【日経新聞】ヘリコプターマネーとは何か(1)
【日経新聞】ヘリコプターマネーとは何か(2)
より
近頃、ヨーロッパやアメリカのエコノミストを中心に、ヘリコプターマネー論が盛んになってきました。これはヘリコプターで空からお金をばら撒くがごとく、国民にマネーを支給するという政策です。一見荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、一昔前はマイナス金利も実現生の高い政策とは思われていませんでした。なぜ今著名なエコノミストの間でこの政策に注目が集まっているのでしょうか。
・もともとヘリコプターマネーの政策を提言し、この名称をつけた人物はシカゴ学派の大家M・フリードマン。1969年の論文「貨幣の最適量」にて、この政策について触れています。そしてヘリコプターでマネーがばらまかれるがごとく、国民にマネーが支給された場合、物価は確実に上がるだろうと言っているのです。
・一般的な金融政策では、中央銀行は金融機関から国債を買い取りその結果マネーが市場に供給されます。しかし、そのマネーは金融機関が貸し出しや投資を行わなければ本当の意味で市場には出回りません。経済に影響を与えないのです。一方、一般国民に対して直接マネーを支給した場合、幾らかは退蔵される部分があるとしても、その一部は消費に使われる可能性が高いと言えます。
・そして、その結果物価の上昇圧力が生まれます。またそのために、この政策がデフレだ客のための特効薬になると主張する方も多いのです。
・この政策の核心は中央銀行の貨幣発行益にあるといわれており、事実上0に近いコストで貨幣の発行をできる中央銀行がそのヘリコプターマネーの原資を提供することになります。政府が増税や予算の調整、あるいは国債発行などでその原資を用意した場合は他の需要を減らすことになりますが、中央銀行の貨幣発行にはその心配が要らず、確実に物価を押し上げる効果が期待できます。
・この政策は2000年に当時の米国連邦準備理事会(FRB)理事であったベン・バーナンキやジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が日本向けの提案として発言し、話題を呼びました。その後は一旦下火になりましたが、近年はこれまでのようなデフレ脱却の文脈を超えて、ロボットやAIが進歩し個人が「労働できなくなった」未来のベーシックインカムと紐づけられて議論が進んでいるのです。
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