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2012年8月27日月曜日

内藤忍さんの為替に関する3冊のお勧め本

資産設計アドバイザー 内藤忍さんのブログの2012/8/27付記事「「円のゆくえを問いなおす」 - ナゼ為替の良書は新書が多いのか?」では、為替の関して専門家が個人投資家にもわかりやすく書いた本が紹介されています。


「弱い日本の強い円」(佐々木融氏)、「円高の正体」(安達誠司氏)に加え、新作の「円のゆくえを問いなおす」(片岡剛士氏)。


弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)      円高の正体 (光文社新書)


「円のゆくえを問いなおす」の特徴は、「円という為替の動きに関して、歴史的・実証的なアプローチで分析を試みている」点であるとしています。「個人投資家の方に是非読んで欲しいと思う」として、2章「円高の原因は何か」で、「長期的な変化は購買力平価説から、中短期の変化は金利平価説から説明できるとし、それをロジカルに展開」されているとのことです。
*購買力平価とは、為替が自国と他国の物価上昇率の差によって決まること
金利平価説とは、為替が自国と他国の名目金利差と予想物価上昇率の差によって決まること
と説明されています。

これは3冊はいずれも新書であり、「これだけの良質な情報が、これだけの低コストで得られるのは、何とも贅沢でありがたい」と評価がされています。

片岡剛士氏は三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。

円のゆくえを問いなおす: 実証的・歴史的にみた日本経済 (ちくま新書)
片岡 剛士
筑摩書房
売り上げランキング: 2254

片岡剛士氏は三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。

目次

第1章 円の暴騰と日本経済(「時系列」でみた深刻な円高 「国際的な視点」でみた深刻な円高 ほか)
第2章 円高の原因は何か(為替レートとは何か 為替レートの3つの指標 ほか)
第3章 為替と経済政策を問いなおす―金本位制から固定相場制へ(経済政策における3つの手段 経済安定化政策と為替レートの関係 ほか)
第4章 為替と経済政策を問いなおす―変動相場制以降(円高シンドローム 「強い円が望ましい」という呪縛 ほか)
第5章 デフレと円高を止めるために何をすべきか(円高や円安は自然現象ではない金融政策とは何か ほか)

Amazonの説明文
「欧州危機、ウォール街デモなど、世界玉済は不安定になっている。そうしたなか私たちに最も大きな影響を及ぼしているのが円高・円安という円相場の動きである。円高は「輸出関連企業への打撃がある」「輸入品や外貨建て資産を安く買える」など、目前のメリット/デメリットに目がいきがちだ。しかし、その大本にはデフレと経済成長率の低下という、日本経済の「失われた20年」の根幹をなす問題が横たわっている。本書は、円のゆくえを主軸に、日本経済の過去・現在・未来を、緻密な分析から大胆に総括する。」



2012年8月15日水曜日

高金利通貨のキャリートレードにおけるテイル・リスク


独立行政法人・経済産業研究所の藤原一平上席研究員のコラム「キャリー・トレードとテイル・リスク」では、「金利の高い国の通貨は増価しやすい」という考えについて考察しています。
そうであるなら、「金利差からの利益だけでなく、(日本円の減価という)為替差益をも享受でき、高い収益率を達成できるはず」になります。
しかし、「金融取引の裁定といった観点から考えなおすと」、「何らかのリスクがその対価として存在するはず」ということです。

豪ドル/円で、カバー無し金利裁定(「同じ通貨で評価した場合、異なる国での期待収益率は等しい」という簡単な考え)では下記式が成り立つとします。
1+i(t)=S(t+1)/S(t)×(1+i*)
i=日本の金利、i*=オーストラリアの金利、S=豪ドル/円相場
そうすると、「キャリー・トレードからの(円換算)期待収益は、右辺マイナス左辺となるため、当然、ゼロとなるはず」と説明されています。

「多くの既存研究は、「事後的にみると、右辺マイナス左辺として計算されるキャリー・トレードからの収益はプラスになっている」と報告」されているそうです。「事後的な収益が平均的にみてプラスになっているということは、キャリー・トレードには、何らかのリスクが存在することを示唆している」とのこと。

その正体がテイル・リスク。
「豪ドル/円相場といった高金利国と低金利国の為替相場の変化率をヒストグラムで表現してみると、変化率はゼロを中心に対称とはならず、高金利通貨が減価する方向で分布が歪んで」いるとのこと。すなわち、「小さな確率ではあるが、高金利通貨が大きく減価する可能性がある」と指摘しています。

2012年8月14日火曜日

為替見通し 「日本人の円売りは出てくるか」(ロイターより)


ロイター(2012/8/14付)で、唐鎌大輔氏(みずほコーポレート銀行 マーケット・エコノミスト)による「コラム:日本人の円売りは出てくるか」が掲載されています。

要旨メモ:
・円安になるには、「日本人による円売り」がどうしても必要。誰が「売る円」を持っているのかと考えた時に、海外勢は円を持っていなくても売れる投機筋ぐらいだが、投機主導の円安は、今年2―4月に見たように長続きしない。円相場の底堅さの一因としては、経常黒字。
・日本には2012年3月末時点で1513兆円の家計金融資産が存在するが、これを円貨性資産と外貨性資産に大別すると、約97%に相当する1471兆円が円貨性で、残り約3%に相当する43兆円が外貨性となる(筆者推計)。日本の家計部門の現預金志向は主要先進国の中でも特に強く、総資産対比で50%以上の保有比率を誇る。米国は20%弱、英国は30%弱、そして比較的日本人に近い性分と思われるドイツでも40%強。
・「97%」の部分が積極的に外貨性資産へ向かえば、円安転換の一助となり得るが、そうした動きはほとんど見られない。流動性と安全性の高い資産にマネーが引きこもっているのが現状。
・たとえば、景気が良い時、もう少し具体的に言えば株価が上がっていて、内外金利差が十分な時には、日本人が円売りに動くことはある。2007年は円キャリー取引が魅力的な時代だった。内外金利差の確保が難しく、景気先行きが不透明な状況で対外投資を積極化できないのは機関投資家も個人投資家も同じ。
・日本が依然として大きな経常黒字フローを稼ぎつつ、世界最大の対外債権国というステータスを保持していることを考えれば、海外の経済・金融環境が好転し、内外金利差が拡大、日本人が良い意味で保有している円を売りたくなる局面に入らない限り、持続的かつ顕著な円安は予想し難いというのが率直な印象。
・ドル/円相場については「値幅が出ない」という見通しもひとつの考え方としてあって良い。「欧州(ユーロ)が混乱しているうちは、ドルも円も買われ、結局値幅が出ない」という理由付けにそれほど無理はないと思う。