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2014年11月3日月曜日

日銀の追加緩和と「戦力の逐次投入」

2014年10月31日(金)、13時44分に、日銀は追加金融緩和の発表をしました。
市場は予想していなかったサプライズ発表。
「黒田バズーカ2」「10・31ショック」「ハロウィーン緩和」との言とともに、日経平均は3分で400円急騰し、終値は前日比755円高の1万6413円と約7年ぶりの高値となりました。

キーワードは「3」。
長期国債の購入を約30兆円追加し、ETFおよびJ-REITも3倍増のペースで増加するよう買い入れを行う、という黒田総裁のパフォーマンスも見られます。


日本銀行発表資料(2014/10/31)「量的・質的金融緩和」の拡大
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
(1)マネタリーベース増加額の拡大(賛成5反対4)
マネタリーベースが、年間約80兆円(約10~20兆円追加)に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。
(2)資産買入れ額の拡大および長期国債買入れの平均残存年限の長期化(賛成5反対4)
① 長期国債について、保有残高が年間約80兆円(約30兆円追加)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間を7年~10年程度に延長する(最大3年程度延長)。
② ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。新たにJPX日経 400 に連動するETFを買入れの対象に加える。


2013年3月に就任した黒田新総裁はは、量的・質的緩和のスタートに際して、「戦力の逐次投入をせず、現時点で必要な政策を全て講じた」「これまでと次元の異なる緩和」である異次元緩和として、大胆さをアピールしました。

にも関わらずここでの追加緩和は「戦力の逐次投入」に当たらないのか?

『戦力の逐次投入は愚策中の愚策』として、非常に有名な戦略上の戒めです。
状況がやばくなってから戦力を投入することは、撤退できないから,泥仕合に突入する.絶対に負けれらない戦いに戦力を惜しむなんてことになり、結果、負け戦の損害が大きくなる、ということです。
やるからには「最初に」全戦力を投入することが最小限のダメージで最大の結果を引き出せるというものです。

黒田総裁は今回の追加緩和について、テレビ東京の記者の質問に対して、「戦力の逐次投入にはあたらない。これが不十分でリスクに対応できない、とは全く思っていない」と答えています。

BloombergでSMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「数字だけを素直に読み解くと、物価目標達成の期限を事実上延期することになる」「金融政策の効果が乏しいことを認めず、達成期限をあいまい化するなら、逐次投入路線に陥りやすい。物価目標が厳しそうであれば、『物価見通しを引き下げて追加緩和』がパターン化する見込みだ。量的・質的金融緩和の拡大をずるずる続けやすいだろう」と指摘しています。

また、消費税増税路線へのサポートや、GPIFが基本ポートフォリオから日本債券の比率を大幅に下げることとの同調であるという受け止め方も多いのですが、黒田総裁は教科書通りの回答をしています。
・「消費税引き上げは政府が決定することであり、(金融政策が)影響を与えようとは思っていない」
・債券の保有比率を大幅に減らすことを検討していることとの関係には「GPIFの投資政策がどう動くかということと、金融政策は直接の関係は全くない」と否定


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