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2012年10月31日水曜日

UBSが大リストラ 従業員の15%にあたる約1万人を削減


スイスの金融大手UBSが、従業員を約1万人削減することなどを盛り込んだ経営再建策を発表しました。

UBSによるメディアリリース(2012/10/30):
UBS announces strategic acceleration from a position of strength

エルモッティCEOが主導している34億スイスフラン(36億3000万ドル)の節減と株主への還元に向けた3年にわたる投資銀行業務の見直しの一環で、今回のリストラでは債券取引から撤退、プライベートバンク業務と規模を縮小した投資銀行業務に注力するということです。
人員削減は2015年までに順次実施、削減規模は現在の従業員の15%に相当、主に英国、米国、スイスの従業員が解雇の対象で、従業員数は約6万4千人から5万4千人に減ることになります。
削減地域はロンドンが中心。スイスでは今後2~3年間で約2500人、米国ではこれをわずかに上回る数で、残りは英国になる模様です。

UBSは2008年に債券取引で500億ドル以上の損失を出して破綻寸前に追い込まれ、2011年には投資銀行部門の株式トレーダーが未承認の取引を行い約20億ドルの損失を出していました。

改革の決定は世界経済が悪化し、規制当局の姿勢が厳しくなり、資本規制も強化されつつあることが明瞭になったことが契機となっているようです。
リスク資産は現在の約3千億スイスフランから2017年末までに2千億スイスフランにまで減らす目標を設定しています。
*2012/10/30時点で1フランは約85円

主要メディアが報じています。
・WSJ「UBS、ロンドンのトレーディング部門で数千人規模の解雇を実施」(2012/10/31)
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_539210
・Bloomberg「UBS、1万人削減やリスク資産8.5兆円圧縮で株主還元拡大へ」(2012/10/29)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCMMAY6KLVRB01.html
・ロイター「スイスUBS、フィクストインカム部門の縮小と1万人削減を計画 第3四半期は赤字」(2012/10/30)
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPTK822700820121030
・日経「UBS、従業員1万人削減 投資銀行を縮小」(2012/10/30)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3005R_Q2A031C1FF1000/

ブログ'金融日記'にてブロガー藤沢数希氏は、水面下で、スイス政府から強烈な圧力を受けていたのではないかと推察しています。UBSやクレディ・スイスの資産規模は自国のGDPをはるかに上回っている資産規模の影響力があり、自国スイスの金融機関が規制などにより、国際金融マーケットでの競争力を多少なくすことになっても、次の金融危機で他国に救済を要請しなければいけないかもしれないことになり主権が脅かされかねなくなるという屈辱的なリスクを無くす方を取ったのではないかとして、「UBSの恐ろしいほどの人数のリストラは、世界の金融システムを変えていこうという何か大きな力が働いているように思える」と印象を述べています。
金融日記「UBSの1万人リストラとスイス政府の決断」(2012/10/30):
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51934552.html

【関連記事】
・2012/9/20 リストラの嵐の外資系金融機関 厳しい雇用環境が続く見通し
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_3577.html
・2012/9/19 外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々(藤沢数希/著)読後の感想
http://money-learn.seesaa.net/article/293271618.html

政府と日本銀行が共同声明「デフレ脱却に向けた取組について」


量的緩和を発表した日銀より2012/10/30付で政府と日本銀行が共同で「デフレ脱却に向けた取組について」という声明を発表しました。
日銀の白川総裁、経済財政政策担当の前川氏、財務大臣の城島氏の名前で表明されています。
文書PDF:http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030b.pdf

政府及び日本銀行は、我が国経済のデフレ脱却に向けて下記の取り組みをするとしています。
以下、引用:
1. 政府及び日本銀行は、我が国経済にとって、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であるとの認識を共有しており、一体となってこの課題の達成に最大限の努力を行う。
2. 日本銀行としては、上記1.の課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものであると認識しており、政府が成長力強化の取組を強力に推進することを強く期待する。
日本銀行としては、「中長期的な物価安定の目途」を消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。その際、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。
日本銀行は、『経済・物価情勢の展望』(平成24年10月30日)において消費者物価の見通しを公表した。日本銀行としては、引き続き「1%」を目指して、強力に金融緩和を推進していく。今後の物価動向については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において定期的に報告する。
また、日本銀行は、金融政策運営の考え方を市場にわかりやすく説明していく努力を続ける。
3. 政府は、日本銀行に対して、上記2.の方針にしたがってデフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続することを強く期待する。
政府は、デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠であると認識している。このため、政府としては、足下の景気下押しリスクに対応し経済活性化に向けた取組を加速すべく、平成24年10月17日の内閣総理大臣指示に基づき、経済対策を速やかに取りまとめる。また、政府は、「日本再生戦略」(平成24年7月31日閣議決定)に基づき、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」をダイナミックに動かすため、規制・制度改革、予算・財政投融資、税制など最適な政策手段を動員する。
デフレ状況を含めた経済状況及び経済運営については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において、定期的に点検を行う。
(引用終わり)

ロイター記事では、本共同文書について、「政府と日銀の事実上のアコード(政策協定)だとして、政府が日銀に一段の追加緩和を迫るとの見方もあるが、逆にデフレ構造を変える自覚を政府に迫るもの、日銀法改正などの圧力をかわすために日銀が政府に手厚い配慮を示したもの、といった解釈」があることを伝えています。
また、「金融機関の貸し出しが伸びないのは資金不足のせいではなく、企業の資金需要が低迷していることが主因であることは、日銀も承知している。こうした新制度をあえて導入した点に、日銀の苦しい立場が透けて見えるというのが、エコノミストのもっぱらの評価」との見方を示しています。
・ロイター(2012/10/30)「焦点:日銀追加緩和の効果に厳しい評価、共同文書が思惑呼ぶ」
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPTYE89T08U20121030

日本の金融業の動向を知る 「金融庁の1年(平成23事務年度版)」

金融庁は、「「金融庁の1年(平成23事務年度版)」について」(2012/10/30)を公表しています。
概要: http://www.fsa.go.jp/common/paper/23/index.html
全体版: http://www.fsa.go.jp/common/paper/23/zentai/index.html

金融庁の使命は、日本の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに、公正・透明な市場の構築を任務として、透明かつ公正な行政を実施することにあります。
金融機関の検査を行い、また、金融規制のあり方を決定・推進する強力な機関です。

平成23事務年度(23年7月~24年6月)においては、東日本大震災後の我が国経済・社会の現状を踏まえ、
(1)本格的な復興に向け、前事務年度に引き続き、金融機能の維持等に万全を期すとともに、被災地における二重債務問題への対応も実施
(2)我が国経済に活力を取り戻すための成長マネーの供給拡大策、中小企業金融円滑化法の最終延長やこれを踏まえた中小企業の経営支援のための取組みについて検討を推進。これらの施策は、「日本再生戦略」(24年7月31日閣議決定)に盛り込まれている
(3)国際的にも、世界的な金融危機の再発防止に向けた金融規制改革の議論に積極的に参加
が成果として報告されています。

「金融庁の1年(平成23事務年度版)」の本編は下記の構成になっています。
第1部金融庁の組織及び行政運営
第2部金融に関する制度の企画及び立案
第3部金融監督等
第4部金融検査
第5部国際関係の動き

*かなり幅広い内容になっていますが、金融庁の動向を通じて、日本の金融業の政策動向の全体的な動きが概観出来ます。

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2012年10月29日月曜日

投資信託の販売現場で強引な営業 高齢者とのトラブルが増加中


独立行政法人・国民生活センターが2012/7/28に公表している「年々増加する投資信託のトラブル-元本割れなどのリスクを再確認し、トラブルの未然・拡大防止を-」では、全国の消費生活センターに寄せられる投資信託に関する相談についての報告がされています。
URL: http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120726_1.html
報告書PDFのURL: http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20120726_1.pdf

相談件数は2011年度は1,792件となり、2007年度は929件から年々増加傾向にあります。
「2012年2月には投資信託に関する監督指針の改正が金融庁により行われており、今後は消費者トラブルの増加傾向に歯止めがかかることも期待されるが、投資信託の市場規模は非常に大きく、消費者トラブルの件数自体も非常に多いのが現状」とされています。

相談内容別分類としては、「契約・解約」(契約自体や解約が問題になっているケース)に関する相談が最も多く全体の約8割、「販売方法」(勧誘時の販売方法が問題になっているケース)に関する相談が多くなっています。
「販売方法」に関する相談の割合は年々増加傾向にあります。

相談の具体的な内容ごとの割合で最も多いのは、「勧誘時や契約時に商品の仕組みやリスクの説明が十分でなかった」などといった「説明不足」で全体の35.8%、次いで、「投資信託の契約をしたが解約したい」などといった「解約全般」、以下、「元本割れ」「強引」「返還」という順序になっています。
1位の「説明不足」に関する相談について、さらに内訳を分析すると「解約全般」「元本割れ」に関するものが上位にあがっており、これらの事例を見ると「元本割れをするとは説明されなかった」「元本保証ではないという説明がなかった」などといった相談が多くなっています。
後で「説明と違う」、「聞いてなかった」といったものが多いようです。

相談者の年齢は、70 歳以上が全体の約半数、さらに60歳代を加えると全体の約8割で、高齢者に集中しています。
また、契約当事者は60歳以上の高齢者が多く、契約金額の平均が1,000万円を超えていることも投資信託に関する相談の特徴となっています。

主な相談事例が9つ紹介されています。
事例と内容の要約は下記のようになっています。

(1)説明不足や説明内容に関するもの
【事例1】元本保証と言って「ノックイン型」の投資信託を勧誘された
⇒定期預金よりも利率の高い金融商品があり、しかも元本保証と言われ投資信託を紹介された。後に、株価が下落した際に「株価が一定の金額以下になると元本保証はなくなる」と説明、そのような説明は契約時には聞いていないし、「元本割れの可能性がある」と聞いていたら契約していないとして、補償を求めたい。

【事例 2】分配金が倍になると言われて「通貨選択型」の投資信託を契約したがやめたい
⇒通貨選択型で為替ヘッジのある投資信託を契約。目論見書などは契約後に渡され、後で読んでみるとリスクの高い商品であることが分かった。翌日解約したいと申し出たが、すでに契約書にサインしているので解約できないと言われたが、納得できないので解約したい。

【事例 3】「毎月分配型」の投資信託を契約したが説明と異なる点があり解約したい
⇒定期預金をする予定で銀行に行ったところ、「分配は必ずある」と言われ 投資信託を契約。後から資料に目を通していたら、分配金を出すために元本が減っていくと記載があったが、そのような説明は受けていない。話が違うので解約したい。

【事例 4】家中の資金を集め投資したが、思っていた以上に元本割れし納得できない
⇒毎月分配金が約○万円もらえると、銀行窓口で投資信託を購入するよう勧められた。分配金はもらっているが、元本割れもあり現在の元本は大きく減っている。リスクの説明はあったが、こんなに元本が割れるとは想定していなかった。投資目的の金融商品はそれまで購入したことがなく、予想外の損害額に納得できない。

【事例 5】戦争が起きない限り元本は絶対大丈夫、と言われ契約したが説明と違った
⇒定期預金をする目的で銀行に行った際に、「戦争が起きない限り元本は絶対大丈夫。保証する」などと何度も説明を受け投資信託を契約。その 1 年後、解約しに行ったら大幅に値下がり。、最初の説明と全く違い、だまされたのでないかと思う。

(2)適合性に関するもの
【事例 6】認知症高齢者が仕組みを理解せずに契約したが取り消したい
⇒要介護認定と認知症の診断を受けている高齢の母が、証券会社で投資信託などを契約。母は全く仕組みを理解していない。契約書などは見つからないし、いつから取引をしていたのか分からない。契約を取り消したい。

(3)勧誘方法に関するもの
【事例 7】窓口で勧誘され根負けして契約したが解約したい
⇒定期預金の手続きをしに銀行の窓口へ行ったら投資信託を勧められた。元本割れすると説明されたので、元本保証でないのは嫌だと何度も言ったが、1 時間くらい粘られ、根負けして契約してしまった。解約したい。

【事例 8】自宅に何度も来訪され断れずに契約したが解約したい
⇒何度も来訪や電話で勧誘され、契約しないと伝えたが「変なものは勧めない」などと言われ、結局押し切られてしまった。

(4)解約自体に関するもの
【事例 9】言われるままに契約したが解約に応じてもらえない
⇒株を売買していたに証券会社の担当者が来訪し、株を売って投資信託を購入したほうが良いと勧められ、分かりやすい説明もなく言われるままに契約。

