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2015年9月13日日曜日

資金流出懸念の新興国通貨 「トラブルド10」

アメリカの経済メディアで、2015年8月下旬からの世界同時株安などで懸念が広がる中国の景気減速や人民元安による影響を受けやすく、資金流出が懸念される10ヶ国・地域の新興国通貨を表す「トラブルド10」という造語が使われ始めています。
「Troubled」は混乱や不安の状態にあるという意味です。

下記の10通貨が対象です。
ブラジルレアル
ロシアルーブル
南アフリカランド
コロンビアペソ
台湾ドル
タイバーツ
シンガポールドル
韓国ウォン
チリペソ
ペルーソル

これらの通貨は、輸出に占める対中国の比率が高かったり、人民元安で中国と比べた国際競争力が低下しそうな国が中心になっています。

2013年夏の米国のQE3(量的金融緩和)政策の縮小観測の際に資金流出懸念が懸念されたフラジャイル5(ブラジル、トルコ、南アフリカ、インド、インドネシア)は、経常赤字が大きく、インフレ率も高い5ヶ国として上げられましたが、新たなテーマとして「トラブルド10」が流行するのかもしれません。

(2015.9.13日経ヴェリタスの記事を参考に作成)

2015年8月31日月曜日

ボラティリティ・インデックス(VIX、VI)の急上昇時の日米株式市場 投資のチャンスか?金融危機の始まりか!?

VIX、VIといったボラティリティ(市場の変動の大きさ)を示すインデックスがあります。市場の急変時に急上昇をします。
NYダウのシカゴ・オプション取引所が作り出した「ボラティリティ・インデックス」の略称をVIX指数としてよく使用されています。ボラティリティの上昇は投資家がマーケットの行方が読めず恐れを感じている時であることから、「恐怖指数」とも呼ばれます。
日経平均では日経VIという指数が使われます。

2015年8月24日からのマーケットの変動時もボラティリティは急上昇しました。

三菱IFJモルガン・スタンレー証券のシニア投資ストラテジスト・藤戸則弘氏の「藤戸レポート」(2015/08/31 急落相場のパターン分析と対処法)では、ボラティリティ・インデックスの分析とレポート前週のマーケット急落と見通しがされています。
レポートのリンク:
http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/pdf/fj20150831.pdf

ボラティリティ(VIX、VI)の急上昇は、投資のチャンスか?金融危機の始まりか!?

・NYダウとVIX指数
2008年以降でVIX指数が40%超の局面は下記の4回です。(解説は藤戸レポートを参考に掲載)
(図は藤戸レポート p2より)

① リーマン・ショック
2008年10/24に89.5%。
リーマン・ブラザーズの倒産に伴い、住宅・クレジットバブルの崩壊で、世界が大恐慌に沈むとの恐怖で投資家が狼狽。90%近いVIは史上最高、混乱の極にあった。
ダウ平均は、2008年5/19高値13,136ドルから11/21安値7,449ドルで▲43.2%の下落。その後2009年1/6高値9,088ドルまで+22%の戻りを見せるが、実体経済の落ち込みを反映して同年3/6安値6,469ドルまで▲28.8%の反落。壮烈な「二段下げ」となる。

② ギリシャ・ショック
2010年5/21に48.2%。
政権交代により、ギリシャ政府の財政関連指標が粉飾だったことが発覚。
第一次ギリシャ・ショックであり、ユーロ圏離脱が真剣に論じられた。ダウ平均は、2010年4/26高値11,258ドルから同年7/2安値9,614ドルまで▲14.6%下落。夏場は低水準の揉み合いとなったが、9月中旬以降に上昇トレンドに回帰。

③ ユーロ危機
2011年8/8に48.0%。
ギリシャに端を発した債務問題がスペイン、イタリア等の重債務国にまで波及し、通貨ユーロの崩壊が懸念された。
ダウ平均は、2011年5/2高値12,876ドルから同年10/4安値10,404ドルまで▲19.1%の下落。ECB(欧州中銀)の懸命な政策対応もあって、年末頃から上昇傾向に転じた。

④ チャイナ・リスク
今回2015年の53.2%。
ユーロ危機以降、比較的平穏な株高時代が続いたが、約4年ぶりの大変動。


・日経平均と日経平均のボラティリティ・インデックス(VI)

