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2016年2月25日木曜日

黒田東彦日本銀行総裁に聞く マイナス金利導入の背景 と反対意見

朝日新聞「黒田日銀総裁、マイナス金利の真意 一問一答」(2016/2/24)にて、黒田東彦日本銀行総裁へのマイナス金利導入の背景をインタビューした記事が掲載されています。

主な内容は下記の通り。
*全般的に「教科書的」な回答が窺えます。

・2016年1月の相場変動を受け(原油価格下落、中国・新興国・資源国の不透明感、世界的に株・為替変動)
(人々が将来も物価が下がり続けると思う)デフレマインドの転換が遅れるリスクが高まっていたので、従来の大規模な金融緩和に加えて導入した。
マーケットがリスクを過度に回避する傾向が続いている気がしますが、日本の経済や物価に与える影響はしっかり見ていく。

・政策効果の狙い
イールドカーブの起点を下げるとともに、従来の大量の国債の買い入れを続けることで、短期から長期まで金利の水準全体を引き下げることが狙い。狙い通り、企業向け貸し出しの基準となる金利や住宅ローンの金利が下がっている。これから設備投資や住宅投資などが増え、経済にプラスの影響が出てくると考えている。

・預金金利への影響は
預金金利はもともと非常に低い水準まで下がっており、預金者の不満は、それが若干、引き下げられたということ。これに比べると、住宅ローンなどの貸出金利の低下の方が下げ幅も経済全体への影響もずっと大きく、企業や家計にとってはプラスになると思う。

・人々は不安になってお金をせっせとため込み、投資や消費に慎重にならないか
そういう懸念は持っていない。マイナス金利政策は我が国では初めてで、いろいろな意見が出ていることは承知している。だが、貸出金利を引き下げ、投資や消費にプラスの影響を与えることを狙っている点では、これまでの大規模な金融緩和と基本的に違いはない。企業向け貸し出しは伸びており、今後も同様に前向きな効果が出るとみている。
預金金利と残高の関係についてはいろいろな研究があるが、基本的には金利が下がれば預金が減るのがふつうで、預金が増えるということはあまり考えられない。

・追加緩和(マイナス金利の引き下げ)
さらなる引き下げには、十分な余地がある。ただ、マイナス金利にすること自体が目的ではない。経済や物価の動向を無視してマイナス幅を拡大することはない。
個人の預金金利がマイナスになることはないと思う。欧州でも四つの中央銀行が、日銀より大きなマイナス金利にしているが、個人の預金金利はマイナスになっていない。

また、日銀の黒田東彦総裁は2月25日午後の衆院財務金融委員会では、「預金金利の低下幅は小さいが、貸し出しの基準となる金利や住宅ローン金利ははっきりと低下している」「今後設備投資や住宅投資に好影響が及び、国民生活にとって必ずプラスになると確信している」と発言しています。一般消費者への影響として、上記と同様に、「預金金利がマイナスになることはない」と述べています。

一方、日経記事(2016/2/25)では、マイナス金利導入の投票に反対票を入れた木内登英審議委員は、マイナス金利は「資産買い入れと整合性がない」と批判しています。国債売却後の資金運用利回り低下により金融機関が日銀に国債を売却しづらくなるため。
マイナス金利と資産買い入れを両立する欧州は、買い入れ規模など日本とは環境が異なるため「必ずしも参考にならない」という。金融機関が「預金者や与信先にコストを転嫁する可能性がある」として、逆に金融引き締め効果をもたらすとの懸念も示している。
基本的スタンスとして、2%の物価上昇は「現行の日本経済の実力を上回る」として、無理に物価を押し上げれば悪影響が及ぶとの懸念すら示しており、「経済の実力に見合ったペースで回復を続けられる政策運営が重要」で、副作用をもたらしかねない大規模な金融緩和はむしろ縮小させるべきだとする立場とされています。