こういった事例からの問題点は、
(1)元本保証ではないこと等リスクについての説明が十分ではない、もしくは契約をする消費者にとって十分ではない。分配金が運用益からではなく、元本を取り崩して支払われることの説明が不十分。「戦争でも起こらない限り大丈夫」も「かたい商品」「プロが運用しているから大丈夫」などといった抽象的な説明をされているケースは、消費者が適切に商品のリスクを認識できないまま契約に至り、トラブルになるおそれがある。
(2)商品自体が複雑で、そもそもリスクの内容等を認識できない。投資信託では契約金額が高額であることも多く、中には本人のリスクの許容度を超えた損失になるおそれもあり、先行きに不安をかかえる高齢者にとって生活の根幹をゆるがしかねないような過大な損失を被るケースも。
(3)認知症高齢者などのように判断能力が不十分な消費者による契約。特に一人暮らしだと、契約している事実が家族や周りの人にも気づかれにくい場合も。
(4)断っているのにしつこく勧誘され、仕方なく契約してしまうこともあり、解約トラブルになることがある。
(5)解約に応じられないというケースも(一定期間は解約を認めないクローズド期間が設けられていないにも関わらず「3 カ月は解約できない」など事実と異なる説明を行っているケースや、「クーリング・オフできないと言われた」という相談があるがそもそも投資信託の契約には金融商品取引法上のクーリング・オフの制度は適用されない
(6)銀行窓口販売の特徴と問題点
①特徴:定期預金など投資信託の契約を元々の目的としていなかった消費者がトラブルに遭っている
②問題点:消費者が望んでいる商品性と一致していない(元本割れへの要求が極めて高いのに元本割れリスクが生じる投資信託の勧誘)
と整理がされています。

消費者へのアドバイスとして、
(1)投資信託は預貯金とは異なり元本保証ではないことを改めて認識し、販売員の説明内容を十分に確認する(確実に元本が保証された商品を希望するのであれば、投資信託の契約は避ける)
(2)リスクや仕組みを十分に理解できず、リスクの程度を適切に測ることができなければ契約しない
(3)自分の収入や資産状況を十分に考慮し自分が許容できるリスクの範囲内で契約する
(4)契約する前に解約条件についてもあらかじめ確認しておく
(5)トラブルにあったら消費生活センターに相談する
といった点が挙げられています。

(関連記事)
2012/10/29 投資信託の販売規制強化 金融庁 投資信託に関する監督指針の改正(平成24年2月)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/242.html

SBI証券 投信積立銀行引落サービスを開始 2012/10/31(水)より

SBI証券が、投信積立銀行引落サービスを2012/10/31(水)よりスタートします。
投信積立の代金を、自分の指定の銀行口座から毎月自動的に引落して買付ができるサービスです。
これにより毎月定額の積み立て投資をしたい人は、いちいち毎度毎度買い付けをしなくても、自動的に銀行から引き落としで行えることとなります。

SBI証券「自動引落でらくらく!投信積立銀行引落サービス開始!」
URL: https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_fund&cat1=fund&cat2=none&dir=info&file=fund_info_121029.html

SBI証券のホームページでは、下記のポイントが掲載されています。
1.投信積立のために証券総合口座へ入金する手間を省ける
2.お申し込みや設定変更はWEB上で完了(書類の郵送などの手間がない)
3.銀行からの引落日を選べる(毎月14日または27日(休業日の場合は翌営業日)のどちらかを選択)
4.金融機関は都市銀行5行を含め、地方銀行、信用金庫など合わせて222行(2012/11/1時点)222行から選べる
投信積立銀行引落サービスご利用可能金融機関:http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/fund/pop690_fund_tsumitate_bank.html
5.積立買付設定可能日は、毎月1日から27日および月末。1ヶ月間のすべての積立設定分が買付対象

個人投資家のブログでも同サービスの開始は好評に受け取られています。
・NightWalker's Investment Blog「SBI証券 投信積立銀行引落サービス開始」
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2012/10/sbi-4f4d.html
・梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー「SBI証券、投信積立銀行引落サービス開始。これは欧米でも珍しい」
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-2139.html

【関連記事】
・2011/2/13 ほったらかし投資術 インデックス投資実践ガイド 山崎元、水瀬ケンイチ/著
http://money-learn.seesaa.net/article/185718948.html
・2011/12/5 インデックス投資のメリット・デメリット ~「退屈」なインデックス投資
http://money-learn.seesaa.net/article/238891935.html
・2012/7/12 長期の資産形成と自分年金の作り方を考える(1)
http://money-learn.seesaa.net/article/280414842.html
・2012/7/12 長期の資産形成と自分年金の作り方を考える(2)
http://money-learn.seesaa.net/article/280577462.html
・2012/7/14 長期の資産形成と自分年金の作り方を考える(3)実際に行う際のいくつかの留意点
http://money-learn.seesaa.net/article/280870898.html

投資信託の販売規制強化 金融庁 投資信託に関する監督指針の改正(平成24年2月)


金融庁から、平成24年2月15日付で、一層の適切な販売・勧誘を促進するための具体的な取組みとして、投資信託の販売・勧誘等に関する監督指針の改正を公表されています。

投資信託に関する監督指針の改正について(PDF):
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/toushi/siryou/20120307/06.pdf

監督指針改正により金融機関に対応が求められる主な内容は、下記の通りとなっています。
・通貨選択型ファンドへの投資経験が無い顧客への勧誘・販売時において、顧客から、商品特性・リスク特性を理解した旨の確認書を受け入れ、これを保存するなどの措置をとる
・市場動向の急変や市場に重大なインパクトを与える事象により投資信託の基準価額に重大な影響を与えた場合において、顧客に対して適時適切な情報提供に努め、顧客の投資判断をきめ細かくサポートする。投資信託委託会社(*運用会社)は、市場動向の急変や市場に重大なインパクトを与える事象の発生時において、運用状況等についてのレポートを速やかに作成し、販売した金融商品取引業者に提供する
・元本の安全性を重視するとしている顧客に対して、通貨選択型ファンドなどのリスクの高い商品を販売する場合には、管理職による承認制とするなどの慎重な販売管理を行う
・契約締結前交付書面の交付の際に、金融ADR制度についての説明を行う。当事者間の話し合いでは顧客の理解が得られない場合や、損害賠償金額の確定が困難である場合には、改めて金融ADR制度について説明を行う
・投資信託の分配金に関して、分配金の一部又は全てが元本の一部払戻しに相当する場合があることを、顧客に分かり易く説明する(*従来、元本の払い戻しについて運用報告書で特別分配金と記載されていたのが、元本払戻金と変更になっています)
・顧客の投資意向、投資経験等の顧客属性等を適時適切に把握するため、顧客カードについては、顧客の投資目的
・意向を十分確認して作成し、顧客カード等の登録内容を金融商品取引業者と顧客の双 方で共有する。顧客の申出に基づき、顧客の投資目的・意向が変化したことを把握した場合には登録内容の変更を行う。投資勧誘に当たっては、当該顧客属性等に則した適正な勧誘に努めるよう役職員に徹底する

2012年10月26日金曜日

政治家もソーシャルメディアでの情報発信手段が重要な時代に 現在の総合トップは橋下徹氏(AMN調べ)


アジャイルメディアネットワーク(AMN)では、自社開発した複数のソーシャルメディアでのインパクトを横断的に測定できる「ユーザーチャート(userchart.jp)」を利用して、政治家のソーシャルメディア利用状況を調査し、政治家のインパクトランキングとして集計した結果を発表しています。
ユーザーチャート(Facebook、Twitter、ブログ、Google+、mixiの利用度からスコアを算出): http://userchart.jp/
アジャイルメディアネットワークのプレスリリース(2012/10/25)AMNが政治家のソーシャルメディアでのインパクトランキングを発表: http://agilemedia.jp/pressrelease/amn_101.html

政治家インパクトランキング: http://userchart.jp/ranking/politics

ベスト10は下記の通り。
1位 橋下徹 / 大阪維新の会(インパクト度数は70ポイント)
2位 河野太郎 / 自民党(69ポイント)
3位 東国原英夫 /無所属(68ポイント)
4位 蓮舫 / 民主党(68ポイント)
5位 原口一博 / 民主党(68ポイント)
6位 片山さつき / 自民党(66ポイント)
7位 山本一太 / 自民党(65ポイント)
8位  世耕弘成 / 自民党(64ポイント)
9位 福島みずほ / 社民党(64ポイント)
10位 石川知裕 / 新党大地・真民党(64ポイント)

ソーシャルメディアの普及に伴い、政治家がツイッターやフェイスブック、ブログを活用してリアルタイムに情報を発信したり、有権者と直接コミュニケーションを取ったりする機会が増えてきています。
ランキング上位の政治家に関しては、複数のソーシャルメディアを使いこなしながら、情報発信だけを積極的に行うのではなく、有権者からの質問に対してもソーシャルメディア上で返答するなど、コミュニケーションツールとして積極的にソーシャルメディアを活用していると分析されています。

政治家ランキングTOP100の各ソーシャルメディアの利用率を調査した結果、Twitterの利用率が98%ということで最も高いという結果に。政治家のTwitterアカウントは全体的に一般企業のアカウントと比較すると休眠アカウントと分類されるような発信を行っていないアカウントは少なく、何らかの情報を積極的に発信しているアカウントがほとんどを占めているということです。
また、運用スタイルは、運営スタイルを見た場合、有権者と積極的にコミュニケーションをとる政治家もいれば、ブログの更新情報などを中心に発信している政治家もいるなど活用方法はそれぞれ異なっているとのことです。
総合トップの橋下徹氏のTwitter @t_ishin は、2012/10/26時点で88万1千人のフォロワー。
2位の河野太郎氏( @konotarogomame )は、20万7千人と、フォロワー数では橋下氏がダントツのようです。

野田佳彦首相に関しては個人のTwitterおよびFacebookのアカウントは公式情報上になく、官邸が運営する「野田総理官邸ブログ【官邸かわら版】」等を計測したところ、トップ100から漏れる結果となっています。
官邸オフィシャル、官邸かわら版: http://kawaraban.kantei.go.jp/

政治家の中でもソーシャルメディアを自身の政治活動の情報発信手段として上手く使いこなせる政治家と、そうではない政治家のネット上での情報蓄積・拡散における格差が広がるのではないかと指摘されています。

バンガード本社報告会の概要メモ


ブログ "いい投資"探検日誌 from 新所沢 の2012/10/26付記事「竹川美奈子さんのバンガード視察ツアー報告会に参加しました」では、竹川美奈子さんがバンガードの本社を訪問した報告会の内容がアップされています。
記事URL: http://shintoko.asablo.jp/blog/2012/10/26/6612674

~ポイントをピックアップメモ~
・概要
バンガードでは勤続年数の長い社員が多い。
理念を理解していて自分がそれに沿った役割を担っていると理解して行動している。
顧客に対してメッセージを伝えるのが大事。
バンガードがベストだと信じているから親や知人にも薦められる。
今売れるものではなく、10年20年必要とされるものを提供する。
顧客優先の考え方。
徹底したコスト削減。
ファンドがバンガードの株式を保有しているという特殊な構造。株主のため=ファンドに投資している投資家のためになり、利害が一致する

・販売チャネル
DC,DBの年金関係が30%、IFA経由での販売が23%、残りの47%が直販。
半分以上は外販
販売会社に手数料(コミッション)を払わない。米国FAは顧客資産に応じたフィーでもできるようになった事で顧客と利害が一致。顧客資産を増やすことに専念させる。相場にぶれが生じるので安定した運用を。

・徹底したコスト削減
投資家とのコンタクトはWebや電話を重視。Webに誘導してコストを下げる。ITには予算の三割を割り当て
個人投資家の90%はオンライン経由でのつながり(電話は1日30本くらい)
ニュースレターの開封率が25-30%と高い
広告宣伝費をあまり使わない。ネットプロモータースコア(あなたは友人や家族に勧めますか?10~0までの11段階評価で10,9の合計から6~0までのスコアをマイナスする)が高い。富裕層だと80%が10,9を出す高い満足度
目論見書などの印刷から発送まで自社工場でオートメーション

・顧客向けサービス
投資家を投資資産に応じてセグメント分け
担当者がついているが対応はあくまでも電話とWeb。対面ではない。主にポートフォリオマネジメントや節税についての相談にのる。担当者は経験が長い人が担当
エモーショナルなナビゲーションにシフトして満足度が向上した。家族の話を聞いたりもする。しかし、95%はWeb

【関連記事】
・2012/9/16 バンガード 米大手のETF運用会社 理念は「長期・分散・低コスト」「顧客第一」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/etf.html
・2012/9/30 理念への共感を呼び少しずつ根付く直販の独立系投信 運用規模や実績が課題
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_30.html
・2012/8/31 米国で支持されるETF運用会社はバンガード 日本での取り扱い拡大に期待
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/etf_31.html

2020年、2030年の不動産価格・地価の見通し 関西圏は厳しい、首都圏は3つのポイント


ダイヤモンドオンラインでの船井総合研究所・上席コンサルタント吉崎誠二 氏による「2020年日本の不動産価格・地価を大胆予想!3分で読める人口予測と地価予測の概略」では、地価や住宅価格がどう変化していくかが解説されています。
URL: http://diamond.jp/articles/-/16201

