竹中平蔵のポリシー・スクール「1月25日 “成長戦略”の要件」: http://www.jcer.or.jp/column/takenaka/index448.html
安倍内閣の産業競争力会議のメンバーともなっている竹中平蔵氏。
2012年12月に発足した安倍内閣には、経済復活への大きな期待がかかっています。
今までの内閣では、その都度新たな“成長戦略”なるものが次々に新しく展開され、かつ成果も不明なままに変遷してきたのは残念だとしながら、「あらためて成長戦略なるものを考えてみたい」との内容になっています。
ポイント:
成長に打ち出の小槌はない
・どの国でも、またどの時代にも、いかにして経済を発展させ国民の生活を豊かにするかが課題になるが、経済をよくするために、特別な秘策、打ち出の小槌は存在しない
・企業の競争力を高める唯一の方法は、「競争すること」であろう。現実に日本の産業をみても、世界の競争に晒されてきた産業・企業は必至の努力によって生産性向上と競争力を高め、保護されてきた産業はますます競争力が弱くなるという一般的な傾向が見てとれる
・もちろん競争以外にも、重要なポイントはあり、「マクロ環境」の問題は、個別企業の努力ではカバーしようのないものである。これらは、経済成長の促進のための戦略的インフラ整備とともに、政府が行うべき重要な施策と言える
・過去5-6年を振り返ると、ピーク時には円は米国ドルに対して4割上昇し、韓国ウォンに対して5割上昇した。日本の電機機械メーカーがサムソンと価格面で対等の競争をするためには、5年でコストを半減しなければならないことになる
・世界銀行から公表された、企業の「規制環境」に関する興味深いランキングによると、日本は2000年時点で世界の40位にあったが、2000年代前半に改革を進めたことによって、2006年には28位となった。「行き過ぎた規制緩和」という批判がメディアなどで展開され、その結果、2011年の日本のランキングは、47位にまで後退した
・経済を成長させる基本方策は何か。各国、および各時代の成長促進戦略を見ると、大きく二つの流れがあるように見える。
①企業部門にできる限り多くの自由を与え、活発な創意工夫に期待するというものだ。これは主として先進工業国に見られるもので、健全な民間部門の存在を前提としている
②民間部門を誘導するような積極的な政府の関与を行おうとするものだ。主として健全な民間部門が充分に育成されていない新興国に多く見られる
⇒言うまでもなく、今の日本に主として求められるのは、第一の要素だろう
・積極的な金融政策によって円が下落していることに対しても、海外では国家戦略による円安誘導のように批判する向きがある。こうしたなかで今回、新しい成長戦略において国家がどう関与するかに関しては、国際関係という別の次元での配慮も、あらたに必要になっている
榊原英資 竹中平蔵
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