日経平均は2008年以降で過去6回のVI40%超の局面があります。(解説は藤戸レポートを参考に掲載)
NYダウのVIX指数40%超えの4回と、東日本大震災(2011年)、バーナンキ・ショック(2013年)が加わります。
(図は藤戸レポート p3より)


① リーマン・ショック
日経平均のVIは2008年10/31に92.0%(史上最高)
日経平均は2008年6/6高値14,601円から10/28安値6,994円まで▲52.0%の急落。2005年に始まった「小泉構造改革相場」が2007年2月に高値を付けて調整過程にあっただけに、ネガティブ・インパクトは大きくなった。米ダウと同様に、11/5高値9,521円・+36.1%や2009年1/7高値9,325円・+33.3%まで戻す局面もあった。しかし、世界同時株安に巻き込まれ、2009年3/10安値7,021円まで売り込まれた。

② ギリシャ・ショック
VIは2010年5/21高値44.0%
欧州株安→米株安→日本株安の連鎖による。
日経平均は、2010年4/5高値11,408円から9/1安値8,796円まで▲22.8%の下落。日本固有の要因ではなく、海外の悪影響に巻き込まれるパターンが続いた。

③ 東日本大震災
天災でVIが3/15に69.8%まで急騰した稀有なケース。リーマン・ショックに次ぐ高いレベル。
日経平均は、2/17高値10,891円から3/15安値8,227円まで▲24.4%の下落。VIのピークと株価の安値がピタリ一致した珍しいパターンだ。経済・金融情勢が材料の場合は、波状的に安値を形成することが多いが、天災はまさに瞬間で相場が織り込んでしまった。その後、7/8高値10,207円まで+24.0%のリバウンドを見せた。

④ ユーロ危機
VIは2011年8/9に42.6%。
震災の影響に加えてユーロ危機が株価を圧迫。さらに、タイ大洪水により日本企業のサプライ・チェーンが崩壊。
日経平均は同年11/25安値8,540円まで売り込まれた。7月高値からは▲16.3%の下落。
この2011年は、日本株相場にとってツキがなかった最たる例。

⑤ バーナンキ・ショック
2013年5/23に48.3%。
藤戸氏によると、注目すべきは、米VIX指数が6/24の21.9%に留まっていること。また、高値奪回には、約半年を要したことになる。このバーナンキ・ショックのパターンは参考になることが多いとしています。
5/23時点ではザラ場高値15.1%に過ぎない。つまり、FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和政策の段階的縮小)は、新興国や日本に大きな衝撃を与えたけれども、米国にとっては軽微であったことが分かる。記憶に新しいが、日経平均は5/23高値15,942円をマークした後に急落し、1日で1,143円安となった。急落を契機に、6/13安値12,415円まで▲22.1%の下落である。その後、低水準の往来が続いた後に、8/28安値13,188円で二番底を形成し、大納会高値16,320円まで上昇トレンドを描いた。

⑥  チャイナ・リスク
今回、2015年8月26日の48.9。

VIX、VIといったボラティリティ・インデックスが40%超となる場合は、明らかなオーバー・ショートを示唆しています。
投資の観点から見た場合には、このVIX、VIの40%超は、買いのチャンスと捉えることもできます。

ただし、藤戸レポートによると、VIX、VIのピークと株価のボトムが一致するケースは、意外に少ないと分析されています。
むしろ、40%超から大乱高下相場が続くことを考えた方が良いとのことで、株価の大底は、波乱相場の中で1~2か月後に訪れるケースが少なくないとしています。
そして、その悪材料によって実体経済や金融システムが大きなダメージを受ける場合には、リーマン・ショック時のように壮烈な二段下げに移行する場合もある。逆に、2013年バーナンキ・ショックのように、日本の実体経済が回復モメンタムを維持している場合には、高値奪回の可能性も十分あると分析されています。

藤戸レポートは、「現時点では、前者よりも後者の可能性が高いように思える」と判断を示しています。
結論としては、レポートでは「VI、バリュエーション、オシレーター、市場の狼狽ぶりを見ると、日経平均の17,000円台は買いの好機」としています。