ポイント
・2020年にかけて日本の人口は徐々に減っているものの、社会の仕組みや経済、東京、大阪などの大都市圏の様子にそれほど大きな変化はないだろう。ただし、すでに日本海側のいくつかの県や四国の県などで人口が大きく減っているように、地方都市では人口が大きく減ると予想されている。もしかすると、県と県を統合するという話が現実のものとなっているかもしれない
・2030年にはかなり大きな変化が起こっていることだろう。なんといっても、東京を含めた日本のほとんどの県で人口減少が起こり、秋田県などは現在から4割近くも減少すると予想されている。世帯数も2015年の50600世帯をピークに減少が始まる
・3大都市圏と沖縄を除く、地方各県・各都市の商業地の地価は、多少の上下はあれども値下げ傾向にあり、これらの地域の小売業は、相当厳しい経営環境になることは間違いない。とりわけ商業施設は上昇可能性は非常に低い。地方の住宅地は商業地ほどではないにしろ、地価が今よりも浮上する可能性は少ない
・関西エリアの不動産価格・地価の下落傾向は止まらないだろう。かつては九州や四国エリアからの流入が多かったが、1990年代後半を境にその人々は首都圏へ向かってしまっているし、その上、関西在住の人々の首都圏への流入が続いている。人口流入が増えなければ、橋下氏がどれだけ行政改革を行っても関西の不動産価格・地価が上昇する可能性は低い
・首都圏全体の人口流入数は多く、人口増は2020年代まで続く見通し。地方の疲弊化により首都圏へ流入するタイミングで最も多い高校卒業の18歳から24歳の親からの援助が厳しくなると、首都圏でさえも人口減少時代に予想よりも早く突入するかもしれない
・首都圏の不動産価格・地価の動向を予測するのは他のエリアに比べて難しい。人口流出入が激しく、目まぐるしく変化する都市環境よって付加価値が上下しやすいうえに、原因となる状況が読みにくい。予測するポイントは1、人口流入・人口増が予想どおりなのか?、2、原発・震災がにどのくらい影響を与えるか。首都地震は起こるのか?、3、中国人富裕層の首都圏マンションの高い購買意欲が続くか?の3つ

2012年10月25日木曜日

ライツ・イシューの概要と課題 日本で2件目となるエーディーワークスが進行中

NRIの大崎貞和研究員による論説「ライツ・オファリングは定着するか」と「関心高まるライツ・イシュー」では、ライツ・オファリングについて解説がされています。
ライツ・オファリングは定着するか: http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/2012/20121023.html
関心高まるライツ・イシュー: http://www.nri.co.jp/opinion/kinyu_itf/2010/pdf/itf_201003_3.pdf

ライツ・イシューは、株主割当増資の変形で、増資発表時点の既存株主が新株予約権(ライツ)の割り当てを受け、新株予約権の行使により増資資金の払い込みを行うことで既存の持分を維持できる増資手法。また、新株予約権自体が一定期間上場され、増資資金の払い込みを行わない場合にはライツを市場で売却できる点が特徴です。
ライツ・イシューは、会社法が既存株主による優先的新株引受権を保障するイギリスを始め、ヨーロッパ諸国では一般的な増資手法とされています。

(*ライツ・イシューの流れ)
既存株主に新株予約権(ライツ)の割り当て
⇒①権利行使⇒新株予約権を行使し、会社へ増資資金の払い込みを行う⇒持株比率の維持、会社は資金を調達
⇒②権利行使しない⇒新株予約権を市場で売却(コミットメントがあれば証券会社が引き受ける)⇒新株予約権を買った投資家が権利行使し、会社へ増資資金の払い込みを行えば、会社は資金を調達。誰も権利行使しないと会社は資金を調達できない


日本では、第三者割当てをめぐって、既存株主の持ち分権を著しく希釈化したり、支配株主の異動を伴ったりするケースが相次いだことが問題視され、2009年8月以降、取引所ルールにより株主の納得性を高める措置を講じることが求められるなどの規制が強化されました。

日本でのライツ・イシューの資金調達は2012年10月現在で2件。
1件目が2010年3月から5月にかけて実施されたタカラレーベン。
2件目が2012年10月2日に発表された進行中の案件であるエーディーワークス。
エーディーワークスでは、10月17日に既存株主への割当を実施し、ライツを大証市場に上場(コード 32509)しました。エーディーワークスのライツは12月7日まで大証市場で取引され、12月14日まで行使可能となっています。

証券会社等による新株予約権の行使についてのコミットメントの付与はポイントで、日本の2例ではノン・コミットメント型ライツ・オファリングとなっています。新株予約権の権利行使がされないと会社に増資資金が入らないこととなるため、「とりわけ大規模な資金調達が行われる場合、安定的な調達の実現への不安が残ることは否定できない」とのことです。

大崎研究員は、「タカラレーベンのケースでは、新株予約権の行使比率は95.7%と高く、しかも株主数が実施直前期末の7179人から実施後の期末には7718人に増加し、筆頭株主である社長の持株比率が約35%から約25%に低下するなど、資金調達と株主構成の多様化という狙いをコミットメント無しに達成できた」と一定の評価をしています。一方、「とはいえ、ノン・コミットメント型では、とりわけ大規模な資金調達が行われる場合、安定的な調達の実現への不安が残ることは否定できない」と課題を提示しています。

エーディーワークスもタカラレーベンのように高い行使比率となれば、「ライツ・オファリングは、ノン・コミットメント型のまま、それほど規模の大きくない上場企業の資金調達に活用されるという「日本型」とも言うべき形で定着していくことになるのかも」との展望が示されています。

また、既存株主は、公募増資に際して持株分の引き受け(確実に希望の数量の割当を受けられるとは限りませんが)や市場買い増しをすれば、持ち株比率は維持できるし、ライツ・イシューで時価を下回る新株発行は株価を下落させるので(*権利行使を促すよう、増資発表時点より低い権利行使価額を設定します)、既存株主が発行決議時点の時価と発行価額の差額を享受するわけではないとも指摘しています。
予約権の行使には現金が必要であるため、零細な個人株主の行使率はかなり低くなることを見越して、予約権に取得条項を付しておき、発行会社が、取得した未行使の予約権を投資ファンドなどに一括売却すれば、会社法の有利発行規制や東証の第三者割当増資規制を潜脱するような資金調達も可能になりかねないと、悪用の可能性も指摘されています。

エーディーワークスIR
2012/10/2
・ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ
http://contents.xj-storage.jp/contents/32500/T/PDF-GENERAL/140120120930011857.pdf
・ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)に関するご説明(Q&A)(一般投資家様用)
http://contents.xj-storage.jp/contents/32500/T/PDF-GENERAL/140120120930011861.pdf
・ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)に関するご説明(Q&A)(株主様用)
http://contents.xj-storage.jp/contents/32500/T/PDF-GENERAL/140120120930011860.pdf

2012年10月22日月曜日

企業年金とは何か?確定給付企業年金や確定拠出企業年金といった仕組みを知る


前回は、サラリーマンが共通して老後もらえる年金である国民年金と厚生年金について学びました。
・2012/10/21 日本の年金制度と国民年金(老齢基礎年金)・厚生年金について
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_21.html

今回は、「企業年金」についてです。
東証一部上場のようなほとんどの大企業では、各企業独自で企業年金制度が用意されています。
いわゆる、1階部分の国民年金、2階部分(被用者年金)の厚生年金に加えて、企業年金は、3階部分と言われるものです。

自分の会社の年金額をチェックしたり、自分の会社の年金制度については企業年金制度は入社時等に説明を受けるはずですが、忘れてしまったり詳細は分かっていないという場合には、人事・総務部などに問い合わせたり、社内規定を閲覧することです。一般には就業規則ないし退職金規程にその説明が書かれています。企業年金の場合、退職年金規定とか企業年金規約といった形で別途定められていることが多いようです。
「今辞めたらいくらか?」と不用意に聞くと「こいつ会社辞める気か?」と思われる恐れもありますので、「今の調子で定年まで勤め上げたらいくらくらいなのか?あと参考までに今の時点でいくらなんでしょう?」みたいな感じで、変な誤解を招かないように確認すると良いでしょう。

企業年金のもらい方も、有期(何歳から何歳までともらえる期間が決まっている)、終身(長生きする限り死ぬまでもらえる)、一時金(退職時にドカンともらう)などがあり、それぞれの組み合わせ方も企業によって定まっています。

一流企業で年金制度の厚い会社では、老齢基礎年金と老齢厚生年金だけで多い人は月額25万円程度あり、企業年金でさらに月額20~25万円程度プラスといった水準になるようです。

企業年金は主に、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金という種類があります。
加入者数では、平成23年3月時点で、厚生年金基金は451万人、確定給付企業年金727万人、確定拠出年金(企業型)371万人となっています。

○厚生年金基金
厚生年金に、企業独自の上乗せをして積み立てをするイメージです。
中小企業を中心に、業界団体が制度運営を行う、総合型の厚生年金基金というものが主流となっています。
国の年金給付のうち老齢厚生年金の一部を代行するとともに、厚生年金基金独自の上乗せ(プラスアルファ)を行い、年金資産を管理・運用して年金給付を行います。
企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて設立する法人が主体となります。

○確定給付企業年金
従業員が将来受け取る年金額が決まっている年金制度です。
将来受け取る企業年金の原資は、会社とは別の企業年金基金に外部積立されます。企業年金として積み立てられたお金は将来の年金か一時金の支払いのためにしか使えないお金として厳密に区分され、仮に会社が倒産したとしても、積み立てられた額は守られます。
企業は掛け金として企業年金基金へお金を出します。毎月の掛金は会社の経費として認められるほか、資産運用収入については非課税であるなど、会社にとってもメリットがあります。

○確定拠出企業年金
いわゆる日本版401kとかDC(Defined Contribution Planの略)とも言われるものです。
年金は、企業が基金に掛け金を納めて、基金が何十年もの間、年金の支払時まで運用を行い、実際に年金として支払う仕組みになっています。
確定給付との違いは、確定給付は将来年金としてもらう金額が決まっている(掛け金から運用し、年金の支払いの際に足りなかったら会社が足りない分を負担することになる)のに対して、確定拠出制度は、企業の掛け金が確定していて(拠出が確定しているので「確定拠出」)将来のもらえる年金受給額は、従業員が自分で選んだ運用方法により将来受け取る年金額が決まってくることとなります。
運用は従業員の自己責任となるわけです。在籍中の運用期間においては運用益が非課税というメリットがあります。

*企業年金については、金融広報中央委員会のサイト「知るぽると」のサイトで詳しく説明されています。
http://www.saveinfo.or.jp/life/nenkin/kigyo/index.html
第1章 企業年金って何でしょう?
第2章 あなたの入っている企業年金は何でしょう?~自分が入っている企業年金を調べる方法~
第3章 それぞれの企業年金を詳しく見てみましょう
第4章 それぞれの企業年金の給付と給付手続きはどうなっているでしょう
~企業年金の給付の種類と受け取る場合の手続き~

積立投資をすること意義は何か

Active Indexさんのブログ記事「積立投資にするべきか一括投資にするべきか」では、積立投資の効用について考えています。
記事URL: http://activeindex.blog101.fc2.com/blog-entry-41.html

積立投資は、自分に見合った金額で、一度自動積立を設定しておけばあとはコツコツと将来に向かって自分のお金を増やすべく投資を続けてくれるもの。

積み立て投資は、ドルコスト平均法による「時間分散」の効果があるとよく言われていますが、「ドルコスト平均法はエントリータイミングの分散による取得価格の安定化がそもそもの考え方であり、長期継続的な積立投資におけるリスクの低減や収益の向上を謳ったものではない」と説明をしています。
また、「お金を貯めてから投資しよう」ではなく、「積立投資は少額づつながらも少しでも早い段階から投資を行い投資期間を少しでも長期化しようとする行為」でもあり、積立投資をじっくり行うことで、まとまったお金がなくても徐々に投資の果実を得られるという効果も挙げられています。

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2012年10月21日日曜日

株式投資 利食いと損切りの売却タイミングを探る


日経ヴェリタスの2012/10/21号では、「「売り」を極める 株式投資 次に備える心得」として、正しい売り方に着目した特集になっています。
利益を確定する「利食い」も、損失を限定するために確定する「損切り」も、投資収益を安定させて投資を継続していくためには欠かせないが、実践するのは難しいとしています。

一定期間において購入から3ヶ月をタイムリミットとし、一定期間の全営業日で株式を取得したと想定、期間内に利益確定の基準を1%刻みで設定し(期間内に利益確定の基準に達しなかったら売却)、損益を平均した売買シュミレーションをした結果が紹介されています。
ボラティリティ(株価の変動性)は概ね30%を基準に高低を判別し、ボラティリティが高いものは'利食い急ぐな'で大きく値上がりしたところで利益を確定し(ボラティリティの高い11銘柄では良いパフォーマンスは32%上昇を利益確定の基準にした場合だった)、ボラティリティが低いものは早めに利食いをすることがシュミレーションの結果としては良かったようです。

