物価が下がり続けると思う)デフレマインドの転換が遅れるリスクが高まっていたので、従来の大規模な金融緩和に加えて導入した。
マーケットがリスクを過度に回避する傾向が続いている気がしますが、日本の経済や物価に与える影響はしっかり見ていく。
・政策効果の狙い
イールドカーブの起点を下げるとともに、従来の大量の国債の買い入れを続けることで、短期から長期まで金利の水準全体を引き下げることが狙い。狙い通り、企業向け貸し出しの基準となる金利や住宅ローンの金利が下がっている。これから設備投資や住宅投資などが増え、経済にプラスの影響が出てくると考えている。
・預金金利への影響は
預金金利はもともと非常に低い水準まで下がっており、預金者の不満は、それが若干、引き下げられたということ。これに比べると、住宅ローンなどの貸出金利の低下の方が下げ幅も経済全体への影響もずっと大きく、企業や家計にとってはプラスになると思う。
・人々は不安になってお金をせっせとため込み、投資や消費に慎重にならないか
そういう懸念は持っていない。マイナス金利政策は我が国では初めてで、いろいろな意見が出ていることは承知している。だが、貸出金利を引き下げ、投資や消費にプラスの影響を与えることを狙っている点では、これまでの大規模な金融緩和と基本的に違いはない。企業向け貸し出しは伸びており、今後も同様に前向きな効果が出るとみている。
預金金利と残高の関係についてはいろいろな研究があるが、基本的には金利が下がれば預金が減るのがふつうで、預金が増えるということはあまり考えられない。
・追加緩和(マイナス金利の引き下げ)
さらなる引き下げには、十分な余地がある。ただ、マイナス金利にすること自体が目的ではない。経済や物価の動向を無視してマイナス幅を拡大することはない。
個人の預金金利がマイナスになることはないと思う。欧州でも四つの中央銀行が、日銀より大きなマイナス金利にしているが、個人の預金金利はマイナスになっていない。
また、日銀の黒田東彦総裁は2月25日午後の衆院財務金融委員会では、「預金金利の低下幅は小さいが、貸し出しの基準となる金利や住宅ローン金利ははっきりと低下している」「今後設備投資や住宅投資に好影響が及び、国民生活にとって必ずプラスになると確信している」と発言しています。一般消費者への影響として、上記と同様に、「預金金利がマイナスになることはない」と述べています。
一方、日経記事(2016/2/25)では、マイナス金利導入の投票に反対票を入れた木内登英審議委員は、マイナス金利は「資産買い入れと整合性がない」と批判しています。国債売却後の資金運用利回り低下により金融機関が日銀に国債を売却しづらくなるため。
マイナス金利と資産買い入れを両立する欧州は、買い入れ規模など日本とは環境が異なるため「必ずしも参考にならない」という。金融機関が「預金者や与信先にコストを転嫁する可能性がある」として、逆に金融引き締め効果をもたらすとの懸念も示している。
基本的スタンスとして、2%の物価上昇は「現行の日本経済の実力を上回る」として、無理に物価を押し上げれば悪影響が及ぶとの懸念すら示しており、「経済の実力に見合ったペースで回復を続けられる政策運営が重要」で、副作用をもたらしかねない大規模な金融緩和はむしろ縮小させるべきだとする立場とされています。
(関連記事)
・日銀のマイナス金利導入の背景と反対意見(2016/2/10)
・マネーの知恵(仮)(2016/1/23) 下げ相場の時にこそ考えたい「投資の出口」
2012年10月31日水曜日
政府と日本銀行が共同声明「デフレ脱却に向けた取組について」
量的緩和を発表した日銀より2012/10/30付で政府と日本銀行が共同で「デフレ脱却に向けた取組について」という声明を発表しました。
日銀の白川総裁、経済財政政策担当の前川氏、財務大臣の城島氏の名前で表明されています。
文書PDF:http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030b.pdf
政府及び日本銀行は、我が国経済のデフレ脱却に向けて下記の取り組みをするとしています。
以下、引用:
1. 政府及び日本銀行は、我が国経済にとって、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であるとの認識を共有しており、一体となってこの課題の達成に最大限の努力を行う。
2. 日本銀行としては、上記1.の課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものであると認識しており、政府が成長力強化の取組を強力に推進することを強く期待する。
日本銀行としては、「中長期的な物価安定の目途」を消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。その際、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。
