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2016年8月7日日曜日

資産運用業界で広がるファクター投資について

ファクター投資という概念に注目した資産運用管理が広がっている。

投資家は少しでも低いコストでより高いリターンを追求するための投資行動を取る。

ファクターとは、様々な資産のリターンやリスクに影響する共通要因のことで、経済成長、インフレ、長短金利差、信用力、株式、ボラティリティ、割安度(バリュー)、モメンタム、流動性などを指す。
ファクターこそがリスクとリターンの源泉であるため、アセットクラスのリスク・リターンについて、ファクターによってポートフォリオを分析する方がより本質的な知見が得られると考えられている。

一部の機関投資家では、個別資産のベンチマークを特定のファクター・エクスポージャーを持つものに変更したり、主たるファクターに従って個別資産をカテゴリー分けする例は多く見られ、こうした方法はファクター・ティルトと呼ばれる。

「多面的なリスク・ファクター」という概念は、1970年にまで遡り研究がされてきた。
古くはRoss、Famaら、1990年代にはFama、Frenchによって研究成果が出されている。
長期にわたって最も安定的にアウトパフォームしたファクターは「バリュー」であり、そのほか「低ボラティリティ」、「モメンタム」、「低流動性」にも大きな寄与度が確認されているが、人気の高い「クオリティ」と他に主張されている“ファクター”の寄与度は小さいと見られている。
アルファが一時的な要因でないかどうかには注意が必要だし、PIMCOでは、「多くのファクターには循環性があるため、割高なバリュエーションが過去の標準的な水準に平均回帰する恐れもあり、十分な注意が必要」とされている。

NRIによると、「投資家側も、ファクターに対する投資信念を確立したり、自らの投資目的や制約に照らして様々なファクターを評価することが必要になる。これらはコンサルタントやアドバイザーによる支援が期待される領域である」と主張されている。


(参考)
NRI「ファクター投資で変わる資産運用」
PIMCO「ファクター投資:理論は正当、実践は困難」