損切りの心理としては、マイナスが出ているときに損失を確定出来ずに損失処理を先延ばししてしまう心理的な誘因があるため、塩漬けにしてしまうがちであることに関して、損切りの判断基準を設けるべきということです。
マーケットのプロでも損切りルールは必要で、「損切りこそが株式投資の究極の技術」と紹介されています。
損切りの方法としては、短期トレーディングでは、値下がりの数値的な基準を作り、下落率やテクニカル指標(例えば株価が移動平均線を下回ったら売却)によって損切りをする。長期運用では、株価の変動ではなく「企業価値の変化」を見て、購入後に企業価値が悪化したのなら株価に関係なく売却すべきで、当初の企業価値への見方が変わっておらず株価が下がったのならむしろ買い増しを検討することも考えられます。

(*本当は短期トレーディングの予定だったのに値下がりした時に長期運用へ心を切り替えるのは結局「塩漬け」にするだけですので、注意が必要です。)

日本の年金制度と国民年金(老齢基礎年金)・厚生年金について


年金制度について学んでいこうと思います。

日本の年金制度は下記の通りになっています。





















(企業年金連合会「企業年金にはこんな制度があります」より URL: http://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkin_tsusan/nenkin_tsuusan01.html)

民間企業の会社員(サラリーマン)の場合、共通して国民年金、厚生年金がもらうことが出来て、あとは、会社の年金制度の有無によって、厚生年金基金や確定給付企業年金or確定拠出企業年金による年金が追加で支給されることとなります。
民間企業の会社員は、第2号被保険者というところに区分されます。

共通してもらえる年金について
一般に言われる老後の年金は老齢年金と言います。国民年金の「老齢年金」と「厚生年金保険」の「老齢年金」が有り、それぞれ正式には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」と呼びます。

○国民年金(老齢基礎年金)
国の年金制度(公的年金)に加入して、受給資格期間を満たした人なら、国民の全員がもらえる老齢基礎年金です。
20歳から60歳まで40年間、全ての期間、保険料を納めた人については、年間で788,900円(平成23年度価格)の年金が支給されます。
民間企業の会社員は給料から引かれて支払をしていることになります。厚生年金保険や共済年金に加入している人(第2号被保険者)は、国民年金の保険料を直接納めてはいませんが、第2号・第3号としての被保険者期間も、国民年金の保険料を納めた期間(保険料納付済期間)となります。

○厚生年金
民間企業の会社員が自動的に加入している制度です。法人事業所は、従業員の人数に拘わらず、必ず加入することが求められています。
給与天引きで「厚生年金保険料」という名前で差し引かれているのがこの厚生年金です。
保険料は、被保険者(労働者)の収入の16.412%(2011年9月現在の料率。2004年10月以降2017年9月まで、毎年9月に0.354%ずつ引き上げられる)ですが、労働者と企業(雇用主)とが半分ずつ、つまり8.206%ずつ負担することとなっています。(給与からは8.206%が差し引かれています)

厚生年金は国民年金に相当する固定部分(基礎年金部分)と報酬比例部分に分けられます。報酬によって支払う金額が比例的に増減し、もらえる金額に影響します。
厚生年金は所定の年齢に達して受給する段階では「老齢厚生年金」(2階部分)と呼ばれ、国民年金の受給分である老齢基礎年金(1階部分)を含めて老齢厚生年金と呼ばれます。
老齢厚生年金は、65歳以上の者で保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であることを条件に支給されます。

(参考)
日本年金機構の老齢年金の支給額を説明したページ: http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3902

2012年10月20日土曜日

アメリカ経済は各種経済指標面で回復基調 目先の焦点、大統領選挙の行方と「財政の崖」の見通し


ニッセイ基礎研究所の2012/10/19付レポート「回復見せる米経済に、懸念大きい「財政の崖」問題」では、米国経済の足元の状況及び今後数ヶ月の見通し(特に、「財政の崖」問題の見通し)について報告されています。
PDFリンク: http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2012/we121019us.pdf

サマリー:
<米国経済の概況~全般持ち直しの動きに>
・米経済は 4-6 月期に入ると欧州債務問題の影響等により減速を見せたが、7-9 月期は景気持ち直しの動きが進行
・設備投資や輸出の鈍化で 7-9 月期GDPは、前期に続き年率1%台と弱めの成長が見込まれるものの、長らく低迷していた住宅投資が回復の勢いを加速するなど回復方向への期待を高めている
・雇用者増や小売売上高、ISM指数の回復のほか、自動車販売台数も5月をボトムに回復、住宅市場指数や住宅着工で数年ぶりの水準を回復、住宅価格(ケースシラー20 都市指数)でも7月まで6ヵ月連続で上昇するなど主要な経済指標に改善の動き
・半面、大統領選を間近に控え、手つかずの「財政の崖」への対応が、米景気の先行きに影を投げかけている

<大統領選挙の行方と「財政の崖」>
・11月6日の大統領選直前に開催されたテレビ討論が両候補の支持率を拮抗させるなど、今後の状況が注目
・オバマ大統領は一回目の討論に失敗した後、二回目は巻き返したとされる。
・「財政の崖」については、現議会で対応しなければ、ブッシュ減税の期限切れや予算管理法の発動等により、前年度比で合計約5千億ドルに昇る増税・歳出減が実施されることとなるが、法案の期限を先送りするとしても、選挙後の短期間で解決するとは思えず、「財政の崖」が部分的に実施される可能性もある。国債の債務上限引き上げで市場に大混乱を引き起こした昨夏の例もあり、市場の警戒感は強い
・大統領選と同時に行われる議会選挙も今後への影響が大きい。共和党の優勢が伝えられており、大統領再選の場合、今後も議会とのネジレが続くこととなる。新体制の政策決定への影響だけでなく、選挙直後の「財政の崖」への取組みにも大きな影響を及ぼしそう
・ニッセイ基礎研究所のレポートでは、選挙の結果次第で「財政の崖」の先送りに関する条件闘争も変わるが、一部の実施はあっても太宗は先送りされるだろうと見ている。ただし、政権と新議会のネジレが続くのであれば、先送り後の審議でも合意は難しく、この問題は中期的に決着が先延ばしされる懸念を含んでいると言えそうだとしており、注意が必要。

また、政策課題と各候補・党派の主張についての比較表も付いています。(レポートP11)
共和党&ロムニー候補の政策で見た場合、金融政策に影響がありそうです。
共和党&ロムニー候補の政策では、
①バーナンキ議長&金融政策では、非伝統的政策に反対→FRB監査法議決か、議長再任を否定(オバマ大統領はFRBの金融緩和策を支持しており、基本的には議長再任とみられる(任期は14年1月末))
②金融規制法では、同法に反対(オバマ大統領はドッド・フランク法の法整備を急いでいる)

【関連記事】
・2012/10/15 アメリカ景気の急激な悪化が心配される問題「財政の崖」とは
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_15.html

欧米主要国における直近の税制改革の動向(2012年5月現在)

財務総合政策研究所の2012/10/20掲載レポート「財政金融統計月報第722号<租税特集>」では、欧米主要国における直近の税制改革の動向(2012年5月現在)を全19頁でかなり詳細に概観されています。
PDFリンク: http://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou/g722/722_a.pdf

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの各国について、
構成は、
Ⅰ.最近の税制改正を巡る状況
1. 政 治、2. 経 済、3. 財 政
Ⅱ.2011年及び2012年における税制改革に係る動き
Ⅲ.2013年度予算教書における税制改革案
となっています。

(関連記事)
・2012/10/15 アメリカ景気の急激な悪化が心配される問題「財政の崖」とは
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/blog-post_15.html

日本の会社が払っている国税は9兆5千億円 黒字会社の比率は25.9%


国税庁より、平成24年10月付で「平成23事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」が公表されています。
平成23事務年度における法人税、源泉所得税の申告(課税)事績をまとめたものです。
URL: http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/hojin_shinkoku/01.pdf

申告件数は276万社、申告所得金額合計は37兆円、申告税額の総額は9兆5千億円となっています。
前年度の平成22年度に比べ、申告所得金額合計は1兆1047億円(3.1%)、申告税額の総額は1496億円(1.6%)増加し、2年連続の増加となったようです。

リーマンショック前の平成19年度では申告所得は50兆円を超えていましたが、平成20年度以降は40兆円を割り込んでいます。



















表:法人税の申告所得金額の推移(国税庁より)


「日本の会社はほとんどが赤字」とよく言われますが、件数ベースでは申告件数276万社のうち、黒字申告割合は25.9%となっています。
平成4年以降から黒字申告割合は減少してきており、やはりリーマンショック後の平成20年度以降はさらに落ち込んでいることが見られます。


















表:法人税の黒字申告割合の推移(国税庁より)


ただ、25.9%の黒字申告会社の申告所得合計で37兆円となり、黒字申告の1件当たり平均は5209万円の所得となっています。一方、赤字申告会社の申告欠損合計は21兆円で赤字申告の1件当たり平均は1061万円となっています。
数の上では少ない黒字申告会社が日本全体の法人税を支えている姿が見て取れます。

2012年10月19日金曜日

インターネット証券6社の合計口座数は700万件 60代以上の増加が徐々に増加


日経(2012/10/18)の記事「ネット証券口座700万件に迫る 「老後に備え」需要で 9月末、大手6社で696万件」では、インターネット証券の口座数が拡大を伝えています。

日経新聞がSBI、楽天、マネックス、カブドットコム、松井、GMOくりっくの大手6社の2012年9月末時点での大手6社の口座数(GMOくりっくはFXの取引口座)を聞き取りをもとに集計したものです。
2010年9月ではおよそ600万件、2011年9月ではおそよ650万件となっており、年間50万件程度がネット証券の新規口座開設のトレンドのようです。
いずれの証券会社も、1年間で数%~10%程度の増加ということです。

世代別の口座比率では、60代以上が17%とここ4年で3ポイント上昇、一方、30代以下の比率は同期間に4ポイント下がり、4割を下回ったとのことで、高齢者もネット金融に徐々に利用が広がっているようです。

日経記事では、口座数の拡大の背景は「退職後の生活に備え、新たに口座を開く高齢者が増えているためだ。株式相場が低迷するなか、予想配当利回りの高さに注目し、小口資金でも国内外の不動産に投資できる投資信託などを買う傾向が強いようだ」と分析しています。

グローバルREITが好調 金融緩和が追い風、純資産価格との比較ではまだ割高感はなし


日興アセットマネジメントの楽読(ラクヨミ)2012/10/17号「魅力ある投資先として注目集まるグローバルREIT市場」は、グローバルでREIT指数が株式をアウトパフォームしており、好調な様子を伝えています。
URL: http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/rakuyomi/pdf/raku121017_01.pdf

世界株式およびグローバルREITの価格推移と、国・地域別のREIT価格とNAVとの比較(NAVプレミアム・ディスカウント)の表が示されています。











(表:日興アセットマネジメントの楽読(ラクヨミ)2012/10/17号「魅力ある投資先として注目集まるグローバルREIT市場」より)




ポイント
・グローバルREIT市場の年初から2012/10/16までのパフォーマンスは、約+21%となるなど、世界株式を上回る良好な結果。

背景は2点:
・REITは投資先の不動産から生じる賃料収入を分配金の主な原資だが、経済動向や企業業績の見通しが困難な中、て安定した分配金が期待できる収益構造が不透明な投資環境にある中でも、投資家に選好されたとみられる
・各国中央銀行が金融緩和を進める中、各国REITの資金調達環境が比較的良好であることや、国債利回りが大きく低下したことで、グローバルREITの分配金利回りの魅力が一層高まったことなどが価格上昇を後押しした

見通し:
・2012年9月末時点でのNAVプレミアム・ディスカウント(国・地域別のREIT価格とNAV(純資産価格)を比較した指標)では、米国を除く多くのREIT市場においてREIT価格がREITの純資産価値よりも低く、、当指標からは割高感はみられない
・、米国を始めとした不動産市況に緩やかながらも回復の兆しが見えはじめていることなどもあり、グローバルREIT市場は、引き続き魅力ある投資先

2012年10月18日木曜日

金融の世界に必要な聞き手の理解を高めるフォーカス力と分かりやすく説明する力


内藤忍の公式ブログ(2012/10/17付)「資産運用の世界には、10人の「池上彰」さんが、必要だ」では、お金の話は素朴な疑問に、明快に答えてくれる人はなかなかいない中、池上彰さんの伝える力の分析をし、またその分かりやすく伝えることの重要性を説いています。
http://www.shinoby.net/2012/10/post-2779.html