日本銀行は、『経済・物価情勢の展望』(平成24年10月30日)において消費者物価の見通しを公表した。日本銀行としては、引き続き「1%」を目指して、強力に金融緩和を推進していく。今後の物価動向については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において定期的に報告する。
また、日本銀行は、金融政策運営の考え方を市場にわかりやすく説明していく努力を続ける。
3. 政府は、日本銀行に対して、上記2.の方針にしたがってデフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続することを強く期待する。
政府は、デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠であると認識している。このため、政府としては、足下の景気下押しリスクに対応し経済活性化に向けた取組を加速すべく、平成24年10月17日の内閣総理大臣指示に基づき、経済対策を速やかに取りまとめる。また、政府は、「日本再生戦略」(平成24年7月31日閣議決定)に基づき、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」をダイナミックに動かすため、規制・制度改革、予算・財政投融資、税制など最適な政策手段を動員する。
デフレ状況を含めた経済状況及び経済運営については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において、定期的に点検を行う。
(引用終わり)
ロイター記事では、本共同文書について、「政府と日銀の事実上のアコード(政策協定)だとして、政府が日銀に一段の追加緩和を迫るとの見方もあるが、逆にデフレ構造を変える自覚を政府に迫るもの、日銀法改正などの圧力をかわすために日銀が政府に手厚い配慮を示したもの、といった解釈」があることを伝えています。
また、「金融機関の貸し出しが伸びないのは資金不足のせいではなく、企業の資金需要が低迷していることが主因であることは、日銀も承知している。こうした新制度をあえて導入した点に、日銀の苦しい立場が透けて見えるというのが、エコノミストのもっぱらの評価」との見方を示しています。
・ロイター(2012/10/30)「焦点:日銀追加緩和の効果に厳しい評価、共同文書が思惑呼ぶ」
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPTYE89T08U20121030
日本の金融業の動向を知る 「金融庁の1年(平成23事務年度版)」
金融庁は、「「金融庁の1年(平成23事務年度版)」について」(2012/10/30)を公表しています。
概要: http://www.fsa.go.jp/common/paper/23/index.html
全体版: http://www.fsa.go.jp/common/paper/23/zentai/index.html
金融庁の使命は、日本の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに、公正・透明な市場の構築を任務として、透明かつ公正な行政を実施することにあります。
金融機関の検査を行い、また、金融規制のあり方を決定・推進する強力な機関です。
平成23事務年度(23年7月~24年6月)においては、東日本大震災後の我が国経済・社会の現状を踏まえ、
(1)本格的な復興に向け、前事務年度に引き続き、金融機能の維持等に万全を期すとともに、被災地における二重債務問題への対応も実施
(2)我が国経済に活力を取り戻すための成長マネーの供給拡大策、中小企業金融円滑化法の最終延長やこれを踏まえた中小企業の経営支援のための取組みについて検討を推進。これらの施策は、「日本再生戦略」(24年7月31日閣議決定)に盛り込まれている
(3)国際的にも、世界的な金融危機の再発防止に向けた金融規制改革の議論に積極的に参加
が成果として報告されています。
「金融庁の1年(平成23事務年度版)」の本編は下記の構成になっています。
第1部金融庁の組織及び行政運営
第2部金融に関する制度の企画及び立案
第3部金融監督等
第4部金融検査
第5部国際関係の動き
*かなり幅広い内容になっていますが、金融庁の動向を通じて、日本の金融業の政策動向の全体的な動きが概観出来ます。
概要: http://www.fsa.go.jp/common/paper/23/index.html
全体版: http://www.fsa.go.jp/common/paper/23/zentai/index.html
金融庁の使命は、日本の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに、公正・透明な市場の構築を任務として、透明かつ公正な行政を実施することにあります。
金融機関の検査を行い、また、金融規制のあり方を決定・推進する強力な機関です。