*今回の藤戸レポートのボラティリティ・インデックスの観点からの過去のケースも踏まえた分析は非常に参考になります。
ボラティリティ・インデックスが40%を超えるような上昇は大よそ1~2年に一度という頻度であり、冷静にマーケット変動の要因を分析し、どのように対処をしていくかが大きく投資成績にインパクトを与える局面とも言えます。

マネーの知恵(仮)関連記事:
・2015/8/25 日経平均下落や世界同時株安に長期投資家はどう対処すべきか
http://money-learn.seesaa.net/article/424782159.html
・2015/9/5 MUMS藤戸氏の日経平均予測(マネーの羅針盤) 「下がった時に弱気になっていては株式投資は儲からない」
http://money-learn.seesaa.net/article/425402299.html


2015年8月29日土曜日

GPIF 日本株の積み増し余力は約2.3兆円、資産構成全体で必要な変更幅の78%進捗した水準

GPIFの2014年秋に設定した新たな資産構成の目標値への進捗率は8割近くに達成しているようです。
【関連記事】
・2015/7/12 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、平成26年度 収益率はプラス12.27%(収益額は15兆2822億円)、平成26年度末の運用資産額は137兆4769億
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/07/gpif261227152822261374769.html

GPIFの6月末の運用資産額は過去最高の141.1兆円。年金特別会計で管理する2.88兆円も加えた積立金全体に占める国内債の構成比は37.95%と比較可能な2008年度以降で最低を更新。
国内株 23.39% →最高
外株  22.32% →最高
外債  13.08% →昨年末に次ぐ高さ
短期資産 3.27%
全体の5%を上限とするオルタナティブ(代替)投資は0.05%

Bloombergによると、国内債と国内株の6月末の構成比は、新資産構成の公表前の昨年9月末から目標値へ至るのに必要な変更幅の78%進捗した水準になっています。
6月末の積立金全体を基にした試算では、国内債は満期償還分も含め、さらに約4.2兆円の削減余地がある。国内株は値上がり分も込みで約2.3兆円、外債は為替損益も含めて約2.8兆円、外株は約3.9兆円の積み増しが必要とされています。


(引用元・参考記事)
Bloomberg(2015/8/28)「GPIF、日本株買い・国内債売り終盤戦-株安円高で余地拡大も」より
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTRL7X6K513N01.html

2015年8月27日木曜日

高齢者に深く知って欲しい運用の「常識」を7つ(山崎元氏より)

経済評論家の山崎元氏が特に高齢者に深く知って欲しい運用の「常識」を7つ紹介しています。
対面の金融機関の勧誘の際には心得ておきましょう。


(1) 年齢と運用方法は基本的に無関係だ。高齢者向け、若者向けといった年齢別に最適な運用商品、運用方法といったものは無い。

(2) 資金使途と運用方法も概ね無関係だ。老後資金と子供の学費は同じ運用方法でいいし、そもそもお金を分けて運用することが無意味だ。

(3) リスクを取る大きさは、運用商品の種類ではなく、リスクを取る運用商品に投資する「金額」で調節するのがいい。

(4) 運用商品を購入するかもしれない相手(銀行、証券会社、保険会社、FPなど)に運用を相談してはいけない(「無料相談」もダメ!)。

(5) 配当や分配金を使うのも、自分が持っている普通預金を取り崩すのも、同じ金額を使うなら、経済的な意味は同じ。預金がある人(たいていはあるだろうが)には「分配金のニーズ」など無い。

(6) 株式や投資信託は、お金が必要だと思えば、自分が買った値段より安く売っても全く問題無い。

(7) 同じ市場に投資するにあたって手数料がより高い商品は「それだけでダメ」。「手数料は高いが、運用は上手い」という運用商品を事前に選ぶことはできない。


出処
現代ビジネス(2015/8/27) 「分配金で暮らす」は間違い! 老後に苦しまないための 「運用7つの常識」を教えよう
金融業界の「カモ」になってはいけない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44916