(以下、メモ)
・「何が聞き手の興味のポイントなのかを絞り込むフォーカス力」
・「どんなコンテンツでも、かみ砕いてわかりやすく説明できる咀嚼(そしゃく)力」
・聞き手が何を知りたいかを熟知して、それにフォーカスしたコンテンツを入念に準備できている。先回りして、聞き手の興味を外さない。その上で専門家の視点ではなく、聞き手と同じ目線で説明をしていく。この方法なら、知識では勝っている専門家より、聞き手の理解を高めることができます。
・厳密性が求められる金融の世界では、「わかりやすい」よりも「正しい」が優先されてしまう傾向があります。日本人のお金に対する理解が進み、多くの個人投資家に投資について関心を高めてもらうためには、資産運用の世界にも「池上彰」さんが、10人くらい必要ではないか
・金融には正解はありません。円高になるのか、円安になるのかといっても、それぞれの可能性に理由があって、「絶対」は無いのです。しかし、絶対がないからといって、両論を併記しているのでは、コンプライアンス的には正しくても、説明された人には複雑でダラダラと長すぎて、すっきり理解はできません。



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資産クラス(アセットクラス)別のリスク・リターン・相関係数

アセットアロケーションについて考えていくにあたり、資産クラス(アセットクラス)別のリスク・リターン・相関係数のデータで良いのがないのかを探したのですが、あまり「これだ!」というものが見つかりませんでした・・・
参考になりそうなものを一旦メモします。


○モーニングスター(2010/10/14)「長期分散投資には「必須」の国内債券」
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2010/4q/MFA120101014.html?id=c3abb6f4c230f266f7e7add21baa106de3d259290e263db71f9a03d586377f67ccd19cf76309e4da97a89274c4d0b6df1b9e18d55d266b27129c6915bcdf62d0
(図1)主要類似ファンド分類のコスト、リスク、リターン比較(2010年9月末基準)
・5年間のリスクとトータルリターン
・国内、国債、株、債券で細かく分かれている
(図2)主なファンド分類の相関係数(2010年9月末基準)
・類似ファンド分類インデックスの5年月次リターンに基づく相関係数

また、モーニングスター「相性(組み合わせ)のよいファンドを選びましょう。」では、基準となる資産クラスの分類から、相性の良いカテゴリーを検索するというサービスも提供されています(データは各カテゴリーの5年間における月次リターンから、相関の低いカテゴリーを優先して表示)。
URL: http://www.morningstar.co.jp/fund/CategorySearch/bin-release/funddata/searchf_3.html

○野村アセットマネジメント「投資環境レポート」(2008/2)
http://www.nomura-am.co.jp/market/report/invest/pdf/117.pdf
1997年2月から2008年1月までの円建て各資産クラスの相関係数
・グローバルリートや商品を含んでいる

○山崎元の「ホンネの投資教室」(2010/11/5)「第137回 インデックス・ファンドのアセット・アロケーション」
http://plaza.rakuten.co.jp/isyamazaki/diary/201011050000/
・日本株、先進国株、新興国株、国内債券、外国債券のリスク、リターン、相関係数、アセット・アロケーションの計算結果例まで解説

○ファンドの海(2010/5/8)「過去の日本株式、海外株式、日本債券、海外債券の時系列データを探してみた」
http://www.fund-no-umi.com/blog/2010/05/post-72a2.html
・資産クラスの時系列データの情報源を調査
・日本株式(TOPIX)、日本債券(野村BPI)、先進国株式(MSCIコクサイ)、新興国株式(MSCIエマージング)、海外債券(シティグループ世界国債インデックス)

○世界株式はアセットクラスとして有効か?NLI Research Institute REPORT December 2010
http://www.nli-research.co.jp/report/report/2010/12/repo1012-2.pdf
・[図表-3]株式の国内比率が10%となる外国株式の期待リターン
・[図表-4]国内株式・外国株式の合成インデックスと世界株式インデックスのリスク・リターン

○SMBC日興証券「NLI Research Institute REPORT December 2010」
http://www.smbcnikko.co.jp/products/special/china/pdf/110608_2.pdf
・イボットソンの金融理論から、リスクは過去の価格変動等から、期待リターンは過去の実績や一定の経済条件から独自に推計した結果をプロット






2012年10月17日水曜日

払済保険 解約返戻金が今まで支払った保険料の総額を下回るが払い続けたくない場合の選択肢

マイナビニュースのベテランFPが"こっそり"教える、知ってトクする保険の話の2012/10/17付の記事「保険を解約せずに保険料負担をなくす「払済保険」とは?」では、入っている生命保険を解約することなく、しかも保障期間はそのままで、以後の保険料負担をゼロにする「払済保険」について解説されています。
記事URL: http://news.mynavi.jp/column/insurance/008/index.html

加入している生命保険を整理して保険料負担を下げたい場合、解約がありますが、解約すれば当然保障もなくなります。
「払済保険」は、既契約の保障を一部残して、保険期間は変えず、以後の保険料の支払いをストップする方法です。
ただし、保障額が減額になり、特約もなくなります。
「払済保険」に変更できる保険は、終身保険、養老保険、学資保険(こども保険)など、解約すれば「解約返戻金」をもらえる貯蓄性のある保険で、定期保険など掛け捨ての保険を「払済保険」は対象外となります。

記事では、37歳から現在の44歳までに支払った保険料の総額は約69万円ですが、解約して戻ってくるお金は約40万円、払済保険」にすると死亡保険金が500万円から約72万円に減額になるような場合が説明されています。

(*保険を見直す際に、既に過大な保険に入ってしまっていると思ったが、保険料の総額よりも相当少ない解約返戻金しか戻ってこない場合で、今後の支払いは止めつつ少しでも保障を残そうという時には「払済」という選択もあるのかと思います。)

生命保険の「罠」 (講談社+α新書)
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2012年10月16日火曜日

日本の年金制度は16カ国中14位(マーサージャパンによる評価) 高齢化の進展で現役世代に過剰な負担、現在の年金制度を持続は困難


マーサージャパン株式会社では、田渕祥之氏 (年金・財務リスクコンサルティング)によるコラム「世界の年金制度と比較する日本の年金制度~「メルボルン・マーサーグローバル年金指数」」を公表しています。
URL: http://www.mercer.co.jp/survey-reports/1427785

「老後の年金は大丈夫なのか?」と心配になる日本の年金制度。
少子高齢化が進んでいる中、自分の世代が退職した後に必要な年金を受け取ることができるのか。そもそも、年金システム自体が存続できるのか。

問題は、医療の発達による平均寿命の増加等により世界規模で高齢化が進んでおり、日本だけではなく、世界的に各国の課題であるとのことです。
日本の年金制度は世界の年金制度と比較して、どのような位置づけにあるのかが分かります。

マーサージャパンでは、オーストラリアのビクトリア政府とマーサーのメルボルンオフィスが共同で、世界の年金制度に関して調査を行い、16カ国の年金制度を様々な角度から調査、指数化した結果を「メルボルン・マーサーグローバル年金指数」(Melbourne Mercer Global Pension Index - MMGPI)という指数にまとめて発表しています。
Adequacy (十分性-年金制度が十分な収入として足るものか)、Sustainability (持続性-年金制度が持続可能なものであるか)、Integrity (インテグリティ-私的年金の運営に関して適切なガバナンスがしかれているかどうか)の3つの柱を中心に公的年金だけでなく、企業年金や個人貯蓄まで含めた老後の所得保障制度を評価した指標です。
・プレスリリース:「グローバル年金指数(2011年度)」を発表-日本の年金制度は調査対象16か国中14位の評価
http://www.mercer.co.jp/press-releases/global-pension-index-japan-J-1427535

ランキング結果では日本の年金制度は16カ国中14位となっており、特にポイントが低いのがSustainabilityの項目。日本の平均寿命は世界的に見ても長く、少子・高齢化が今後も進んでいくことが予想され、このまま高齢化が進むと現役世代に過剰な負担を強いるため、現在の年金制度を持続させるのは現実的ではない。さらに国債の発行残高がGDPの200%を超えていることも、評価を下げる要因になっているということです。

年金指数を改善するには下記の項目が示されています。
・退職金の一部を年金として受け取ることの義務化(但し、(定年)退職時に一時金で受け取ることが習慣となっている日本の文化には合致しにくい)
・個人年金に対する税制優遇措置の拡充(現状では幅広く一般に活用されていない状況)
・低所得者に対しての最低年金額の引上げ
・所得代替率の改善(年金水準の向上)(*1)
・平均寿命増加に向けた支給開始年齢の引上げ
(*1)所得代替率とは、年金給付額がその時点での現役世代の平均収入(ボーナス込みの手取り賃金)の何割かを示す指標。つまり現役時代の収入に代わるものとして年金を捉え、その額に比べどの程度の年金を普及できるのかを表している指標。例えば、平成21年(2009)現在、現役世代男性の平均月収約35万8000円に対しモデル世帯の年金額は22万3000円で所得代替率は62.3パーセントになる。

・2012/10/13 日本の財政の現状を知る 財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)より
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/24.html
・2012/8/23 消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要(伊藤元重教授の警告、2030年の日本の社会保障の制度について、年金の支給年齢引き上げ、医療費負担の増加、相続税増、高齢医療費改革、さらなる増税)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9924.html

孫社長、成功に「自信があります」 株価21%下落も「今が買い」とアピール ソフトバンク、米Sprintを1兆5千億で買収


マネーの知恵(仮)「ソフトバンクはSprintを1兆5千億で買収 報道で株価21%下落も「今が買い」とアピール 成功に「自信があります」」より
記事:http://money-learn.seesaa.net/article/297612019.html

ソフトバンクのIR 
「Sprint社の戦略的買収について」(2012年10月15日)
動画: http://webcast.softbank.co.jp/ja/press/20121015/index.html
プレゼンテーション資料: http://webcast.softbank.co.jp/ja/press/20121015/pdf/20121015_01.pdf
適時開示資料 当社によるスプリントの戦略的買収(子会社化)について: 
http://webcast.softbank.co.jp/ja/pdf/20121015_01/20121015_01.pdf

スプリント買収の概要
・ソフトバンクはSprint株式の70%を取得。
・既存株式取得で121億ドル(9,469億円)、増資引受で80億ドル(6,240億円)で、計 201億ドル(1兆5,709億円)が買収資金。
・既存株式取得は1株7.3ドルのプレミアム価格で買取り、増資の引き受けは報道発表前の株価をベースに1株5.25ドルで取得
・財務アドバイザーはThe Raine Group LLC及びみずほ証券。
・スプリント社への増資資金80億ドルは、ネットワーク強化・戦略的投資・財務体質の強化に充てる
*出資割合を70%にした理由は「Sprintが米国で上場企業のポジションを維持するため、30%は一般投資家が継続して持てるようにした。上場会社としてSprintが存続するほうが、投資家やユーザーから見ても透明性があるので、ベターであるという判断」と質疑応答で答えていますが、買収資金額と有利子負債のバランス等を考慮したと思われます。

・買収資金は、手元資金、及び株式会社みずほコーポレート銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱東京UFJ銀行、ドイツ銀行東京支店がアレンジし、引受を合意した新規のブリッジローンにより充当する
・ボーダフォンの際の借入金利は4%だったが、今回は1.数%であり、孫社長は「格下げは覚悟の上」としながらも「リスクに敏感な銀行がボーダフォンの時より安心している」とアピールしました。
・日経にてBNPパリバ証券チーフクレジットアナリスト中空麻奈氏は、「これまで改善を続けてきたソフトバンクの信用力が再び悪化することは避けられない。1~2ノッチの格付け低下につながる可能性があり、今後は国内の格付け会社が、年金基金などの投資適格水準であるシングルA格を維持するかどうかが大きなポイントになる」と指摘。

スプリントの株価は、観測報道前の株価は5,04ドル、報道を受け5.76ドルへ上昇。
一方、ソフトバンクの株価は、買収報道前の2012/10/11の終値2,881円から、10/12 2,395円、10/13 2,268円と21%もの下落した。(*1)
*市場関係者からは、投資家が増資リスクをやや過大に警戒したのを反映して大幅に下落していたので、今回の買収に伴いエクイティファイナンスをしないことが分かったことはプラス材料という評価が多いようです。

孫社長はプレゼンテーション中の株主への配慮として、
・取得資金調達のための新株発行・転換社債等のエクイティファイナンスは一切行わない
・配当方針に変更なし
・純有利子負債を早期削減
を強調しました。
また、ソフトバンクの2012/10/15前場終了時点での時価総額2.5兆円から、ヤフージャパン、アリババ等の保有株式の時価が1.6兆円なので差し引くとソフトバンクの通信事業の価値を0.9兆円となる。これは現在の年間EBITDA が約0.9兆円なので1倍という評価と割安感をアピール。
「アップサイドを見るべき株主にとって今が株を買う最大のチャンスだ!」というパフォーマンスも。
(*なお、決算短信では、2012年6月時点での有利負債は1兆5582億円で現預金は7581億円、純有利子負債は8001億円)

ソフトバンクとのグループシナジーは下記のポイントが強調されました。
・スマートフォン戦略(ソフトバンクは日本国内でスマホナンバー1の実績)
・LTE戦略(米国は通信速度が遅い。インターネットソフトバンクには平均通信速度で日本国内ナンバー1のネットワークのノウハウがある)
・V字回復のノウハウ(日本テレコム、ボーダフォン、ウィルコムをいずれもV字回復をした実績)

