【概要】
2008年12月に企業結合会計基準が改正され、2010年4月以降から、企業結合に伴い取得した「識別可能な無形資産」を認識する必要があります。(2010年より従前は、「識別可能な無形資産」を計上しても良いという容認規定だったものが、「識別可能な無形資産」に該当するものがある場合には計上しなければならないと変更になっています。)
買収後、企業結合日以後の決算の時までに無形資産を認識、測定し、計上することとなります。無形資産を差し引いてのれんの計上額となります。
また、無形資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法により減価償却を行います。(研究開発活動の途中段階の成果である仕掛研究開発費については、企業結合後の使用実態に基づき有効期間にわたって減価償却をしますが、研究開発が完成するまでは償却を開始しないこととなっています)
【識別可能無形資産の内容】
例えば、IT企業で法人顧客が数多くあるような場合、法律に基づく知的財産権・ソフトウェア・顧客リスト・データベース・研究開発活動の途中段階の成果(仕掛研究開発費)等が「識別可能な無形資産」として検討の対象となる可能性があります。
企業結合の目的の 1 つが、特定の無形資産の受入れにあり、その無形資産の金額が重要になると見込まれる場合には、取得企業は、利用可能な独自の情報や前提等を基礎に一定の見積方法(マーケット・アプローチ、コスト・アプローチ、インカム・アプローチの各手法)を利用し、あるいは外部の専門家も関与するなどして、通常、取締役会その他の会社の意思決定機関において、当該無形資産の評価額に関する多面的かつ合理的な検討を行い、それに基づいて企業結合が行われたと考えられることとなります。このような場合には、当該無形資産については、識別して資産計上することが適当と考えられ、分離して譲渡可能なものとして取り扱うと規定されています。(「適用指針」367-2.項)
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(「適用指針」)では、「識別可能な無形資産」として、「法律上の権利」と「分離して譲渡可能な無形資産」が挙げられています。
・「法律上の権利」
特定の法律に基づく知的財産権(知的所有権)等の権利をいう。特定の法律に基づく知的財産権(知的所有権)等の権利には、産業財産権(特許権、実用新案権、商標権、意匠権)、著作権、半導体集積回路配置、商号、営業上の機密事項、植物の新品種等が含まれる。(「適用指針」58項)
また、法律上の権利に準ずるものとしては、契約などで保護された権利、例えば使用許諾契約、ロイヤリティ契約などが想定されます。
・「分離して譲渡可能な無形資産」
受け入れた資産を譲渡する意思が取得企業にあるか否かにかかわらず、企業又は事業と独立して売買可能なものをいい、そのためには、当該無形資産の独立した価格を合理的に算定できなければならないとされています。(「適用指針」59項)
ソフトウェア、顧客リスト、特許で保護されていない技術、データベース、研究開発活動の途中段階の成果(最終段階にあるものに限らない。)等が例示されています(「適用指針」367項)
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