Google アナリティクス

Googleウェブマスター

2013年1月16日水曜日

安倍政権の経済政策にほころび?(岸博幸・慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)


ダイヤモンドオンラインにて、岸博幸・慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授による記事「マスメディアが諸手を挙げて歓迎する 「アベノミクス」の2つの問題点」(2013/1/11)では、アベノミクスを金融緩和、財政出動、成長戦略を軸に行うことは正しいとしつつ、運営面での問題点について指摘をしています。
記事URL: http://diamond.jp/articles/-/30416

・安倍政権が金融緩和、財政出動、成長戦略という3本の矢で構成される“アベノミクス”を展開すること自体は非常に正しい。デフレ脱却と成長率の底上げのためには、短期的には金融緩和と財政出動の組み合わせは理にかなっていますし、中長期的には財政出動に頼らず民間が自律的に成長できるようにするための成長戦略が不可のため。

[安倍政権の経済政策にほころび?]
同時に、細かい部分では既にほころびが目立ってきているのではないか
①1/11に閣議決定される緊急経済対策の関連。経済対策の裏付けとなる補正予算は国費13.1兆円(うち基礎年金の国庫負担2.8兆円)という大規模なものだが、この数字は過大で、バラマキと批判されても仕方がない
・過去の補正予算は、リーマンショックへの対応で13.9兆円、東日本大震災への対応で12.1兆円。最近何か大きな外的ショックがあった訳ではなく、13.1兆円という規模への説明が不十分ではないか
・マクロ経済運営の観点からは、補正予算の規模を決めるに当たっては、経済の需給ギャップがどの程度あり、成長率や物価上昇率を踏まえてどの程度の財政支出が必要かが決定されるべき

②もう1つの疑問は、なぜ防災目的の公共事業ばかりなのか
・安倍政権は“日本経済の再生”を最重要課題にしているのですから、そうした競争力強化に資するインフラの整備も行うべきですし、それこそが成長戦略としても大事なはず。公共事業についてはこうした観点が一切なく、かつ公共事業の金額や補正予算の規模が適正であることについては今後も説明がないだろう
・結局、今回の補正予算は霞ヶ関の官僚や自民党の族議員がやりたい公共事業や政策を積み上げた結果の13.1兆円としか考えられない

③次の疑問は、成長戦略を巡るもの。成長戦略は6月策定予定なので詳細は現時点で不明だが、成長戦略は官民ファンドの乱立になるのではないか
・規制改革やTPPなどの構造改革的な政策が不十分な中で、政府がカネをどんどん突っ込むばかりでは、民間側のモラルハザード、官側の焼け太りのみならず、産業の競争力も強化されない
・このように、せっかく安倍政権は“アベノミクス”で方向性としては正しい経済運営を行っていこうとしているのに、細かい部分では官僚の思惑など様々な理由からほころびが目立ちつつあり、このままでは日本経済の再生がうまく行かないのみならず、安倍政権の評価も下げかねない

【関連記事】

・2012/12/28 藤巻健史氏による「アベノミクス」についての見解 「時すでに遅し」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/12/blog-post_28.html
・2012/12/27 安倍政権の金融緩和政策 その先にある危なさ
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/12/blog-post_27.html
・2012/12/27 安倍政権の'アベノミクス'が失敗するリスク要因は
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/12/blog-post_869.html

0 件のコメント:

コメントを投稿