プレゼンでは、「この投資は成功しますか?」「自信があります」、「借入金の返済は可能ですか?」「自信があります」と力強く展開。
また、「生きているうちに必ず世界一になる」と意欲を語っています。

プレスリリースでの公式文は次の通り。
「「今回の取引は、ソフトバンクがスマートフォンやLTE等の次世代高速ネットワークの知見を活用して、世界最大の市場である米国でモバイルインターネット革命を展開できる素晴らしい機会だと考えています。日本ですでに実証済みのとおり、ソフトバンクは既存事業者が大きな力を有していた市場に参入し、差別化された商品や革新的なサービスを投入することで、買収したモバイル事業の業績のV字回復及び飛躍的成長を実現させてきました。こうした革新の実績をスプリントの強力なブランド及び現地のリーダーシップと組み合わせることで、米国モバイル市場の競争を活性化させる前向きな一歩を踏み出すことができると確信しています。」

2012年10月15日の17時から会見が行われ、各メディアが一斉に報じています。
・東洋経済「米携帯3位買収で孫社長「目指すは世界一」」⇒会見での孫社長と報道陣とのやり取りを一問一答が掲載
http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/4ed3a4686fbbabe2f68f33a0e397fe7f/
・ロイター「ソフトバンク<9984.T>、米スプリントを1.6兆円で買収 売上高世界3位の携帯会社に」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK052975520121015
・Bloomberg「ソフトバンク:米スプリント社買収-株7割を1兆5709億円で取得」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBXD5B6JTSEP01.html
・c-net 「スプリント買収に“2つの疑問”--孫社長、解決に「自信がある」」
http://japan.cnet.com/news/business/35023088/
・c-net 「「孫正義の決意「私が生きているうちに必ず世界一になる」」
http://japan.cnet.com/news/business/35023085/
・マイナビニュース「「規模においてはドコモを抜いた」 - ソフトバンク孫社長がSprint Nextel買収について説明」
http://news.mynavi.jp/news/2012/10/15/133/index.html
・日経「ソフトバンク巨額買収 どうみる孫社長の戦略 プロの評価」

(*1)
M&Aでは買い手はプレミアムを支払って買収します。株式の大部分を買い集めるには1株単位で取引されている今の株価より上乗せして株主みんなが納得する価格を提示する必要があるためです。
この「プレミアム」には買収後のシナジー効果が見込まれています。
実際に買収前のシナジー効果のプランを実現することは難しかったり、高い買収価格を正当化するために無理なプランで買収をしてしまうことにより、結果として高値掴みをして、過去の多くのM&Aのケースで株主の価値が毀損されているという多くの研究報告がされています。
観測報道がされ、今回のケースのように買収額が巨額であり、高いプレミアムとなるのではないかという懸念や、ボーダフォン買収から順調に削減されていた有利子負債が増加し財務が悪化するという懸念、買収手法によっては株式の希薄化が行われるのではという懸念が重なり、詳細が分からないことも相まって株価の大きな下落になったと言えます。
思わぬ割りを食ったのは、大きなプレミアムで喜んでいたがまだ保有し続けていたイー・アクセスの株主かもしれません(イー・アクセスの株価は株式交換の実行まで株式交換比率でソフトバンクに連動することになります)。


マネーの知恵(仮)関連記事:
2012/10/1 孫さんは損する?損しない? ソフトバンクがイー・アクセスを破格のプレミアム245%で買収

マネーのネタ帳
2012/10/2 ソフトバンクによるイー・アクセス買収は孫社長の素早い決断 発表翌日の株式市場は高評価

2012年10月15日月曜日

アメリカ景気の急激な悪化が心配される問題「財政の崖」とは


「財政の崖」とは、アメリカで、2013年の頭から、ブッシュ減税が切れることによる「実質的増税」と「強制的な歳出削減」のダブルパンチで崖から落下するような急激な財政の引き締めが起こってしまう可能性があり、アメリカ景気が悪くなるのではないかという問題を言います。
アメリカ経済は世界最大で、アメリカの景気は日本経済はもとより世界経済にも影響を与える大きな市場です。
欧州では財政懸念で経済は悪化しており、中国経済も減速している中、世界経済が冷え込むことが心配されています。

アメリカでは、2012年末から2013年はじめにかけて、ブッシュ前政権時代から段階的に導入した大型減税の2012年末での失効と、13年初からGDPの5%程度に相当する連邦予算の強制削減の開始が重なる、「財政の崖」と呼ばれる大きな問題を抱えています。
ブッシュ前大統領が始めた大型減税は2010年末に2年間の延長が決まり、今年末に期限が切れまる。さらに、2011年に成立した財政赤字の削減をめざす予算管理法により、2013年から2021年までの9年間で1.2兆ドル(約94兆円)の歳出削減が始まります。

大型減税の期限が切れたうえ、歳出の強制削減が始まるため、急激な財政引き締めにより、米国経済、ひいては世界経済に大きな悪影響が出ると懸念されています。

米議会予算局では、この「財政の崖」の問題が放置されれば、13年暦年の影響額はGDP比約5%に達し、GDP成長率が13年上半期に前期比年率換算▲1.3%となり、通年では前年比+0.5%にとどまると試算がされています。

大統領選挙によって現職のオバマ大統領もしくは共和党のロムニー候補が次期大統領になりますが、選挙後、赤字削減案や一部減税の延長などで緩和させるような措置が取られるとの見方が多いようです。
選挙前の合意は極めて困難とみられています。問題の回避には、減税失効の延期・歳出削減の見直しなど、米議会の対応が必要ですが、上下両院で多数を占める党が異なる「ねじれ議会」状態にあることに加え、12年11月に大統領選挙・議会選挙を控えていることなどを背景に民主・共和両党の対立が続いているためです。
スケジュールとしては、選挙終了後に一旦、数ヵ月の減税失効延期を決め、13年1月招集の新議会のもとで最終的な対応をまとめる可能性が高いようです。

一方で、何らかの対応が議会でうまくいかず、合意できなければ、年明け後の米経済は急失速するリスクがあり注意が必要です。

問題の先送りへの批判の声も出ています。
国際通貨基金(IMF)・世界銀行関連会合のため来日したガイトナー長官の発現
「先送りや延期は責任ある戦略とは思わない。その時にたやすい道と思えても、大きな問題をわが国に残すことになる。有効とは思わない」
「(11月6日の)選挙から年末までの期間に、段階的に導入できる改革の枠組みについて協議できると考えている。持続可能性を達成するのに合意すべき政策改革の規模は国内総生産(GDP)の2─3%程度。税制改革と歳出削減を組み合わせ、バランスのとれた形で実施すれば、段階的な改革を進められるとともに、投資の余地も生み出せる」
(ロイター 2012/10/11 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89A04120121011 より)

参考:
・日経 2012/10/14 今日のことば 米の「財政の崖」 迫る歳出の強制削減
・ロイター 2012/10/11 欧州情勢や米「財政の崖」問題などで認識共有=日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89A04120121011
・ウォール・ストリート・ジャーナル 2012/9/28 米「財政の崖」は避けられない運命か―オバマ氏再選の場合はこうなる
・Bloomberg 2012/9/28 米国の「財政の崖」と闘うのはロムニーかオバマか
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MB178V6JIJWA01.html
・日興アセットマネジメント アクロス・ザ・ボーダー 2012/8
http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/across-the-border/pdf/across_1208.pdf

2012年10月13日土曜日

日本の財政の現状を知る 財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)より

日経BPnetでのお金見直し応援隊の記事「消費税はなぜ上がるのか? 借金大国ニッポンの「財政事情」を理解し現実を直視しよう」(税理士 中村健二、2012年 10月13日付)では日本の財政の現状(問題)について図表等も用いてよく整理がされていて、分かりやすく解説がされています。
記事URL: http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20121012/326696/?P=1

内容要約:
(*図表は財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)が参照されていますので、合わせて見ると理解が進むかと思います)
「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料):
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_24_06.pdf

①日本の国家収入の内訳
平成24年度(2012年度)の国家予算について、歳入内訳について表が引用されています(「日本財政関係資料」P2)。

日本の平成24年度の国家予算の総額は90兆3339億円。
うち、税金でまかなわれているのは42兆3460億円と全体の46.9%。税外収入(固定資産の売却など)の3兆7439億円を合わせて全体の51%と全体の約半分です。
半分の44兆2440億円は国の借金である国債で賄われている。国債のうち、「赤字国債」は38兆3350億円(*1)。

②債務残高の国際比較
「債務残高の対GDP比を見ると、90年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、我が国は急速に悪化しており、最悪の水準となっています。」とされ、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダと比較した時系列表が掲載されています(「日本財政関係資料」P15)。

日本の対GDP比での債務残高は右肩上がりで、2012年に対GDP比債務残高は219.1%と主要先進国中最悪の水準となっていることが分かります。次いで対GDP比債務残高が悪いのはイタリアですが、2012年で128.1%と日本の半分程度の水準です。

*「債務残高対GDP比」とは、国や地方が抱えている借金の残高を国内総生産(GDP)と比較して考える指標です。経済規模に対する国・地方の債務の大きさを計る指標として、財政の健全性を図る上で重要視されます。(「日本財政関係資料」P2)

③主要国における一般政府総債務/家計金融純資産(「日本は個人の貯蓄など金融資産が多くあるから大丈夫?」)
主要国における一般政府総債務/家計金融純資産(2009年)が示されています(「日本財政関係資料」P20 参考4)。
簡単に言うと、「「個人の貯蓄÷政府の借金」」となります。
日本は91.1%と、アメリカの40.6%、イギリス43.0%、ドイツ58.8%、フランス73.5%と比較して最悪の水準にあります。
「つまり仮に「政府の借金を個人の貯蓄で返済する」とした場合、他の諸外国と異なり、その余裕はほとんどない」と指摘されています。(*2)

④貯蓄率と一般政府総債務/家計金融純資産の推移(頼みの「貯蓄率」ですら、長期的には減少傾向)
貯蓄率と一般政府総債務/家計金融純資産の1990年から2009年までの推移が示されています(「日本財政関係資料」P20 参考3)。

日本の貯蓄率は1991年に15.1%を記録した後、減少に転じ、2008年には2.2%にまで下がっています。家計金融純資産に対する一般政府総債務の割合は増え続けており、1990年の43.1%から2009年には91.1%と増加。

⑤日本の公債残高の推移
昭和40年から平成24年までの公債残高の推移です(「日本財政関係資料」P11)。表には「我が国の公債残高は、年々増加の一途をたどっています。平成24年度末の公債残高は709兆円に上ると見込まれていますが、これは税収約17年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになります」とコメントがされています。

日本の公債残高は年々増加の一途をたどっており、平成24年度末には709兆円に上る見込みです。

⑥公債残高の増加要因
平成2年度末から24年度末にかけての公債残高増加額約530兆円が歳出の増加要因(+約232兆円)と税収等の減少要因(+約190兆円)で示されています(「日本財政関係資料」P12)。

平成2年度末から24年度末にかけて増加した公債残高は約530兆円。
「税収等の減少」を要因としたものは190兆円⇒バブル崩壊後の景気の低迷や度重なる減税などにより税収が減少したことが主な原因
「歳出の増加」を要因としたものは232兆円⇒近年では、高齢化の進行等に伴い増加しているのが、年金、医療、福祉、介護などに充てられる「社会保障関係費」の影響が大きい

⑦日本の支出の内訳
平成24年度の歳出内訳が示されています(「日本財政関係資料」P1)。

一般会計歳出総額は90兆3339億円。
平成24年度の予算で最も多くを占めているのは、⑥の社会保障関係費で26兆3901億円で全体の29.2%。
次いで、地方交付税が16兆円。
過去の借金返済と利払いが21兆9442億円と全体の24.3%を占めている。うち元本の返済に当たる債務償還費は12兆896億円。44兆円余りの新たな借金をして、返済はわずか12兆円余り。
記事では、「これでは公債残高が増えるのは当然」と指摘されています。

⑧社会保障給付費と社会保険料収入の推移
社会保障給付費(自己負担見合いを除く年金の受給額や医療・介護の給付額)と社会保険料収入(国民が支払っている社会保険料)の推移が昭和50年から平成21年まで示されています(「日本財政関係資料」P31)。

年金や医療・介護の給付額がうなぎ上りに増加。平成21年度にはほぼ100兆円が支出。
社会保険料収入は、平成3年頃までは、社会保障給付費と社会保険料収入はほぼ同じように増加し、その差額を埋め合わせる税負担はあまり発生しなかった。しかし、この頃から社会保険料収入が伸び悩むにもかかわらず社会保障給付費は増え続け、多くの税負担が必要となっている。