(関連記事)
・日銀のマイナス金利導入の背景と反対意見(2016/2/10)
・マネーの知恵(仮)(2016/1/23) 下げ相場の時にこそ考えたい「投資の出口」

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2013年3月4日月曜日

黒田日銀新総裁の所信表明要旨と為替・国債の反応


日銀総裁候補の黒田東彦アジア開発銀行総裁が衆院議院運営委員会で所信表明演説を行いました。

・デフレからの早期脱却は日本経済が抱えている最大の課題。日本がデフレを脱却して持続的な経済成長に復するということはアジアにとっても世界経済にとっても重要であり期待されている
・物価安定は中央銀行の責務であり、デフレ脱却における日銀の役割は極めて重要」とも語った。これまで過去10年以上の日銀の取り組みに言及しながらも「残念ながらデフレ脱却には至っていない
・政府と日銀が共同声明で決めた2%の物価安定目標について「世界的なスタンダードで、日銀が金融政策決定委員会で決定したのは極めて正しい」との認識
・大胆な金融緩和による早期の物価目標実現が日銀の使命と確信している
・(上昇率を)2%にまで高めるのに大変な困難を伴うのは事実だが、あらゆる手法を講じて、できるだけ早期に達成する必要がある。それは可能だと確信しており、全力を挙げてそういう方向に向けて努力する
・2%目標の導入は日銀が政策委員会で決定しており、「法律で担保されている日銀の独立性と矛盾しない」と説明
・物価上昇に伴い「平仄のあった雇用と賃金の早期改善が必要」としつつ、「経過的に賃金と雇用が改善しないことあり得る」と指摘。日銀の支店網などを活用して状況の調査が必要とし、雇用と賃金の早期改善が政府・日銀の課題と強調
~日経(2013/3/4)「黒田氏「2%物価目標は達成可能」 国会で所信」「黒田氏「デフレ脱却、世界に重要」 国会で所信 」より

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストによる評価:
「日銀がデフレ克服に対して責任を持っているということを強く打ち出しているし、さすが国際派の黒田氏で、できることは何でもやるというフレーズを織り交ぜてきた」
「黒田氏はもともとコミュニケーション戦略を重視されているので、新しい日銀の強いコミットメントを前面に出した内容になったと思う」

為替は、「強力な金融緩和への期待から円は対ドルで一時93円73銭と2010年5月以来の安値(94円77銭)を記録した2月25日以来の安値まで下落。しかし、円売りは続かず、午前11時25分現在は93円42銭前後」に推移しました。ユーロ・円相場も一時、1ユーロ=121円99銭まで円売りが進行したが、その後は121円半ばまで円が値を戻しています。
~Bloomberg(2013/3/4)「ドルは93円半ば、日銀総裁候補の所信聴取受け上下に振れる」

債券は、続伸し、日銀による緩和強化の観測を背景に買いが優勢となり、新発5年債利回りは過去最低水準を付けているようです。現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の327回債利回りは前週末比横ばいの0.645%で開始し、その後は0.5ベーシスポイント(bp)低い0.64%と、1日に付けた2003年6月以来の低水準に並んでいるということです。
ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジスト:
日銀の緩和強化の観測から債券は売りづらい地合いだと指摘。「追加緩和の具体策が明らかになるまで短中期ゾーン中心に金利は低水準で推移し、10年債ゾーンまでの資金流入もしばらく継続するとみている」
~Bloomberg(2013/3/14)「債券は続伸、5年債利回りが過去最低-黒田氏が国債年限長期化に言及」

【関連記事】
・2013/3/1 日本国債金利は妥当か、バブルか?日本の財政懸念に賭けて利益を出す方法
http://moneyneta.blogspot.jp/2013/03/blog-post_6095.html
・2013/3/1 債券市場、為替市場、株式市場が全く別々に動いている理由(藤沢数希氏より)
http://moneyneta.blogspot.jp/2013/03/blog-post_9165.html