14年1月から開始されている国外財産調書制度の未提出による罰則規定の適用があったとのこと。
トーメンエレクトロニクス株のインサイダー取引事件で金融商品取引法違反の罪で起訴された東京都の元会社社長の被告が、国外財産に伴う所得については、国外財産調書の未提出による過少申告加算税の加重措置の対象となり、通常より5ポイント高い15%の加算税が適用されたもようだ。同措置の適用が明らかになったのは初めて。
また、偽りの記載をして提出した場合又は正当な理由なく期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになっている。
国外財産調書制度は14年1月から開始。毎年12月末時点で海外に5千万円超の財産がある場合、翌年3月までに財産内容を記した調書を税務署に提出する義務がある。未提出で国外財産に関する申告漏れが発覚した場合は過少申告加算税が加重される。
関係者によると、被告は2013年末時点でシンガポールの関連会社に約20万米ドルの貸付債権を保有するなど、海外に5千万円を超える財産があったが、「国外財産調書」を提出していなかった。
関係者によると、被告は2013年末時点でシンガポールの関連会社に約20万米ドルの貸付債権を保有するなど、海外に5千万円を超える財産があったが、「国外財産調書」を提出していなかった。
参考:
・日経(2015/3/28)「インサイダー被告、国外財産申告せず 加算税を初適用」
・国税庁 No.7456 国外財産調書の提出義務
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7456.htm
国外財産調書の提出制度においては、適正な提出をしていただくために次のような措置が設けられています。
1 国外財産調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置
国外財産調書を提出期限内に提出した場合には、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税又は相続税の申告漏れが生じたときであっても、過少申告加算税等が5%軽減されます。
2 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置
国外財産調書を提出期限内にない場合又は提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合(記載が不十分と認められる場合を含みます。)に、その国外財産に関して所得税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除きます。)が生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。
3 正当な理由のない国外財産調書の不提出等に対する罰則
国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。ただし、提出期限内に提出しなかった場合については、情状により、その刑を免除することができることとされています。
三浦 誠
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