⑧国の一般会計歳入・歳出における社会保障関係費の割合
国の一般会計歳入・歳出における社会保障関係費の割合が
平成2年度と平成24年度の国の一般会計予算の比較で示されています(「日本財政関係資料」P32)。

平成2年度と平成24年度の予算を比較すると、歳出の伸びの大きな部分を社会保障関係費が占めている。

*増え続ける社会保障関係費、伸び悩む社会保険料収入、その差を税金で埋め合わせる、税収の落ち込み、国債増加という構造的な悪循環となっています。

⑨プライマリー・バランス(PB;基礎的財政収支)(国を運営するために必要な経費は68兆3897億円。これを税収でどれだけまかなえているか)
財政の現状(PBマイナス)、PBが均衡した状態、財政収支が均衡した状態の説明の表が示されています(「日本財政関係資料」P22)。

プライマリー・バランス(PB)とは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標。日本の現状は、政策的経費が税収等を上回り、PBは赤字となっている。
プライマリー・バランスが均衡したとしても、借金の利払費分だけ債務残高は増加していく。そこで債務残高を増加させないためには利払費を含めて財政収支を均衡させる必要がある。

記事では、これらの状況を見て、「現在の経済と財政を前提にすると、プライマリー・バランスの赤字はGDPの6%、消費税1%がGDPの0.4%の税収なので、プライマリー・バランスを均衡させるためには単純にいうと消費税をあと15%上げなければならない。しかも、それではまだ財政収支は均衡しない。財政収支を均衡させて債務残高を増加させないためには、さらに5%近くの消費増税が必要となる。「消費税率25%」も、決してあり得ない話ではない」と指摘がされています。
解決策は、経済成長などにより税収を増やすことと、歳出をカットすること。
消費税の増税の背景は、「現在の社会保障の水準を守るためには、国には絶対的にお金が足りない」ので、「高齢者なども含め、「広く」負担を求めようとする」ためであるとし、「現実を直視して、これからの「社会保障と税」について関心を持っていこう」と読者に訴えかけています。

(*1)
日本の国家財政の基本を定めた財政法では、第4条において、建設国債という公共工事などに充当する場合にのみ国債を発行を認めています。これは、建設国債であれば、公共工事など将来にメリットを残すので国債発行(=借金)という形で将来に負担がかかっても容認できるという考えからです。
建設国債でない、財政赤字を補填するために発行される国債を「赤字国債」といい、特例公債法を毎年制定することにより赤字国債を発行するという手続きがと取られます。一時的に赤字を補填するだけで国民に対して後世に残らない経費という考えからです。1994年から2011年まで赤字国債を発行するために毎年制定され続けています。
なお、ねじれ国会下による与野党対立のため、2012年度法案は9月に入っても成立しない事態となっています。
2012年10月13日、IMFは諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)を都内で開き、今年度予算の財源を確保する赤字国債発行法案の早期成立と、中期的な財政再建の進展が欠かせないという声明が出されています。

(*2)
国家があらゆる徴税権を行使して国債の返済原資にされ得る担保が家計の個人資産となります。
なお、日本では個人金融資産が多いので国債の資金の調達のほとんどが国内で賄われているのは、家計の個人金融資産が銀行や郵貯を通じて国債の購入に回っているためです。
記事では、消費税増税という切り口ですが、日本の家計の個人資産の多くは高齢者が保有しており、相続税の増税も進められていく懸念があります。

【関連記事】
・2012/8/23 消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要(伊藤元重教授の警告、2030年の日本の社会保障の制度について、年金の支給年齢引き上げ、医療費負担の増加、相続税増、高齢医療費改革、さらなる増税)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9924.html
・2012/8/15 日本の国債相場が安定している理由(日本証券経済研究所の中島将隆氏の小論文「日本の国債相場を支えているものは何か」より)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_6211.html
・2012/8/20 消費増税 待ったなし(大和総研チーフエコノミスト 熊谷亮丸氏)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_661.html
・2012/9/2 消費増税でも財政収支はマイナス、国の対GDP債務残高は改善せず
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/gdp.html
・2012/9/25 橋下氏の維新の会の経済政策 構造改革で日本経済復活なるか
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_1730.html

2012年10月12日金曜日

世界のREITのレポート/情報源の一覧と低コスト商品(ETF,投資信託)

世界のリート(不動産投資信託)を始めるリンク集では、世界のREITの情報収集に関する様々なサイトへのリンクの紹介や解説がされています。

「世界のリートについての有用な指標・情報源」では、主にアセットマネジメント会社から出されているレポートと主要な内容について紹介されています。
各社の情報ページへのリンクと本記事日(2012/10/11)現在の最新記事のリンクを貼っておきます。

・岡三アセットマネジメント 
http://www.okasan-am.jp/
REITデイリー情報
http://www.okasan-am.jp/market/reit/index.html
REIT マンスリーレポート
http://www.okasan-am.jp/market/r_monthly/index.html
2012/3: http://www.okasan-am.jp/market/r_monthly/pdf/reitm_20121003.pdf

・国際投資顧問
http://www.kokusai-am.co.jp/report/index.html
リート・マーケット・マンスリー|2012年9月号~豪州等で割安感を背景に堅調推移~
http://www.kokusai-am.co.jp/report/reit/2012/120914.pdf

・日興アセットマネジメント
http://www.nikkoam.com/fund-academy/market-library
グローバルREIT ウィークリー
2012 2012年年1010月第月第22週号( 週号(2012 2012年年1010月月99日発行): http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/globalreitweekly/pdf/121009.pdf

・DIAM
http://www.diam.co.jp/news/report/index.php
リート・ウィークリーレポート2012年10月10日(週1回更新): http://www.diam.co.jp/news/report/report_reit/report_reit_weekly_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/10/10/reitweekly_121010_1.pdf
リート・デイリーデータ2012年10月11日(毎営業日更新):
http://www.diam.co.jp/news/report/report_reit/report_reit_daily_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/10/11/reitdaily_121011.pdf

・三菱UFJ投信
http://www.am.mufg.jp/market/report/index.html
国内リート MARKET MONTHLY  2012年10月: http://www.am.mufg.jp/market/report/pdf/jp_reit.pdf
海外リート MARKET MONTHLY  2012年10月: http://www.am.mufg.jp/market/report/pdf/ab_reit.pdf

・大和投資信託
http://www.daiwa-am.co.jp/market/index.html
マンスリーレポート
10月の投資環境見通し 世界の株式、債券、為替、REIT市場: http://www.daiwa-am.co.jp/doc/mktinformation/monthly/minfo_20121004_1.pdf

・三井住友アセットマネジメント
http://www.smam-jp.com/fund/top/1187400_1551.html
「個別のファンドの公式サイトですが、週次レポートが出されていて、そのうち「ファンドマネージャーコメント」の欄などは、読み応えがあります。」とのこと。
ウィークリー・レポート(平成24年10月5日): http://www.smam-jp.com/fund/pdf/128809w.pdf

・FNAR FTSE NAREIT US Real Estate Index(全米(全国)不動産投資信託協会)
http://www.reit.com/Default.aspx
「米国REITの代表的インデックスであるFTSE NAREIT US Real Estate Indexの数値を見ることができます。」とのこと。

REIT海外ETFについては、ブログ「初心者向けetf(上場投資信託)・インデックスファンド・海外etf入門」さんの記事「REIT海外ETF」で下記が紹介されています。
・Vanguard Reit ETF(バンガード・リート・ETF) MSCI米国REITインデックス  0.12%  アメリカのREIT100銘柄に分散投資します。
・i Shares(iシェアーズ) FTSE EPRA/NAREIT Asia Index Fund FTSE EPRA/NAREITアジア・インデックス   0.48% アジア・太平洋地域のREITに投資します。
・i Shares(iシェアーズ) FTSE EPRA/NAREIT Europe Index Fund FTSE EPRA/NAREITヨーロッパ・インデックス  0.48%  ヨーロッパ地域のREITに投資します。
・i Shares(iシェアーズ) FTSE EPRA/NAREIT Global Real Estate ex us Index fund FTSE EPRA/NAREIT世界不動産インデックス   0.48%   アメリカ以外の世界REITに投資します。
・i Shares(iシェアーズ) FTSE NAREIT Industrial/Office Index Fund FTSE NAREIT産業施設/オフィス・インデックス  0.48%  オフィスビル投資が中心のREITETFです
・i Shares(iシェアーズ) FTSE NAREIT Retail Index Fund FTSE NAREIT商業インデックス  0.48%  商業施設へ投資するREITのETF
記事URL:http://etf-kouza.blogspot.jp/search/label/%E6%B5%B7%E5%A4%96%EF%BC%A5%EF%BC%B4%EF%BC%A6%EF%BC%88%EF%BC%B2%EF%BC%A5%EF%BC%A9%EF%BC%B4%E5%9E%8B%EF%BC%89

楽天証券での海外REITに関わるETFの取り扱いは、下記がヒットしました。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/foreign/etf/lineup/#global_area
・LAER / リクソーETF MSCI EPRA/NAREIT アジア(信託報酬 0.65%)
⇒「FTSE EPRA/NAREITアジア(除く日本)」を通じ、アジア不動産セクターへの投資機会を提供
・IFGL / iシェアーズ FTSE EPRA/NAREIT 先進国(除く米国)不動産インデックス・ファンド(信託報酬 0.48%)
⇒FTSE EPRA/NAREIT先進国(除く米国)不動産インデックスへの連動をめざし、米国以外の不動産関連資産に投資
・IYR / iシェアーズ® ダウ・ジョーンズ米国不動産インデックス・ファンド(信託報酬 0.47%)
⇒ダウ・ジョーンズ米国不動産インデックスへの連動を目指します。不動産の保有・開発業ならびに不動産投資信託のサブ・セクターを含
・RWR / SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF(信託報酬 0.25%)
⇒ダウ・ジョーンズU.S.セレクトREIT指数の価格と利回りに、経費控除前で、連動する投資成果を上げることを目標とします。売買回転率の抑制、トラッキングエラーの最小化、コストの低減を追求する運用手法をとる
・RWX / SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステート ETF(信託報酬 0.59%)
⇒ダウ・ジョーンズ・グローバル(除く米国)セレクト・リアル・エステート・セキュリティーズ指数の価格と利回りに連動


投資信託では、モーニングスターで検索条件を下記の通り検索したところ、該当は1件でした。
[信託報酬等]分類平均より小さい [購入時手数料率]0% [純資産総額]1000百万円以上
・eMAXIS 先進国リートインデックス
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2009102807

マネーの知恵(仮)関連記事:
・2012/7/12 長期の資産形成と自分年金の作り方を考える(1)
http://money-learn.seesaa.net/article/280414842.html
・2012/7/2 J-REIT投資の分配金と資産形成について考える(2)  -J-REITの分配金と株価のトレンド http://money-learn.seesaa.net/article/278575756.html
・2012/6/28 J-REIT投資の分配金と資産形成について考える(1)
http://money-learn.seesaa.net/article/277673639.html

日本国債の金利上昇で銀行の損失 金利1%上昇で6.4兆円、2%上昇で13.3兆円


ロイターの2012/4/19付の記事「金融面の不均衡みられず、金利1%上昇で銀行保有債券に損失6.4兆円=日銀」では、国債の金利上昇が銀行の保有する国債へ与えるリスクの日銀の試算を伝えています。
ロイター記事: http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE83I05820120419

全期間の金利がフラットに1%上昇の場合の国債の評価損は、大手行が3.4兆円、地域銀行で3.0兆円。
同じく一律で2%上昇した場合、国債の評価損は、大手行が7.3兆円、地銀が6兆円との試算となるということです。

日銀 金融システムレポート(2012年4月)PDF:
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr120419a1.pdf

レポートでは、「日本の金融システムは全体として安定を維持しており、金融面の不均衡も生じていないとの見解を示」されつつも、「日本の政府債務残高が拡大を続ける中で、「金融機関が多額の国債を保有していることには留意が必要」と指摘」がされているとのことです。
全年限の金利が1%ポイント上昇した場合の保有債券の損失額は、2011年12月末時点での計算で、大手行が3.4兆円、地域銀行で3.0兆円になると試算がされているとロイター記事では伝えられています。

日銀では、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して強力に金融緩和を推進していく方針を示しているが、その際、「金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件とする」ということです。

(*デフレ脱却を目的に物価上昇を目指していますが、金利上昇を招く可能性があるということです。2012年10月現在、量的緩和の政治的な働きかけもされていますが、金利上昇リスクへの注意が必要となります。)

また、参議院の社会保障・税一体改革特別委員会で、白川方明総裁は国債の金利が一律で2%上昇した場合に大手銀行と地方銀行が保有する国債の評価損が13.3兆円にのぼるとの試算を示しています。3月末時点の保有資産に基づく試算で、内訳は大手行が7.3兆円、地銀が6兆円であると発現しています。
白川総裁は「財政への信認が低下し、銀行の貸出金利が上がらず長期金利だけが上昇すると経済・金融への影響が大きい」「金利上昇にはいわゆる悪い金利上昇といい金利上昇があるが、悪い金利上昇、つまり、財政の信認がなくなって長期金利のみ上がる状況を是非とも避けないといけない」と指摘をしています。