平成23事務年度(23年7月~24年6月)においては、東日本大震災後の我が国経済・社会の現状を踏まえ、
(1)本格的な復興に向け、前事務年度に引き続き、金融機能の維持等に万全を期すとともに、被災地における二重債務問題への対応も実施
(2)我が国経済に活力を取り戻すための成長マネーの供給拡大策、中小企業金融円滑化法の最終延長やこれを踏まえた中小企業の経営支援のための取組みについて検討を推進。これらの施策は、「日本再生戦略」(24年7月31日閣議決定)に盛り込まれている
(3)国際的にも、世界的な金融危機の再発防止に向けた金融規制改革の議論に積極的に参加
が成果として報告されています。
「金融庁の1年(平成23事務年度版)」の本編は下記の構成になっています。
第1部金融庁の組織及び行政運営
第2部金融に関する制度の企画及び立案
第3部金融監督等
第4部金融検査
第5部国際関係の動き
*かなり幅広い内容になっていますが、金融庁の動向を通じて、日本の金融業の政策動向の全体的な動きが概観出来ます。
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2012年9月20日木曜日
中央銀行の政策は新時代に突入 米国と欧州に見劣りする日銀の政策(武者リサーチより)
武者リサーチによる2012/9/20付のレポート「「ブラックスワン」対中央銀行、見劣りする日銀」では、ベン・バーナンキFRB議長とマリオ・ドラギECB総裁は「「ブラックスワン=貨幣偏愛」を殺すために立ち上がった」として「リスクテイクの潮流」へ(中央銀行が無尽蔵の貨幣発行をすれば「ブラックスワン・シナリオ」は回避できる)、一方、白川日銀総裁は「及び腰、敵も鮮明でなく日本の独り負け形勢(円高デフレ)からの転換はぼやけたまま」と指摘しています。
米国と欧州は、「「ブラックスワン・シナリオ」(=恐怖の増幅によるシステム崩壊の可能性)を排除し、市場心理を根本転換させる」ことに対処していると概ね評価をしているようです。
中央銀行の政策は新時代に突入したと解説し、下記の3点が指摘されています。
1.セーフティーネット、金融危機に際しては最後の貸し手(lender of last resort)ではなく、最後の買い手(buyer of last resort)として振る舞う。
2.流動性供給手段としては従来の銀行貸し出しを経由したそれではなく、市場価格の引き上げ=リスクプレミアムの引き下げを通した購買力の創造として遂行する。
3.金融政策波及メカニズムの変化、資産価格上昇による資産効果、心理効果を重視する、というものである。それはバランスシートの拡大を通して行うため、ゼロ金利の下でも無尽蔵の弾丸を準備できる。
一方で、日銀の緩和策は「臆病」で、「円高デフレの害悪に対する認識、日本のデフレは統計上、過少評価されているとの認識(渡辺務東大教授「物価統計の精度向上を急げ」9月13日経新聞経済教室)、過度のリスク回避により日本の金融市場が完全に機能不全に陥っている(空前絶後のリスクプレミアム)という認識が、著しく希薄と言わざるを得ない」と評価し、「円高デフレの脱却は緩慢で、資産価格上昇も米国やドイツに劣後することとなりそう」との見通しが示されています。
2012年9月14日金曜日
量的緩和第3弾・QE3 米FOMC声明と市場の見方
ロイターでは2012/9/14付の記事「米FOMC声明全文」では、量的緩和第3弾・QE3の実施を発表したFOMCの声明を、「米FOMCが量的緩和第3弾を決定:識者はこうみる」では、QE3に対する市場関係者の見方について伝えています。
FOMCはの目標は雇用最大化と物価安定の促進です。
FOMCは、景気回復が強まった後もかなりの間(considerable time after the economic recovery strengthens)、非常に緩和的なスタンス(highly accommodative stance)が引き続き適切になると予想しているということです。
日経(2012/9/14)の記事「米FOMC、QE3決定 住宅ローン担保証券購入」では、住宅ローン担保証券(MBS)を追加購入する量的緩和第3弾(QE3)の導入を決め、購入規模は月400億ドルで期限や総枠を設けない。事実上のゼロ金利政策の期間延長も決定。「FOMC決定を受け米株式相場は急騰したが、雇用改善にどこまで効果があるかは不透明な情勢」と伝えています。
日経「FRB議長、QE3導入「万能でないが経済の支えに」 」では、バーナンキ議長の、QEでは「万能薬ではないが、米経済をある程度支えることが出来る」、「欧州情勢を含む国際的な要因など多くの逆風が吹いている」「経済が弱ければもっと(量的緩和を)やる」といった発言を伝えています。
市場の見方としては、米株高、商品高、ドル安が概ねの見方で、日本株への効果は限定的と見る方も多いようです。
2012年9月12日水曜日
武藤敏郎・大和総研理事長 日本経済の見通しや金融政策について(ロイターより)