マネーの知恵(仮)関連記事
・2015/8/22 私の今までの投資遍歴(3) 銀行からの定期預金キャンペーンのお誘いと金融商品セールスを受ける
http://money-learn.seesaa.net/article/424622970.html
・2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
http://money-learn.seesaa.net/article/411474440.html
・2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
http://money-learn.seesaa.net/article/411533719.html
・2015/7/25 [感想・書評]全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド 山崎元 水瀬ケンイチ/著
http://money-learn.seesaa.net/article/423002177.html

2015年7月20日月曜日

バンガード、低コスト運用の投信を普及させるため日本の販売体制を強化

バンガードが日本で直販投信を開始するようです!?
日経新聞(2015/7/20)は、バンガードがノーロード(販売手数料なし)、低コスト運用の投信を普及させるため日本の販売体制を強化していると伝えています。

バンガードは、上場投信(ETF)やインデックス投信で米国最大のシェアを持つほか、確定拠出年金でも米最大の運用会社。手数料を取らずに販売するノーロード投信の販売で業界のトップです。大手には、ブラックロックやステート・ストリートといった運用会社があります。
運用資産総額は5月末で3.3兆ドル(約350兆円)の巨大運用会社です。運用資産総額は下記の通り順調な増加です。
上場投信(ETF)の運用総額は5000億ドル(約62兆円)に近づき、市場シェアは20%です。うちアジア(中国・台湾、日本、シンガポール)が600億ドルだ。日本の運用資産は(未公表だが)14年の1年間に60%増えた。
また、クレディセゾン経由で販売する『セゾン・バンガード・グローバル・バランス・ファンド』の運用総額が5月下旬に1000億円を突破しています。


日経記事では、バンガード・グループのウィリアム・マクナブ会長兼最高経営責任者(CEO)へのインタビューが掲載されています。
資金流入加速の背景は、低コスト運用、ファンドの運用戦略の明確な説明など細やかなサービスが投資家の支持を獲得したというのがベースです。「08年の金融危機後、資金流入が加速した。投資家が資金を振り向ける際、信頼できる金融機関を重視するようになり、顧客本位の当社が投資家の支持を獲得した」と語っています。
また、「投信販売の事業モデルの変化も大きい。運用資産額に手数料を課すファイナンシャル・アドバイザー(FA)が広まり、(手数料を目的に投信の乗り換えを勧めるのではなく投資家に有利な)低コストの当社投信を推奨するFAが増えた」と語っています。
バンガードの運用資産全体の35%がFA経由で、10年前にはほぼゼロだっただけに大きく変化しています。40%は直販、残りは確定拠出年金による流入になっています。
*この点は主に米国での話で、日本では「運用資産額に手数料を課すファイナンシャル・アドバイザー(FA)」はいませんので(日本の法規制では難しくファイナンシャル・アドバイザーのプレーヤーがいない)、インデックス商品の普及にはまだまだ課題が多いのが現状です。

【関連記事】
2015/7/2 バンガードの新オフィスのセレモニーとパーティーに参加してきました。
http://money-learn.seesaa.net/article/421688484.html

その他インタビュー要旨
・日本での状況
「日本の販売が大きく上向いたのは、アベノミクスの効果も大きい。コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化や証券投資の環境改善が進んだ。当社は昨年、米国本社のリテール販売部門のトップを、日本法人の代表に任命した。日本法人を東京・千代田区の永田町に移し、規模を拡大した。直販や提携を軸に日本の事業拡大に備え、体制を整えつつある」
・日本事業の難しい点
「株式投資文化の欠如だ。最近は変わりつつあり、日本人の株式投資需要を感じるようになった。今後は日本株への投資だけではなく、グローバル投資の重要さを強調したい。過去20年間に世界中の株式に分散投資していれば、日本株や預金よりはるかに大きな利回りを確保できたはず」
「もう一つの壁は投信の販売体制だ。日本では証券会社が相当な額の手数料を取る。ノーロードを重視する当社はこうした販売体制に参加するつもりはない。投資家との利益相反を避けるのが難しいからだ。いずれ日本の市場にも変化が訪れる日が来ると信じている」

*1985年の初版以来、世界で50万部を超えるベストセラー『敗者のゲーム』は世界中で読み継がれている代表的な投資指南書。
著者であるチャールズ・エリス氏はかつてバンガードの取締役を務めていました。

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