白川総裁発言(第180回国会 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会 第7号 平成24年7月25日)
URL: http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/180/0159/18007250159007a.html
「本年3月末時点で日本の大手行全体、全部で12行ございますけれども、これ37.1兆円でございます。これに地方銀行、第二地方銀行、地域銀行全体でこれは17.3兆円ということになってまいります。
 仮に国債金利が一律全期間2%上昇するいわゆるパラレルシフトというケースを想定しますと、2012年3月末時点で銀行が保有する債券価格の下落幅は、大手行で7.3兆円、地域銀行で6.0兆円という計算になります。これはあくまで機械的な計算でございます。
 これがどのような影響を及ぼすかということでございます。これはどのような状況の下で長期金利の上昇が起こるかということに依存いたします。仮に財政に対する信認が失われて長期金利だけが上がってしまうというケースと、それから経済が改善し、貸出しも増えていく、貸出金利も上がっていくという状況の下で国債金利が上がってくるというケースでは状況が異なってまいります。
 当然のことながら、後者のケースですと、これは一方でプラスがございますから、マイナスとプラスがある程度時間を掛ければ相殺されることになりますけれども、仮に財政の信認が低下して長期金利だけが上がるというケースを想定しますと、これは先生が御懸念のように日本の経済、金融に大きな影響を与えます。
 影響を与えるルートでございますけれども、仮にその悪い形での金利上昇が起きますと、銀行の自己資本が減る、体力が減るということですから、当然貸出しがしにくくなってくるということになってまいります。そのことが実体経済に影響を与えてくるということになりまして、私どもとしては、そういう意味では長期金利が安定的に形成されるということが大事だというふうに思っております。」

関連記事:
2012/8/23 消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9924.html
2012/8/15 日本の国債相場が安定している理由
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_6211.html
2012/10/11 IMF、日本の金融機関の国債保有の拡大に懸念 「銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/imf.html

2012年10月11日木曜日

IMF、日本の金融機関の国債保有の拡大に懸念 「銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている」

ロイター記事(2012/10/10)「国際システムの信頼感ぜい弱、邦銀には国債保有リスク=IMF報告」、WSJ(2012/10/10)の記事「日米にセーフヘイブン・リスク-IMF、邦銀の国債保有拡大にも懸念では、」IMFが2012/10/10に発表した金融安定報告(GFSR)で、邦銀の国債保有拡大への懸念が示されていることを伝えています。
GFSRは、IMFは年次総会開幕を機に発表した金融安定リスクに関する報告書。
ロイター記事(2012/10/10): http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE89900R20121010
WSJ記事(2012/10/10): http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_526696

ロイター記事より:
「財政問題を抱える米国と日本については、今はユーロ圏危機を背景とする質への逃避の受け皿になっているが、中期的に財政健全化への一段の取り組みが必要と指摘」している。

WSJ記事より:
・ユーロ危機の逃避先として日米の国債が買われており、10年物政府債(国債)利回りは最近 数カ月間、日本では0.75%、米国では1.5%をいずれも下回っている水準にある。
・ユーロ圏が現在の危機を鎮静化させる一方で、日米両国の政治家が財政引き締めを怠り、金融システムにリスクを転化した場合に、資本流入の逆転が生じることとなると、日米両国の金利は上昇し、両国経済全般にトラブルが生じる恐れがある。
・預金機関の資産に占める日本国債保有比率が2011年の24%から17年までに30%に達すると予想され、「国内銀行システムにおける国債リスクの集中拡大は日本における金融安定上の懸念の核心だ」と指摘がされている。外国の買い手を誘引するため、国内金利が十分高く上昇すれば(つまり債券相場が十分に低くなれば)、それは手持ちの日本国債の価値が低くなるため銀行のバランスシートにストレスになる。
・日本の金融機関について、弱い融資需要の中で国債保有を拡大しており、利回りの急上昇に最もぜい弱だろうと警告。
・邦銀の中で最もぜい弱なのは、収益性の低さやマージンの低さにあえいでいる日本の地銀だ。IMFの算定では、利回りが1%上昇すれば、地銀にとって自己資本ティア1の20%の評価損をもたらし、17年には26%に達する恐れがある
・報告書は、日本はリスクを緩和できるだろうとしている。例えば、銀行の定期的なストレステスト(特別検査)やリスク評価を増やしたり、最低自己資本比率を引き上げたり、地銀業界の強化を促したりすることでリスクは緩和できるだろうと勧告している。


IMF
国際金融安定性報告書(GFSR), 2012 年 10 月(PDF): http://www.imf.org/external/japanese/pubs/ft/gfsr/2012/02/pdf/sumj.pdf
「ユーロ圏の危機の進行により、より安全と見なされる国、特に日米への資金の流入が起きている。このため国債金利は歴史的な低水準となっているが、第二章で指摘するように日米とも財政面の大きな課題を抱えている。米国については迫りつつある「財政の崖」と債務残高の法定上限到達、及びそれらに伴う不確実性が当面の大きなリスクである。中期的には、持続不可能な債務動向となるリスクが最大の問題である。日本については巨額の財政赤字と未曾有の債務残高が問題であり、銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている。いずれの国についても、中期的な財政健全化の道筋を付け、これを遅滞なく実施に移すことが必要である。ここ数年の経験から学ぶべきことは、市場が信用リスクを問題にし始めるかなり前から不均衡是正に向けた対策をとらなければならないということである。」

関連記事:

・2012/8/23 消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要

・2012/8/15 日本の国債相場が安定している理由


2012年10月9日火曜日

2012年8月の経常収支は4547億円の黒字 貿易・サービス収支はカ月連続の赤字

2012年8月分の国際収支を発表した。経常収支は4547億円の黒字、対前年同月比4.2%黒字幅が拡大。
主な内訳では、
・貿易・サービス収支が8670億円の赤字(5カ月連続の赤字)⇒輸出は欧州・中国向けの減少により4兆8444億円で同5.3%の減少となったが、輸入も原油価格下落などで5兆4889億円、同5.4%減
・所得収支が1兆3890億円の黒字⇒世界的な金融緩和を背景に証券投資の債券利子受け取りなどは減ったものの、直接投資収益の再投資収益(直接投資先企業に留保された未配分収益)の拡大が貢献
となっています。所得収支が貿易・サービス収支を補う構造が継続しています。

東洋経済オンライン(2012/10/09)「8月の経常収支は4547億円の黒字、前年同月比4.2%増【国際収支】」より。
記事URL: http://www.toyokeizai.net/money/markett2/detail/AC/f8651b1f11a58eca0b207d296bf2d0f3/

*記事中に経常収支の推移のグラフを張り付けられるタグ(vizoo提供)があるので、張り付けてみます。

日本の給与 年収1000万円超は178万人 2500万円超は9万2千人は全体の2.2%も税金は給与所得税総額へ13.8%の貢献

マネーの知恵(仮)の2012/10/8付記事「日本の給与 年収1000万円超は178万人 2500万円超は9万2千人、全体の2.2%も給与所得税総額へ13.8%の貢献」より、2011年度のニッポンの給与データを概観します。

以下、転載です。

国税庁より、平成24年9月付で、「平成23年分民間給与実態統計調査結果について」が公表されています。
対象は、平成 23 12 31 日現在で民間の事業所に勤務している給与所得者(所得税の納税の有無を問わない。)を対象で、従業員(パート、アルバイトを含む)、役員となります。
平成23年(2011年)において、給与を貰っている給与所得者は4566万人。これは、個人事業主である自営業者等、公務員、源泉徴収されていないパート等は含まない人数です。
日本全国の平均給与は409万円(男性504万円、女性268万円)、会社規模が大きい大企業に勤めているほど、また、勤続年数年数が長いほど、給与は多くなる傾向があります。
日本は超過累進税額の国なので、納めている税金は、総額が7兆5529億円ですが、うち、給与が800万円以下の人数は3487万人で税額が3兆1058億円(全体の41.1%)を負担、800万円超の人数は366万人で税額が4兆4472億円(全体の58.9%)の負担となっています。
全体のおよそ10分の1の年収800万円超の人達が、給与の所得税全体の半分以上の58.9%を納めていることになります。
超高級といえる年収2500万円超の人は9万2千人で、給与所得者全体の2.2%ですが、最高税率を負担するため、給与所得税の全体の13.8%を負担しています。

・平成23年分民間給与実態統計調査結果について
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/minkan/index.htm
・平成23年度 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2011/pdf/001.pdf

給与所得者とは、主に会社員が該当します。
全国の一人当たり平均給与は409万円(男性504万円、女性268万円)となっています。

給与所得者数は、4, 566万人(対前年比0.3%増、14万人の増加)であり、これを男女別にみると、男性2,731万人(同0.1%増、2万人の増加)、女性1,835万人(同0.6%増、12万人の増加)となっている。また、給与総額は、1867,459億円 (0.4%減、7,996億円の減少)となっているということです。

民間給与実態統計調査-調査結果報告-より抜粋
・平均給与
平均給与及び対前年伸び率の推移(平成13年~平成23年)より、過去10年間、1人当たりの平均給与は緩やかに右肩下がりになっています。
平成13年 453万円→平成23年 409万円
「平均給与及び対前年伸び率の推移」


























・年齢別の平均給与
日本全体としては、年功序列賃金となっていることが分かります。
「平均給与を年齢階層別にみると、男性では 55 歳未満までは年齢が高くなるに従い平均給与も高くなり、5054 歳の階層(641 万円)が最も高くなっているが、女性では年齢による較差はあまり顕著ではない」とのこと。
勤続年数別の平均給与でも、「平均給与を勤続年数別にみると、35年未満までは勤続年数が長くなるに従い高くなり、勤続年数 3034 年の階層(635 万円) が最も高くなっている」ということで、年功に従って給与が増えていることが見て取れます。
「年齢階層別の平均給与」


























・事業所規模別の平均給与、企業規模別の平均給与では、従業員数が多い会社ほど、又は、資本金が大きい会社ほど、平均給与が大きくなっています。(民間給与実態統計調査-調査結果報告-の第9表、第10表参照)

・年収別の人数は、300万円超400万円以下が837万人と最も多くなっています。
1000万円以上の給与を貰っている人数は、178万人で全体の3.9%。
1,000万円超 1,500万円以下が133万人(全体の2.9%)
1,500万円超 2,000万円以下が27万人(全体の0.6%)
2,000万円超 2,500万円以下が7万8千人(全体の0.2%)
2,500万円超が9万2千人(全体の0.2%)
となっています。

「給与階級別給与所得者数・構成比」(一部抜粋、計は男女計の部分です)
 ・納めている税金は、総額が7兆5529億円。
給与が800万円以下の人数は3487万人で税額が3兆1058億円(全体の41.1%)、800万円超の人数は366万人で全体の給与所得者の 8.0%ですが、税額が4兆4472億円(全体の58.9%)となっています。なお、1000万円超では、3兆5041億円(全体の46.4%)です。
2500万円超の給料を貰っている人の総数は全体の2.2%ですが、納めている税額は1兆416億円で、全体の13,8%となっています。


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2012年10月8日月曜日

消費税の簡易課税制度で中小企業は20億円を節税


マネーの知恵(仮)(2012/10/8)「消費税の簡易課税制度が見直しの方向か!? 簡易課税制度で中小企業は20億円を節税している」より。

(サマリー)
平成24年10月4日付で、会計検査院は「消費税の簡易課税制度について」を公表しています(会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告)。

会計検査院は「現行制度のまま税率が上がれば益税が増える」と懸念し、「みなし仕入率の水準について、必要な措置を講ずる改正が行われれば、いわゆる益税の問題は一定の改善が図られることとなるが、会計検査院の検査によって明らかになった状況を踏まえて、今後、財務省において、簡易課税制度の在り方について、引き続き、様々な視点から有効性及び公平性を高めるよう不断の検討を行っていくことが肝要である」としています。

2012年8月に成立した消費増税法では「みなし仕入れ率を見直すとしており、財務省が検討している」(日経より)という動きとなっているようです。

会計検査院の調査によると、簡易課税の制度を利用した中小企業など4699事業者を検査したところ、79.6%の3742事業者で、「益税」が発生していた(簡易課税制度を適用したことにより納付消費税額が低額となっている)ということで、益税の推計額は21億7647万余円。一方、957事業者では、簡易課税制度を適用したことにより納付消費税額が高額となっており、2億2712万余円ということです。対象期間は、法人については22年2月から23年1月までの間に終了する課税期間、個人事業者については22年分の課税期間。

会計検査院 国会及び内閣への随時報告(24年10月4日(1)): http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/h241004_1.html
「消費税の簡易課税制度について」に関する会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
要旨のURL(PDF): http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/pdf/241004_youshi_1.pdf
全文のURL(PDF): http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/pdf/241004_zenbun_1.pdf

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