ロイターの2012/9/12付の記事「インタビュー:日銀の外債購入問題多い=武藤・大和総研理事長」では、財務事務次官・日銀副総裁を務めた武藤敏郎・大和総研理事長へのインタビューを通して、武藤氏の日本経済の見通しや金融政策について伝えています。
記事URL:http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE88A05F20120912
世界経済は「4%台の成長から3%台の成長に当面減速」していくとみているとのこと。
日本経済は「2%達成が可能とみていた12年度成長率を1.8%に、13年度成長率を1.2%に若干下方修正」したとのことで、経済の減速感を示唆していています。
物価の動向について、「2012年度の消費者物価指数(コアCPI)でゼロ近傍、13年度もゼロに近いプラス」との見通しで、14年度に1%の目標を達成できるとの日銀の見通しについては、楽観的にすぎるのではと疑問を呈しています。また、「日銀は10月末の『展望リポート』で経済・物価見通しを下方修正する可能性がある」としています。
日本経済の直面するリスクは4点で、
1 欧州情勢のさらなる悪化
2 地政学リスクによる原油価格急騰
3 足元では安定しているものの、円高
4 電力供給問題
としています。
日銀の政策対応について、「短期の国債を売り長期を買うツイストオペや、時間軸政策の強化などいろいろ考えうる」し、「量的緩和に限界があるなら、信用緩和の手段としてリスク性資産の買い入れも選択肢」と提言。
ただ、「金融政策に限界があるとは思っていないが、それだけで日本経済を力強く変化させられるとも思っていない」と、「規制緩和などの構造改革」も重要ということです。
金融緩和の是非について、「非伝統的金融政策は、効果も明らかでないかもしれないが、副作用も明らかではない」との前置きの上、「直近インフレが急激に起こるリスクは小さいため、政策当局者としては効果と副作用を比較し、効果の方に期待して行動する必要」があるとしています。
「信用創造のメカニズムが働かなければ日銀がマネーストックを勝手に増やすことはできない」と、量的緩和のみでうまくいくということはないという見方が示されています。
為替について、「日銀による外債購入は問題が多い」と指摘。
為替に働きかけるのであれば為替介入が本来の手段だが、介入は急激な為替変動を緩和する以外の目的で、為替の水準が適切でないから介入することは出来ないと説明をしています。「金融政策の目的は物価の安定とそれによる経済の持続的発展であり、その結果として為替水準が決まる」ということです。
記事URL:http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE88A05F20120912
世界経済は「4%台の成長から3%台の成長に当面減速」していくとみているとのこと。
日本経済は「2%達成が可能とみていた12年度成長率を1.8%に、13年度成長率を1.2%に若干下方修正」したとのことで、経済の減速感を示唆していています。
物価の動向について、「2012年度の消費者物価指数(コアCPI)でゼロ近傍、13年度もゼロに近いプラス」との見通しで、14年度に1%の目標を達成できるとの日銀の見通しについては、楽観的にすぎるのではと疑問を呈しています。また、「日銀は10月末の『展望リポート』で経済・物価見通しを下方修正する可能性がある」としています。
日本経済の直面するリスクは4点で、
1 欧州情勢のさらなる悪化
2 地政学リスクによる原油価格急騰
3 足元では安定しているものの、円高
4 電力供給問題
としています。
日銀の政策対応について、「短期の国債を売り長期を買うツイストオペや、時間軸政策の強化などいろいろ考えうる」し、「量的緩和に限界があるなら、信用緩和の手段としてリスク性資産の買い入れも選択肢」と提言。
ただ、「金融政策に限界があるとは思っていないが、それだけで日本経済を力強く変化させられるとも思っていない」と、「規制緩和などの構造改革」も重要ということです。
金融緩和の是非について、「非伝統的金融政策は、効果も明らかでないかもしれないが、副作用も明らかではない」との前置きの上、「直近インフレが急激に起こるリスクは小さいため、政策当局者としては効果と副作用を比較し、効果の方に期待して行動する必要」があるとしています。
「信用創造のメカニズムが働かなければ日銀がマネーストックを勝手に増やすことはできない」と、量的緩和のみでうまくいくということはないという見方が示されています。
為替について、「日銀による外債購入は問題が多い」と指摘。
為替に働きかけるのであれば為替介入が本来の手段だが、介入は急激な為替変動を緩和する以外の目的で、為替の水準が適切でないから介入することは出来ないと説明をしています。「金融政策の目的は物価の安定とそれによる経済の持続的発展であり、その結果として為替水準が決まる」ということです。
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