私募ファンドには主に下記の形態があります。
・50%以上を有価証券やデリバティブで運用するファンドは、一人以上のプロ(適格機関投資家)かいれば49名の一般投資家から資金を集めることが可能
・事業や商品・不動産に投資するものは、499名以下の一般投資家から資金を集めることが可能
これら私募ファンドは、有価証券届出書の提出や継続開示義務を負わないため、ファンド設立が比較的容易でファンドの運用コストが安く済みますので、比較的少額(数億円から数十億円)のファンド組成に利用されてきました。
これについて問題事例が多く発生しているため、証券取引等監視委員会から、金融庁設置法第21条の規定に基づき、平成26年4月18日付で、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、投資家の要件を厳格化するよう建議が行われています。
(参考)マネーの知恵(仮) 2014/4/19
プロ向けファンド業務(適格機関投資家等特例業務)の投資家要件を規制強化へ まっとうな投資会社とおれおれ詐欺の見分けをどうするか。
証券取引等監視委員会からの建議
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2014/2014/20140418-1.htm
(内容)
集団投資スキーム(以下「ファンド」という。)のうち適格機関投資家等(1名以上の適格機関投資家及び49名以下の適格機関投資家以外の者)を出資者とするもの(いわゆる「プロ向けファンド」)の販売・投資運用を行う特例業務届出者については、これまでの検査において、
・顧客に対する虚偽の告知
・適格機関投資家等特例業務の要件を満たさずに行った登録が必要となるファンドの販売・投資運用
・出資金の流用・使途不明
など、多数の金融商品取引法違反事例や一般投資家に被害が生じている悪質な事例が認められた。
また、その中には、出資金を毀損させている状態の中、その後も金融商品取引法違反行為を行う蓋然性が高く、裁判所への禁止・停止命令の申立てに至ったものもある。
したがって、こうした状況に鑑みれば、ファンドに係る投資者保護の一層の徹底を図る観点から、適格機関投資家等特例業務に関する特例について、出資者に係る要件を厳格化する等、一般投資家の被害の発生等を防止するための適切な措置を講ずる必要がある。
岡林 秀明
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